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2010/11
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タイの株式市場
QUICK・QBRの調べによると、直近(11月19日時点)1年間で最もパフォーマンスの良い国内投信は、51.6%増加しているタイ投資ファンド(野村アセット)ということだが、日本の投資家も世界の成長センターであるアジア諸国へ、その投資を拡げつつある。とは言え、タイに関してはこの3月から約2か月間続いた反政府派のバンコク商業地区占拠の記憶が残っていて、市場取引の3割を占める海外投資家は3月に大きくタイ株を売り越していた(月間ベースで約20億米ドル)。しかし、5月下旬の騒動の収束とともに今夏以降海外投資家の資金流入が回復している。タイの株式市場は、10月末の米ドルベース時価総額でみると、アジアの主要な16取引所のうち2676億ドルで13番目、ちょうど香港市場の十分の1の規模になる。但し、米ドルベースの時価総額は1年間で62.7%増加していて、東証の4%増加(円ベースでは7.5%の減少)からみると羨ましい限りで、日本の投資家の目がタイに向かうのは自然な流れかもしれない。そのタイ株式市場の概要は次の様になっている。
 タイ取引所(Stock Exchange of Thailand, 通称SET)は1974年に設立され、1998年には中小企業・ベンチャー向けにMarket for Alternative Investment(通称MAI)が開設されていて、上場企業数は10月末時点で539社に達している。上場企業の内訳は社数ベースで、不動産・建設が20%、サービスが16%、工業が13%、金融が12%、食品・飲料が8%、消費製品が8%、テクノロジーが7%、資源が5%、その他11%との構成比率になっていて、取引される株式の種類は次の3つ。
(時価総額ベースでは、国営石油・ガス関連会社が大きなシェアを占めている。)

【ローカル株(普通株)】
現地で流通する普通株式だが、タイ国内の投資家向けである。外国人が保有した場合は、配当やワラントを受け取る権利や議決権が無効となるが。

【フォーリン株】
外国人向けの株式で、総発行株式の49%までを保有出来る。フォーリン株には必ず、銘柄コードに(-F)がついているが、ローカル株に比べ、基本的に割高で取引されることが多い。また流動性が低いため、注文をしてもなかなか取引成立するのが難しい場合もある。なお、基本的にはフォーリン株を現地投資家が保有しても、議決権や配当などの権利が制限されて権利行使できない。

【NVDR= Non-Voting Depository Receipt(議決権なし保護預託証書)】
外国人による投資機会の増大のために2001年に導入され制度で、SET子会社として設立されたNVDR社が発行する預託証券。議決権は行使できないが、配当やワラントを受け取る権利はあり、タイ証券取引法に規定されている有価証券の一種で、SET(タイ証券取引所)に上場されている。外国人投資家によるローカル株投資の場合の権利放棄、フォーリン株投資の場合の外国人保有枠の制限と流動性の低さ、双方の欠点をカバーしていて、ローカル株と同様に流動性は高いとされている。全銘柄の95%が参加していて、外国人の保有規制もない。

取引される株式は全てバーツ建てであるが、他の新興国の様に、有価証券投資に関する資本規制や課税などなく、海外投資家の海外送受金にも特に制限はない。
また、代表的な指数としてSET指数があり、1975年4月30日の株価を100として全上場普通株の時価総額をもとに算出しているが、5月以降の上昇が著しい。(11月10日に1050を超えて史上最高値を更新した。)
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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

上場企業の不正事例を内部統制報告書にみる
千に三つというのは、ある種の職業を褒めたり貶したりする以外に、確率論的に不正や犯罪行為に巻き込まれる比率に近いらしい。上場企業においても、不正行為や不正経理は必ず起こるという前提にたって、コンプライアンス強化や内部統制の態勢整備が求められ、昨年の6月をより上場企業は有価証券報告書とともに内部統制報告書の提出が義務付けられている。内部統制報告書は、“財務報告に係る内部統制の経営者による評価”を報告することになるが、最近提出されたその訂正報告書より、下記の様な上場企業の不正行為が明らかになっている。≪内部統制報告書の訂正理由:本年7月~9月分≫

【事例1】
子会社の過年度決算において、売上の前倒し計上等の不適切な会計処理が行われていたことが判明し、平成22年4月30日付で子会社が過年度決算を訂正したため。

【事例2】
○○事業部において、過年度から製品の未記帳出荷、売上計上期の操作などの不適切な会計処理や、架空販売、架空製造、これらを組み合わせた循環取引などの不正行為が継続して行なわれていたことが明らかになった。また、当該不正行為を隠蔽するため、内部統制証跡の偽装や偽装在庫品による在庫数量偽装などが行なわれていたことが明らかになった。

【事例3】
本年度第1四半期の決算作業中、金融機関の残高通知書中に経理部が認識していない銀行口座を発見したことをきっかけとして、総務部長(当時)の職にあった元社員による不正行為が判明したため。

