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2009/03
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M&A業務の障害-取り除く努力を
 3/31の日経記事、”米国株主10%ルール・日本企業、M&Aの重荷に”といった記事を見て、未だに、この様な事をしているのかといった、少しの怒りと失望を覚えた。
 自国法を他国の企業に押し付ける米国に対してでも、スケジュールを延ばさざる得なかった統合予定企業に対してでもない。
 それは、M&Aマネージャーとして高い手数料を得ている投資銀行に対してである。
 ケースとして、新日石と新日鉱HDの企業統合の件が取り上げられていたが、冒頭の米国ルールのせいで、昨年12月4日に発表した統合持株会社の設立が、当初予定の2009年10月から、2010年4月へ半年も延期される。この変化の激しい時代に、半年間の統合延期による企業の損失はいかばかりか。
 ここで簡単に米国株主10%ルールについて説明する。
経営統合後の会社で、10%以上の米国株主が保有する可能性があれば、
①SECに対して、登録届出書(Form F-4)を統合作業がスタートする前に提出する義務がある
②Form F-4の効力発生は、株主総会招集通知発送日まで。その為、全体の統合スケジュールが制約を受ける
③Form F-4には、米国会計基準に沿った財務諸表が必要となる
 この③によって、新日石・新日鉱HDは、過去統合した資産のデータを、10年前まで遡る必要があるとのことだ。
 市場は何も金融政策のみに迅速さを求めるのではなく、企業に対しても早急な環境への対応を求めているのであるから、この経営統合が米国株主10%ルールの対応で半年も遅れる事で、我が国資本市場へ与えるマイナスを、M&Aマネージャーたる投資銀行はよく噛み締めるべきだろう。
 M&Aにおける米国証券法の弊害としては、TOBにおける米国株主対応がよく知られているが、これは、米国株主がTOBに応募する可能性があるなら、米国での公告や届け出が求められる。その為、TOB実務上、米国株主の応募を排除する規定を設けて米国での対応を避けるケースが多い。
 日本の大企業のM&Aマネージャーに求めたいのは、この様に実務的に法規制に対応するのみではなく、金融サミットも開かれ今後の金融行政に関する国際協調や連携も強まるのであるから、M&A実務に弊害のある形式的法律問題を、実質的目的に沿うよう米国に申し入れるよう行政を支援するアイディアを出すことではないか。プロはプロとして行政に物申す、その方がプリンシプルベースを模索する金融庁にも協力していくことになると、日本の投資銀行に期待したい。
 ちなみに、米国株主10%ルールの例外として、
 ○米国株主が、対象会社の他の株主と平等に取り扱われること
 ○株主に対して一定の情報開示がなされること(Form CB【Form F4より簡単】のSECへの提出)
の、海外企業に対する配慮もあるようであるが、筆者は米国法を解説する立場ではない。
 
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資本市場の入り口=ベンチャー投資は地域密着から
 金融危機も、どうやら谷を一つ越えた感が出始めている。
社債の発行なども、昨年の10月~12月期に比べて、本年の第1・四半期は倍以上の発行ということで、ホッとされている金融関係者もおられると思うが、リスクマネーを供給する資本市場の機能回復までは、まだまだ遠そうである。
 金融システムに関していうと、今週2日にはG20での金融サミットが開かれるが、ファンド規制やデリバティブ開示などの規制強化は避けられない。今までの、欧米型総合金融から、金融機関側も転換が求められていくと思う。規模と信用のレバレッジをかけたものから、経済実態に沿ったものにビジネスモデルも変化していくのだろう。
 折しも、先週日本中を沸かせたWBCでは、日本や韓国などの投げる・打つ・走るの基本に忠実な”スモールベースボール”が、結局世界を制した。
 資本市場の再生も基本に戻るべきであるが、その入口には、最初に企業にリスクマネーを提供するベンチャーファンドがいる。
 その機能について、金融の基本に戻って考える時期に来ているとも思うので、1年前のレポートながら、ベンチャーファンドの実態と環境について纏められた信金中央金庫総合研究所のレポートを紹介する。
地域ベンチャーファンドの可能性
ベンチャーファンドは、既に1兆円弱の投資残高になってはいるが、米英などに比べると一桁規模が違っていて、企業育成の面では、その規模はまだまだ不十分である。
しかし、政策や制度整備などは以下の様に行われてもいる。
○2003年度以降は、リレバン対応により地方銀行の関与が地域ベンチャーファンドについては高まっている。
○中小企業基盤整備機構により、以下の地域ファンドスキームが用意され、地方公共団体が参加した場合は、最大7割の公的資金が提供される。
地域ファンドスキーム
○平成20年度から、エンジェル税制が拡大して、最大1000万円までが所得控除対象となる。
また、この分野の主力プレーヤーであるベンチャーファンドについては、大手金融機関系の大手業者が6割以上と圧倒的でもあるが、スモールベースボールならぬスモールベンチャーキャピタルとしての独立系地域VCの存在感が増してきている。
筆者の感想として、大手VCは予算の関係もあるのだろうか、小口案件の多い初期段階のリスクマネー供給には積極的でなかったように思う。
地域密着の独立系ベンチャーが、今後活躍されることを大いに期待したい。
 勿論、その為にはEXIT環境整備が必要なのだが、地域ベンチャーの規模にあったM&AやIPOへの繋ぎをする機能は、地域金融機関に期待されている”スモールベースボール”なのだとも思う。

