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2009/04
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外為証拠金取引規制強化―その背景
 4月28日、金融庁により、FX業者に対する規制強化案が示された。
FX取引における利用者保護の充実を図るため、内閣府令で、以下の措置が定められる予定である。
①FX取引の区分管理の方法を金銭信託に一本化
②金融商品取引業者にFX取引に係るロスカット・ルールの整備・遵守を義務付け
 同日、東証と大証の2009年3月期決算が発表がされたが、株式市況悪化から、東証が売買代金の3割以上の減少を背景に赤字になったのに対し、先物やオプションのデリバティブに特化した大証が4%の増益が伝えられた。
 現物市場に対するデリバティブ市場の拡大を伝えているが、FX取引もデリバティブ取引であり、特に個人が参加するデリバティブ市場としては、拡大著しい。上場FX商品に対する、大手証券初の取り扱い開始も、伝えられている。
 その様な中で、FX規制強化が実施される背景は、やはり急拡大したFX取引の現場での問題発生にある。
 4月24日、証券取引等監視委員会(SESC)より、FX取引に対して以下の建議がなされている。
外国為替証拠金取引業者に対する規制のあり方に係る建議について
この建議の前提となった、現場事例を、SESC検査による指摘事項から、簡素化して取り上げたい。
(詳細については、SESCの”金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項のうち主なもの”を、ご覧いただきたい。)
【事例1】
顧客に、通貨のオファー・ビットを提示しないで、顧客ポジションから反対売買を想定し、カバー業者が提示するレートより過大にサヤを抜いて、自らの利益を上げた。
【事例2】
ロスカット取引・取引において、注文の実行が徹底されず、後ほど、顧客に対して、架空取引で損失補填・利益供与がなされた。
【事例3】
FX取引に対して、不招請勧誘及び希望しない顧客への勧誘行為。
【事例4】
カバー取引先に預託すべき証拠金を、友人の貸付けに流用。
【事例5】
顧客から預託を受けた金銭を、自社取引の損失・運転資金に充当。
【事例6】
システム障害等により、カバー先とのFX取引において、顧客からの注文以上の発注が大量に発生し、自己ポジションが大量に発生。市場リスクの発生事実を把握していなく、その為、自己資本比率が一時的に120%以下であったが、その実態も把握せず。

 当事者には大変申し訳ないが、なんだかかつての証券事故を、思い出させる。FX業者も、第一種証券取引業者である。一部で注目されているCFD取引も、基本的な仕組みはFX取引と同様である。
 今後、拡大が予想される個人のデリバティブ取引に対して、やはり取扱業者が、個人のリスク管理を明確化する必要がある。その面で、ロスカット・ルールの整備・遵守の義務付けを、FX業者に課すことは、大賛成である。
しかし、一部新聞で伝えられるレバレッジ規制に関しては、金融機関にこそ徹底させるべきだが、個人に適用することに、強い違和感を持つ。個人に、投機家はいても良いし、個人が投機することはあっても良いのではないか。市場の投資家層の厚みこそ、大事だと思うのだが。



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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

ファンド規制強化について
 4月28日付け日経記事によると、EUによるファンド規制強化として、ファンドの認可制や、自己資本規制を、新たに導入することが、報じられていた。4月上旬の金融サミットで確認された、グローバルに活動する金融機関に対する規制強化を、先取りしている動きの様である。
 昨年の金融危機時に、ヘッジファンドなどが、原油や金融株を大量に空売りして急落を招き、混乱させたから、規制すべしとのことらしい。
 しかし、筆者はこのファンド規制強化の動きに関して、以下の2つの疑問がある。
○金融危機の原因は、ファンドの投資行為ではなく、金融機関が、ファンドの機能も使って、実質的に過大なレバレッジを自ら抱え込んだ、シャドーバンキングが、問題だったのではないか
○ファンド規制を強めると、金融機関と行動が同質化する懸念がある。市場において、参加者が同質化する結果、加熱のバブルと、その反動の市場崩壊リスクを負うことは、今回のCDSや証券化商品市場の崩壊で、経験したことではないのか。
 ファンド規制では、ドイツ・フランスと英国間でも相違があることが伝えられているが、英国は金融危機とファンドを関連付けることに、一線を引いている。
 しかし、金融危機の要因であるかどうかは別にして、原油や食料品の高騰に、影響があったことは事実だろうし、各国の規制や監視の及ばないファンドが、大きくなり過ぎたことに対する警戒は、金融危機がなくとも、各国金融当局間で、強まっていた。
 4月の金融サミットでも、以下の事が合意されている。
☆ヘッジファンドおよびファンドマネージャーの登録制の導入
☆レバレッジ等の情報を継続的に金融当局へ報告
☆グローバルな取引に対応する為、上記の情報は関係金融当局間で共有することを目指す
☆以上のことを2009年末まで実施
☆ファンドのレバレッジを監視し、取引相手である金融機関のエクスポージャーを制限する努力をする
※詳細は以下
金融サミット:金融システムの強化に関する宣言(仮訳)
 金融サミットにおけるファンド規制で、合意されているのは、大規模でグローバルに投資する可能性のあるファンドに対する登録制の導入であることを確認したい。
 ちなみに日本の現状のファンド規制は、登録制が原則であるが、条件次第で届出制に緩和される。
ファンドは、ビークルの型にかかわらず、集団投資スキームとして、金融商品取引法で定義されており、登録拒否要件に抵触しなければ、登録される。また、プロ=機関投資家だけを相手にするファンドであれば、機関投資家特例業務として届出だけで済む。
 恐れずに言うが、ファンド規制問題だけに関して、金融危機で、EUが自ら規制を強化することを奇禍として、日本の現状の規制を維持し、ファンドおよびファンドマネーージャーを誘致するビションを示す国家戦略が欲しい、と思うのは筆者だけだろうか。
 

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

IPO市場回復の為には
 金融危機により、資本市場全体が萎んでしまったが、金融当局や政府系金融機関によるCP・社債買取などで、大企業の利用する分野では、多少の改善傾向が見える。しかし、証券化市場は引続き停止状況に近いし、信用デリバティブなども回復には、まだ遠い。まして、小企業が資本市場を利用するのIPOは、復調の兆しも見えない。
 昨年度のIPOは49社となって、16年ぶりの低水準となっているが、そんな環境下で、プロ向け新市場TOKYO AIMが始まろうとしている。
厳しい経済状況にあって、企業側のIPO意欲はどうなのかというと、4月24日、帝国データバンクによる2009年度の株式上場予定・希望企業の動向調査が、公表されている。
 株式上場予定・希望企業の動向調査
 この調査は、帝国データバンクが、独自の調査で上場希望ありとした企業や、ベンチャーキャピタルが出資した企業に、調査票を送付して実施された。(2009年度は4,346社に送付し、1,605社が回答)
 何点か、気になる点を上げてみる。
一つは、厳しい経済状況の為なのか、上場希望企業数が860社と前年度に比べて120社以上も減っているが、これは2004年度(1,412社)から毎年減少していること。
二つめは、上場目的の第一位が、知名度や信用度の向上(75.5%)で、資金調達力の向上(59.9%)を上回っていること。
 投資家側からみると、IPO企業は成長力があってこそ、リスクマネーを提供するのであるが、リスクマネーを必要とする成長企業数が、減っているのであろうか。確かに、2002年以降のベンチャーファンド投資ブームが、一段落した観はあるが、成長企業数が4割も減少するような経済情勢が、5年以上も続いているのだろうか。
 この間、企業不祥事が相次いだり、金融商品取引法の制定もあり、公開企業の開示負担は相当増加した。また一部企業のMSCBが問題になり、企業ファイナンスが、結果として制限される方向のバイアスが、強まっていた。つまり、新興企業にとって、上場後のコストが重い割には、ファイナンスのメリットが受けにくい市場になっていったのでは、という疑念を持つ。
 勿論この問題は、新興企業をIPOのステージに上げ、その後のファイナンスをサポートしいく市場仲介者としての証券会社の責任が、大ではある。
 しかし、調査にある上場希望860社の内、まだ稼働していないTOKYO AIMや海外市場上場を希望している企業が56社もあるのは、日本の既存新興市場における上場維持コストやファイナンス機能を問題にしているのではないだろうか。このことは、3つ目の気になる点である。
 TOKYO AIMは、プロ向け市場なので、制度開示が一部軽減されて、四半期開示や内部統制報告書は必要ない。また、ロンドン取引所の参加者も、直接市場参加できることから、欧州のリスクマネーも期待できる。シンガポールの新市場カタリストも、アジア企業のみならず日本企業へのアプローチも伝えられる。
 既存の新興市場にも、企業の負担を軽減する仕組みや、リスクマネーを引き付ける取組みが必要だろうが、結局は、その市場に直接参加する市場仲介者=証券会社の自助努力に、頼るだけでは心もとない。プロ向け市場が開設されることで、既存の新興市場も活性化されることを強く望むが、その為には、新興企業のメリット・市場仲介者のメリットを打ち出す新しい取り組みを、新興市場運営者に期待したい。
 