【事例4】
業容拡大の必要性に迫られる中、主要事業であるミドルウェアの開発販売とは全く異なる未経験の異種事業、すなわち広告及びEC事業に、当社グループ内に専門的知識を有する者がいないまま顧問的立場での援助を要請した外部者の主導の下に進出した結果、契約実体の存在が疑わしい取引が行われ、当社のライセンス販売事業も含めて、外部者によって資金が循環するような不適切な取引が行われたことが当該連結会計年度末日後に発覚したため。

【事例5】
当社の連結子会社において、平成22年7月に取引先に対する決裁権限を超えた金融支援や滞留債権の入金消込の操作などによる不適切な経理処理が行われていたことが判明した。また、これは同社元社長及び前社長の独断により行われ、当社にこれらの実態や回収可能性に対する報告義務を怠るだけでなく、事実を隠蔽するため意図的に滞留債権の発生を遅延させるべく不適切な経理処理が行われていたため。

【事例6】
平成22年2月期の特別損失の計上に関して、連結子会社の支店の土地の減損分のうち240百万円が過大に計上されていたことが判明した。これは、平成19年2月期の中間決算において、平成18年6月20日付で連結子会社を当社の持分法適用会社から連結子会社に変更し、当社の連結の範囲に含める際に、土地を簿価から不動産鑑定評価額まで評価減する経理処理を行っていたことを、当社の平成22年2月期の減損処理時に見落としたため。

 なお、上記の事例は、現在企業会計審議会内部統制部会において行われている内部統制報告制度の見直しでの参考資料によるが、2年目に入った同制度では主に次の様な改正が検討されている。
○企業において可能となる評価範囲の明確化・評価方法の簡素化など
○“重大な欠陥”の判断基準等の明確化
○中堅・中小上場企業に対する評価方法・手続等の簡素化・明確化
つまり簡素化・明確化ということで、上場企業の内部統制報告に対する負担感を軽減していこうとしている。それだけ、現状の内部統制報告制度の負担が重いということだが、それでも千に三つは起きる。

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日本の市場を何とかしよう:東証の施策
国際的な地位低下の象徴にも使われる日本の株式市場の現状に対し、この閉塞感漂う現状を何とかしなければと、東証自らが施策を打ち出している。24日の定例の斉藤社長の記者会見で公表された“最近の情勢を踏まえた我が国証券市場の機能強化策について”だが、その施策の概要は以下の様になっている。

【取引時間の拡大】
・現物市場は、前場が9:00~11:00→9:00~11:30 に30分延長
・TOPIX先物取引等の指数先物・オプション取引については、前場が30分延長し9:00~11:30、後場が45分前倒し11:45~15:10まで、合計75分取引時間が延長される。
・有価証券オプション取引は、現物市場と同様、前場が9:00~11:30 に30分延長
※実施時期は平成23年度前半を目途

【売買停止時間の短縮】
・現行の30分を15分に短資し、重要情報が公表された銘柄について、早期の取引機会を提供する。
(同一の取引時間中に、海外でも日本株の取引が行われていて、東証ルールが及ばないため停止時間内の取引が流失する懸念)

【特別気配更新時間の短縮】
・更新時間を現行の5分から3分に短縮し、投資家の利便性の向上に繋げる。
(5月に米国で発生したフラッシュ・クラッシュなどの対策として、日本独特の売買制度である特別気配・連続約定気配などは、価格変動に対するスタビライザー機能として海外からも評価されているようだ。)

【会社情報の適時開示の推進】
・現状はやはり取引時間終了後(15:00以降)の開示が多いのが事実だが、上記の売買停止時間の短縮により公正な価格形成への取組みをしているとして、東証は取引時間中でも重要事実の公表を行うよう企業に要請していくとしている。

【公募増資時の規制のあり方】
・既にいろいろと報道されているが、公募増資銘柄に関して、増資公表前後の空売り増加により、発行価格決定日までの株価形成に問題が生じているのではと懸念されている。東証はこの状況に対して、米国ルールなどを参考に、監視や規制ルール化への調整を行っていくとしている。≫
(米国SECルール105:≪公募時の空売り規制≫公募の発行価格決定の5営業日前又は届出から価格決定日までの間、空売りを行ったものに対する公募株割当ての禁止。)

【空売り規制とグローバル・スタンダードとの調和】
・東証の主張として、現在の空売り規制本則分で、売り下がりを禁止しているアップティック・ルールなどは、グローバル・スタンダードからみて厳しすぎるとしている。またこの事が、海外主要投資家の我が国への投資参加の阻害要因になっている可能性もあるとして、米国型の規制を念頭においた相場急落時の限定的規制へ切り替えるべきではないかとの考えのようだ。

以上が東証の市場活性化を目論む機能強化策の内容になる。コーポレート・ガバナンス強化を目指した上場制度改革の時にも触れたが、東証の本当によくやっていると思う。ただし、本来は行政や業界の自主ルールで対応しなければならない事も含まれている様に思う。逆にいうと、日本の資本市場に関する問題点の対応策が、本来の然るべき処で対応されないので、そのしわ寄せが東証によっているような部分もある。
現政権の方々にもいろいろ施策があるだろうが、日本市場の活性化の為に、基本的には早期の金融審議会再開を望みたい。
(なお、筆者の私見で恐縮だが、公募増資の際の米国SECルール105の日本での導入は、現在の公募増資問題の解決には役立たないと考えるが、後日その内容を述べたい。)

