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2017/05
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個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その2
前回は、フィデューシャリー・デューティーに関する現在の金融行政の考え方を示しましたが、投信など金融商品の販売者にも、この義務が及ぶというのが国際的な潮流となっているようです。
 投信の販売に関しては、ここ数年の改革で投資家のニーズや資産状況に一層応じた対応(所謂、適合性原則の遵守)が求められ、高齢者への販売も、より配慮を要するようになっています。また、販売時や運用後の情報提供(投信の目論見書、運用報告書)も平易化・簡略化され、個々の購入者の利益を分かり易く説明するトータル・リターン通知制度も2014年12月から導入されています。

 このフィデューシャリー・デューティーが投信の販売者に及ぶのは、個人投資家にとっても良いことに違いありませんが、金融審議会での議論が個人の資産形成という目的を意識するあまり、より分かり易く・比較し易い目論見書等の記載や安い投資家のコストといったことに議論が集中しがちなように思われます。

 一般の個人にはなかなか分かりにくい投信の情報について、法律上投資家に渡す必要がある目論見書・運用報告書において、商品内容・投資リスク・負担するコスト等に関し、個人に適切に説明する為には必要な情報があります。また、その情報の伝え方としてネット上で投資家自ら読むことが前提な場合、販売者の営業員が説明する場合、それぞれ個人の理解や受け取り方が違ってくるのではとも考えます。 
 つまり、ネット上で提供する場合と販売業者が口頭で投資家に説明する場合では、フィデューシャリー・デューティーは同じであっても説明プロセスが違うのですから、当然投資家が負担するコストも異なっています。
問題は、販売業者の説明内容が有効であるとそれぞれの投資家が感じることが出来ればフィデューシャリー・デューティーの考え方に沿っているので、投信の販売者というより、投信購入のための投資助言に近いものが求められている場合もあるかも知れません。

 金融行政上は、投信販売は第1種金融商品取引業者、個人で助言をするは投資助言業と別れますが、ラップ口座の様に運用残高に応じて投資一任契約を取り次ぐのではなくても、一般の投信販売において販売業者の営業員による投資助言的行為は、個人の投資家にとって大切だと考えます。

 一方、これから新たに投資を始めて、資産を形成しようとする若年層を想定しますと、一般的には少額継続投資と投資教育がセットになったサービスが必要ではないかと思います。これは、先ず個々の理解に合わせて投資に関する情報を段階的に提供し、実際の投資を始めてこれを継続させることですが、ネットを利用して情報提供を段階的に行う為に、この様な投資の為の新しい目論見書の考え方があっても良いのでないかと考えます。また、これらの投資教育にAIを利用して、低コストでかつ広範囲にサービスを提供する新たなフンテックが生まれるかも知れません。

 勿論、投信販売業者の営業員であってもネット証券業であっても、それぞれのフィデューシャリー・デューティーが必要ですが、投資家の投資目的やアドバイスニーズ・ネット社会の進化などを考慮した議論が進んでも良いのではないかと考えます。


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個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その1
 現在、金融審議会では“国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティー”が議論されていますが、このフィデューシャリー・デューティーとは、“本来資産運用の担い手が投資家に対する受託者として真に投資家の利益の最大化を目指した運用を行う責務”を意味しています。

 しかし、近年は運用者のみならず金融商品の販売者や投資助言を行うものにも及ぶと考えられるようになって来ており、OECD「金融消費者保護に関するハイレベル原則」(2011年10月) 及び同原則の適用に関する報告書(2013年9月)では、金融サービス提供者(市場において金融商品・サービスを提供する全ての者)は、以下の原則に従うべきとされています。(金融審議会事務局資料より抜粋)

◇顧客の公平・公正な取扱い=全ての金融消費者は、金融サービス提供者との関係の全ての段階において、公平、誠実、公正に取り扱われるべき
◇情報開示、透明性=顧客に対して、基本的な利益、リスク及び商品の条件に関する重要な情報を提供し、金融商品を販売する委任代理人に関する利益相反についての情報も提供すべき。またアドバイスの提供は、できる限り客観的であるべき。
◇金融サービス提供者及び委任代理人の責任ある業務活動=顧客のベスト・インタレストを図らねばならず、金融消費者保護を維持する責務を負うべき。金融サービス提供者及び委任代理人の従業者の給与体系は、責任ある業務活動、顧客の公正な取扱い及び利益相反の回避を促進するように設計されるべき。当該給与体系は、利益相反の可能性が管理又は回避できない場合等の適切な場合には、顧客に対して開示されるべき
◆上記の原則は、銀行取引、信用取引、投資、証券、保険及び年金を含む全ての金融サービス部門に及ぶ

 この拡大されたフィデューシャリー・デューティーをもとに、投資による個人の資産形成を進めるという目的で議論が進められています。

 投資による資産形成を今後個人が進めるものとして、制度整備や機能強化されているNISAや個人型確定拠出年金制度が挙げられますが、新たにこれらの制度を利用する個人の投資手法としては少額・継続投資が中心となると見られ、金融商品としては投資信託が中心になると予想されています。その為、金融審議会では現在、以下の点で議論されています。
〇過去実施してきた投信の目論見書や運用報告書などの個人への情報提供改革の現状と効果がどうなっているか
〇個人にとって本当に大切で重要なことの情報提供が分かり易く行われているか
〇投信などの販売業者は、適合性の原則に則った顧客本位の業務運営体制を確立しているか(真に顧客ファーストを目指すものになっているか)