テーマ : 証券・金融関連業務
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大と小―資本市場の場合
 世の中が成長している過程なら、大と小の違いはあまり問題にならない。しかし、そうでない前提だと、大と小への対応の違いが、問題になってくる場合が、増えるのだろう。いくつかのニュースに接して、そう思った。
 例えば、今回の金融危機の主因の一つとなったCDS取引。殆ど大の金融機関のみで取引され、限られた取引者間の市場において、膨らんだとこで一気に萎んだ。もっと、小の参加者が多数参加する市場なら、実質的に市場崩壊するようなことは無かったかもしれない。
 かたや農業の産業化があまり進んでいなく、雇用の受け皿として、最近の農業ブームの割には問題があるといたニュース。こちらは、あまりにも小の農業者に配慮して、大の企業参入の阻害要因になっている農地法の問題。
 大に頼り切って、自壊した市場。小に配慮し過ぎて、成長しない市場。
ちなみに大のCDS取引は、取引や価格情報の提供促進や、取引ルールの基準化や決済機構設立で、中小の投資家(個人も含む)を取り込もうという市場改革が、官中心に行われそうである。
 資本市場においても、大と小の問題は顕著になってきている。
例えば、コーポレート・ガバナンスに関して、昨今の企業不祥事や敵対的M&Aとそれに対する買収防衛策・大量の第三者割当など、投資家が問題にしている経営者の行為に対して、独立性の高い社外取締役導入を義務づけようとする動き。
大企業に対しては当然と思うが、新興市場の中小企業は、年々重くなる開示負担に加えて、更なるコスト負担が強いられる。
 取引所であれ金商法であれ、このルール導入を議論している人たちは、新興市場には、成長が期待されているが、まだ成長していない中小企業もいることを、意識して欲しい。
 一方、FX取引において、証拠金のレバレッジを規制して30倍程度まで抑える行政の動きが報じられた。確かに大銀行は、レバレッジを掛け過ぎて、失敗したが、FX取引は個人投資家主体である。
レバレッジの大きさを問題にして、大手金融に機関に対する規制論理を個人に当てはめて良いのだろうか。
行政が行うべきは、個人の投機を排除するのではなく、FX取引を取り次ぐ業者が、その個人のリスク管理を適切に行っているか、注文執行は適切か等、仲介者への管理行政ではないだろうか。個人の投機をなくしたり、投機を無理やり投資にする必要は、ない。
 今、資本市場の機能は、多少回復したとはいえ、一部機能は停止したままである。
グローバルな流れから、資本市場において、大に対する規制が厳しくなるのは、しっかり受け止めて対応しなければならない。しかし、小に対する規制については、緩和している部分があっても良いのではないか。特に、資本市場への参入及びその規制に関して。
 来月には新取引所TOKYO AIMもスタートしそうである。そして、既存の新興市場改革も、いよいよ本格化する。
成長しない企業の退場を促すことは、結構だとおもうが、上場の間口を広げ、市場誘導者への負担の軽減を行うことで、資本市場に新たに参加するまだ小の企業にも、市場関係者は配慮して欲しい。
 資本市場における大と小の隙間を埋めるのは、中の機関投資家かもしれない。

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日本の金融が望まれること―経済界から
 日本の金融・資本市場機能が、欧米に比べて周回遅れと、昨年初めまではよく言われていた。一昨年12月には、金融・資本市場競争力強化プランが、政策として打ち出されていた。
 筆者は、今でもそう思うが、昨年のグローバルな金融危機で、お手本とする欧米投資銀行が壊滅状況になって、周回遅れを取り戻すチャンスである。確かに、お手本とする欧米投資銀行は、膨張し過ぎたレバレッジ・リスクの管理不能・ジャドーバンキングによる不透明化・グリードな報酬など多くの問題を残した。しかし、リスクマネーを供給する機能は、学ぶべき事が多くあり、欧米大手金融機関が足元の整理に追われている内に、その機能を整備して追いついていくべき事も多々ある。
 以下のレポートは、経済同友会の金融・資本市場委員会が4月22日公表したものであるが、20P以降の部分は、経済界として、日本の金融に、今何を期待しているかという視点で注目した。
(勿論、昨今の金融危機についても、よく整理されていると思う。)
米国発金融危機とわが国金融の今後の課題
 グローバルな金融危機の影響で、日本の機関投資家のリスク許容度が著しく低下して、資本市場が機能不全に陥ったが、日銀・政府系金融機関の市場対策によるプレゼンスの上昇は、当面仕方ないとしている。
 しかし、資本市場を活性化し、間接金融との役割分担あるいは融合のもとで、金融仲介機能を強化する為には、以下の様な市場強化の論点を示している。
○リスクマネーの供給
外国人投資家が中心になっている市場構造の問題があり、国内投資家の厚みをつける
○貯蓄から投資の推進
個人投資家増加の為、税軽減のインセンティブ・投資家保護の充実・金融リテラシーの向上
○情報インフラの整備
クレジット市場(債券やCDS)における、売買価格を個人投資家にも公開
○リスク・リターンのバランス
資本市場におけるプライシングの問題は、銀行の貸出金利設定から始まっていることが少なくない。リスク・リターンがきちんと反映されるべき。
○国際競争力の強化
市場の整備やファイアーウォール規制の緩和、決済の効率化(為替取引の柔軟化)、上場企業のコーポレート・ガバナンスの強化
 また、行政に対しては、国際間の金融機関監督では、規制が厳しくなる方向は避けられないが、国内の金融機関に対して、プリンシプル・ベースの監督を進め、金融機関の自主性確立を促す方向が望ましいとしている。
 基本的には、金融・資本市場競争力強化プラン(2007.12)の一層の推進であるが、欧米金融機関が、アジアから撤退傾向にある今、中国やインドを意識して、アジアの金融インフラ整備をリードすることも期待されている。例示では、アジアでの日本の技術を活用した海外プロジェクトの必要資金を、円建て債で発行して、日本の投資家にサムライ債として販売する案も示している。
 資本市場機能が、未発達だったところに、一時的に機能停止してしまった感があった日本の資本市場ではあるが、基本は資本市場にリスク・マネーを仲介する金融機関の機能にあると、筆者は考える。  そのポイントは、仲介者のインセンティブを明確にして、業務参入のバーを下げ、仲介者を増加させることではないだろうか。

