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2017/05
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個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
個人投資家にとって元本が発行者によって保証されていて、定額の利金が支払われる債券は比較的安全性の高い投資商品として見做されています。
しかし、2016年末の個人金融資産1,800兆円のうち債券投資(日銀資金循環統計では債務投資)は僅か25兆円(1.4%)に過ぎません。更に社債(事業債)の残高は、6.9兆円に留まります。
今後、NISAや個人型DCの拡大によって、個人投資家の裾野が広がる中、投資商品としての期待される社債ではありますが、一方マイナス金利や国の財政政策による国債発行減少の影響も大きいと見られます。

☆個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
・個人の債券投資について
・最近の個人向け社債の動向について
・個人投資家にとっての私募社債
・安全性、投資収益、プラスαそれぞれの投資ニーズに応える為に

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証券会社の情報開示について
証券会社の情報開示が強化されます。
これは、金商法第46条の4で定められる“業務及び財産の状況に関する説明資料”を日本証券業協会若しくは自社のWeb上で公開することを義務付けるもので、業界の自主規制ルールとして6月1日から施行が予定され、2018年3月期決算の説明資料から公表が適用されます。

 この規則改正の目的は、証券会社等の業務及び財産の状況の透明性を高め、顧客の投資判断の一助とするとされていますが、昨年後半に協会において検討された“私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ”において、金融庁の意向(ワーキングスタート時の、金融庁監督局証券課長の発言)を受け私募債事故の再発防止策の一環として、顧客が証券会社の財務状況等を容易に確認できるようにするために取り組む施策として実施されます。
但し、この説明資料(所謂、証券会社のディスクロジャー誌)は、金商法上では“全ての営業所若しくは事務所に備え置いて公衆の縦覧に供し、又はインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない”とされていたものです。また、同ワーキングの中で取り上げられたことに関して、協会は以下の様に整理しています。
=証券会社の財務状況によって、弁済を受けられる可能性に差が生じ得るからであり、今般の私募債関連事案においても、顧客間で弁済を受けられるか否かに差が生じていることは事実である。投資家より寄せられた苦情の中には、証券会社の財務状況や株主構成を、ディスクロージャー誌等を通じて知ることができていたらもっと注意することができた、という顧客側の意見があったと伺っている。そのため、ディスクロージャー誌を自社ウェブサイトに掲載することが再発防止策の1つとして考えられるのではないか。( 私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ(第4回) 議事概要より)

 上記の説明資料における記載内容に関しては、金融商品取引業等に関する内閣府令第174条に定める事項が求められていますが、証券会社の概況及び組織に関するものでは上位10名までの株主に関する情報など、業務の状況に関するものでは有価証券の募集・売買等や自己資本規制比率・従業員の状況に加え、B/SやP/L・借入金の内容などの財産の状況に関するもの、内部管理や分別管理などの状況、企業グループの内容なども示す必要があります。 
今回の自主規制ルールにおいては、これを原則自社若しくは協会のホームページに掲載することとなりますが、地方の小規模証券会社で縁故者等で実質的に経営に関与していない上位10名までの個人株主に関しては、氏名ではなく個人とだけの記載内容を変更する配慮がなされています。

 一方、上場している証券会社の情報開示は株主や投資家を意識したものですが、適時開示(取引所規則)としての決算短信では、財務諸表とともに経営成績・財政状態に関する分析・事業のリスク・詳細な経営方針の具体的記載などが加わっています。この公表項目は、他の上場企業と同じですが、業績予想に関しては証券会社の事業内容が経済情勢や市場環境の影響を大きく受けることを理由として公表されていません。但し、同じく市場環境の影響が大きい日本取引所グループにおいては、業績予想は決算短信上で開示されています。

 また、有価証券報告書における記載内容は企業内容等の開示の関する内閣府令の第三号様式に定められたものですが、決算短信などに比べてより詳細な情報開示が求められています。例えば、役員に関する情報では略歴まで必要ですし、コーポレートガバナンスに関する記載では内部統制システムの整備状況、社外監査役や社外取締役との関係に関する記述も求められています。

 いずれにしても証券会社が顧客から信頼される為には、財務基盤のみならず、それを支える事業基盤(大株主や金融機関との関係、同業他社との関係、金融商品仕入先との関係)などに関する情報も重要になってきますが、情報開示強化を機に地方証券会社主体に金融機関や同業との提携が進む可能性もあり、今後その動向が注目されます。

