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2017/08
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ESG投資という投資テーマ
ESG投資が注目されています。

7月3日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG指数の選定を公表しました。GPIFは、環境(E、Environment)・社会(S、Social)・ガバナンス(G、Governance)の要素に配慮した投資は、長期のリターンを改善する効果が期待できるとして、総合型ESG指数のFTSE Blossom Japan Index(組入銘柄数151、6月時点、以下同じ基準) とMSCI ジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数(組入銘柄数251)、社会分野指数のMSCI 日本株女性活躍指数(愛称は WIN)(組入銘柄数212)を選んでおり、これらの指数に基づき、パッシブ運用の枠で約1兆円(国内株投資の3%程度)の運用を開始しました。GPIFのESG指数の選定にあたっては、①ESG評価の高い銘柄を選別する「ポジティブ・スクリーニング」②公開情報をもとに企業のESGを評価し、その評価手法や評価結果も開示③ESG評価会社及び指数会社のガバナンス体制・利益相反管理――の3点を重視しています。

 このGPIFの動きは、2015年9月に国連が支持する責任投資原則(PRI、Principles for Responsible Investment)に署名したことが大きく影響していますが、PRIそのものは2006年に国連が定めたもので、機関投資家に対しESGを投資プロセスに組み入れる6つの原則からなりたっており、「環境上の問題、社会の問題及び企業統治の問題が運用ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼす」としています。リーマン・ショック後に資本市場で短期的な利益追求に対する批判が高まったこともPRIの署名機関増加につながり、2017年4月時点で1700を超える年金基金や運用会社などがPRIに署名しており、その運用資産残高は17兆ドル(約1800兆円)近くに達しています。

 ESG投資が拡大している背景として、運用会社などは次の様な要因があると見ています。

・企業と取り巻く外部環境の変化=気候変動リスクの認識が一般化しており、変動を抑制する方法として、パリ協定や、持続可能な投資ポートフォリオの構築のような民間主導の取り組み、気候関連の金融リスクの一層の開示などが求められている。また気候変動以外でも、エネルギー市場においては、需給要因が原油価格の変動に対して、石炭よりも安価な天然ガス、再生可能エネルギーの発電量拡大と価格低下など資源間の価格差などが大きく変動している。また、水資源や、生物多様化などの環境問題に関する意識も高まっている。

・社会自体の変化=先進国において平均寿命が伸びるなかで、所得格差、ヘルスケア、脆弱なガバナンスなどの問題は、退職後の資金状況に直接影響するため、サステナビリティ(持続可能な社会)の問題としての認識が世界的に高まっている。 その中で、女性の活躍や従業員の健康への配慮を企業に求める動きも強まっている。

・コーポレートカバナンス重要性増加とグルーバル化の進展=コーポレートガバナンスの改善は、規制当局のみならず債券投資家、株式投資家にとっても一段と重要な目標になっている。また、大企業のバリューチェーンのグローバル化は一段と進んでおり、児童労働問題や人権問題などにも配慮することが企業側にも求められている。

・政策や規制等によるESG投資推進=5月に日本版スチワードシップ・コード(改定版)において機関投資家が投資先企業の状況を把握する内容としてESGに関する文言が追加された。先行して2010年に英国でスチワードシップ・コートが制定されているが、この影響もあってヨーロッパにおける全運用資産に占めるESG投資の割合が5割を超えていると言われ、日本は3%程度に留まっているが、今後のESG投資拡大が期待されている。