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取引所と投資家の対話=その2
 前回に引き続き、ここ1年余りで実施された東証のコーポレート・ガバナンス強化の為の上場制度変更に関して、寄せられた投資家(主に海外投資家)の意見から、東証の施策以外に対する主なものを取り上げてみる。これらは、東証に対する要望というより、日本の上場会社全体に対する海外投資家の要望と見るべきだろう。(意見等は要約)

【コーポレート・ガバナンス全般について】
・コーポレート・ガバナンスはその国の歴史や事業等の内容によって、唯一正しい形があるわけではない。
しかし、上場会社は海外からの投資家を惹きつける必要もあるのだから、一定水準以上のコーポレート・ガバナンスが要求される。世界各国に投資している投資家は、以下のことは基本的が原則として考える。
○独立取締役の設置
○Poll Voding (議決権行使の明確な開示)
○役員報酬の開示
○少数株主の保護

[解説と私見]
 海外投資家が基本原則と考える上記の4点は、この1年内に日本国内で何らかの対応策は取られている。しかし、海外投資家が主張したいのは、その対応策のコーポレート・ガバナンス強化への実効性が解り難いので、もっとルールを徹底し簡素化してもらえないかとの主張だ。
例えば、本年から上場企業は独立役員を導入しなければならないが、これは企業から独立性に高い社外取締役でも社外監査役でも良い事になっている。取締役と監査役は機能が違うという指摘に対して、監査役の機能権限を強化してしっかりチェックしていくので、上場会社の半数以上が採用していない社外取締役制度を採り入れなくても良いのではという経済界の要望がある。つまり上場会社には、社外取締役が過半数を占める委員会設置会社、社外取締役のいる監査役会設置会社、社外取締役のいない監査役会設置会社の3パターンがあることになる。これに対して、海外投資家は独立性の高い社外取締役=独立取締役を共通項として置いて欲しいと言っている。
次のPoll Vodingについては、議決権行使の可否を委任状ベースで判断し、その結果しか公表しない上場企業が多かったが、開示省令の改正で、この6月総会分から臨時報告書での公表することが義務づけられた。ただし、総会当日の集計が出来なければ、その理由を書けば良い。本年6月総会の議決権行使率は76%との集計もあるが、未だ同日の集計結果を加算しない企業も多いし、インター―ネットでの投票が可能な企業も4割程度に留まる。議決権を投票しやすいようインターネット対応し、その投票結果も公表する取組みは、多少の費用が掛かっても実行すべきだ。
役員報酬の開示は、1億円以上の報酬(総報酬)が有る場合に限り始まったが、金額やガバナンス強化の効果として色々意見が分かれるようだ。しかし、取締役の責任賠償額に定款で上限を設けている会社は、金額の大小に係らず開示すべきではないだろうか。

【子会社上場いついて】
・子会社上場の全面禁止には反対であるが、子会社上場の前提として少数株主の利益が保護されることが必要である。

[解説と私見]
 IFRSが適用されれば、安易な子会社上場は控えられるかもしれない。子会社・関連会社の株式も時価(公正価値)評価されるからで、売却するか保有を続けるか明確化を求められる。言葉は悪いが、ちょっと子会社を上場して利益を出し、上場子会社の株価が低迷したら、買い戻して上場廃止にするのでは、というような投資家の懸念は少なくなる。しかし、親会社の戦略変更で大きく企業価値が変わることに変わりない。海外投資家から見て、上場企業の子会社上場は異質かも知れないが、現実には相当数上場されているし、今後とも上場される可能性があるので、いっそ市場部を分けて、東証1部・2部に対して子会社上場部としてはどうかというのが筆者の私見である。

 いずれも本質的な問題は、法制審議会で議論され会社法の改正となるが、コーポレート・ガバナンスの強化の為に上場(公開)会社法などない方が良いと思うのは、筆者だけだろうか。

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祝:取引所CFDスタート
 “貯蓄から投資へ”はここ10年来の日本の資本市場に対する政策目標であったし、また業界も個人投資家の拡大に沿って、その業務内容が変化してきた。ただし、個人投資家が投信などを通じて長期のリスクマネーを提供してくれる機能だけに期待するのも、少し違うように思う。数では圧倒的多数の個人投資家は、その多様な投資スタイルが市場全体の多様性を支え、流動性向上に役立ってきた。老後の資金確保の為に投資するのも、数年先の住宅購入資金の為でも、目先の利益を目指す投機的な投資であっても、個人投資家のこの多様性が資本市場にとっては重要な投資資金だ。しかし、日本の株式市場ではリーマン・ショック後に回復気味であった個人の株式売買比率が、昨年度第1四半期の24%をピークに下落傾向が続いており、本年度第2四半期ベースでは16%(24兆円)にまで低下している。なお、松井証券の推計によると、その内の40%強分がデイトレーダーの売買によるものだという。また、日本の外為市場において、個人のFX取引が占める割合が10%台後半に達することもあって、為替動向では無視できない存在になっている。
個人の投機的投資も、市場全体からみれば、必要不可欠な要素となっていると筆者は信じているが、その意味でCFD取引の拡大に期待したい。