金融商品仲介業に係る動向について
金融商品仲介業は、投資家の市場アクセスの充実を図る為の証券仲介業制度として2004年4月にスタートしました。これは「証券市場の改革促進プログラム」の一環として、誰もが投資しやすい市場の整備を目的に、ファイナンシャル・プランナーなどの活用を想定した制度でしたが、2007年9月の金商法施行から現在の名称となっています。
本年1月末の金融商品仲介業者の状況は、855業者が金融庁に登録されていますが、最近は年100社程度が新たに登録している一方、70~80業者が登録取消しを行っています。
 金融商品仲介業務の展開については、主に以下3つのパターンがあります。

① 金融機関の金融商品仲介業務
金融機関は、金商法上では登録金融機関として債券や投信の販売を取り扱うことが出来ますが、顧客向けの商品部門を持たないので外国債券や比較的リスクの高い投信を個人に販売する場合、大手証券会社や外国証券会社の仲介業として、個人へ金融商品を提供する形態が定着してきました。

② 証券会社の販売網として
これは、中堅証券会社や対面の販売網を持たない大手ネット証券会社等が、ファイナンシャル・プランナーや税理士・保険代理店、個人などを仲介業者として自社の販売網に取り込もうとするものですが、実際に販売力のある仲介業者は独立性が強く、複数の証券会社の仲介業者のなるケースが目立っています。仲介業者からみた証券会社選択のポイントは、商品・サービスの品揃え、専用システム提供コストと手数料分配率、営業支援などですが、当初この戦略を推進していた大手証券会社は、全社的営業推進の難しさから販売網整備としての仲介業戦略から撤退しています。
また。大手ネット証券会社の仲介業戦略も最近分かれてきており、SBI証券は今までのIFA(独立系金融アドバイザー)のネットワーク化から、傘下の仲介業SBIマネープラザで大規模(3000人程度)に金融アドバイザーを増やしていく計画に切り替えたようです。一方、楽天証券はIFAの自社ネットワーク強化の為、仲介業者に対する支援を強化しています。

③ 証券会社営業拠店の業態転換として
中堅証券会社にとっての仲介業戦略は上記の販売網構築目的がある一方、自らの仲介業への業態転換や営業拠店の再編策として利用しています。これは、証券会社としての自己資本規制から解放されるとともに、他社システムや販売インフラを利用することが出来るメリットがある一方、営業員の帰属性や営業推進が低下する可能性があります。なお、FPL証券の様に販売力のある仲介業者の中から証券会社を目指す動きも出始めています。

 金融商品仲介業者の外務員数については、2016年12月末時点で、法人が3,104名、個人が327名で合計3,431名ですが、これは証券会社の外務員数89,942名の3.8%にしか過ぎません。また、ファイナンシャル・プランナーの有資格者数19.4万人の1.7%です。NISAやiDecoなどによる今後の個人投資家の拡大を考えた時、個人に対する投資アドバイスのチャネル拡大として仲介業者の増加が望ましいのです
が、証券会社・金融機関などのアドバイザーやファイナンシャル・プランナー資格者などからの参入の可能性があります。
 その為には、仲介業者の成功神話と独立支援・持続的なサポートが必要ですが、これらを全て仲介元に頼るようですと、結局仲介元証券会社などのコストが増加し、大手証券の戦略の様に自社内の営業網整備として社内に組み込まれていくこととなります。当初の政策期待の様に、独立性の高い仲介業者を育成するためには、金融商品仲介業務への参入バーを低くしたり、業界団体による独立支援を行うような動きがあっても良いように思われます。
 また、仲介業者が顧客のニーズに応え易くなるためには、債券や海外投資の代替手段としてETFの多様化なども役立つ可能性がありますが、その為には一層ETF取引への仲介業者のアクセスを容易にする体制やシステムが提供されれば、個人投資家に提供される投資アドバイスの幅も拡大し、仲介業務の質の向上に繋がっていくと考えます。

証券アナリストとは何か~規制強化の背景と役割について
証券アナリストとは専門的な知識をもち上場企業などの分析を行う職業を指しますが、今、再びこの証券アナリストの役割について市場関係者の注目が集まっています。
嘗てはエンロン・ワールドコム事件の時、格付機関や証券会社などで実質的な市場のゲートキーパーとしての役割を問われた時もありましたが、最近ではコンプライアンスや市場倫理に反するような事案も起きています。

