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2017/06
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フィンテックとクラウドファンディング
最近はフィンテック(finance & technology)という言葉も、シリコンバレー流のスタートアップ企業の資金集めの標語とも捉えられがちですが、一方では既存の金融ビジネスの枠を破るイネベーションとしての期待値も高いものがあります。実際、金融庁でも昨年12月14日にFinTechに関する一元的な相談・情報交換窓口としてFinTechサポートデスクが設置されています。
そのフィンテックにおいて、投資に関するものでは最近AI(人口知能)を使った投資運用や助言(ロボアドバイザーなど)のサービスも目立ってきています。しかし、実質的には昨年の6月から制度は始まった投資型クラウドファンディングは、ネット上でのみリスクマネーの調達を行うのですから、その方法が定着していけば、投資の世界におけるイネベーション=フィンテックとなるはずです。
その投資型クラウドファンディングの現状をみてみると、次の様な状態です。
(※各種協会の対外公表文より)

○株式投資型クラウド⇒ 実績 ゼロ
(昨年6月から実質的に始まった株主コミュニティ(特定の証券会社による未公開会社株式の取引者コミュニティ管理)では、2月12日時点で売買愛金が1億4186万円)
○ファンド投資型クラウドファンディング⇒

2015年5月29日~同年9月30日
・募集開始総額 263,370千円(ファンド数41本)
・事業開始ファンド総額 6,650千円(ファンド数3本)
・四半期末に運営中のファンド総額 6,650千円(ファンド数3本)
・ファンドの償還 0円

    2015年10月1日~同年12月31日
・募集開始総額 316,500千円(ファンド51本)
・事業開始ファンド総額116,670千円(ファンド17本)
・四半期末に運営中のファンド総額116,670千円(ファンド19本)
・ファンドの償還 557千円(元本割れファンド数1本)

ファンド投資型は、既存のクラウドファンディング業者が電子募集業務(クラウドファンディングは少額電子募集取扱業務)を行う登録変更をして対応していますが、株式投資型が未だゼロです。

この株式投資型に関して、未だ実績がないことについては、次のような背景等が影響しているものと見られています。
◇証券会社として個人口座を扱う必要がある(ただし、クラウドファンディング=少額電子募集に特化した業者では、株式を預かることは出来ない。)。
◇募集した株式は、未公開株式なので、証券会社としては、自社で株式を保管しない場合、株主名簿管理人などの協力が必要となる。
◇募集に当たっては、契約締結前交付書面を投資家に提供すると、投資家からの同書面の内容を理解した旨の確認書の徴求が必要となること。(※なお、自主規制ルールの改正により、契約締結前交付書面の交付及び確認書徴求は、2016年2月16日よりネットでの対応が可能となりました。)
◇また、募集後、定期的に対象会社の情報を投資家に提供する必要がある。
◇以上を踏まえて、最低限の顧客管理システムが必要と考えられる。
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郵政3社のIPOを機に、公募ファイナンスを考える(2)
郵政3社のIPOでは、出来るだけ多くの個人に株式がいきわたる様な工夫がされたことは前回お伝へしましたが、その他の公募ファイナンスでは公に募集するという名に相応しい現状かというと少し違った現状も示しました。

また引受証券会社は引き受けた公募株式を公平に配分しなければなりませんが、IPOは個人投資家に人気の高いので、新規公開株は個人への配分予定の10%以上を抽選により配分先を決定しなければなりません(配分ルール:日本証券業協会自主ルール)。抽選することで確かに公平性は確保されますが、残りの9割の個人投資家への配分は引受証券会社に任されることになります。
引受リスクを負う証券会社としては、投資ニーズの高いものは自社の営業戦略に沿った得顧客に優先的に配分するのは当然のことですが、配分に際しての公正さは上記に配分ルールに従うことになります。

IPOに比べ、PO(public offering)と呼ばれる上場企業の公募増資は少し様相が違います。IPOでは、個人投資家は新規に上場する企業のビジネスモデルに対して注目することが多いのに対して、上場企業の公募増資は、企業の資金調達の効果を判断するということになります。この場合、証券会社のアナリストが解説することはできないので、個人投資家に対してはリテール部門の営業員が解説することになり、個人への勧誘行為もIPOに比べて積極的に行って投資ニーズを掘り起こします。なお、公募増資も一般的なIPOと同様に引受証券会社数は絞られており、主幹事証券会社が大きな販売シェアを確保していますので、結局個人投資家ニーズを集めることは彼等の対応に頼ることになります。