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今後の金融規制改革の骨組み
 3月26日、ガイトナー米財務長官によって米金融規制改革案が公表された。ファンドの登録制やデリバディブ取引監視制度の創設が含まれているが、4月上旬に行われるG20での金融サミットを控えて、国内での金融・資本市場改革への影響を注視していきたい。
 先立つこと1月中旬に、ボルガー元FRB議長やガイトナー、サマーズ、ECBのトルシェ総裁を含む16ヵ国の官民トップの経済人が名を連ねるG30において”世界金融改革の枠組み”と題するレポートが発表されている。
このレポートに関する報告を日本証券経済研究所が発表しているが、以下のような骨子となっているので、全体像を把握いただくために、恐縮だが表題のみを取り上げる。
【第一分野】プルーデンス規制(金融システムの安全性・健全性を維持するための規制)の垣根の再定義
     〈提言1〉銀行のプルーデンス規制および監督
     〈提言2〉銀行以外の金融機関の監督の統一化
     〈提言3〉MMF(マネー・マーケット・ファンド)の監督
     〈提言4〉プライベート・ファンド(ヘッジ・ファンド等)の監督
     〈提言5〉政府支援金融機関の機能と役割
【第二分野】プルーデンス規制の構造と国際的協調
     〈提言6〉プリンシプルベースへの規制体制の見直し
     〈提言7〉中央銀行の役割強化
     〈提言8〉国際協調(情報共有と広域規制メカニズムへ)
【第三分野】金融機関のガバナンス・リスク管理・資本・流動性に関する制度・基準の強化
     〈提言9〉金融機関のガバナンスおよびリスク管理についての規制基準
     〈提言10〉金融機関の資本規制基準
     〈提言11〉流動性リスクの基準(新たに作成する流動性開示基準も含め)
     〈提言12〉公正価値(フェアバリュー)会計
【第四分野】金融市場の透明性とインフラ・システムの改善
     〈提言13〉証券化市場の信頼回復(レバレッジ監視と信用引受基準、オフバランス物件の修正)
     〈提言14〉格付機関の改革
     〈提言15〉CDSと店頭市場の監視(監視制度立法化と国際化対応)
     〈提言16〉金融機関の解散メカニズムの整備(ノンバンクも含める)
     〈提言17〉ストラクチャード金融商品市場の透明性の向上(私募も含む情報開示と伝達の制度整備)
     〈提言18〉市場取引及び評価に関する情報の共有
詳しくは、以下のレポートをご参照願いたい。
 全体の経済規制緩和の流れもあって、ここ10数年以上、金融・資本市場の競争力と機能強化のために、この市場の規制も緩和方向にあった。規制緩和は今後も行われていくべきと考えるが、ルールが無かったり、不明な部分は明確化される必要もある。
 今後、筆者としては資本市場に影響が大きい第四分野について、その動向と変化を、皆様にお伝えしていきたいが、参入緩和と情報開示規制強化という部分が両立する行政を、一業界関係者として願っている。

日本証券経済研究所提供レポート
世界の金融規制改革の骨組み

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何故、上場会社のコーポレートガバンス改革は必要か
 3月26日の報道で、米国の社債市場回復(といっても高格付け企業の)が伝えられていたが、日本の発行市場は、回復というには程遠い状況だと思う。
 そもそも、信頼できる資本市場でなければ、リスクマネーを引き付けることなど出来るはずがない。その為の、金融・資本市場改革であって欲しいが、再三お伝えしているように、現在金融審議会の我が国の金融・資本市場の国際化に関するスタディグループで、上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について、検討されている。
 ルール整備等の手法論点は以下の3つで、
 (1)法制度のあり方
 (2)取引所ルールのあり方
 (3)その他手法のあり方
で、この中で監査役会機能の充実や独立社外取締役の拡充、公開会社法の検討などが議論されている。
 この上場会社のコーポレートガバナンス強化と目的には、当然その原因となる上場企業の不祥事があった訳であるが、審議会資料として最近3年間で11社の不祥事分析がされているので、ここに紹介する。
 株式会社プロティビティ ジャパン作成
不祥事事例の分析レポート 2009 年3 月版
中には、資本市場の仲介者たる金融機関の事例もあって、資本市場への信頼回復は、ここから徹底すべきとも思える部分もあるが、不祥事に至った主な原因を以下の様に上げている。
 ○経営者の問題(リスク認識欠如・保身による隠蔽)=3件
 ○内部環境(売上至上主義・法令順守の社内体制)=2件
 ○法令順守などのリスクの評価・対応=2件
 ○管理体制やマニュアル不備などの統制活動=2件
 ○監視活動の問題=2件
となっている。
 会社は誰のものかといった議論から我が国のコーポレートガバンナンス議論は始まったようにも思うが、今どき会社は株主のものだけと思っている人は、この国の資本市場にはいない。しかし、株主や投資家の信頼を得なければ、この資本市場の機能を使っている公開会社としての維持も難しいのが現実でもある。
 結局、コーポレートガバナンスは、会社にとって、資本市場から信頼を得るための仕組みといった理解を、公開会社にしていただければ良いのではないだろうか。
 会社法だけでは、上場会社のコーポレートガバナンスは充足されないと思うし、一部に議論のある公開会社法は、屋上屋を重ねるような違和感も現状ではある。
 業界関係者としては、取引所ルールの充実と、その運用に対して、資本市場関係者が自ら責任を持ってあたることのが、この国の資本市場の信頼を守ることになると信じたいのだが。

 
 

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M&A-情報管理と情報公開こそ全て
 株式市場が落ち着きを取り戻し、期末にかけて戻り歩調であるが、依然資本市場の環境は厳しく、投資銀行ビジネスも縮小している。しかし、その中にあってM&Aビジネスに関していうなら、関係者にお聞きしたところでは、例年以上の相談案件があるそうである。
 最も、これだけ経済環境か厳しくなり、企業経営も難しい状況になれば、業界でいうところの”売り案件”が増加しているのかもしれない。一方、企業価値についても、多少戻ったとはいえ、市場価値がこれ程低下しているのだから、買い手にとっても好機と感じる環境だ。
 M&A増加予想は、当然なのだろう。
 表題については大きく振りかぶってしまったが、公開会社のM&Aということに関して、日本において、このM&Aという手法を使いこなしていないように思う。
 それは、多分買い手の問題ではなく、対象となる会社、そして買い手・売り手を仲介するM&A業者(主に市場での仲介機能をもつ投資銀行)に関してである。
 先ずM&A仲介者としての投資銀行は、昨年問題になったM&Aインサイダー情報管理は言うに及ばず、企業側に一方的に寄った買収防衛策や企業価値算定に走るのではなく、市場の仲介者としての見識と情報をもって、M&Aに対応される企業を支援するべきである。
 また、企業にとっても、買収者からの情報を求めることは良いとしても、それが株主の利益を代表してる判断であるという根拠の情報を、公表すべきでもある。
 3月期末を控えて、決算実務と総会対応で多忙な企業が多いと思うが、今年の株主総会でも買収防衛策導入の企業は、また増加するのであろうか。
 買収防衛策導入に関して、昨年末の時点で、公開会社の約15%570社が導入しているが、株主総会では、外人機関投資家の殆どが反対し、国内の機関投資家の反対も増加している。
 そもそも買収防衛策は、濫用的買収者から企業を守ることにあるのではなく、究極的には株主の利益を守ることにあると、“近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方”(企業価値研究会2008.6)は指摘している。
 その為に、買収提案を受けた企業の取締役会が、買収者に情報を求めることが可能となったTOB規制改正が2006年12月に施行されている。
 株主が企業の経営者に求めているのは、形式的ですれ違うような買収者との会話にみられる、この制度の濫用ではなく、企業価値向上の為の真摯な会話と、そのプロセスの情報公開である。
 そもそもニーズや見解の相違のある当事者間を仲介すべきは、資本市場での株主と企業の仲介機能を持っている投資銀行であることを、M&A業務強化される投資銀行は、思い出して欲しい。