 CFD取引現在の状況は、日本証券業協会のヒアリングベース(※証券CFD取引に関して)で、約11万口座・証拠金残高67億円(9月末時点)といわれ、昨年12月時点に比べ口座数は倍以上になっているが、証拠金残高は余り拡大していないようだ。このCFD取引は、顧客の証拠金をベースにレバレッジを掛けて取引する店頭デリバティブ取引が基本だが、FX取引と同様に、取引所CFD取引が本日22日に東京金融取引所でスタートした。その概要が以下の様になっている。
○上場CFD(株価指数証拠金取引)
11月22日開始(カッコ内は取引時間)
・日経225指数(8:30~翌日6:00※米国でのサマータイム適用期間は終了1時間前倒し)
・DAX○R指数(同 上)
・FTSE100指数(同 上)
12月13日開始分
・FTSE中国25指数(11:00~17:00)
・FTSE台湾50指数(10:00~14:30)
○価格決定方式→完全マーケットメーク方式
・現時点のマーケット・メーカー:大和キャピタル・マーケッツ、ドイツ証券
○取引単位と証拠金
・取引単位は各株価指数を100倍したもの。
・最低限必要な証拠金は証拠金基準額として、取引所が毎週公表。その決定根拠は過去の取引データから日々の価格変動額を計算し、30倍して、更に取引単位に合わせて100倍する。(スタート時の日経225指数の33,000円。現在に日経225からすると、可能なレバレッジは30倍強になるが、実際の可能なレバレッジは、取引を取り次ぐ証券会社によって異なる。なお、レバレッジ規制は後述)
○取引コストと税制
・取引を当日決済しなければ、自動的にロールオーバー(延長)され金利分のコストが掛かる(売り方は受け取り)。この取引延長の金利コストは、店頭CFDと異なり、その金利分は買い方から売り方へ同額支払われる。
・税制はFX取引と同様の扱いになり、店頭CFDの雑所得・総合課税扱いに対して、20%の申告分離で、取引所上場先物(含む商品先物)・オプション取引及び3年間の損益通算が可能。
○現在の取扱い証券会社
・※インバンスト、岡三オンライン、カネツFX、※コスモ、スター為替、※マネックス、豊商事の7社
(※印は店頭CFD取引も;店頭CFD取引は、現在証券系21社、その他5社が取扱い)

【レバレッジ規制とその影響】
 金融庁による個人投資家の店頭デリバティブ規制により、現在100倍以上のレバレッジ取引もある店頭CFD取引が、来年の1月よりレバレッジの上限を規制される。
・株価指数・・・10倍以内
・個別株式・・・5倍以内
・債券関係取引・・・50倍以内
この為、現在1つの口座で管理されているCFD証拠金は、株価指数・株式・債券の3つの証拠金管理に分別して管理しなければならず、既存のCFD取扱会社は12月中旬にも顧客CFD口座を3つのCFD口座に分ける作業に入る。しばらくは、証拠金のCFD口座間移動作業は顧客の作業になりそうだ。

信用の保証金でも、先物取引の証拠金でも、FX取引やCFD取引の証拠金での、それぞれの分別管理は必要だろうが、同じお金なので、その口座間の移動が自動的に行われるサービスが個人投資家にとっても待たれる。

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取引所と投資家の対話=その1
当たり前の標題に思う方も多いかもしれないが、実は取引所と投資家が対話することは殆ど無い。投資家にとって、取引所は投資情報収集の場かもしれないが、規則と権威の高い壁を感じることが多く、対話するイメージは持たれなかったろう。大阪証券取引所の様に株式が公開され、IRの場が出来れば、必然的に投資家に直接訴えることもあるだろうが、取引所の在り方は、行政の方針と直接の参加者である証券会社の合意で決まっていた。その取引所の在り方の中核となる上場制度に関して、東京証券取引所が意見を募集して投資家との会話を試みようとしている。この取組みを全面的に支持したい。
この背景は、東証が昨年から取り組んでいる“上場制度整備の実行計画2009”により、上場会社のコーポレート・ガバナンス強化の為に継続的に改革されている上場制度に対して、投資家側の評価を求めていた。その意見概要が11月18日に東証より公表されている。
 東証が投資家意見を求めた上場制度の改正点は、この1年間に実施された以下の4点になるが、海外の機関投資家中心に27件から意見が寄せられている。