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M&Aビジネスのアンバンドリング
 トムソン・ロイターによると、2008年度日本に関わる公表M&A案件は、2,951件、TOBは107件だったそうだが、この様な金融情勢にもかかわらず、高水準を維持している。
 M&Aアドバイザーランキングを見ると、相変わらず日米の投資銀行が、ほぼ上位を占めているが、
一部に、M&A専業アドバイザーや会計系コンサルが順位を上げているのが目に付く。
 確かに、投資銀行にとってM&Aは、ファイナンスやトレーディングとともに、その中核のビジネスであるが、M&Aアドバイスは投資銀行にしか出来ない訳ではない。
 そもそもM&Aのプロセスを見ていくと、一般的には以下のような手順となっている。
(事業承継ガイドライン検討委員会によるプロセス、企業を売却するケース)
①M&A仲介機関の選定
 M&Aは情報管理が全て。M&Aを検討する経営者は、普段接触する金融機関・投資銀行・会計事務所などからM&Aアドバイザーを選任する場合が多い。
②売却条件の検討
 M&Aアドバイザーは、売却側経営者の譲れない線を、早期に固めておく必要があるが、その為にM&Aに関する環境情報を提供し、経営者の市場環境に関する理解を深めることも必要
③企業価値の向上
 M&Aアドバイザーは、売却交渉が有利に運ぶ為の、事前準備で財務リストラや業務のスリム化、経営計画の再構築等により、企業価値向上のアドバイスを行う。
④買い手候補の探索
 M&Aアドバイザーは、自ら、若しくは他者のネットワークを利用して、複数の買い手候補を経営者に提示。経営者納得の為の議論を進め、買い手交渉相手を絞る。

――ここまでがM&Aの準備段階だが、ここまでがM&Aアドバイザーとして重要な機能とも筆者は考える。

⑤条件交渉→基本合意
 M&Aアドバイザーは、売却側経営者の立場に立ち、買い手側との交渉が進む様に支援を行う。買い手側には、別途アドバイザーがつくの基本。
⑥売り手企業の精査(デューデリジェンス)
 デューデリジェンスは、買い手が行うが、M&Aアドバイザーは、DD作業手順が問題なく行われるよう支援アドバイスを行う。
⑦最終交渉
 価格やM&A後の条件に関して、最終交渉となるが、M&Aアドバイザーは、価格については、適正価格に関する算定書(自ら作成、若しくは専門組織に依頼)を準備し、プレミアムに関する検討を支援する。
⑧売買契約(クロージング)
 売却企業が公開会社の場合、TOBが必要になるが、これは実質的には証券会社でなければできない。よって、M&Aアドバイザーが証券業務を営んでいない場合、別途証券会社を招集する。

――ここまで、ディールとしてのM&Aは終わりであるが、最近は以下も重要視されている。

⑨両者の調和
 M&A後のメンテナンスとして、最近はPMI(Post Merger Integration)=【 M&A後のシナジーを獲得するための統合プロセスとマネジメントを指す。】を重視する傾向が強まっている。M&Aアドバイザーとしては、このアフターM&Aまで想定して、調整を行っていくことが理想となっている。

以上、長々買いてしまったが、M&Aアドバイスを全てカバーしようとすると、時間かかるし多様な機能も求められる場合が多い。
全ての機能がある投資銀行でも、M&Aは途中でキャンセルになる可能性もあり、時間と人的コストのリスクを負うことになる。
 すでに金融アンバンドリングの流れの中で、このM&Aビジネスにおいても分業化が進んでいて、上記の各プロセスに対応するような専門家集団は、欧米ではブティック型投資銀行として育っている。
 日本においても、ブティック型投資銀行が育って、貪欲の汚名を投資銀行からぬぐい去る時代が来ることを、期待している。


 

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発行登録制度の利用促進を
 野村ホールディングスに続き、三井住友ファイナンシャルグループによる大型の公募増資が公表されている。最大8000億円という募集額は、多分今年最大の公募増資になる可能性があり、相次ぐ金融機関の増資と、今年の市況を占う意味でも、注目されている。
 この増資は、発行登録制度を使って行われているが、通常の届出書制度に比べて、企業が機動的にファイナンスを行うことが出来る為、社債の発行において利用されることが多かった。
発行登録制度は、
 ○発行する有価証券の種類ごとに登録しておけば、1年ないし2年の期間中、発行条件さえ決定すれば、最善と思える時期に直ぐ募集できる。
 ○価格等の条件が決まる前、発行登録目論見書で、実質的に事前の勧誘活動が出来る。
 ○需要状況を勘案して、一部の発行も、問題ない。
などの利点が利用されていたが、株絡みについては、発行登録金額が大きければ、市場からダイリューションを懸念したネガティブな反応が懸念され為、企業の利用は慎重だった。
 しかし、本当に必要な資本なら、その使用目的を明確にし、リスクを明示して、市場や株主に需要を問うのも、資本市場の大事な機能だと考える。極論かもしれないが、需要が無ければ、ファイナンスは実行しなければ良い。それらを推し量る道具として、発行登録制度はエクイティ・ファイナンスでも多様されるべきと考える。
 多少テクニカルな面に触れると、野村Hや三井住友FGのファイナンスの様に国内・海外同時募集のグローバルオファーリングの場合、国内・海外其々の投資家需要の変化に合わせて、国内募集分と海外募集分の調整が直前までしやすい事も、発行者のメリットとしてある。
 一方、この発行登録制度の利便性を向上させる為の開示制度改革が、新年度に予定されている。
1.利用適格要件の見直し
周知性の要件を見直し
  ・格付け要件の廃止
  ・例えば5年間で100億円など、過去の有価証券発行実績を新たな条件に
2.SPCによる発行登録制度の導入
資産流動化法上あるいは外国のSPCも利用可能に
  ・資産流動化法上の特定社債券
  ・優先出資証券
  ・新優先出資引受権及び海外SPCの発行する同類の有価証券
3.プログラム・アマウント方式の採用
機動性のあるファイナンス機能を
  ・期間中に償還された額を、発行上限額に追加
など、制度も改善される。
 2000年以降の改正商法と会社法制定で、会社の資本政策に関しては、随分取締役会に授権された。その為、機動的な資本政策は企業にとって必要であり、資本調達における発行登録制度の利用促進を期待している。勿論、不必要な資本に関しては、自己株買いとその消却で対応する機動性も求められるが、その結果判断をするのは、株主である。

 
ベンチャー企業と資本市場
 4月20日の日経記事で、”エンジェル税制利用最多、対象企業3.3倍”と、昨年度のエンジェル税制改正を契機に、この制度を利用するベンチャー企業の増加を、伝えていた。
 資本市場の入り口は、普通はIPOだと見るのが一般的だが、それは企業の成長段階に合わせた見方である。投資家側からみると、成長力のあるベンチャー投資は魅力だろうが、リスク判断が難しく、また、投資へ誘導する金融の仕組みが、必要である。
ベンチャー・ファンド、エンジェル税制、グリーンシート市場(エマージング)などは、資本市場の機能として既にあるのだが、この流れは細く、欧米に比べると、2桁近く小さな規模でもあった。
 金融危機からの経済不況の最中ではあるが、このエンジェル税制を利用する企業の増加は、資本市場にとっても好ましい出来事である。
《平成20年度改正された個人のエンジェル税制の概要は以下》
○新たに導入された税制優遇措置
 投資額―5000円を総所得から控除できる(投資額は1000万円か、年収の40%の低い方が限度)
○以前からの税制優遇措置(上記優遇措置を利用した場合は、利用不可)
 その年の株式譲渡益から、ベンチャー企業への投資額を控除(限度額なし)
○投資方法は以下の3つ
 *ベンチャー企業へ直接投資を行う
 *ベンチャーファンドなどの認定投資事業有限責任組合経由で投資
 *グリーンシートのエマージング銘柄への投資