大和総研レポート
企業買収の買収者と被買収会社の交渉の適切性が問題に
買収防衛策を巡る近時の動向

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隗より始めて下さい―東証上場
 売りたい人と買いたい人、リスクを取りたい人と回避したい人。市場の機能とは、そのニーズをマッチさせる事から始まる。
 諸兄には恐縮な物言いで始めてしまったが、では、東証はどちらなのだろうか。東証は上場したいのか、如何。市場運営者及び我が国の資本市場機能の要として、自らの上場問題をどの様に考え、そして実行すべきなのか。東証上場問題を考える。
(3/24日経によると、2009年度に予定していた自らの上場を、市場低迷で来年以降に延期するとのこと)
 そも上場の目的とは何か、東証のHPには以下の様に記している。(※ポイントのみ抜粋)
 (1)公募増資・CB発行など資本調達力がつく
 (2)上場会社としての社会的なステイタスの確保
 (3)パブリックカンパニーとしての組織・内部管理体制の構築
では、東証自らの上場目的は如何なのであろうか。少なくとも十分な社会的地位を占められているので、(2)ではないだろうし、上場会社には(3)を強く求めているのであるから、これも上場の主目的ではない。
 金融危機からの脱却の為のみならず、金融・資本市場の競争力強化の為にも東証への期待は強まっている現状で、
  ○売買の高速化や決済機能の拡張に対応した次期東証システムへの投資
  ○商品取引所との連携強化を含めた総合取引所機能への期待
  ○アジアでも出遅れている我が国ディリバディブ市場整備への注力
  ○排出権取引市場創設に係る市場機能活用への期待
など、いずれも資金が必要となる案件を課題として抱えている。
であるなら、今が企業としても資本調達が必要な時期なはずで、その為の前提となる上場が何故延期されるのであろうか。
 確かに上場前提としては、
  ・収益の拡大傾向の確認
  ・事業環境の良好さ
など、自ら上場希望会社に課したルールはあるが、ここは形式基準に囚われるより、上記の課題の先を、投資家に示すことで対応されては如何か。
 折しも、東証はこの春からプロ向け新市場=TOKYO AIM を開始されるが、先ずは自ら隗となって、この新市場に上場され、資本調達をされ、新市場を活性化して欲しいのは筆者のみならず日本の資本市場の期待でもある。
 環境が悪ければ、一般投資家に期待した通常の新規上場ストーリーを追うより、プロに理解させ、リスクマネーを調達してこそ、市場運営を行う企業として相応しいとも考える。
 ここで思い出すのは、この最悪の発行市場の環境下、発行済みの3割上の株式を増加させ、3000億円もの公募増資を決行した大手証券のことである。(筆者は、この大手証券とは一切関係ない)

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期待したいETFシステムの充実
 株価対策としての銀行等株式取得機構による上場ETF買上げ、及びその買上げたETFに転換可能な政府保証債の発行→個人投資家への販売の事は既に触れたが、更に我が国の上場ETFという制度そのものに、もっと期待したい。
 ”貯蓄から投資へ”の個人資産の流れ、”我が国の金融・資本市場の競争力強化プラン(2007.12)”によって、ETFの多様化が推進されて、現在は58銘柄に急増している。株価指数や業種別は勿論、金や原油などの商品指数や新興国株価指数にも連動するものも上場され、随分と多彩になったものである。
 東証上場の銘柄数も、この一年強で急増したが、但し、よく見ると問題が無い訳ではなさそうである。例えば、取引開始後30分経っても、値が付いていないような銘柄が相当あったり、出来高そのものが極端に少ない状況が長期間続いていたりする銘柄もある。
 流動性の問題と、簡単に片付けたくないのは、ETFに期待すると処が大だからでもある。
個人資金が、企業にリスクマネーを供給するのは理想であるが、まずは業界や商品の動向に沿って、小口からの投資に対応できるETFは、投資への導入商品としては優れた特性持っている。加えて、信託手数料が相対的に安いのは、個人にとっては有利である。
 その上場ETFに対して、市場システムとしても問題を提起するレポートを、金融研究研修センターが調査報告している。

 我が国ETF市場のマーケット・マイクロストラクチャーと投資家の注文行動

取引調査から指摘されている問題点の概略は、
  (1)ETFの保有資産に関する情報開示の問題(現金部分)
  (2)保有する株式の時価推定値(Indicative NAV)が利用されていない
  (3)流動性義務を負ったマーケットメーカーが不在
  (4)ETFディリバティブ市場の未発達(というか、殆どない)
を、上げられている。
 流動性の問題と、情報の提供システムの未整備からくる大手機関投資家と個人投資家の取得情報の非対称性を指摘されている。
 上場ETFの強化が試みられて、まだ2年も経っていないので市場システムとして評価するのは少し酷な気もするが、期待したいだけに敢えて指摘すると、
 ○流動性確保の為に、マーケットメーカー制度は有効なことは、欧米ETF制度でも証明されている。
その為には、マーケットメーカーに値付け義務のみを負わせるのではなく、取引手数料のキックバックや裁定取引・現物への転換でメリットを与える必要がある。
 ○Indicative NAVを機関投資家だけではなく個人ももっと活用する為、投資家への情報提供システムが必要である。
 上場ETFシステムは何も取引所だけの問題ではない。
 金融取引業者は、個々のETFに対する分析や見通しに関する情報提供を、もっと投資家に行うべきでもあるし、行政にも、上場ETFデリバディブ取引の促進を見通す政策を期待したい。
 注文が多くなったが、ETFへの期待の裏返しでもあるのでご容赦願いたい。