 なお、GPIFはESG投資の拡大で、次の様な効果を期待しています。

・ESG投資の運用資金の拡大は、企業のESG評価向上のインセンティブになり、ESG対応が強化されれば、長期的な企業価値向上につながる。

・日本企業のESG評価向上がESG評価を重視する海外資金の流入につながれば、日本株のパフォーマンス向上が期待される。

結果として、ESG投資を行うGPIF(年金受給者)が投資最適化の恩恵を最大限享受できるとしています。

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投資に関するブロックチェーン動向について
ブロックチェーン(分散型台帳技術=Distributed Ledger Technology:以下、DLT)に関する動きが拡がっています。金融・投資分野においても大手金融機関のみならず、最近は地域金融機関における取組みも始まっています。
DLTの利用は、ビットコインなどの仮想通貨においては新たな決済手段としての利用も進んでおり、地方公共団体が発行する地域通貨や企業が発行するポイントの流通などの実証実験を、地域金融機関が地元フィンテックベンチャー企業と取り組む動きも目立っています。また、金融商品取引においては、取引の迅速化を図る為に取引者間の決済通貨として利用することも考えられています。

 一方、海外市場におけるDLTの利用に関しては、米ナスダックとシティグループの提携が5月に公表されていますが、これはナスダックが持つ未公開企業の株式売買などに使われてきたブロックチェーンのネットワークと、シティの法人決済システムの「シティコネクト」を連携させることを試みるもので、関係者によるとその目的についてはブロックチェーン技術と金融システムの効果的な統合は業務の透明化と簡易化を実現できるとしています。

 経済産業省(商務情報政策局)の「ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査」(平成28年4月)によると、DLTは仮想通貨であるビットコインを実現させる為に生まれた技術で、いくつかの暗号技術がベースとなっており、 P2Pネットワークを利⽤してブロックチェーンデータを共有し、中央管理者を必要と せずにシステムを維持することを実現しているとしています。
このDLTの特徴は以下の様に纏められています。
・スクリプト(機械語への変換作業を. 省略して簡単に実行できるようにした簡易プログラム)によりアプリケーションを実⾏可能
・真正性の保証された取引が可能 (⼆重⽀払の防⽌)
・データのトレーサビリティが可能で、 透明性の⾼い取引が可能(改ざんが困難)
・サーバコスト(構築/運⽤)の低廉化
・安定したシステムの構築・運⽤が可能 (ゼロ・ダウンシステム)
・中央管理者が不在でも、悪意を持つユーザが いてもエコシステムが安定維持される

一方、課題としては以下の事項が指摘されています。
・データ処理の確定に数秒〜10分程度かかるので、即時性が必要なアプリケーションには不向き
・規定されているブロックに格納できるデータ量の上限と、1秒間に処理できる トランザクション件数が既存決済システムと⽐べて劣っている
・実ビジネスでの運⽤⼿法等が確⽴されていない

 上記を簡単に纏めますと、システム負担やコストが低く抑えながら取引することが出来るが、現時点でのプロックにいれることが出来る情報量が限られていることと、情報処理スピードが遅いということ、実際の市場取引に利用した場合のルールが定まっていないということです。
現時点において投資分野での利用が想定されるのは、米ナスダックの様な未公開株取引や社債取引などで利用される可能性があります。

 日本取引所グループにおいても証券取引を想定した実証実験が昨年から始まっていますが、実際の証券取引を行った場合の課題として、仮想通貨として単純な商品性のビットコインとは異なり、配当や増資などコーポレートアクションがあること、取引するものが限らていること、取引内容は非公開を前提とする為に中立的な第三者による証明が必要なこと、などが上げられています。
今後、日本での未公開株取引での利用を考えるのであれば、証券会社による株主コミュニティ制度での利用検討が業界内にあっても良いように思われます。


個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
個人投資家にとって元本が発行者によって保証されていて、定額の利金が支払われる債券は比較的安全性の高い投資商品として見做されています。
しかし、2016年末の個人金融資産1,800兆円のうち債券投資(日銀資金循環統計では債務投資)は僅か25兆円(1.4%)に過ぎません。更に社債(事業債)の残高は、6.9兆円に留まります。
今後、NISAや個人型DCの拡大によって、個人投資家の裾野が広がる中、投資商品としての期待される社債ではありますが、一方マイナス金利や国の財政政策による国債発行減少の影響も大きいと見られます。

