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2017/05
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アコーディア・ゴルフの資本政策について~斬新な経営革新か、究極の買収防衛策か
ちょうどアベノミクス相場が始まる直前の一昨年11月に、PGMホールディング(2466)による50%以上もプレミアムを付けた買付価格のアコーディア・ゴルフ(2131)株式に対するTOBが発表されました。アコーディア側は反対意向を表明し、途中で株式会社レノ(投資会社)などが大量(共同保有者を含む)にアコーディア株式を買い付けたことで、それぞれの動向が注目されていましたが、結果はPGM側が最低目標にしていた発行済み株式総数の20%に達しなかった為(17%)、このTOBは不成立となりました。
 アコーディア側が、連結配当性向を90%とすることを表明し、株主還元策を強めましたが、同時にホワイトナイトと見られた株式会社レノなどの出口戦略も関係者などの関心を集めました。

 そのアコーディアが、主要な資産であるゴルフ場を三分の二以上切り離す思い切った資本政策を3月28日に公表しています。勿論、上場企業の内容が大きく変わる為、株主総会での特別決議による承認を前提にしています。
その内容は、以下の3つに分かれます。
A) 主要資産を切り離し、事業ファンド化して、シンガポール市場に上場して、資金回収を図る
B) 約450億円以上の自社株取得を実施する
C) 新株予約権付ローンで200億円調達する

 全体像が少し分かり難いので、簡略化(図式化)してみました。

☆ アコーディア・ゴルフの資本政策について

 この様な資本政策は、筆者の私見では非常に斬新だと思います。特に、事業ファンドをシンガポール市場に上場することに関しては、特筆されるべきスキームです。しかし、一方では、過去の経緯からみて究極の買収防衛策(クラウン・ジュエル=買収者の欲する資産を切り離す)にも見えます。

斬新な経営革新なのか、究極の買収防衛策なのか、そのことを決めるのは5万人以上もいらっしゃる株主だと思います。

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中堅企業のM&Aにおけるアドバイザーのポイント
 筆者はM&Aについてよく相談を受けます。その大半は、売りたい・買いたいニーズを企業から相談されているので、お相手探しを手伝って欲しいというM&Aアドバイザーを目指す方々からです。M&Aの第一歩は、相手探しからですので、これはこれで大事なM&Aアドバイスのスタートだと思います。しかし、以下の図に示しましたように、M&Aを進めていくと、売り手企業のデューデリジェンス(財務面、業務面、契約など法律面など)を行う際や交渉を進める為の契約を詰めていくとき、会計士や弁護士などの専門家の手を借りていくことが多いのも事実です。
 M&A実務のポイントは、相手と合意するところが最初の目的になりますので、M&AアドバイザーはこれらのM&Aプロセスを、必要な範囲で各々の専門家に頼りながら、可能な限り簡素化し、スムーズに売り手・買い手双方の最終判断まで持っていくことではないかと思います。

☆中堅企業M&Aアドバイザリー業務のポイント

 M&Aアドバイザーの業務そのものについてですが、上記の図で示したようなM&Aのプロセス管理が中心になります。したがって、アドバイザー業務の参入障壁が低いのですが、一般的には依頼主である売り手若しくは買い手に対して、M&Aプロセスを管理していける機能と実績を示す必要があります。
 また、最初のプロセスである相手探しに関して、専業M&AアドバイザーなどがM&Aに関する情報共有ネットワークを構築している場合が増えてきましたが、地域において地元企業情報に詳しい地域金融機関や税理士会などと情報共有で提携を強めようとしています。一方、地元企業に密着した地域金融機関側も、顧客企業の多くのM&Aニーズに接していますので、相手企業探しは一致するところです。
ただし、M&Aに関する情報は顧客企業の重要な経営・事業戦略に関するものでもあるので、M&A情報の共有をどのような段階でどの程度行っていき、かつ顧客情報として管理していくかは、地域金融機関にとって課題となっています。


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M&Aの基本要素とアドバイザー
 M&Aを最もシンプルに考えますと、次のようになります。
◎企業や事業を、売り手と買い手が合意して売買すること。
 国語辞書のような書き方で、読まれている方には恐縮ですが、M&Aのプロセスは複雑に考えれば相当専門的になりますので、必要最低限のことから見直しました。

つまり、M&Aは売り手の経営者(=オーナー)が、買い手に対して“あなたに任せる”と言ってしまえば成立することなのですが、当然任せる条件はあり、その条件の中でもっとも大きなものは対価(概ね金銭)です。
買い手からすると、企業(事業)価値ということになります。