以上の様なエンジェル税制活用は、日経記事で取り上げられた200社弱(昨年度増加分の85社を含む)に限られない。
 政府系金融や地方公共団体・地域金融機関中心に、既に500近いベンチャーファンドが組成され、約15000社に対して、1兆円弱の投資も既に行われている。これを支える為にも、個人資産が新エンジェル税制を使って、これら地域ベンチャーファンドに誘導されれは、日本のベンチャー投資の裾野も拡がっていくと期待している。
 資本市場とベンチャー企業。一見、距離がある関係にも思えるが、ファンドという資本市場の集団投資スキームを活用すれば、個人の資金も有望なベンチャー企業に誘導されやすくなる。確かに、ベンチャー企業への投資は、一件毎少額で、またハンズオンの手間もかかるだろうが、これらの企業育成は地域金融機関の得意とするところだったはず。
 6月以降、金融機関はファイアーウォール規制緩和で、企業への資本市場機能活用の提案活動は増加すると見られる。
ベンチャー企業の内容をよく知る地域金融機関こそ、ファンドスキーム・新エンジェル税制を活用して、個人資産をベンチャー投資へ誘導する仲介機能を、持っていると考える。

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スタートする内部統制報告書―そのイロハ
 新年度に入り既に3週間が過ぎようとするが、この6月からは、いよいよ新しいディスクロージャー制度として、3月期決算会社からの内部統制報告書提出がスタートする。
 企業の財務部門や経営者の方々は、この報告書作成が佳境に入っているだろうが、4月2日に金融庁からも最新版の「内部統制報告制度に関するQ&A」が公表されており、経営者及び実務者が何を心配されているか、読み取る資料としては良い。これは、また別の機会に取り上げたいが、本日は、そもそもの内部統制報告書のポイント(イロハ)について、おさらいをしておきたい。
【制度導入の背景】
エンロン等の企業不祥事を受けた米SOX法対応に倣って、内部統制の必要性
【制度導入】
金融商品取引法で、平成20年4月以降開始する事業年度から、上場会社を対象に適用
【内部統制報告書制度】
財務報告に係る内部統制の《評価》と《監査》を義務付け。上場会社は、内部統制報告書を提出義務、その報告書に対する監査法人の内部統制監査報告書
【報告書制度概要】
・事業年度毎
・対象は、当該会社の属する企業集団及び当該会社
・財務計算に関する書類その他の財務報告の適正性を確保する為に必要な体制について評価した報告書
・有価証券報告書と合わせて提出
【会社法との関係】
大会社には、以下の内部統制の態勢整備が求められる。
①業務の有効性及び効率性
②財務の信頼性(金融商品取引法で求められるのは、この部分だけ)
③事業活動に関わる法令等の遵守
④資産の保全
【財務報告に係る内部統制の評価・報告の流れ】
○全社的な内部統制の評価
        ↓
○決算・財務報告に係る業務プロセスの評価
        ↓
○その他の業務プロセスの評価
 ・重要な事業拠点の選定
 ・評価対象とする業務プロセスの識別(監査人と協議)
 ・評価対象とした業務プロセスの評価
 ・内部統制の報告
【評価・監査コスト負担が過大とならないための方策】(米SOX法導入時に見られた過大なコストを避ける為)
 1.トップダウン型のリスクアプローチ
 2.内部統制の不備を、「重要な欠陥」と「不備」に簡素化
 3.監査人は、経営者が実施した内部統制の評価について監査を実施
 4.内部統制監査と財務諸表監査は同一の監査人が実施
 5.内部統制監査報告書は、財務諸表監査報告書と合わせて記載することを原則
 6.監査人は、監査役と適切に連携し、必要に応じて、その業務等を利用

以上となっているが、これを投資家や市場仲介者が利用するような議論も待たれる。



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地域からの企業再生の取組み―そして資本市場は?
 産業再生機構が、また必要な経済情勢が続きそうであるが、地方において、中小企業再生への取組みが本格化することが、期待されている。企業も人間と同じように、誕生・成長と衰退のサイクルを繰り返すのだから、事業や人材を承継する為に、合併や事業譲渡などM&A的手法が使えれば良い。しかし、事業承継に悩む多くの中小企業は、その前に、不良資産部分を切り離して、再生へのプロセスに乗せるシステムが必要だった。
 地域という現場で、地域の金融機関が独力で行う再生支援には限界(再生支援者とお金の貸し手としての利益相反等)があるとされ、1999年[産業活力再生特別措置法](現在は改正法)により各都道府県毎に、中小企業再生支援協議会が設置された。
 この活動内容について、日本証券経済研究所レポートで、報告されてる。
地域における中小企業再生の取り組み
 簡単に紹介すると、支援プロセスは以下の様になっている。
①一時対応:専門家(会計士等)による相談プロセス、再生計画の策定の必要性を判断
②二次対応:再生計画策定支援プロセス
 ・関係金融機関を含んだ個別支援チームの編成
 ・デューデリジェンス
 ・DES、DDS,事業譲渡等の再生スキームの調整
③再生計画の実施におけるフォローアップ
この様な取り組みを行う協議会が、全国47都道府県に設置されており、地域金融機関出身者を含む平均的には5名程度の再生マネージャーによって、中小企業再生を支援している。
 中小企業庁によると、2008年末までの相談取扱い企業数累計は16,526、再生計画策定完了数は1,971に達している。
 発足当初は、地元商工会議所の相談機能を中心としたものが多かったようだが、2007年に、この47協議会の情報共有や再生計画策定サポートを行うネットワークのハブとして、中小企業再生支援全国本部が、設置された。
 この本部から、地方の現場で不足がちな再生専門家の派遣や、地域金融機関との再生条件の調整なども行うことが、可能となっている。
 地域企業の再生は、地域の現場でといった意識に囚われず、2008年4月には”中小企業再生支援協議会事業実施基本要領”など現場マニュアルを公表しており、再生計画策定を実務的に機能させていく共有システムとしては、評価できるので、今後の本部の活動に期待している。
 地域における企業再生への取組みは喫緊の課題なのだろうが、新しい企業を育てるベンチャー支援対策に関しても、地方現場では専門家の不足が指摘されており、この再生本部の様な共有ネットワークの構築を、”官”に対して強く期待したい。