☆個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
・個人の債券投資について
・最近の個人向け社債の動向について
・個人投資家にとっての私募社債
・安全性、投資収益、プラスαそれぞれの投資ニーズに応える為に

証券会社の情報開示について
証券会社の情報開示が強化されます。
これは、金商法第46条の4で定められる“業務及び財産の状況に関する説明資料”を日本証券業協会若しくは自社のWeb上で公開することを義務付けるもので、業界の自主規制ルールとして6月1日から施行が予定され、2018年3月期決算の説明資料から公表が適用されます。

 この規則改正の目的は、証券会社等の業務及び財産の状況の透明性を高め、顧客の投資判断の一助とするとされていますが、昨年後半に協会において検討された“私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ”において、金融庁の意向(ワーキングスタート時の、金融庁監督局証券課長の発言)を受け私募債事故の再発防止策の一環として、顧客が証券会社の財務状況等を容易に確認できるようにするために取り組む施策として実施されます。
但し、この説明資料(所謂、証券会社のディスクロジャー誌)は、金商法上では“全ての営業所若しくは事務所に備え置いて公衆の縦覧に供し、又はインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない”とされていたものです。また、同ワーキングの中で取り上げられたことに関して、協会は以下の様に整理しています。
=証券会社の財務状況によって、弁済を受けられる可能性に差が生じ得るからであり、今般の私募債関連事案においても、顧客間で弁済を受けられるか否かに差が生じていることは事実である。投資家より寄せられた苦情の中には、証券会社の財務状況や株主構成を、ディスクロージャー誌等を通じて知ることができていたらもっと注意することができた、という顧客側の意見があったと伺っている。そのため、ディスクロージャー誌を自社ウェブサイトに掲載することが再発防止策の1つとして考えられるのではないか。( 私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ(第4回) 議事概要より)

 上記の説明資料における記載内容に関しては、金融商品取引業等に関する内閣府令第174条に定める事項が求められていますが、証券会社の概況及び組織に関するものでは上位10名までの株主に関する情報など、業務の状況に関するものでは有価証券の募集・売買等や自己資本規制比率・従業員の状況に加え、B/SやP/L・借入金の内容などの財産の状況に関するもの、内部管理や分別管理などの状況、企業グループの内容なども示す必要があります。 
今回の自主規制ルールにおいては、これを原則自社若しくは協会のホームページに掲載することとなりますが、地方の小規模証券会社で縁故者等で実質的に経営に関与していない上位10名までの個人株主に関しては、氏名ではなく個人とだけの記載内容を変更する配慮がなされています。

 一方、上場している証券会社の情報開示は株主や投資家を意識したものですが、適時開示(取引所規則)としての決算短信では、財務諸表とともに経営成績・財政状態に関する分析・事業のリスク・詳細な経営方針の具体的記載などが加わっています。この公表項目は、他の上場企業と同じですが、業績予想に関しては証券会社の事業内容が経済情勢や市場環境の影響を大きく受けることを理由として公表されていません。但し、同じく市場環境の影響が大きい日本取引所グループにおいては、業績予想は決算短信上で開示されています。

 また、有価証券報告書における記載内容は企業内容等の開示の関する内閣府令の第三号様式に定められたものですが、決算短信などに比べてより詳細な情報開示が求められています。例えば、役員に関する情報では略歴まで必要ですし、コーポレートガバナンスに関する記載では内部統制システムの整備状況、社外監査役や社外取締役との関係に関する記述も求められています。

 いずれにしても証券会社が顧客から信頼される為には、財務基盤のみならず、それを支える事業基盤(大株主や金融機関との関係、同業他社との関係、金融商品仕入先との関係)などに関する情報も重要になってきますが、情報開示強化を機に地方証券会社主体に金融機関や同業との提携が進む可能性もあり、今後その動向が注目されます。