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会社機構としてのコーポレート・ガバナンス
 ソニー、日立、そして東芝と、大手電機メカーのトップ交代が相次いで伝えられている。
その背景の説明として、厳しい経済環境と共に、これらの会社が、委員会設置会社であって、その指名委員会の機能として、一年毎に再選が厳しくチェックされる仕組みが報じられてもいた。
 コーポレート・ガバナンスの機能が働いている事例として、紹介したかったのだろうが、この委員会設置会社はもともと大企業の仕組みであって、東証上場企業でさえ未だ2.3%しか導入しておらず、残りは監査役会設置会社である。
 上場会社は、このどちらかの制度を使っているが、詳しい法律論が別にして、コーポレート・ガバナンス向上の仕組みとしては、委員会設置会社では委員・監査役会設置会社では監査役の半数以上が”社外”である必要がある。
 現在、金融審議会の我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループにおいて、上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について、議論が進められているが、正にこの”社外”という外部の客観性の機能が重視されているように思う。
 それが、社外といっても、 
  ・親会社や主要取引先の関係者でないこと
  ・経営を行う執行役との個人的関係が重視されないこと
  ・その上で、業務執行に関するチェック機能が働くこと
が、求められている。
勿論、社外取締役と社外監査役の機能は異なるが、この社外性のチェック機能が働き、不正会計や不正取引が未然に防がれ、TOBやMBOに対しても機能する”社外”性を、投資家は期待している。
金融審議会での議論としては、
  ○委員会設置会社は望ましいかもしれないが、日本の実情に合わない部分もあるので、監査役会の機能充実とともに、独立性のある社外取締役の機能に期待してはどうか
  ○社外取締役に期待することは、
         (平時における)経営者の説明責任の確保
         (有事における)暴走の防止・安全弁
として、独立した社外取締役制度導入を、上場企業に働きかけるようである。
 また、会社は誰のものかといった議論とともに、コーポレート・ガバナンスが誰の責任かといったことは、同根であるから、投資家・株主側もその機能は果たさなければならない。
 この部分の対応に関しては、多くの個人投資家から受託されている機関投資家のガバナンス関与も、同時に期待されている。
 このことを、市場関係者も真摯に受け止めることも必要になっている。

金融審議会資料

 上場会社のガバナンス機構の枠組み
 論点メモ

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開示制度改革―発行登録制度について
 最近の国内発行市場において、注目された野村ホールディングスの約3000億円の公募増資であったが、発行登録制度を利用しての調達であったことを、以前筆者としては評価した。
 グローバルな資本調達は、その需要把握とともに情報管理が難しいが、発行登録制度により、最大限の必要な資本調達額を市場に示し、又、投資家の需要があった分だけ発行することが可能で、機動的でかつ柔軟な調達が可能である。
 確かに、大量の資本調達を示されることは、ダイリューションを嫌う市場にはショックを与えるかもしれないが、資金使途が明確に示され、情報管理さえしっかりしていれば、市場で消化される額しか発行されないので、この発行登録制度は、株や優先株などの資本調達でもっと活用されるべきである。
 しかし、この発行登録制度を含めて、日本の開示制度(金融商品取引法上の)は、やはり重い。
それは、発行者(つまり開示制度上の必要な情報を提供する側)にとっては勿論、利用者である投資家にとっても、この制度はかなり重装備になっていて、かつ、その仲介者の金融商品取引業者の負担さえ重くしている。
 この開示制度改革は、2009年度の金商法改革に上がっているが、
  (1)発行登録制度の見直し
  (2)目論見書目論見書制度の見直し
  (3)有価証券の売出し概念の見直し
の3つが取り上げられることは、既にお伝えした。
 今日は、そのうち発行登録制度の見直しについて。
 開示制度そのものは、資本市場を使う企業・発行体全てが、その対応を求められるが、その中の発行登録制度は、大企業の大量な資金調達というイメージが強かった。
 この制度は、発行者の機動的な発行を目的としたものであったが、その前提としては、よく知られている大企業を想定して利用基準が作られていた。
 又、発行枠は一度使い切ると、再度申請し直す必要もあり、真に機動的かの疑問もあった。
昨年、後半に金融審議会のワーキングチームで検討された結果、以下の改革が予定されている。
 (1)周知性要件の緩和=企業規模で利用が制限されていたが、例えば過去5年間に100億円以上の有価証券を発行している発行体ならOK
 (2)格付け要件の廃止=2つ以上の格付け機関からA格以上、といった要件の廃止
 (3)SPCによる発行登録制度の導入=証券化商品も利用可能に
 (4)プログラム・アマウント方式の導入=発行残高の上限を記載し、償還等により発行残高が減少した場合に発行可能額の増額を認める方式

発行環境の厳しい現状の様な時期にこそ、この機動的で柔軟な新しい発行登録制度の活用を、資本市場参加者の皆様にも求めたい。

金融審議会ディスクロージャーワーキングチームにおける資料
「発行登録制度」関係資料

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金融商品としての地方債
 国債が、最大の金融商品であることは誰しも否定しないだろう。しかし、個人にまで投資家層が拡大することはまだしも、財政出動が求められる今の様な時期を除いて、国の借金なのだから、発行残高が一方的増加するような市場拡大は、誰しも望まない。金融商品なのに、規模が余り拡大してもらっては困るのが、国債市場の特質でもある。
 一方、地方債に関しては、地方自治拡大とともに、マーケット機能を活用した地方債市場の拡大が永年関係者の間では望まれている。
この地方債市場は、当然今後の拡大も予想されるし、また市場化推進の期待もされる分野である。
 地方債の発行形態に関して、昔流にいうと縁故債と公募債なのだろうが、今は、
  ・銀行等引受地方債
  ・全国市場公募型地方債
  ・共同発行市場公募地方債
  ・住民参加型市場公募債
と、4つに分類するようだ。
 市場公募型のものは、18都道府県・14政令都市の合計32地公体で発行されているが、最近の金融危機もあって、発行延期などの影響も出ているのは当然だろう。
 地公体が、発行者として市場の機能を使っていくなら、市場環境や投資家ニーズに合わせた以下の対応が求められる。
  ○発行年限の多様化
  ○変動債やディリバティブ活用の債券の多様化
  ○発行単位の大型化・発行時期の平準化
そして、市場公募化推進の為には、何より
  ○引受機関の充実・強化    であろう。
最近、地公体の資産を担保にした欧州型のカバードボンド議論が、関係者間で出始めているが、難しい発行環境の今こそ、引受業者による工夫した提案も必要だろう。
 一方、地公体の公金を取扱う銀行による縁故引受も未だに多い。
公金取扱サービスと債券引受リスクはバーダーなどとは、誰も思わないが、今回の金融危機で、逆に公金を預ける7割近い地公体側が、2005年4月のペイオフ解禁後、久々に不安を感じているらしい。
また、公金の運用についても、専門家の不在・金融機関評価手段の未確立などについて、半数近くが認識しているようでもある。
 ちなみに、地公体は申請しなければ、金融商品取引法ではプロでも、まして適格機関投資家でもないことを、金融機関側も認識すべきでもある。