この様な引受のシステムは、主幹事証券に公募ファイナンスでの投資家配分の権限が集中するので、個人のみならず機関投資家や海外投資家のニーズを取り組んで、効率的に各投資家層の投資ニーズに従って適正に配分していく仕組みとしては機能していくと思われます。しかし、主幹事証券会社に公募増資案件が集中したり、投資ニーズを超えた金額の引受けを行うような場合、既存株主に売却を勧め、増資によって埋めるような仮需要をつくる行為を生む余地が出てきます。このような行為は、直接は不正行為ではありませんが、行き過ぎたり事前の増資情報(インサイダー情報)が漏れると公募増資インサイダー事件の様な不正行為を生むリスクが大きくなります。

公募増資の改善策として、株主に最初に選択権(新株に投資家するかどうか)のあるライツオファリングが有効であることは、海外投資家からも指摘されることなのですが、残念ながら日本においては証券会社(引受機能を持つ証券会社も含めて)での実務対応が定着していません。また、既に実施されたノンコミットコミットメント型では、増資目的が分かりにくかったり、明らかに上場維持(債務超過解消)などに使われたケースもあって、業界内での対応イメージが悪いのも現状です。

しかし、ライツオファリングは既存株主に最も配慮された公募ファイナンス方法であることは否定できませんし、多くの個人投資家もライツを購入することで企業に成長資金を提供する仕組みですので、証券業界として公募ファイナンス方法として定着させる努力が必要なのではないでしょうか。

郵政3社のIPOを機に、公募ファイナンスを考える(1)
 郵政3社が11月4日に上場し、その後の値動きも堅調に推移しています。久々の大型民営化案件のIPO(新規株式公開)とあって、その株式の販売方法についてはいくつかの工夫がされていました。その前提となっていた販売に関する主な目的は次の様なものです。(実際の検討は、財務省や郵政民営化委員会の関連組織)
① 広く国民に販売する。
② その為に、可能な範囲で多くの証券会社等に販売させる。

 上記の①については、今回の郵政3社IPOの目的に東日本大震災の復興財源確保が上げられていますが、その為に高く販売できるなら、個人や機関投資家でも、海外投資家であっても、需要が大きいところに販売するとならなかったのは良かったと思います。民営化が先行していた欧州などでは、国有企業の民営化に際して、先ず国民に分配し、然る後に機関投資家や海外投資家に販売するという考え方が主流になっており、場合によっては国民へ売出す株価と海外投資家へ販売する株価が異なっている場合もあります。さすがに日本の資本市場の仕組みでは、この様なIPO価格が2段階になった方法は使えません。

 その為、②の方法が取られましたが、通常のIPOや公募増資なら引受シンジケート団に参加しないような中堅・地方証券会社で引受ライセンス(資本金5億円以上、引き受ける為の登録申請が必要)があるところを含めて61社も郵政3社の株式を引受け(引受けの定義は、投資家に売れずに残った分は証券会社自らが引受けること)ています。その他、引受責任を負わないで販売のみを行う地方証券会社なども参加しています。また、三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行はグループ内の証券会社より販売株式の割当てを受けて、このIPOの取扱いに証券仲介業者として参加(IPO株式の窓販)しています。これら国内証券会社が取扱う郵政3社の株式は、全体の約88%となっており海外投資家向けには12%弱しか割当てられていません。

 郵政3社は、それぞれの株価ストーリーがあると思いますが、先ず個人投資家が株式の配当利回りや知名度などで投資し、機関投資家などが各社の株価指数への組み入れを見越して買い、海外投資家が事業戦略を評価して更に買い進むというのが理想的なストーリーかも知れません。