金融商品仲介業に係る動向について
金融商品仲介業は、投資家の市場アクセスの充実を図る為の証券仲介業制度として2004年4月にスタートしました。これは「証券市場の改革促進プログラム」の一環として、誰もが投資しやすい市場の整備を目的に、ファイナンシャル・プランナーなどの活用を想定した制度でしたが、2007年9月の金商法施行から現在の名称となっています。
本年1月末の金融商品仲介業者の状況は、855業者が金融庁に登録されていますが、最近は年100社程度が新たに登録している一方、70~80業者が登録取消しを行っています。
 金融商品仲介業務の展開については、主に以下3つのパターンがあります。

① 金融機関の金融商品仲介業務
金融機関は、金商法上では登録金融機関として債券や投信の販売を取り扱うことが出来ますが、顧客向けの商品部門を持たないので外国債券や比較的リスクの高い投信を個人に販売する場合、大手証券会社や外国証券会社の仲介業として、個人へ金融商品を提供する形態が定着してきました。

② 証券会社の販売網として
これは、中堅証券会社や対面の販売網を持たない大手ネット証券会社等が、ファイナンシャル・プランナーや税理士・保険代理店、個人などを仲介業者として自社の販売網に取り込もうとするものですが、実際に販売力のある仲介業者は独立性が強く、複数の証券会社の仲介業者のなるケースが目立っています。仲介業者からみた証券会社選択のポイントは、商品・サービスの品揃え、専用システム提供コストと手数料分配率、営業支援などですが、当初この戦略を推進していた大手証券会社は、全社的営業推進の難しさから販売網整備としての仲介業戦略から撤退しています。
また。大手ネット証券会社の仲介業戦略も最近分かれてきており、SBI証券は今までのIFA(独立系金融アドバイザー)のネットワーク化から、傘下の仲介業SBIマネープラザで大規模(3000人程度)に金融アドバイザーを増やしていく計画に切り替えたようです。一方、楽天証券はIFAの自社ネットワーク強化の為、仲介業者に対する支援を強化しています。

③ 証券会社営業拠店の業態転換として
中堅証券会社にとっての仲介業戦略は上記の販売網構築目的がある一方、自らの仲介業への業態転換や営業拠店の再編策として利用しています。これは、証券会社としての自己資本規制から解放されるとともに、他社システムや販売インフラを利用することが出来るメリットがある一方、営業員の帰属性や営業推進が低下する可能性があります。なお、FPL証券の様に販売力のある仲介業者の中から証券会社を目指す動きも出始めています。

 金融商品仲介業者の外務員数については、2016年12月末時点で、法人が3,104名、個人が327名で合計3,431名ですが、これは証券会社の外務員数89,942名の3.8%にしか過ぎません。また、ファイナンシャル・プランナーの有資格者数19.4万人の1.7%です。NISAやiDecoなどによる今後の個人投資家の拡大を考えた時、個人に対する投資アドバイスのチャネル拡大として仲介業者の増加が望ましいのです
が、証券会社・金融機関などのアドバイザーやファイナンシャル・プランナー資格者などからの参入の可能性があります。
 その為には、仲介業者の成功神話と独立支援・持続的なサポートが必要ですが、これらを全て仲介元に頼るようですと、結局仲介元証券会社などのコストが増加し、大手証券の戦略の様に自社内の営業網整備として社内に組み込まれていくこととなります。当初の政策期待の様に、独立性の高い仲介業者を育成するためには、金融商品仲介業務への参入バーを低くしたり、業界団体による独立支援を行うような動きがあっても良いように思われます。
 また、仲介業者が顧客のニーズに応え易くなるためには、債券や海外投資の代替手段としてETFの多様化なども役立つ可能性がありますが、その為には一層ETF取引への仲介業者のアクセスを容易にする体制やシステムが提供されれば、個人投資家に提供される投資アドバイスの幅も拡大し、仲介業務の質の向上に繋がっていくと考えます。

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