野村総研レポート
金融危機が地方債・公金管理に与えた影響と今後求められる取り組み

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金融商品としての不動産
 国民資産の4割以上を未だ占めている不動産ではあるが、米国の様にホームエクイティローンなどが拡がらなかったのは、この金融危機の中にあって、不幸中の幸いか。
 しかし、資産価値を持つものは、証券化という手段をつかって、金融機能とリンケージしながら、その有効活用がなされてこそ、企業などが保有する意味もある。
だから、資本市場からみて、ファンド化の流れの中で、不動産証券化は、大いに期待する処でもある。
 不動産証券化協会の、協会員に対する昨年末時点での調査では、
   ○昨年末時点で、不動産私募ファンド13.2兆円、J-REIT7.6兆円、と不動産証券化は合計20.8兆円
   ○協会員の約3分の1強(94社)が私募ファンドによる運営を実行、ファンド数が790
   ○一社当たりの運用額は、1,401億円で増加傾向が持続、ファンド当たりは約160億円規模
   ○運用期間5年未満が三分の二を占めるが、無期限前提が6.7%
   ○一件当たりの投資額は、約30億円弱で、オフイスと賃貸で約7割を占める
   ○保有不動産の所在地は、東京・関東で約6割強を占めるが、中国・四国は全体の1.6%しかない。
   ○出口戦略は、J-REITへの転売が1割しかなく、他のファンドへの転売が約4割、その他未定等は約半数となっており、予想通り私募不動産ファンドの厳しい環境を伝えるものとなっている。
「第4回会員対象私募ファンド実態調査」結果

 一方、同協会により、金融商品として個人投資家が、J-REITに対して思っているかの認知度調査も発表されていて、
   □金融商品としての個人投資家の認知度は、全体の3割程度で下から二番目
   □保有率は、6.6%で、金やプラチナ(9.8%)より劣る
   □商品の情報源としては、インターネットや新聞の各4割に比べて、金融機関の窓口や販売員からは、9.6%となっている
   □また、投資意欲については、興味だけの方を含めても、全体の12%とにしか過ぎない
個人投資家に対する「J リート認知度調査」集計結果について

 せっかく拡大している不動産証券化市場なのに、この様な個人投資家とのギャップが、出口戦略の手詰まり感を生み、更なる拡大を制限しているようにも思う。
 また、厳しい環境の中であっても、販売サイドとの連携強化も求められているのではないか。
〈個人投資家のみならず〉

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上場ETF対象の他社株転換可能債―基本的には賛成します
 最近の金融危機から、資本市場における発行機能(プライマリーマーケット)は、未だ回復の兆しが見えない。
政府系金融の買取に頼るCPや社債、また、かつて社債の発行市場があれほど嫌った担保付社債ついて、”カバードボンド機能の活用”として再考している業界関係者をみるにつけ一抹の寂しさを覚える。(※筆者は、欧州の公共体が活用しているカバードボンドの機能に疑問を持っているわけではない。)
 3月13日に報じられた政府・与党の市場安定化策で、久々に発行市場にとって明るい話題があった。
これは、上場投信(ETF)を株式取得機構が買取り、その資金調達をETF転換権がついた政府保証債を発行、これを個人投資家に売るといった内容である。
 仕組みを簡単に述べれば、ETF版他社株転換可能債の発行である。これを、株式取得機能が発行し、政府保証を付け、元本保証した上で、個人投資家に販売し、調達した資金で、市場からのETF購入資金に当てるというものであった。
 株価形成に関する介入是非やETFが株かどうかの議論は置いて、この1995年の日米通商合意から有価証券として認められている他社株転換可能債=所謂EBについて、少し述べたい。
  ○発行者は、通常信用力のある発行体(今回の場合、株式取得機能で政府保証がつく。私募の場合は、買手が納得する発行体)
  ○発行者とは別の企業の株式に転換することが可能(今回の場合は、上場ETF)
  ○株式への転換権が、債券の買い手にある場合は、その機能は通常の転換社債=CBに近く、逆に発行者側にある時は、所謂EB(プットオプション型の)に近いものであった。
〈所謂EBについては、比較的短期の高金利債として流行ったが、株価の下落局面では、結局下落した株式で償還されたので、一部の個人投資家にはイメージが悪いかもしれない。〉
  ○税制面において課税時期が問題となり、他社株転換可能債を購入した時期を基準として、転換権が行使されて株式を取得した時期か、又は対象となる株式を売却した時期か、確認が必要なこともあった。 
 筆者が今回のETFへの転換権がついた社債の発行に賛成するのは、今縮小している発行市場にあって、もう一度この他社株転換可能債の機能を見直す機会になればと思うからである。
 今の段階では、このETF版他社株転換可能債(=日経はETF転換債券と呼称)は未定だろうが、業界にとっては、1000円高速道路と同様にヒットする政策として期待したい。
 但し、これを金融機関自らにさせた方が、営業現場での販売努力もするだろうし、投資家需要に合わせたETF版他社株転換可能債の発行も可能となって、更に金融界の進歩に繋がったかもしれないとも思う。