①第三者割当に関する対応(2009年8月制度導入)
・希薄化が25%以上となる第三者割当の場合、株主総会での株主の意思確認か第三者委員会など外部意見の入手を義務付け
・第三者割当で支配株主(50%超保有)が異動するとき、その支配株主との取引について定期的に報告を求め、取引所がその健全性を確認する。
・希薄化率が300%を超える第三者割当を実施した場合、取引所が認める場合を除いて上場廃止。
・発行価格の算定根拠やその内容、有利発行等に関する充分な開示を義務付ける。
【投資家の主な意見】
○株主割当以外は希薄化率が高いファイナンスは同様の問題があるので、株主総会で希薄化の上限を定めるべきではないか。
【筆者の私見】
第三者割当でも公募増資でも、大規模なファイナンスに対する希薄化は同じ。本稿で何度か取り上げたが、ライツ・イシューの実務対応整備(証券会社側の対応:取引所の上場制度は既に整備)を早めるか、公募であっても株主優先募入の方法を業界で考えるべき。また大規模なファイナンスに対して、現行の法制度内であっても、株主総会で増資の発行登録を承認してもらうという方法もある。

②独立役員制度の導入(2009年12月制度導入)
・上場会社に対して、1名以上の独立役員(独立性の高い社外取締役か社外監査役)を確保することをもとめる。
【投資家の主な意見】
○制度の導入は歓迎するが、人数や対象(監査役でも良いとした部分)などガバナンンス強化の仕組みとしては不十分ではないか。
○独立性の基準が不十分。買収防衛策や低いTOB価格への賛同などが、独立役員がいても行われるケースがあり、少数株主に配慮した判断がされているか疑問。
【筆者の私見】
現在、法制審議会で会社法見直しが行われていて、現在の社外取締役より独立性の高い制度の導入がされると予想されるが、時間がかかるので、せっかく導入した取引所の独立役員制度の独立性を徹底すべきと考える。現在の会社法は、一般事業会社を前提としている制度側面が強いが、それを2階建するような公開会社法には基本的に反対したい。

③支配株主による権限濫用を防止する為の施策の整備(2010年6月制度導入)
・支配株主との重要な取引を行う場合、利害関係の無い者からの意見の入手を求める。
【投資家の主な意見】
○一定の基準(利益や金額)以上の取引は、その支配株主を除いた株主総会決議によるべき。
○意見書より、詳細な開示を求めるべきではないか。その方が、何か問題があった時に役員の背任等の責任を追及できる。
【筆者の私見は特にない】

④議決権行使の促進に関する施策(2009年8月導入)
・株主総会の招集通知等の東証ホームページでの掲載を始める。
【投資家の主な意見】
○施策を支持する。招集通知の電子ファイル化で2~3日早く受領でき役立っている。
○議決権行使プラットフォームの導入を支持するが、導入企業が少ないのが残念。
【筆者の私見】
議決権行使プラットフォームに関して、全く同意見。現在370社程度しか参加していないが、東証1部だけみても、まだ2割程度の参加率。コストのこともあるだろうが、投資家の立場からは、上場会社の同プラットフォームへの参加は上場制度で義務化すべきではないだろうか。

以上の東証のコーポレート・ガバナンス強化への取組みは、全面的に支持したい。ただし、上場制度だけでの限界もあるので、業界も、持続的な支持を行って欲しい。

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望まれる正しい未公開株投資
 未公開株勧誘に注意を促す政府広報や証券会社の注意文を見るたびに、少し寂しい気持ちになる。というのは、未公開株投資は、資本市場の入り口に立とうとする企業へ、リスクマネーを供給する重要な機能を果たす。ベンチャー企業への投資の事だが、ただし、専門家であるベンチャーキャピタルが行う投資も2~3割の成功率(途中での売却を含む。IPO[株式公開]は更にその半分以下)なのだから、個人投資家が企業をよく知らずに行おうとすると、更に投資成功の確率は低くなる。しかし、未公開株式を使った詐欺的行為は増加しているという。この10月に、政府広報オンラインに未公開株勧誘(投資ではない)に対する注意記事が記載されているので、その中の事例概要を紹介する。

【複数の業者が登場する事例】
A社から電話があり「C社の株を持っていれば高値で買い取る」と言われたが、持っていなかったので断った。その後、B社から「C社の未公開株を1株100万円で買わないか」と電話があった。そこで、A社に相談したところ、「ぜひ買ってほしい。300万円で買い取る」と言われたので、B社に連絡し、値切って90万円で購入した。買い取りをしてもらおうとA社に電話しているが、連絡が取れなくなっていた。

【金融庁などの公的機関をかたる事例】
金融庁等から認可を受けて未公開株の将来性を評価しているという団体から連絡があり、保有している未公開株は上場の準備で金融庁へ届け出がされており、上場確実であると言われ、買い増しするよう勧誘を受けている。

【被害の回復をうたう事例】
金融庁等からの指示を受けて、未公開株の購入代金を取り返しているという団体から連絡があった。購入代金を取り返す条件として、その団体から別の未公開株やファンドを購入する必要があると言われた。