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CDS取引システムの早期の強化を
 今回の米国発金融危機の発端になったサブプライムローン、更に危機を拡大した証券化商品CDO。このCDOの源資産になるのが、CDS(グレジット・ディフォルト・スワップ)であり、最近のニュースとしてAIUに投入された公的資金のかなりの部分が、このCDSの契約履行の為、ゴールドマン始め、自らも公的資金注入を受けた欧米の大手金融機関に、流れたことが話題となった。
 BIS(国際決済銀行)によれば、このCDS取引の想定元本残高は、2005年から2008年の僅か3年間に、10兆ドルから57兆ドルに急拡大していた。
 CDSはデリバディブ取引であるから、基本は相対取引で、その決済もお互いの信用リスクの上に行われる。勿論、取引にレバレッジをかけていた方が悪いのだか、もしAIUが破綻していたなら、世界の金融システムが壊滅的打撃を受けたことは、想像し難くない。
 この様な状況もあり、欧米金融当局は、CDS取引の透明性を高める為の動きを強めているが、CDS取引の清算機関設立に向けた後押しも、その一貫である。
 このCSD取引清算機関は、CCP(セントラル・カウンターパティ)と呼ばれ、CDSの売り手、買い手双方に対して直接の決済相手として機能する。取引参加者の破綻などが、他の取引参加者に及ばない仕組みであるが、もう一つの目的は、取引の標準化である。
 もともとデリバティブ取引は、相手の信用状況やニーズを加味して契約するので、内容は多様であったが、これでは金融当局が実態を把握し難い。取引の標準化が進めば、金融当局によるCDS取引の実態把握が用意になる。
 金融機関側でも、規制強化と渋るだけではなく、前向きに捉えようという動きも強まっているが、取引が標準化されて、清算機関があれば、当然ではあるがCDS取引所である。
 大手の金融機関による節操なきレバレッジが今回の金融危機の本質かもしれないが、CDS取引が取引所取引として経済実像に合わせて拡大していけば、グローバルな金融機能も回復が早まる。
 ただし、自国の金融機関や、更にCDSの対象となる大手企業に影響するので、清算機関設立の主導権争いのような動きも、既に始まっているようだ。
 野村総研レポート
 欧米における複数のCDS清算機関設立の動き
 一方、我が国においても、東京金融取引所が2010年度中、CDSの清算機関を設立して営業を始めると報じられている。
 東京金融取引所のCDSに対する取り組みについて簡単に触れると、2004年から日本に於けるCDS取引の情報を金融機関から集約し、それを参考値として算出し直したものを公表している。 現在は、125銘柄に及んでいるが、いずれも日本を代表する企業である。
 また、ISDA Japan Credit Derivatives Committee: Research Working Group作成による、CDS取引に関する情報提供を、Q&Aの形式で行っている。(Q&Aの内容について、機関投資家への情報提供としても十分な水準と筆者は思う。)
 詳細は、東京金融取引所が運営するJ-CDSという専用サイトをご覧いただきたいが、
  ①関連する情報を集約して、売り手・買い手双方に平等に提供する
  ②取引を標準化し、ルールを整備する
  ③清算機関を設立し、取引の決済の円滑化を進める
これらは、取引所としての基本だと思うが、CDSに関して取り組まれている東京金融取引所に対して敬意を払いたい。
 できれば、欧米の金融機関の取り組みに先んじて、金融インフラとして整備していただきたいが、その為、我が国金融機関の協力は、必須である。

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金融商品としてのCFD
 新しい商品が市場に出回るのは、基本的には市場全般の活性化に繋がるので、良い事である。
表題のCFDは、Contract For Difference の略称で、直訳すると“差金決済取引”をとなるが、その仕組みは、ヘッジファンドなどが投資銀行との間で行っていた”エクイティ・スワップ”と同様のものである。 2005年末から、日本でも個人投資家向けに取り扱う証券会社が出始めているが、昨年までは5社程度であった。
 注目されだしたのは、昨年の金融危機以降の株式市場や商品市場の急落局面で、個人投資家の参加が増加が目立ち始めたようで、今年に入って予定も含めて、新たに5社が取扱いを始める。
 以下、簡単に仕組みを紹介したい。
○取引対象となるのは、個別株式・株式関連指標・海外株式・海外株式関連指数・海外債券指数・海外金利指数・商品関連指数等。
○証拠金を元に、取引額にはレバレッジをかけるが、現在日本の業者は数倍~40倍までを受けている。(一部100倍を超えるものもある。)
○インターネットを使って、24時間取引が可能。
○原資産を直接保有しない。(この取引をカバーする金融機関が、源市場での直接の売買者)
○海外株や商品など、個人にとって、取引コストが安い。 等
基本的な構造は、外為証拠金取引と同様なので、第二のFX取引にと期待する向きも出始めている。
 もともとは、ファンドなど機関投資家を相手に、投資銀行が取り扱っていた取引であるが、欧州市場では、今も機関投資家のCFD取引が主流である。
 このCFD取引が、源市場へ与える影響も大きくなっているようで、ロンドン取引所においては、CFD取引業者のカバー取引が3割を超えているとの報告もある。
ただし、CFD取引は相対取引なので、取扱業者にとっては直接カウンターパティーリスクを負うことになる。昨年来の金融危機の様な状況では、このカウンターパティーリスク管理は、投資家・取扱業者・カバー金融機関それぞれにとって、重要事項となっている。
 このため、一部CFD取引に関しては上場物として管理しようとの動きも強まっているようで、ロンドン取引ではFTSE100、東京金融取引所でも日経平均株価を投資対象とした上場CFDが2009年中に上場される予定である。
注目を浴びる金融商品「CFD」
 行政の動きに関しては、このCFD取引は、店頭デリバティブとして対応しており、CFD取引の証拠金についての分別管理は、金融商品取引業者として徹底するように、法規制の改正を準備している。
(但し、商品CFD取引に特化した業者に対しては、現状では金融商品取引法の規制は及ばない。)
 このCFD取引が、新しい金融商品として発展していくことを願いたい。
制度整備や取扱業者・カバー業者のカウンターパティーリスク管理も大事なこのビジネスの仕組み作りではあるが、実は最も大事なのは、投資家のリスク管理ではないだろうか。
 取扱業者である金融商品取引業者にとって、個人投資家にレバレッジを提供するなら、同時にそのリスク管理の仕組みや情報も提供すべきで、取引の勧誘時にはロスカットルールの徹底も同時に行って欲しい。これは、各社対応がまちまちなFX取引の損失カットルールに関しても、同じように思うことである。

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中小企業M&Aの課題と期待
 株式市場の多少の回復もあって、証券会社の営業サイドも明るさを取り戻しているようであるが、といって、あまり景気の良い話も聞かない。しかし、その中で営業店からのM&A関連情報に関しては、相変わらず増加しており、その対応に多忙な様だ。
 営業現場でも、地元企業への営業アプローチとして、事業承継としてのM&Aなどといったテーマで、顧客への攻勢をかけているようだが、実際案件として話を進めていくのは、1割程度だろうか。
 一方、地域金融機関においても、6月からのファイアーウォール規制緩和を睨んで、地元企業へのM&Aサポート体制を強化しようという動きもある。M&A実績は、地銀全体で300件強(一昨年概算)で、ビジネスマッチングの3万件と比べると、実績はまだまだだが、リレバンの流れもあって、地元企業への密着した支援体制の強化では、強化注力しなければならない分野だ。
 ただし証券の立場からみると、ビジネスとしてのM&Aの取り組み体制が確立していないようにも思う。そのことが、そのまま地域での中小企業の事業承継対策として期待されている割には、成約実績が少ない原因だろうか。
 昨年11月の国会図書館調査では、以下の問題点が上げられている。
○経営者の心理的抵抗感
 売却への抵抗感→廃業への選択
○M&Aに関する情報の不足・偏在
 M&A仲介業者が、東京・大阪など大都市圏に集中、情報も同様
○経営管理の不足
 決算書類等が不備で、デューデリジェンスに至らない
○マッチングの問題
 中小企業に対する買い手不在、仲介者のネットワークが機能せず
○仲介手数料(成功報酬)の問題
 企業規模の割に、成功報酬額としてのフィーが高い
○企業価値(譲渡価格)の算定
 公開企業と違い、売買の指標が少ないのでオファー・ビットの乖離が大きい
これらのギャップを埋めていくのが、投資銀行的機能だろうが、案件規模の桁が2つぐらい違って、投資銀行が参入しないM&A市場なのである。
 しかし、以下の公的取組や地域金融機関同士のネットワーク化によって、上記の課題を埋めていくことも期待される。
 ☆情報提供・相談窓口
 商工会議所等の活動、独立系M&A業者の増加、”事業承継支援センター”設置(経済産業省2008年5月)
 ☆マッチングサポート
 大阪商工会議所”M&A市場”、東京商工会議所”東商M&Aサポートシステム””関東圏M&Aサポートネット”
 ☆金融・税制
 ・日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫”企業再建・事業承継支援資金”
 ・中小企業基盤整備機構=事業継続ファンド事業
 ・中小企業庁による非上場株式の価格算定の指針
また、今後政策等で期待したい事として、
 ○中小企業の売買のデータベース構築(市場化)-フランスには譲渡希望企業データベースが整備
 ○M&Aによる事業承継を促進する為の中小企業譲渡益の軽減
などが上げられている。
M&Aによる中小企業の事業承継