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リーマン破綻と日本の決済システム
 日本にとっても、戦後最大の金融機関の破綻となったリーマン・ブラザーズ証券。
昨年9月16日に日本においても民事再生手続き開始の申し立てを東京地裁に行った後、市況は別にして、前回の金融危機1997の三洋証券破綻時に比べると、業界での混乱は、それほど大きくなかった感がある。
 それは、リーマン破綻後の、証券決済関連の対応が、比較的迅速に行われたからで、この事につき、日本銀行が、以下の検証報告レポートを公表した。
 概略は、国債取引に関しては、9月分だけでも数兆円規模あったようであるが、相対決済の部分は、取引相手の事後的キャンセルがなされ、その取引相手のポジション再構築も、数営業日で終了したようである。
また、国債の清算機関利用分・株式や上場デリバディブの取引所取引に関しては、各清算機関による一括清算がなされ、資金の支払・玉の引渡等も、概ね9月中に解消した。9月中は大幅にフェールが増加したようではあるが、このリーマン関係の清算による損失は、リーマン提供されていた担保の処分で充足されたようで、各清算機関の資金繰りにも、問題は生じなかったとのことである。
 前回の金融危機後、清算機関機能の強化をしてきた事や、DVP取引の普及で、危機の拡大は決済面には防げたということだろうか。

 ただし、今後の課題として以下の点を挙げている。
(1)清算機関におけるCCP(Central Counterparty)機能の向上
 ・フェイル解消対応の更なる迅速化
 ・資金調達対応の安定性向上
 ・所要担保額計算に関するモデルの精緻化
(2)清算機関のカバレッジ拡充
 ・参加者、対象取引の拡大
(3)その他市場全体として取り組むべき課題
 ・国債決済サイクルの短縮(T+1化)

 国債取引に関しての清算機関利用は、4割程度なので、取引参加者の努力は、まずはここからかもしれない。
一方、上記ではカバーされない相対取引についてのカウンターパーティーリスクは、自己責任ということだろうか。
折しも、CDSについては店頭ディリバティブであるはずだが、その影響が大きかったことから、清算機関を作ろうという動きが強まっているようにも思う。
 いずれにしろ、コストやリスクを負担すべきは、取引参加者である金融機関の問題であるから、当然参加者の自覚が求められもする。

リーマン・ブラザーズ証券の破綻がわが国決済システムにもたらした教訓

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金融商品としてみる商品先物―そして市場
 最近は、金でも原油でも何かが上がっていると、ほっとするような状況だか、投資理論の大原則の分散投資も、結局経済が拡大していることが大前提。今回の様な危機には対応できなかったことが検証できただけでも、良しとしなければならないのだろうか。
折しも本年度の金融商品取引法改正では、商品先物取引を金融商品取引とも見做して、証券取引所の下に、商品先物取引所(逆も可能)が開設できる制度変更が行われた。
 年金資金や個人を対象としたファンドまで、原油や食糧など商品先物に投資している現状では、市場の情報とともに、決済機構や取引ルールの制度設計も、金融市場の投資家ニーズに応えられるもの、早急に構築し直す必要なある。
 日本だけの事(勿論、日本の商品先物の制度整備は、喫緊の課題)ではなくて、グローバルにもルール等の整備が必要なのだろう。IOSCO(証券監督者国際機構)による商品先物市場タスクフォース最終報告書が、3月10日公表された。
 これは、昨年前半の農産物やエネルギー商品の価格急騰に対してG8財務大臣会合の懸念から、昨年10月に急騰調査のタスクフォースが設置されたもの。報告書の概略は以下の4点、
○商品先物市場における価格形成に対する投機の影響
 急騰の原因は、投機よりファンダメンタルズ。
○現物市場等に関する情報の重要性
 先物市場は現物市場の情報に多いの影響される。特に原油に関するデータの統計やその公表に問題があった。
○現物市場等を利用した相場操縦行為の増加
 近年の相場操縦行為は、先物、店頭、現物市場をまたいで行われるようになっているなど、そのスキームが多様で複雑なものとなっている。
○規制当局間の国際協力の重要性
 IOSCO に対して、当局間の協力の制度化検討を要望。
 
 商品先物市場も、間接的には、個人の投資資金も流入しているのだから、情報の非対称性を前提にした市場は、もはや許されない。
 ヘッジファンドに対しても、最近規制論議が高まっているが、市場や制度の歪みをついた裁定取引なのか、何らかの相場操縦なのか、キチッしたルールを自ら公表するぐらいの矜持を求めたい。

経済産業省公表
 商品先物市場タスクフォース最終報告書の公表

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空売り規制について―本当はどうなんでしょうか?
先週末から”空売り規制”継続にかんする佐藤金融庁長官のコメントが流れ始めている。
昨年10月末に規制強化をした時は、東証を始め・業界の識者と呼ばれる人たちの反対意見が強かった。
ここで、もう一度”空売り規制”の内容について、考えてみたい。

金商法で定められる空売り規制とは、
(1)原則直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制
(2)売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務
であるが、昨年から一時的に追加されたのは、

(3)各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表(昨年10月14日以降)
(4)売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止(昨年10月30日以降)
(5)一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。(昨年11月7日以降)
となっていて、この3月までの時限立法措置であった。

この(4)、(5)の3月末までの措置を、相場が安定するまで延長する金融庁の考えが流れた。
今回も、この業界は反対するのだろうか?
確かに、金融機関にとって報告・公表とは手間がかかるし、取引の高速化に対して、何らかの支障が出るかもしれない。また、大義名分は、流動性の確保に問題が出る可能性があると、いつものように言うのだろう。

規制強化というのは、市場関係者にとって確かに好ましいものではないが、この際、(4)の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)に対しての、ヘッジファンド等から注文を受ける証券会社の有り様も、もう一度考えてみる必要があるのではないか。
 筆者は、空売りに反対しているのではなく、Naked Short Sellingで多用されるフェールについて、やはり問題があるのではないかと考える。
とにかく売りたいから、大量に売る、で、それから決済の為に借りる株を探す、結局4日以内に探しきれずに一部決済が未済になり”フェール”する。受けた証券会社は、株を渡す相手証券会社にフェール手数料を支払う。そして、また探す。
 こんな姿が、本当に流動性確保の為に必要なのだろうか。
プライムブローカービジネスという名の元に、ヘッジファンドに信用供与し大量の注文を受ける、で株の手当は後からする。これはイノベーティブで健全な取引で、流動性の確保の為に本当に必要なのだろうか。
 勿論、空売りも市場の流動性確保の為に必要な取引だが、その為にはちゃんと株を借りて売るべきであり、業界はNaked Short Sellingを認めさせる努力をするのではなく、株のレンディング市場の整備にこそ尽力すべきである。