 広く国内の個人投資家に販売していくという取組みは、資本市場の拡大の為に必要なことで、今回の販売の在り方は評価されるべきでしょうが、他の公募ファイナンスについてみると様相が違っています。例えば、個人に人気の高いIPOの一般的な引受けシンジケート団は、5社~8社程度のことが多く、主幹事証券が8~9割を販売して、中堅証券や地方証券が参加することは余りありません。なお、今回の郵政3社株式の販売において、野村證券と三菱UFJモルガンスタンレー証券がそれぞれ約25%を占め、中堅・地方証券23社は0.005%で、地方証券などからは個人投資家需要に対応しきれなかった不満があるようです。大証券と中堅・地方証券を比較した場合、営業員の数は大きく違ったとしても、果たして5000倍もの差があるのか。また、今回の取組みでさえ個人投資家の需要を喚起するのに十分な仕組みなのかどうか、まだ改善余地はありそうです。

更に、IPOより個人投資家需要が格段に落ちる公募増資などの在り方について、現状の仕組みの改善余地を次回以降考えてみたいと思います。

新型MSCBについて
 クオール株式会社(東証1部、3034)が、新型のMSCB(行使価格修正条項付新株予約権付社債)を発行することを公表しています。発行額が100億円で、全て野村証券に割り当てる予定です。

 MSCBとは、Moving Strike Convertible Bondの略称ですが、新株予約権の行使価格が下方修正されるのもので、割当てられた証券会社などが株式を借りて市場で株式を売却し、その売却価格より安く修正された新株予約権を行使し借りた株式を返却する仕組みです。簡単に言えば、割当先(証券会社等)の市場での裁定取引(市場で先に売却し、下方に修正された新株予約権を行使して株式を手当て)を前提にした取引ですが、その分割当てられた証券会社は他の投資家や株主に配慮した対応が求められています。

例えば、
◇直前公表価格以下での空売りの禁止(原則)
◇大引け15分前の売付け禁止
◇1日当たり取引量の25%以内の売却
◇発行済株式総数の10%以内の行使前(月間)
といった行為規制が、自主規制(日本証券業協会ルール)で課せられています。

 一般的なMSCBは、行使価格が何処までも下がるわけではなく、一応発行時株価の7~8割を下限としていますが、クオールが今回発行するMSCBは、発行時点の株価を下限行使価格としています。つまり、行使価格に関して言えば、当初の行使価格が下限となり、その後はこの価格からの上方修正のみとなります。従って、記者発表文にも記載されていますが、発行時の株価の110%以上でなければ、行使が起きないことなります。

 また、発行会社は行使できるような株価の状況(発行時の株価の110%以上)の際に、割り当てた野村証券に対して行使する新株予約権数を指定することが出来ます。このことは、発行会社側の選択肢を広げるので、新株予約権の価値を低下させることとなります。

 今回の新しいタイプのMSCB発行に際して、発行会社側は次の点を強調しています。
○株価の上昇に伴って行使価格が上方修正される可能性がありこと。(少なくとも通常のMSCBの様に、行使価格が当初の行使価格から下方修正される可能性はないこと)
○上記の場合、当初予定(発行額100億円)していたより多くの資本調達が可能となること
 ファイナンス・スキームにおけるこの様な工夫は大事な事ではありますが、ただし、当面は潜在株(発行済みの15.51%)として上値を抑える可能が高いこと、また株価が上場した場合でも、今回の新型MSCBを割当てられた野村証券の市場での裁定取引行為が行われることには変わりありません。

 従って、発行会社や証券会社はMSCBの発行及び運用について、既存株主や投資家に十分は配慮した対応が求められてもいます。

最後の大型民営化案件としての日本郵政グループIPO
日本郵政グループ3社(日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険)の東証1部への上場が9月10日に承認されました。政府保有の日本郵政株及び日本郵政が保有するゆうちょ銀行株及びかんぽ生命株が売り出され、最後の大型民営化案件IPOとなります。今後の日程では、10月7日に其々の仮条件が提示され、10月19日に売出し価格が決定し、11月4日に上場される予定です。この売出しは通常のIPOとは大きく異なり、引受免許のある殆どのリテール証券会社(引受団は63社)が参加します。
本稿は、このIPO案件について資本市場の立場から取り上げ、その概要を説明しようとするものです。
従って投資勧誘目的ではないので、IPO参加をご検討の投資家は、其々の目論見書をご確認ください。

☆最後の大型民営化案件としての日本郵政グループIPO
・IPOの目的と概要
・3社の成長戦略について
・IPOストーリーにおける留意点について
・それぞれの期待

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