 また、殆どの証券会社は、そのホームページで未公開株式の勧誘に対して注意を呼びかけており、相談窓口として、金融庁・警察庁・弁護士連合会・全国各地の消費生活センター・日本証券業協会を紹介している。上記の様な詐欺行為は、お金にまつわるものなら何でも同じようにその対象とするのだろうが、未公開株=ベンチャー企業への投資を材料に使われている事が、業界の人間として悔しい。それならば、正しい未公開株投資(勧誘ではない)というものを業界でキチンと作って、未公開株勧誘への注意喚起とともに一緒に個人投資家に示すべきではないだろうか。

 では個人投資家が、未公開株売買を行うのはどの様なケースになるのか。譲渡制限が付された株式でなければ、価格さえ合意されれば当事者間において相対で売買することが出来る。第三者が間に入り、勧誘行為などを行うことは、次の様な場合にある。

①証券会社(第1種金融商品取引業者)は、グリーンシートに登録された銘柄なら未公開株でも勧誘できる。しかし、この制度にベンチャー企業は21社(その他地方銘柄39銘柄)しか対応しておらず、証券会社は一度取り扱うと定期的に売値・買値を開示する義務を負う為、グリーンシート銘柄を取り扱うのは一部に限られる。つまり、証券会社は殆ど未公開株を勧誘しないし、ペーパレス化した上場株式と異なり株券の取扱いにはコストがかかるので、M&Aでも関与しない限り、媒介なので取り扱うのも限られる。

②匿名組合投資で未公開株式を購入することは結果として可能である。これは、金商法上で集団投資スキーム(=ファンド、第二項有価証券(みなし有価証券))となり、第2種金融取引業者(登録制)なら、株式の持分(ファンド)に投資を勧誘することは可能。証券業と異なり、現在自主規制団体はないが、設立に向けて準備中。

若し、正しい未公開株投資に関する個人投資家向け資料を作成しようとすると、次のことが最低限記載される必要がある。
・未公開株投資の実態(ベンチャーキャピタルなので投資実態と投資成功率などの分析等)
・未公開株投資に関する税制(エンジェル税制や投資対象を含む)
・未公開株投資を対応可能な金融機関
・未公開株投資で留意すべき事項 等
これらは業界団体の仕事かもしれないが、詐欺行為に使われる程、世間の興味が日本のベンチャー企業に対してある内に、詐欺的行為の注意喚起とともに、正しい未公開株投資情報を提供するのは、誰の責任だろう。

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時価から公正へ=フェアバリューって何?IFRSに向けて
 企業活動も投資もグローバル化しているのだから国際基準に合わせていきましょうというほど話は単純ではないようだ。IFRS(国際財務報告基準International Financial Reporting Standards、)の早期適用は本年3月期から始まっているが、会計基準は一国の経済基盤に影響を与えるほどのものなので、各国での導入は慎重を期している。そもそもIFRSは、一時、総時価会計的な捉えられ方をされていたが、同規準のコアになる公正価値(フェアバリュー)は必ずしも時価と一致しない。

では公正価値とは一体何なのか。基本的な考え方(一応、金融商品に限る)は、
①市場価格があるものは、その価格を公正価値として使うのが基本になる。しかし、今回の金融危機における証券化商品の様に、流動性がなくなり取引されていない状況だったり、突然投げの売却により大きく下落した価格を使って良いのかとの問題が市場価格にはある。
②では株主や債務者を納得させることが出来る公正な価格算定方法で経営者が決めるものを公正価格にすれば良いのではないかとなるが、その算定方法の分かり易さと汎用性を持つためのパターン化が次の問題になる。
③そうはいっても、預金や短期債権の様に公正価値と難しく考える必要のないものもある。またお金が返還される ことが確実な長めの債権(含む債券)についても、キャッシュ・フローを割り引いて考えれば良いのではないかという考え方もある。
となり、公正価値=市場価格に限らず経営者が決めるフェアバリューか、そうでないものに2分しようとするのがベースになる。IFRSの本格導入は2012年に決定(実施は2015年以降)されるが、その前に各国の会計基準を可能な限り統一するコンバージェンスの流れの中で、日本の金融商品会計も、このフェアバリューなのか、その対象とならないものなのかに2分される方向だ。勿論、保有株式であれば未上場株式であってもフェアバリューとして評価することが原則になる。

 日本におけるフェアバリューを計る方法=公正価値測定の会計基準案は本年7月に公表されていて、来年5月までに最終的な基準案が纏められる。但し、今回の金融危機の影響もあり、IFRS自体の公正価値をどう計るかという基準の見直しも行われており、詳細の方法については、今後IFRSの変更案や米国の会計基準の変更案にも影響を受けていくと見られる。(現在、IFRSと米国基準の摺り合わせ作業が行われており、その為にIFRSにおける公正価値算定基準も見直されている。)

 金融商品会計でのフェアバリューに関する現状の比較と米国基準案は次のようになっている。
【日本の現行基準】
・売買目的有価証券→市場価格で時価評価し、評価差額はP/L計上
・満期保有目的の債券→利息法または定額法での償却原価、但し減損処理の対象。債権も同様の処理
・子会社、関連会社株式→取得原価
・その他有価証券→市場価格のあるものは時価、無いものは取得原価だが減損処理の対象。なお、評価差額は、純資産直入法
※上記分類の区分変更は、正当な理由がある場合に可能