ETFへの期待
 ETF(Exchange Traded Fund)は取引所に上場された投資信託(信託受益権証券)若しくは海外ファンドで、特定の市場指数に連動するように設計されています。日本では、1995年5月に日経300株価指数連動型ETFが初めて上場され、現在は東京証券取引所に204銘柄(内、47銘柄が外国ETF)が取扱われています。
 このETFに対して、現在金融審議会(金融庁:市場ワーキンググループ)において“ETFの商品設計、販売チャネル、流動性供給などについて、多様な投資家が参加する厚みの ある市場の形成に向けて、どのような取組みが求められるか”ということが検討されています。
 つまり、簡単に言えば日本の資本市場の中で、ETFをどう上手く使って行くべきかだが、現状は以下の様な関係者の期待と課題認識があると思われます。

【行政としての期待と課題認識】
○インデックス運用(指数に連動することを目的にした運用手法)の増加に伴いETFへの投資は増えることが予想されるが、個々の株価形成にどの様な影響を与えるのか。
○ETFは少額からの投資が可能で、また売買や保有コストも安いので、個人が長期・分散・継続投資を行うのに向いているが、現状は個人に良く利用あれているとは言い難い。以下面で検討が必要か。
・更に売買単位を引き下げることや、継続投資の為には売買手数料負担を軽減させることが可能か
・流動性が乏しい銘柄が存在しているが解消策は
・ETFは証券会社などで個人に余り薦められておらず、また個人の認知度も低いので、銀行においても取扱いを進めるか、何らかのラベリングで分かり易さを向上させるか
・国際分散投資やスマートベータ型ETFの拡充で多様化を図るべきか
○市場での急激な相場変動とETFの取引(主にHFT)の関連性を指摘する向きもあるが、相場変動を増幅すると指摘されている一部ETFに関してのどう考えるか
○レバレッジ型やインバーズ型ETFが高齢者などに販売されている事例があるが、個人へのETFの説明や適合性の原則対応はどうか

【東京証券取引所の課題認識と対応策(検討)】
○品揃えの強化についてか、以下の様な商品の拡充が望ましい
・海外債券(為替ヘッジ付き)、新興国株式は複数国を対象とした商品
・国内株式は高配当や低分散といったスマートベータ型
○日常のETF取引が一部の銘柄に集中しており、流動性がない銘柄も多い。その対策として以下を検討中
  ◇マーケットメイク制度の導入
  ◇設定・交換の円滑化=市場取引の決済日数を短縮化したり、機関投資家の現物株バスケットとのネッティングへの対応など
○個人投資家への認知度を上げる取組みを検討

確かに、証券会社においてETFを取り扱うインセンティブが少ないのは現実だと思われますが、最近ではロボアドバイザーによるETFを利用した個人向けラップ口座サービスが提供されています。また、拡大するNISAや個人型DC(確定拠出年金制度)での継続投資ではETF利用の有効性が期待されています。
 銀行の窓口でETFを取扱うより、ここは証券会社として個人へETF投資サービスの提供にいま一つ工夫が必要なのではないでしょうか。


プロ向けファンドについて
 所謂プロ向けファンド(適格機関投資家特例業務による少人数私募のファンド組成)は、不動産ファンドやベンチャーファンドに利用されていて、既に運用残高が8.6兆円もあり平成26年度には1.1兆円募集されています。
 この利用が増えていたのは、一般的なファンド組成が第二種金融商品取引業や投資運用業として行政への登録申請が必要なのに対して、適格機関投資家(プロ)が参加すれば少人数(49名以下)の一般投資家もファンド投資に参加でき、この業を行うには届出だけで済む為でした。
 一般の投資家からすれば、プロが参加するのである程度安心できるといった基本的な構図でしたが、このプロ向けファンドのごく一部において詐欺的行為に利用されたり、プロであるはずの適格機関投資家の投資実態が極端に小さかったり若しくは無かったりと問題点が指摘されるようになりました。
 この対策として、昨年の金融商品取引法改正で一般の個人が参加できないようにしたり、適格機関投資家の投資実態を明らかにしていくような規制が導入されようとしましたが、ベンチャーキャピタル関係者の一部から規制に反対するような要望が上がり、ベンチャーファンドに限り個人の参加要件を緩和する再改正が行われています。
 この概要については以下の通りです。

☆プロ向けファンドについて
ヘルスケアリートについて
ヘルスケアリートへの期待が高まっています。政府の日本再興戦略-改定2015(平成27年6月30日)においても“ヘルスケアリートについて、関係省庁・業界団体等が連携し、ヘルスケア事業者向けの説明会を実施するなど、ヘルスケアリートの更なる普及・啓発に向けた取組を加速する“として、工程表にも今年度以降の取組み強化が挙げられています。その様に注目度の高いヘルスケアリートを以下に取り上げてみました。

☆ヘルスケアリートについて
 ・ヘルスケアリートへの期待
 ・リートとの相違点と投資のポイント
 ・病院リートについて
 ・ヘルスケアリート推進で何が変わるのか

ヘルスケアリートは、一般のリートとことなり実際にヘルスケア事業を行うオペレーターの存在が大きく、また仕組みそのものを、ヘルスケア施設を利用する高齢者や病院利用者に理解していただく必要があります。一方、事業者(オペレーター)にとっては少ない資本で事業を拡大したり系列化していくことも可能となります。つまり、社会的期待のつよい事業を効果的に進めていく可能性が大きな仕組みでもあります。


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