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2024/03
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投資家の求めるコーポレート・ガバナンスとは何か
企業は株主のものでないと担当大臣にコメントされるのも寂しいが、間違いなく企業は株主のものでもある。そして、コーポレート・ガバナンスは、ステイクホルダーに配慮されたものであるが、株主特に少数株主の立場を守るという原則が貫かれていると信じたい。経済産業省の企業統治研究会より6月に公表された報告書においても、経営に直接関与することのない一般株主(機関投資家を含む)にとって、経営者に近いところで、企業価値の向上についてモニタリングする仕組みとして、社外取締役・社外監査役に期待する意見が強いとされている。大量の第三者割当や、MBO、買収防衛策の導入などが、独立性の高い社外の目で、企業価値を向上させるかどうかとの視点でチェックして欲しいのである。
 しかし、東証上場企業においても社外取締役は、監査役設置会社の55.9%が導入していない。(数字は、東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2009で、2008年の各社コーポレート・ガバナンス報告書をベースに集計。以後の数字も同様)また、社外取締役がいても、親会社・関係会社・大株主・親族など経営者との関係が近い者が41.8%では、その独立性が問題にもなる。 独立性の高い社外取締役が東証上場規則で義務付けられるか、今夏以降の上場ルール改正で注目されるところである。
一方の議論として、監査役会設置会社(マザーズの18社を除く)は、その半数が社外監査役であることが義務付けられているので、監査役会機能の充実する考え方もあるようだが、社外監査役の20.4%は親会社・関係会社・大株主・親族など経営者との関係が近い者であるという現状もある。
投資家としては、企業価値向上の為の判断が出来る機能で、ある程経営者に牽制機能が働く独立性が大事なので、独立取締役導入の上場ルール化が難しいのなら、企業価値向上のコーポレート・ガバナンス格付けの様なものを取引所が公表し、投資家に投資判断材料として提供する仕組みを作ってはいかがだろうか。
その分が取引コストとして負荷されても、投資家側のクレームにはならない。
次にコーポレート・ガバナンス報告書が開示を求めるものとして、取締役へのインセンティブ・報酬関係があるが、ストックオプショが33.6%、業績連動報酬が17.3%の企業が導入している。業績連動報酬制度としては、ストックオプションは好ましく思えるが、投資家としては、社外取締役や社外監査役に付与する必要があるか、付与対象はどのマネージメントの範囲までなのか、権利行使の条件が業績と連動しているか、又、役員の退職慰労金制度と代替としては、付与条件・行使条件が適切かなど、実はストックオプションの中身について開示及び評価がされなければならない。報酬額の個別開示に関しては、コーポレート・ガバナンス機能上それほど問題ではないが、株主代表訴訟に備えた責任限定規定が定款に定められている場合は、実質的な総報酬として開示されるべきだろう。
株主にとって起業に対する具体的行動を起こす場である株主総会関連の運営に関する事は、実務的に重要な部分であるが、最近の注目度は低いようにも思う。
・株主通知の早期発送:法定期日よりも3営業日以上以前に発送した企業は、全体の33.0%
・総会集中日の回避:3月決算期のうち集中日を回避した会社は。38.4%
・電磁的方法による議決権行使:ネットによる議決権の行使など、電磁的方法により議決権を行使できる会社は全体に20.4%と未だに低い。また東証が提供する機関投資家向け議決権行使プラットホームへの参加者数が338社に留まっているのは、この問題に対する企業側の基本姿勢を疑う。プラットホーム参加のコストが問題であれば、いっそ協会等が負担しては如何か。
最後にディスクロージャーの問題になるが、個人向け説明会の定期的開催企業は全体の26.9%、アナリスト・機関投資家向け説明会開催は70.9%、海外投資家向け説明会開催は16.3%となっている。
個別企業のIRに対するスタンスが異なるのは構わないと思うが、株主間や投資家間で、会社情報に関する情報の非対称性が発生することは、コーポレート・ガバナンス上も問題がある。その様な配慮として、説明会内容のホームページ上での開示は、必須と理解していただくよう取引所や協会は、企業に働きかけるべきである。コーポレート・ガバナンスの基盤作りの為に。
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