以上の公的支援にも期待しながら、中小企業のM&A仲介者としてのネットワーク作りは、地域金融機関に求められている資本市場の重要な機能の一つ、と考える。

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買収防衛策について
 M&A情報専門会社によると、2009年に入って、世界的には金融・経済危機の影響もあってM&A市場は縮小傾向だが、日本でのM&A案件数は順調に推移しているそうで、2009年第1四半期は前四半期比で65%伸びているそうだ。
 一方、上場企業の方は、3月期の決算発表を控えてはいるが、6月の株主総会に向けての準備で多忙な時期である。
市場からすると、また買収防衛策導入の企業数が増加するかと思うと、せっかくの戻り歩調の市場環境にも、水を差された気分になる。企業の方には申し訳ないが、ハッキリいって買収防衛策に対して、投資家・株主は否定的なのである。
 とはいっても、上場企業は株主のものだけではない、というのが、今の社会のコンセンサスなのだから、せめて企業価値を上げるという大きな目的の基で、買収防衛策をどうするか、取締役会がまずは判断して下さいということで、2005年5月”企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針”が経済産業省傘下の企業価値研究会で取り纏められた。
 このルールが買収防衛策導入の根拠になっているが、その後の敵対的買収事例やそれに対する判例から、
○経営者が自己の保身に使わないことが何らか担保されているか
○株主総会で導入した防衛策の発動が、その後の環境変化によって、本当に株主の利益になるのか
○特定の買収者だけにお金を渡す仕組みは、本当に株主の利益になるのか
○買収者に説明を求めるのに、長期かつ詳細に求めることがそもそも可能なのか、かつ単なる引き伸ばし行為とはならないか
 など、買収防衛策の目的遂行に対する懸念がだされ、昨年、企業価値研究会では”近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方”を取り纏めている。
 今後増加が予想される防衛策絡みの報道を判断する考え方の一つとして、以下に紹介する。
《買収防衛策に対する取締役の行動への考え方》(※以下は報告書案より、見易さを考慮して、筆者が解釈して簡素化した記載である。)
①株主以外のステークホルダーの利益をタテにとって利益に関する議論を不明確にしたり、自らの保身を図ってはならない。
②LBOであることのみで、買収防衛策の発動を判断してはならない
③買収提案に対して、検討期間を意図的に引き延ばしてはならない
④株主共同の利益を向上させるという観点から、買収提案・買収者の属性・資力等を判断
⑤株主の利益になるなら、買収条件の向上に向けて、買収者と交渉を行わなければならない
⑥株主共同の利益を最大化させる提案と判断した場合、買収防衛策を不発動を株主総会に問うまでもなく、直ちに決議しなければならない
⑦買収提案に対する取締役会の評価等は、事実に基づいて、株主に説明しなければならない
 と、かなり取締役会に対する要求は厳しいものになっている。
買収提案で、熱している取締役会が、冷静に対応していくのは少々困難とも思うが、現在、コーポレート・ガバナンス強化で、導入が検討されている独立取締役に、期待すべきことなのかもしれない。

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J-Nomadと主幹事
 いきなり専門用語、それも先の方は、まだ正式には使われていない言葉から始まってしまったが、このどちらの言葉も、企業を資本市場と結び付けていく上では、重要な機能を果たしている。
 先のJ-Nomadは、今月下旬にはスタートすることが予想されている新市場Tokyo AIMにおいて重要な市場仲介機能を持つ指定アドバイザーのことである。
 Jは日本という意味、ではNomadはというとNominated Adviser=指定アドバイザーのことで、誰が指定するかと言えば、新市場Tokyo AIM(=Alternative Investment Market)に上場を希望する企業が指定をする。その機能を簡単に紹介する。
○上場前の企業に対して
・上場プロセスについてアドバイスを行い、当該会社の上場適格性に関する調査・確認を行う。
・新規上場に関する事務を行う。
○上場後の企業に対して
・上場企業に開示義務等を順守させるとともに、その開示事務を行う。
・アナリスト・レポートが広く発行されるよう努力する。
○上場後のマーケットメーク等の流動性に努める【流動性プロバイダー】(自ら兼ねても良いが)を確保するように努める。
 といった、通常の主幹事業務と取引所業務の一部まで取り込んだような手厚い対応を、企業に対して行う機能を持つものである。
 グローバルな新興市場として成功しているといわれるロンドン取引所のAIMにおけるNOMAD制度を、ほぼ同様の形と取り込んでいる。
 以前の店頭取引市場(=現JASDAQ)において、ディスクロージャーに対する指導義務を負っていた主幹事制度を思い出したが、更に企業には手厚い対応となって、開示そのもの上場会社を代行して行うことには多少の驚きを感じる。
 一方、各国の不振の新興市場でも、このNOMAD制度と同様のものに移行することによって、新興市場を活性化しようとする流れが出来ていて、この方法がグローバルスタンダードなのだろう。
 ただし、新市場への仲介者としてのJ-Nomadのハードルについては、アドバイサーとしての実績はまだしも、専門知識や実績の要件を求められる専任者3名以上の確保など、相当に高いと思われる。
 かたや主幹事については、旧店頭取引市場の開示やルールの遵守等を指導する主幹事制度が無くなった今は、四季報等のアンケートによって決まる名目的な地位である。(ファイナンス時の主幹事・幹事ではない)
 しかし、実態としては、企業から資本市場に関連する要請を真っ先に受ける可能性が高いこともあって、証券会社が落とせないポジションでもある。
 J-Nomadは企業との契約が必要なので、その対価たる報酬も適正なもので受けていくのだろうが、一方の主幹事だけは、基本的に無報酬で相談にのらざる得ない。
 主幹事としての対価は、将来のM&Aやファイナンスなど資本市場での大きなディ―ルの期待に支えられているのだろうが、J-Nomadの機能は、資本市場に関するアドバイス業務が専門化・洗練されていく過程となるかも知れない。
 適正な価値には、適正な価格を、・・・アドバイスであっても。
 