この証券アナリストについて、次の様になっています。
☆証券アナリストとは何か~規制強化の背景と役割について
   ・証券アナリストを取り巻く環境
   ・アナリスト規制について
   ・証券アナリストの在り方について
   ・資本市場の中における課題と役割について

資本市場からみた商品市場
 本年7月25日より東京商品取引所(以下、東商取)において金現物取引が始まっています。英国のEU離脱問題や中国経済の先行きなどへの不安から、今後金に対する個人の需要が高まることを期待して、商品先物取引が中心の東商取が100グラムと1キロの2種の金現物を取り扱うものです。個人が金現物を持ち込んで売ることは出来ませんが、同取引所が指定した倉庫で金現物を受け取ることも出来ます。

 一方、金先物価格に連動するETN・ETFは、現在東証に5銘柄上場(内、海外ETF1銘柄)されていて、2銘柄はロンドンの価格、残り2銘柄が国内での東商取の価格に連動しており、そのうち1銘柄は個人でも1キロ~5キロまで(現在)は金現物に転換することが出来ます(※金ETFの現物への転換は、現在消費税や改鋳費用などが掛かり、取り扱える証券会社が限定されています。)。商品関係のETFは、2009年~2010年にかけて、東証に数多く上場されており、その数は国内ETF11銘柄、海外ETF19銘柄に達していますが、その内、東商取の商品先物指数に連動するものは6銘柄に限られています。ETFは指数連動商品で商品市場の代替機能を果たしており、ETFの取引が増えれば裁定取引などで原市場の取引が増加しますが、現状では国内の商品取引市場に影響を与えるものは限られています。

 国家戦略として日本市場をアジアのコアマーケットにしようとする戦略は、アベノミクスでも表明されていますが、これは前民主党政権時から議論されていた総合取引所構想がベースになっています。その構想については、日本の経済力や金融・資本市場の大きさに比べ、商品市場やデリバティブ市場が小さかったことや、世界の取引所グループが総合取引所化を進めていたことがありました。当時の成長戦略の一環として、金融庁・農林水産省・経済産業省が中心となって2010年10月から総合取引所構想が検討され、2012年2月にその検討結果が取りまとめられており、その関係法令(金商法関連)は2014年3月に施行されています。その骨子は次の様なものです

・金融商品取引所での「金融商品」定義に、コメ等以外の商品先物取引法上の商品を加える。
・総合取引所については金融庁が一元的な監督を行う。
・総合取引所は、商品デリバティブ取引に関して金融商品取引業以外の者に取引参加資格を与えることが出来る。
・清算機関については、最低資本金に係る免許要件を設定。
・第一種金融商品取引業者の業務に、取引所における商品デリバティブ取引に係る業務を追加し、商品先物取引法における行為規制等に関しては、金融商品取引法の規制を原則として適用した。但し、商品デリバティブ取引のみを行う業者の財務基準は、商品先物取引法に基づく規制と同様とした。
・取引所における商品デリバティブ取引も、金融商品取引法上の不公正取引に関する規制を適用する。  等

 現在、総合取引所の実現に向けた検討は新たな進展はありませんし、今年6月に公表された日本再興戦略2016においても特別な目標設定はされていません。総合取引所の為の関係法令はある程度整備したので、投資家や市場関係者などの取組みを待つということなのでしょうが、日本取引所グループが3月に公表した新中期経営計画(2016~2018)では、“投資者の多様な投資ニーズを充たすとともに、 中長期的な資産形成を活性化する ”重点項目の一つとして、デリバティブ商品の多様化の中で、コモディティ分野への進出など総合取引所化の可能性の継続検討を行うことが示されています。但し、取引所としてはデリバティブ取引の代替機能を持つETFの多様化の中で実質的に同様の効果を上げることも出来ます。
日本取引所グループが、敢えて総合取引所化を目指すのであれば、市場全体の効率化とは別にシステム・清算機関・取引参加者への対応など新たなコストが想定されます。それを踏まえて総合取引所化を推進するのであれば、商品取引所機能を強化するという国策と、それに賛同して取引を行う主要な投資家が必要なのではないでしょうか。

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