 


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金融教育について
 金融広報中央委員会による、金融に関する消費者アンケート調査(第3回・平成20年) 調査結果が公表された。特に驚くような結果はないが、金融不況の今だからこそ、改めて考えさせられる内容もある。
 少し内容について触れると、消費者がある程度知識はあると思う対象で、預貯金18.4%、保険・年金13.2%に対して、株・債券4.9%、金融商品4.7%と約3倍の差がある。(謙虚な日本の消費者なので、絶対数字は余り意味がない。)
 また、金融は難しいと感じている人は、56.9%で、我々もそう思うのだから仕方ないとしても、金融を知らなくても生活できるが40.4%ではさびしい。そして、金融に関する情報が入手しづらいとか分かり難いと感じている3割以上の消費者がいることを、業界としても真剣に受け止まるできだ。
 預貯金・保険に比べて、金融商品の知識に不安感があるのは、ご自分の生活の中で使っていないからだろう。
まずは、誰しもが必要な年金対策で、使ってもらうべきである。最近は多少改善されているが、確定拠出年金制度(日本版401K)の充実で、広く国民に使ってもらえる金融商品の受け皿になる制度整備を急いで欲しい。
 また、金融知識を得る媒体としては、7割の方がマスメディアによる情報の提供を望んでいて、HP上などインターネット対応も3割に達している。
 学校での金融教育についても、その期待と効果については半々に意見が分かれるようであるが、半数近くの方々が望んでいるということに、我々業界が答えるべき時期に来ている。
 確かに金融の仕組みで、複雑な市況や制度に対応する為に、説明そのものが複雑なものになってしまうことがあるが、その目的と予想される結果については、明確に説明するのが金融のプロであろう。
まさしく、金融教育は、金融のプロにこそ必要なものだろう。
 折しも、予定されている開示制度改革では、投信の目論見書の分かり易さが求められている。
金融に関する消費者アンケート調査

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公的金融の機能とは?改めて今問いたい
 AIUよ、お前もかと思わざる得ない米国金融だが、保険会社だと思っていたら、いつのまにか総合金融の名の元に巨大ヘッジファンドになっていたとはバーナンキFRB議長の怒りもごもっとも。
そして追加の資本注入。しかし、AIUでもCitiでも、いくら国の米政府の資本が入ろうが、米国の公的金融になったとは誰も思わないだろう。
 最近は多少治まっているとはいえ、各国の金融市場が不完全な現状で、中央銀行以外にも社債やCP、もしかして価値評価が異常に低下している株式まで、その受け皿になっている公的金融機関を頼もしく思うのは、金融・資本市場関係者として可笑しいだろうか。
 こんなに縮小してしまった市場機能を助けてくれそうだからと、公的金融に頼り切り、その民営化過程に問題を差し挟むつもりは全くない。
 しかし、何年に一度の金融危機であろうが、通常の市場参加者が怯えてしまった市場に、異なる価値観で参加してくる公的金融の機能を、金融機関は検証し、そして評価すべきではないか。
 現在、公的金融機関は民営化過程に入っているので、民間金融機関からみると民業圧迫議論が出易い。また適正な市場機能を歪めるという昔ながらの議論もある。しかし、歪んでしまった市場において、異なる価値観で動く公的金融機能も、また必要だったと気づいた昨今の金融危機ではなかったのだろうか。
 勿論、民間金融機関とは異なる経営基盤を持つのだから、異なるリスクも許容されると考え
  ・企業に対する信用供与の在り方
  ・中小企業への資金・資本供給機能
については、誰しも期待するところだろう。
 そして、資本市場関係者として期待したいのは、
  ・中小企業も使えるファンド等を使った小口の資本市場機能の整備
先づまりしたような地域ベンチャーファンドではなく、もっと資本が流通する市場整備に尽力されることである。

全国銀行協会による
 公的金融の現代的役割(概要)

こちらは、公的金融の機能概略図や民営化プロセスの図を参考にされたし
公的金融の現代的役割

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雇用と報酬―投資銀行の場合
 昨日(3/4)の経済ニュースで、昨年1000万ドル以上の高額報酬を得たメリル・リンチの幹部が、写真・実名入りで報じられていた。巨額の損失を出し、バンカメに吸収され、そのバンカメに公的資金という税金を投入しているのに、また米国民の怒りを買うという論調であった。
 確かに、どの様な業界であっても、報酬は収益に貢献したことの対価であるはずだから、巨額の赤字に対価としては説明不可能であるし、ボーナスなどの支払いも、統合される前通常よりも一か月早めてしまって、不透明感が拭えない。これだけコーポレートガバンスにうるさい国の、特にうるさい業態にあって、自分達の会社のガバナンスはどうしてしまったのか、至極残念なことである。
 少し前の数字になるが、筆者も日本における投資銀行の報酬を調べたことがあった。3年前の大雑把な数字で恐縮だか、日本における投資銀行の従業員一人当たり(秘書やその他サポートする人たちも含めた)の報酬額は、日系大手で1,500~1,700万、欧米大手では4,000~5,000万であった。
 勿論、全体の報酬の高さもあるのだが、何故欧米投資銀行は同じような業務で3倍の報酬を支払うのだろうか。稼いでいる金額が違う、持っている能力が異なる、---確かにそうかも知れないが、やはり雇用体系が異なるからだろう。
 外資系投資銀行の雇用は、実質一年契約だから、稼げなければ翌年の雇用は確保できない。従って、稼げるときには稼ごうとして必要以上のレバレッジをかけて、ついには弾けてしまったというのが今回の米国型投資銀行モデルの崩壊の一因ではないだろうか。
 投資銀行というビジネスモデルが悪かったのではなく、投資銀行の雇用システムが歪んでいた。
といって、トレーダーにしろ、バンカーにしろ、ファンド・マネージャーにしろ、独立した判断が出来るプロは必要である。しかし、本当のプロは一握りで、問題は投資銀行組織全体がこの一握りのプロの報酬体系を真似てしまったことにあるのだろう。
 長い雇用を前提にしなければ、企業とは長く付き合えないと思うのは、何も日本だけではなく、グローバルな常識でもある。
 もし投資銀行が再生していくなら、雇用と報酬制度について、企業や投資家の信頼に耐えるものに変える必要があると、敢えて思う金融不況のこの頃である。

大和総研コラム
欧米金融業界の高報酬は“スーパーバブル”だったのか?