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投資家にとっての独立取締役
 上場会社等のコーポレート・ガバナンスは、何故強化されなければならないか。法制度議論は別にしても、資本市場的見方をすれば、安心して投資してもらう企業の在り方が注目されているのだろう。 現在、経済産業省の主催する「企業価値研究会」や金融庁の金融制度改革の為の「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(金融審議会)で議論がされ、ガバナンス強化への取り組みの主要テーマになっているものとして独立取締役の導入がある。
 この独立取締役に関しては、海外の機関投資家なども強く求めているものではあるが、では会社法に定める社外取締役では不足なのか。会社法施行時にも、この社外取締役の独立性は問題になったが、会社法は上場会社だけのものではないので、社外=独立性の問題は、結局それぞれの立場で判断するということになった。
 しかし、上場子会社での社外取締役が親会社や主要取引先からでは、いったこの社外の意味は何であろうかと、投資家でなくとも思う。
 また、日本の主要な機関投資である厚生年金基金連合会(現企業年金連合会)では、平成16年に”株主議決権行使基準における社外取締役の独立性に関する判断基準”として以下の独立性のない要件を上げている。
①企業又はその子会社の業務執行取締役又は社員として勤務経験を有する者。(5年以上経過した場合は除く)
②企業の大株主又は主要な取引先企業の業務執行取締役又は社員。
※大株主とは、総議決権の3分の1以上の株式を保有する者をいう。
※主要取引先とは、当該企業への売り上げが上位10社に入るような会社をいう。
③企業から取締役報酬以外(コンサル料等)に報酬を受けている。
④企業の取締役と親族関係にある。
⑤当該企業との間で取締役を相互に派遣している。
⑥その他、当該企業との間に利害関係を有し、社外取締役としての職務を遂行するのにふさわしくないと認められる場合。

 では、独立取締役導入で上場企業の経営者にとって、負担やリスク以上のメリットはあるのか。
海外機関投資家が言うように、独立取締役を3人まで増やしたら、企業を支持する投資家は増えるのか。結論は、制度導入後の実証研究がないと言い切れないが、以下のコラムで独立性の高い社外取締役を選任している企業と、そうでない企業の外人持ち株比率を比較されている。
RIETIコラム
独立取締役の導入は、海外投資家の市場参加を促すのか
結果は3割以上保有比率が違うそうだ。
 独立取締役が機関投資家の投資を促進する要因かどうかは正確には分からないが、M&Aや企業再編などの重要な決定をする場合、推進力に対する制御システムは、上場会社の中にあった方が良い。ただし、会社法や金商法、若しくは公開会社法という法律で定めるのではなく、取引所ルールのようなソフトローでの方が、資本市場関係者としては好ましく思う。

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3つの取引所
 別に、東証と何処どこの取引所を、比較するつもりではない。
今更ながらではあるが、資本市場の中核を担う取引所機能の充実に関して、以下テーマ3つの最近の動向を取り上げてみた。
1.リスクマネーの受け皿と、その供給機能の充実
2.流動性確保の為の動向
3.上場企業へのコーポレート・ガバナンス関与の仕組み
 まず、1.に関しましては今月スタート予定のプロ向け市場”TOKYO AIM”について、
○日本初のプロ向け市場の開設であること
○東証とロンドン取引所の合弁の新取引所であること
○アジアの企業の上場や、ロンドンの投資家の投資も想定された作りになっていること
などは、一部機能不全に陥りかかっている資本市場にあって、非常に期待されることである。
しかし、この新市場の機能は、本来日本のプロ=機関投資家の運用力向上を目指していたのではなかったのか。
・金証法のプロ定義に拘りすぎて、それほど開示負担が軽くない。(四半期開示・内部統制報告書は不要だか)
・指定アドバイザー=J-Nomadとして市場仲介機能を担う者の負担が重く見える。
・国内の新興企業にとって、既存の新興市場との明確な違いが、今の段階ではイメージしにくい。
など、問題点も感じるが、新しいプロ向け市場には期待したい。
 2つ目は、金融危機で問題になったシャドーバンキングならぬ取引所代替機能を発揮し始めているダークプールの動向に関して、機関投資家の流動性確保の視点からも注目している。
 最近日本でも私設取引所PTSによる取引が多少は増加しているが、欧米での取引所外取引システムの利用などに比べると機関投資家の利用は限られている。
野村総研レポート
米国の株式取引市場におけるプロップファームの影響力
上記レポートでは、大手金融のプロップ部門ではなく、独立系のプロップファームが流動性を供給するトレーダーとして力をつけてきていて、取引システムまで立ち上げ、ダークプールとして力をつけてきている、といった紹介がされている。
 最後の3つ目になるが、取引所が資本市場の機能の一つとして、上場会社のコーポレート・ガバナンスにどう関与していくべきかといった議論も、現在金融審議会で行われている。
 上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について
 議論されておられる先生方には申し訳ないが、簡単にいってしまえば、海外の投資家からも信頼されるよう上場会社のコーポレート・ガバナンスはちゃんとしないといけないが、会社法や金証法で縛るのは限界があるから、取引所ルールで規定してはどうか、という方向性のようである。
 例えば、社外取締役の独立性は会社法でなく、取引所ルールで規定・規制してはどうか等。
取引所ルールの最大のペナルティーは、退場=上場廃止であるが、運用は取引所の自主規制機関なのだろうか。
 以上の3つは、取引所若しくは取引所的機能で期待される処でもある。
ただし、新しい取引所機能は、その仲介の労を取る者にメリットがないと拡充されていかないとも思われるので、市場仲介者の負担が軽くなるシステムの確立を願っている。
 

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金融は何処へ向かうのか―金融サミット後の姿は
 先週4月2日、金融サミットが平穏に、そしてある意味では予想通りに終わったが、そのサミットに合わせて、金融安定化フォーラム(FSF)による、「金融システム強化のための提言及び基本原則」が公表されている。
 監視と規制の強化は避けられないとしても、いったいどの程度まで合意されたものになるのか、業界の人間としては、金融が産業としての健全性を維持出来るものになっているか大いに興味があった。
内容の概略は以下に紹介するが、金融機関の報酬体系にまで原則を規定し、それを公表したことに多少の驚きを感じている。各国の最近の国民感情に配慮したものなのか、金融サミット開催地ロンドンでの反金融デモもショッキングな出来事であった。
基本原則の概要は、以下の3つの主要部分に分かれている。
危機管理における国際的連携に関する原則(概要)
・金融危機管理の為の共通支援ツールの策定。
・年一回以上の検討会合の開催。
・危機管理の為の枠組みに関する情報の共有。
・重要な金融機関のグループ構造、市場などの金融システムとの相関関係、緊急時の資金調達枠組み、破綻処理手続き等協調への潜在的障害などの情報の共有。
・金融機関情報の確保・危機管理計画の準備・資金調達計画の確保・破綻処理の障害除去などに努め、また報告すること。
・当局は金融危機管理に関して、次のことを行う。
―国際的に協調した解決策への努力
―システミックな影響に関する評価の共有
―破綻処理に関する実務的情報の共有 等
健全な報酬慣行に関する原則(概要)
・報酬についての実行的なガバナンスとして、金融機関の取締役会は、報酬制度の仕組み・運用・監視・点検を行う。
・財務・リスク管理担当の職員に対する独立した権限付与とそれに見合う報酬の提供。
・健全なリスクテイクとの整合性の確保の為、報酬額に対するリスク毎の調整・リスクに対する業績との整合、報酬支払スケジュールや金銭以外報酬のリスクとの整合を行うこと。
・上記に対する監督上の検証を厳格かつ持続的に行い、金融機関は自社の報酬慣行に対して適時の情報開示を行う。
金融システムにおける景気循環増幅効果への対応【勧告の概要】
《自己資本》
・好不況に合わせた規制自己資本の変更の検討
・バーゼルⅡのマーケットリスクの枠組み見直し
・レバレッジやストレステスト検証強化へ 等
《引当》
・引当金に対する分析とモデルの再考等
・バーゼルⅡの見直し等
《価格評価及びレバレッジ》
・レバレッジ及び証拠金について、定量的指標及びその制限を採用
・BIS等による金融システムにおける流動性リスクの価格付けを可能にする、共同研究プログラムを立ち上げる。
・時価会計基準の変更の可能性について以下の事案を検討
―会計モデルを強化することにより、信用仲介機関の金融商品における公正価値会計の利用を注意深く検討する。
―金融資産カテゴリー間の移動。
―ヘッジ会計要件の簡素化。