【IFRS(第9号)】
・基本は公正価値で評価し、評価差額は純損益へ。
・一定の条件を満たす債券は償却原価。但し、選択して公正価値で評価することも可能。なお、減損処理の適用を受ける
・上記の分類変更は、事業モデルの変更がある時に可能

【米国基準案(FASB公開草案)】
・基本は全て公正価値で評価。但し、その後の評価差額の処理は、資本性金融商品は純損益だが、一定の条件を満たす債券に関しては包括利益へ。分類の変更は禁止

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ジャンル : ビジネス

見直される公募増資の問題点
日本の大手企業の大型の公募増資(発行済み株式の3割以上)に対して、欧州の年金基金など長期投資を旨とする海外投資家が怒っているという。また、取引所や証券取引等監視委員会などが、大型公募に関わる株価動向に注視し、調査を行うことが一部報道され始めている。最近の日本企業の大型公募増資はいったい何が問題なのか、投資家目線で考えてみたい。

【問題その1=情報管理】
 大規模な公募増資は、殆どがグローバル・オフォーリングといって国内・海外同時募集で行う方法をとる。企業側は必要な調達金額があって、その販売を引き受ける証券会社サイドは、公募増資に対する投資家需要を勘案して、その可否を発行会社側にアドバイスしていくが、ここで問題になるのは証券会社による投資家需要の勘案の仕方だ。つまり数百億円規模の増資を行うA企業の公募株は、どれ位売れそうか引き受ける証券会社が判断する時、国内販売分は自らの顧客動向を見極めて判断するが、海外分は“プレ・ヒアリング”という事前の投資家聞取りを行う。勿論、公募増資に関する情報はインサイダー情報なので、証券会社内では法人関係情報として情報管理を厳格に行うし、自己売買や推奨なども行わないように監視される。しかし、公募増資公表の一か月以上前から行われることもある“プレ・ヒアリング”の相手先である海外投資家は、彼ら自身の情報管理態勢に委ねざる得ない。つまり、大型の公募増資を引き受ける証券会社は、増資公表前の“プレ・ヒアリング”を行う際、その情報を使って空売りを仕掛ける様な相手には聞かないということが前提になる。しかし、この事を日本の当局が検査する為には、海外当局による協力が必要だし、インサイダー情報(公募増資情報)の2次・3次利用を補足するのは、困難さを伴う。このあたりの事情は、11月7日発行の日経ヴェリタスの放電塔欄に書かれている。

【問題その2=発行企業の問題】
 ファイナンスは常に既存株主の希薄化(ダイリューション)を伴う。会社法上は、発行済株式総数の数倍ある授権株数の範囲内であれば、企業は取締役会決議だけで新株を発行することが可能だが、そのファイナンスにより、企業価値を上げるかどうか判断できないような増資は、株主にとっては希薄化によるダメージだけが大きくなる。そんなこともあって、開示書類対応や取引所ルールでは、発行済株数の25%を超えるような第三者割当増資に対して、第三者機関による合意を得るか株主総会で決議するかの実質的規制が昨年から始まっている。公募増資であっても、既存株主に対するダメージは同様なので、どう平仄をとるか実務的な知恵が必要になっている。
 また公募増資に関する企業側の問題として、現在公募増資では一般化している次の発行方法も株主や投資家にとって問題がある。それは、公募増資の際に投資家が払い込む金額と企業側が資本として計上する金額が4~5%異なることだ。この差異は販売する証券会社の手数料になるが、企業側の資本調達コストではないので、公募増資の判断を容易にしている面がある。既存株主は、公募増資の際の4~5%のディスカウント発行とこの手数料分で、自動的に1割近く減価する可能性があるし、新規の株主も本来発行企業が支払うべき資本調達コストを支払っている。

【問題その3=公募そのものの問題】
 公募増資(パブリック・オファーリング)というと、発行する企業の方は何か公正なファイナンス方法に思うようだが、その実態は少し異なっている。つまり公募株は誰でも買うことが出来るかという問いに対して、現状は否と答えざる得ない。公募株は、その引受証券会社でなければ買えないということは投資家なら誰でも知っていることだが、公募増資の引受株は主幹事証券に集中し、引受シ団も絞られる傾向にあり、多くの証券会社とその顧客は関係がない。個人の株式取引の7割以上、保有の16%を占めるネット証券への公募株の割当ても殆どない。公募株の販売の在り方は業界で考えるべきことだろう。

 勿論、一つ一つの公募増資は、発行企業自身の問題だが、大型の大規模な公募増資によって、内外の投資家の信頼を失うような市場にならぬよう、公募増資の在り方を再考する時期にきているのではないだろか。

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上期証券決算から見える個人投資家動向=ネット証券編
 今でこそ証券会社は“株屋”と呼ばれなくなったが、それでも株式のプローカー的イメージが強い。但し株式売買からの収益は、全体の4分の1程度にまで低下し、投信の募集や管理に関する手数料の方が多くなっているが、その中で個人投資家の日本株売買の重心は、完全にネット証券に移っている。その直近の概況を、ネット証券大手5社(SBI、楽天、松井、マネックス、カブドットコム)の決算説明資料から見てみる。