 その対価=企業価値に関して、買い手は売り手が合意できる条件を出せるかM&A最大のポイントですが、買い手がオーナーのように単独で決断できればM&Aプロセスは短縮できます。しかし、通常は買い手の他の株主や主要な取引先などに納得してもらう根拠が必要で、その為に財務内容からみた企業価値の適正さを確認するため、売り手の決算書類などの精査(DD=デューデリジェンス)を行うのですが、これをサポートするのは会計士系コンサルが行う場合が多いです。この精査した財務内容から、資産や収益性に基づき一般的な企業価値を算出します。しかし、売り手を納得させる為、買い手としてはこの売り手企業の一般的な企業価値にプレミアムをつけるケースも多くみられます。買い手が、売り手企業と同業の場合などは全体としての売上高拡大などでプレミアムは買い手自らが想定しやすいかも知れませんが、異業種やファンドなどの場合、他の事業との相乗効果を考えることになります。M&Aの案件が大きい場合など、この相乗効果の算出し適正なプレミアムについて、投資銀行や金融機関のアナリストなどが助言する場合もありますが、殆どのM&Aでは買い手自らが判断していきます。

 次に、売り手の条件としては売却する事業に関するものです。例えば、従業員の雇用は守って欲しいとか、この事業分野は続けて欲しい、この取引先との取引を継続して欲しいといったようなものです。一方、買い手としても事業を上手く継承していく為、売り手側に条件とつけるケースもあり、この様な条件は契約書のかたちで落とし込みます。これは、当然弁護士の仕事となりますが、M&A経験のある弁護士の方が、対価=企業価値以外の条件のすり合わせをよりスムーズに行うといったのが一般的な評価のようです。
 なお以上のプロセスは、買い手側にとって以下の様なM&Aの代表的な失敗を避けることも、その目的としています。
●決算書類に未計上の資産や負債(固定資産や引当金未計上、売掛債権や棚卸資産滞留、未払金・費用や退職給付債務の未計上など)、DDで認識できなかった契約の存在など。
●買収後の統合プロセスで、直後に主要な従業員は退社してしまう。
●買収後、取引先や金融機関などとの関係が変わり、業績悪化してしまう。
●評価した売り手企業の技術が、俗人的だったり、ノウハウは社内に蓄積されていないため、成果が期待値以下となる。  など
 
 とても長い前置きになりましたが、上記のM&Aプロセスをなるべく簡略化してスムーズに行うことと、その相手企業(事業)を選定していく手助けを行うのがM&Aアドバイザーの仕事です。特に業法上の資格は必要ありませんが、上記の様な主なM&Aプロセスにおいて、会計士や弁護士などの専門家との連携が必要ななこと、相手企業を選定して際、依頼企業の経営者の意向に沿った対象を選択することが可能な情報網を確保していることなどがM&Aアドバイザーとしての強みになります。したがって、金融機関や証券会社・専業のM&A専業者などがアドバイザーの役割を果たすケースが多いのですが、誰もがM&Aアドバイザーとなれることもまた事実です。
 (業法で業務内容が定められている銀行や証券は、本業に付随する業務としてM&Aアドバイザー業務を行えることが明確化されています。)

なお、M&Aアドバイザーの実務上のポイントとなることは、次回に触れたいと思います。

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TOB(公開買付)における証券会社の役割について
 上場会社が対象となるM&Aにおいて、証券会社が果たす役割を簡単に示しますと、以下の様な機能があります。

(ア) M&Aマッチメーカー的機能=売り手・買い手の仲介を行うもので、M&A助言専業・地域金融機関なども同業務を手掛けています。特に、ライセンスが必要ということではないので、この業務を行うものの参入障壁はありません。

(イ) フィナシャル・アドバイザー的機能=売り手若しくは買い手のどちらか一方の立場にたって、適切にM&Aが実行されるように助言を行います。企業価値算定やデューデリジェンスの支援などを行うこともあり、金融機関・商社などもこの業務を行います。上記(ア)の様に売り手・買い手の両者の立場に立たないのは、どちらかに利益相反が発生する可能性があると考えるからです。
なお、買い手側に立ったフィナシャル・アドバイザーは、買収資金の資金調達に関与することもあります。