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新年度のディスクロージャー
ようやく東京でも桜も満開になった新年度であるが、公開会社のディスクロージャーに関しては、一連の不祥事や法改正・経済環境の激変もあって、企業側でご担当されている方々は、なかなか大変な思いをされているのではないかと思う。
 そのポイントに関しては、金融庁より3月31日、
有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成21年3月期版)           
という形で、公表されているが、なんといっても大変なのは、この6月から提出が始まる“内部統制報告書”ではないかと思う。
これは、米国でのSOX法施行や、会社法での内部統制の義務化を受けて、金融商品取引法が定める開示制度においても、有価証券報告書とは別に提出義務が課されたものである。平成20年4月から始まる事業年度について、企業は対応をしなければならない。4月2日に、これも金融庁から公表された“内部統制報告書制度に関するQ&A”には、107のQ&Aが載せられてはいるが、内容を拝見すると、やはり企業側の負担感は相当なものだとも感じた。(この内容については別途、取り上げたい。)
この制度は平成19年の金証法施行時には決まっていたので、準備期間は長かったが、今後はむしろこの報告書を使う側、投資家や金融機関がどう使いこなしていくのか注目される。
他には、前年度の有価証券報告書に対する重点審査(3月決算期)での不備の指摘が21%の提出企業に対してあり、特に、定款の定めにより役員等の任務懈怠責任の一部を取締役会決議により免除できるとしていることにつき、その旨と理由の記載不備が409社であると指摘している。
有価証券報告書に対する新たな記載としては、“継続企業の前提に関する注記”として、
(1) 当該事象又は状況が存在する旨及びその内容
(2) 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
(3) 当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由
(4) 当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しているか否かの別
が求められてもいる。
それ以外の概要は、
○関連当事者の開示については、会社や組合に準ずる事業体や親会社の役員等が追加など
○リース取引について、ファイナンス・リース取引を通常の売買取引に準じた会計処理へ
○棚卸資産の評価について、トレーディング目的のものは、通常の販売目的のものと区分、等
○稀の場合において満期保有目的の債券へ変更か可能になったが注記事項等について
○市場価格が無かったり、オファーとビットの乖離が大きい金融資産に対するプライイシングモデル関連の記載等
○監査報酬に関する開示内容の明確化等

いずれの項目も、使いこなさなければならないのは投資家であり、その投資家が使いこなす為の支援は、市場仲介者の責務でもある。

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地域密着型金融の地元企業への金融サービス-その取り組み
 地域金融機関による、リレーショナルシップバンク機能強化を目的とした、地元企業への金融サービス取り組み事例が、3月31日金融庁より公表されている。
 全体はビジネスマッチング的な対応や経営指導的な事例も多いが、資本市場からみても注目する事例もあるので、ここで紹介したい。
地域密着型金融に関する取組み事例集の公表について
概要は以下の様になっている。
Ⅰ.ライフサイクルに応じた取引先企業の支援
【事業再生支援:旅館や水産業の再生支援や、外部専門家のチームアップなど14事例】
【経営改善支援:ビジネスマッチングを中心に29事例】
【創業・新事業支援:ファンド活用や産学官連携など18事例】
事業承継支援:ファンドやM&Aを使った6事例】
Ⅱ.事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法
【目利き機能の向上:スペシャリストの養成など4事例】
【ABLなどの担保・保障:動産担保の拡大や流動化など22事例】
Ⅲ.地域の面的再生・地域活性化につながる多様なサービスの提供
【面的再生:地公体と協働した町おこしなど13事例】
【多様なサービス:環境対応やビジネスマッチングの強化など19事例】

 上記の事例では、外部の専門家の活用や外部組織との連携強化が多くなっているようにも思うが、資本市場からみて注目したいのは、ファンドの活用とM&A業務の強化である。
一つ目のファンドの活用に関しては、地域企業の再生・ベンチャーの創業などへのリスクマネー供給については、中小機構のファンドスキームが整備されていて、地公体拠出部分を加えると、全体の7割を公的資金で担うことが可能となっている。上記の事例からみていくと、このファンドスキームが活用されているが、注目したいのは、このスキーム活用が目立つ地域には、独立系の地域ベンチャーファンドやプライベートエクイティの専門家集団が育っていることである。
また、もう一つのM&A業務に関しては、同一地域の4つの信用金庫が、顧客企業のM&Aニーズに応える為に、M&A情報と取りまとめる共同の委員会を設置してM&Aニーズを集約化しようと試みていることである。個別企業の情報は、勿論守秘義務で守らなければならないが、M&A仲介者の金融機関同士が、ニーズをマッチングさせる機能を持つことは、M&Aビジネスの拡大に直結する。
 この様な仲介者のニーズマッチングの場が整備されていけば、地域金融機関のM&Aビジネスも実のあるものになると思う。

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金融市場の活性化に向けた総合金融サービスとは?
 学識者からなる金融調査研究会による”金融市場の活性化に向けた総合金融サービス”についての提言が、3月31日全銀協より公表された。
 全銀協としての意見表明ではないとしているが、銀行が総合金融サービスを唱うのはユニバーサルバンク化推進への提言かと思い、注目した。折しも、この6月から銀行・証券の役職員に兼業禁止規定が解かれ、法人情報のオプトアウト化など、ファイアーウォール規制が緩和される。
 提言された内容を拾ってみると、以下のようになっている。(《》内は、筆者の感想)
1.総合金融サービスの提供に向けた施策
(1) 販売チャネル・商品・サービスの多様化と業務範囲規制の更なる見直し
 相続関連業務や不動産関連業務、異業種との提携によるライフデザイン的な非金融サービスの融合的な提供、総合的な企業ファイナンスへの対応強化の観点から本格的なマーチャントバンキング業務を導入を提言《提言の背景は、旧来の銀行業務であった外為や送受金サービスなどで、異業種から参入があるので、銀行業務も拡大すべきとの見解か》
(2) ファイアーウォール規制の更なる見直し
 個人情報もオプトアウトを検討すべき。また銀行員による企業へのファイナンス引受条件提示など発行体クロスマーケティング規制緩和を。《顧客の利益相反を防ぐチィニーズウォール強化が先と考えるが》
(3) 経営形態の多様化
 ユニバーサルバンク化の推進を中心に多様化《金融危機後の欧米金融機関の、商業銀行業務と投資銀行業務分離化の動きは出始めているように思うが》
2.ベター・レギュレーションに向けた取組みの徹底
 英国FSAを手本に、ルール・ベースとプリンシプル・ベースのバランスの為に、金融機関と監督官庁との対話の促進《書いてなければ行う外資と、書いてないことは行わない本邦金融機関問題も》
3.銀行の自主的・自律的取組みの強化
(1) 利用者の保護とリスク管理の高度化
(2)金融経済教育の充実
 金融機関の現場での人材教育の為にも、金融経済教育を。

(※提言内容は、4Pから)
金融市場の活性化に向けた総合金融サービス

 今回の経済危機が、金融危機から始まったことを思えば、現時点で金融立国を目指せというのが、多少面映ゆいが、金融が、その国の経済の重要なインフラであることは、誰しも否定しない。そのインフラが、産業として成り立つ為には、環境や事態に変化に対応したものでなければならない。
その意義において、金融機関の企業としてのイノベーションに期待したい。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

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