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優先株とMSCB
 最近、毎日の様に報じられる欧米大手金融機関の国有化問題であるが、その公的資金の注入の多くは優先株の形でなされている。流通する普通株式とは大きく異なる投資条件を付けることが出来るので、新たな資本の出し手の不安を減じることが出来る。今なら、米政府が米国民にちゃんと説明できる投資の有利さといったところか。
 その有利な条件の中には、配当が高かったり、資本の返済期限があったり、普通株への転換する条件が通常よりも有利だったりする。この様な手法は、前回の日本の金融危機における銀行への資本注入時には多用され、金融機関の再生(?)に大いに役立った。
この様な調達スキームを、金融機関以外に、再生企業や新興企業が利用したのが、普通株式への転換価格を発行後に時価の下落した場合に合わせて修正できる下方修正転換条項付新株予約付社債(MSCB)であった。
 しかし、企業の調達目的とは裏腹に、特に新興市場銘柄では、調達先が第三者割当で内外の証券会社及びファンドが多く、その後の株価下落を招いたと見られた為、実質的には発行が規制されるようになったのが2年前の夏。
3月3日のジャスダック取引所の、ジャレコ社債で注意喚起といった記事で、久し振りにMSCB規制を思い出した。
 規制の概略(証券会社を規制するもの)は、
    ○MSCBを発行の合理性を確認
    ○時価以下に転換価格が修正される場合、(たとえば時価の90%に修正)
      ☆売り下がりの禁止
      ☆一日の出来高の25%までの売り
    ○発行の目的が、業務提携・資本提携以外なら、
      ☆月間の普通株での転換は、発行済み株式数の10%まで
    ○MSCB保有者からの売り注文は、上記の規制を遵守するよう要請
  等、
詳しくは、会員におけるMSCB等の取扱いに関する規則
となっている。
 今回のジャレコ社債については、関係者ではないので解説は避けるが、記者発表分を読んだ限りの感想として、記載者の真面目さは感じるが、やはり資金使途については不明と言わざるえないのが残念である。

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金融商品としての排出量取引
 以前にも触れたが、CO2排出量取引は金融商品取引法等で金融商品として認められており、証券も銀行も、金融商品としてトレーディングしてもブローキングしてもかまわない。
しかし、この表題は現状では面映ゆい。
 確かに、CO2排出量取引は通貨取引に似たような性格があり、それは国際通貨もあれば、域内や地方の通貨もある。中にはゲームの通貨の様なものもあるが・・・。
 つまり、参加者間で割当てたものを取引すればいいのだが、国際通貨は京都クレジット(民間が取引するのはCER)、域内通貨の代表がEUのEUA、日本国や東京都はそれぞれ独自に割当てをこれから行うのだが、CERとの何らかの交換性を持てば、立派なCO2排出量取引として成り立つ。
通貨間の交換が殆ど自由になった現在、外為証拠金取引として通貨は確固たる金融商品になったが、数年後に、CO2排出量取引もそうなって欲しいものである。
多少先行しているのが、EUのEUA取引であるが、当然京都クレジットのCERと交換可能で、かつ先物取引などのディリバティブも整備されている。

日本総研と提供コラム
CER価格に関する考察

 CO2排出量は、温暖化対策の為にも大幅に減らさなければならないのは誰しもが思うことではあるが、排出量取引価格はやはりエネルギー価格や経済環境に大きく左右されて、昨年夏以降は下落を続け、半年で三分の一まで下落している。その間にCO2が減っているいわけではなく、経済活動の急低下で、増加する量が多少減ったのかもしれない。

JOI/JBIC排出権取引プラットホームより

Q. 京都クレジットの価格はこのまま低迷を続けるのでしょうか ― アンケート結果を踏まえて

排出量取引は、政府が相場操縦しても良い金融商品でもある。
こんな経済環境の今だからこそ、排出量を厳しく設定して排出量取引の価格を上げ、同時にCDMなどのCO2排出プロジェクト促進を資金的にも支援してCERの供給を増やす。そんな政策プランが、環境&景気対策として出されても良い時代ではないか。

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いつ治まるのか、金融不安
 原因が解消されなければ、当然に経済の回復も望めない。
で、いったいつになったら、金融不安は治まるのかというのは、市場関係者のみならず、何らかの経済活動をしている者の、最大の関心事だろう。
 日銀やFRBその他各国の金融当局がかなり思いっきりのいい市場介入を行い、欧米各国政府による大銀行の実質的国有化策が示されても、金融機関の資金流通は改善しても、この金融に対する不安は、未だ払拭されたとは言い難い。シティ株式を3ドルだといっても、今は市場の方が、心配だから1ドルでも売っておくと不安にかられる。金融バブルの反動の、金融不安ブラックホール化といっては関係者を逆撫でするだろうか。
 しかし、下り坂も必ず底があることを、政府は今こそ市場参加者に示すべきである。その為の矢継ぎ早の市場対策こそ、景気対策に先行して望まれることは、金融・資本市場関係者なら誰しも思うことである。
 例えば、日銀が銀行から保有株式を買い取る・銀行の時価会計を一時停止する、・・というだけではなく銀行の簿価より保有株が下がった場合の損失分を政府保証する・・・
そんな金融不安の解消策を示されているのが、植田東大教授である。(NIRA伊藤理事長との座談会レポート)
 また、金融機関の運用関係者をあれだけ悩ませたバーゼルⅡ対策も、今回問題になっている証券化商品対策だったことを、改めて思い起こしたが、米国がこの規制を一部しか履行していなかったとは、あまり認識がなかった。
 確かに、今回の金融危機の原因は、レバレッジを効かせすぎた米国金融かもしれないが、植田教授が座談会の中で触れられているように、運用成績が悪化しても、そこそこの報酬を受けるファンド・マネージャーや格付け機関など、金融インフラの整備を我々関係者が怠っていたのにも問題の一部はある。
 今後、市場強化策などの金融政策を期待しつつも、ファンド規制など規制は強化される方向にあるのだから、市場関係者も自らのインフラ整備に努力することが、国民から期待されていると思いたい。
 NIRA座談会レポート
金融不安は治まったか

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