(ウ) 公開買付(TOB)代理人=これは株式を直接扱う為、証券会社でなければ行えません。

 M&Aは、その一つ一つが個別のプロジェクトと様なもので、案件によってその対応も異なりますが、株式を集めるという行為においては、実務的に証券会社が関与します。最近の実例をもって、その役割を示したいと思います。

◎西武ホールディングスに対するサーベラスのTOB
【TOBの概略】
・買付対象株=西武ホールディングス株式(西武鉄道は2004年12月に上場廃止、現在上場準備をしていると言われているが、株主が1.3万人いて有価証券報告書提出義務がある為、TOB規制の対象となる)
・買付者=エス-エイチ ジャパン エルピー(サーベラスグループの関連会社)
・買付目的=サーベラスグループは、現在32.44%保有している株式を、36.44%まで増加させ、経営陣を強化したいとしている。
・買付株数=13,672,700株まで
・買付価格=1400円(現在の単元未満株買取価格1,175円の19.15%プレミアム)
・買付期間=3月12日から4月23日まで

【TOB環境】
現在、上場政策等を巡って筆頭株主のサーベラス側と現経営陣が対立していると言われており、またTOB公表後も会社からは賛同意見は表明されていない。所謂、敵対的買収に近いかたちになると見られている。

【証券会社(公開買付代理人)の役割】
 公開買付報告書によると、公開買付代理人のA証券に対して、今回のTOBにおいて2.4億円の手数料(買付金額に対して1.25%)が予定されている。この分が何の対価なのかについて、以下のようなことが考えられる。(実際の業務内容は、買付者と代理人間の契約によりますが、以下は筆者の推測も含みます)
・TOB応募者から株式を預り、買付応募株数が上限を超えた場合は比例案分を行う。
・TOBが成立した場合、応募株主への代金の引き渡し。不成立の場合や比例案分に洩れたケースの株式の返却
・上記2つは、通常の公開買付代理人業務だが、今回は対象会社の同意の得られない敵対的TOBのなる可能性もあり、代理人業務として1.3万人の株主に対するTOB応募への何らかの勧誘行為が行われるのではないかと見られる。

今まで、証券会社は敵対的買収行為に対して避ける傾向がありましたが、TOBのあり方も多様化する中、この様な証券ビジネスの拡大はあっても良いのではないでしょうか。

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買収防衛策について
前日は敵対的買収について取り上げましたが、この行為への対抗策として、新株予約権(ライツ)を使った買収防衛策を導入している上場会社があります。レコフの調べでは、本年5月末で519社が導入しているようですが、基本的な防衛スキームは、敵対的買収者が行使できないライツを株主全員に割当て、敵対的買収者の持分が実質的に大きく減少するように設計したものです。

その概要は次のようになります。
【買収防衛スキームの概要】(代表的なもの:スキームの呼称はライツ・プラン)
・株主全員に新株予約権(ライツ)を割当て
・行使価格は、株主の負担が少ないように1円
・但し、20%以上を保有、若しくはTOBなどで保有しようとする株主は行使できない。(この事を、行使条件とする)

このスキームは、ライツを株主全員に割当てるところまではライツ・オファリングと同じですが、行使価格が1円だったり、敵対的買収者が行使できない企業防衛を目的としたもので、資金調達のライツとは全く違います。勿論、ライツは上場されません。ただし、もしスキームが実行された場合、敵対的買収者以外の他の株主が、1円を払込んで新株を受け取るといった事が必要となり、効果を上げる為には他の株主の協力が必要です。

また、敵対的買収者(取りあえず会社に事前相談もなく、大量に株式を買付けると言う意味)に対して、上記の買収防衛スキームを必ずしも実行するという訳ではなく、以下の買付ルールに従った場合は、買収防衛スキームを発動しないというのも一般的な買収防衛策です。

【大規模買付ルール】
・20%以上の大規模買付けを行った場合、目的を上場会社に伝え、それは公表される。
・上場企業が準備した第三者委員会によって、買収目的などを確認する必要書類が要求される。これを10日以内に第三者委員会に提出。
・60日以内に第三者委員会は評価を行い、その際、買収条件の変更などの交渉が行われることもある。

☆買収防衛策の概要

買収防衛策については、株主・投資家にとってマイナスのイメージがありますが、上記のようなものであれば、買収者の買付行為を必ずしも阻害するものではないように思います。また、買収防衛策導入企業の株価に対する影響を検証しようとした研究論文も複数ありまあすが、明確に買収防衛策と株価の関連を定義するのは無理のようです。

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