 先ず個人投資家の上期の日本株売買は、前期比(昨年度下期)13%減少している。一日当たりの売買代金も、4月~6月は5387億円更に7月~9月は3割減少して3804億円となっている。上半期の通算では、個人投資家は約58兆円の日本株を売買しているが、その内の約44兆円76%がネット証券大手5社で占める(松井の推計では、このうち約25兆円分43%がデイトレーダー)。信用取引でのネット証券大手5社分シェアは更に上昇して83%に達する。またストックベースでも個人の日本株保有額62兆円のうち、15.5%9.5兆円分はネット5社で保有されていて、ネット5社への集中は続いている。しかし、個人の日本株売買のネット5社への集中は、そろそろ限界かもしれない。それは、次の様な理由からだ。

・個人投資家の日本株離れが進んでいて、対面の証券では個人の株式取引の3~4割が海外市場への取次ぎという証券会社も増えてきている。しかし、海外市場への売買取次ぎは、別途インフラが必要になり、多くは各海外市場のメインプレーヤーの機能を借りる必要がある。コスト制御が命題のネット証券大手にとって、このインフラ整備が進んでいない。
・今までネット大手への個人株式資産の移動は、既存大手証券から流出する部分が多かった。これに対して、大和などが取引手数料の値下げ競争を仕掛け、またFX取引やCFD取引などの店頭デリバティブ機能をデイトレーダー(アクティブトレーダー)ターケットで提供し始めた。
・日本株の株式保有者数は、証券保管振替機構の口座データからその実数が1647万人(10月末)と見られるが、ネット証券大手5社での口座総数は累積で595万口座になっている。これは、ネット5社の保有ベースシェア15.5%から逆算して投資家数255万人が、5社内で既に2.3口座を開設している計算となり、今後大手5社間の口座獲得競争(実際は5社間の顧客資産移動)が激しくなる可能性がある。

 日本株の売買高減少は全体的な流れだが、その中にあって個人投資家の売買比率も4半期ベースで見ると、2009年4月~6月の24%をピークにほゞ一貫して減少しており、本年6月~9月分は16%24兆円となっている。このうちの61%14兆円分が信用取引によるもので、信用取引の比率はこの間5%上昇している。なお、信用取引の損益率だが、9月末日経平均9369円の時点で、買残高に対して-19.3%、新興市場分は-32.1%となって個人の信用取引顧客のダメージが大きいことが分かる。

 個人投資家の株式取引がネット証券に集まったものの、その限界が見える日本株からビジネスモデルをどう変えていくかがネット証券の戦略上の課題になっている。品揃えを増加させたり、投資家教育を通じて増加を狙う投信販売も、日本株取引の縮小をカバーするような主力サービスになるかというと、少し無理があるように思われる。というのは、ネット証券のビジネスモデルの基本である“顧客が選ぶ”という風に、日本の投信供給は未だ対応出来ていない。(目論見書の簡易・容易化やETF改革は行われているが、説明を必要とする投信が多いし、その情報が整理されていない。)やはり助演格はFX取引・CFD取引・先物、オプション取引などのデリバティブ取引に頼るしかないようだ。ネット大手5社のFX口座数は50万口座強(楽天はFX口座の公表なし、他4社分40万口座から推計)あるが、これはFX取引口座数1位の外為どっとコムと同数になる。ネット証券顧客の1割程度だが、まだまだ延びる余地は大きそうだ。

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上期証券決算から見える個人投資家動向=大手証券編
最近は構造不況業種扱いされかねない証券会社の決算など、業界の一部の人にしか興味を持たれないだろうが、その決算説明資料からリテール(個人営業)部門での変化を見てみると、日本の個人投資家がどの様に変わってきているのか、若しくは変わる可能性があるのか気付くこともある。大手証券とネット証券の上期決算資料が出揃ったので、その中から、個人投資家に関するいくつかの変化ポイントを紹介したい。

 先ず大手証券の販売現場では何が起きているのだろうか。それは、多少ペースが落ちてきたとはいえ相変わらず高水準の投信販売と、販売力の一部外債へのシフト強化だろう。野村・大和・日興の上期決算から見てみると、上期リテール部門での金融商品の販売額は次の様になっている。

・野村リテール部門の販売した総額は、約6.2兆円で他の証券を圧倒していが、営業部員一人当たりにすると、月間約1.6億円を販売していることになる。(野村のリテール部門は約11000人、そのうち6割[証券会社の直間比率と言われる営業部員が占める割合は、平均5割強]実際の営業部員として6600名の営業部隊になる。)このうち半数以上を占めるのは投信販売で、こちらは市況悪化や投信の乗換販売批判もあって前期比約25%減、前年同期比約14%減とペースダウンしている。これを埋めるように増加しているのが外債の販売で、リテール部門での販売は総額8486億円で、営業部員一人当たり月間約2100万円販売していることになり、前年同期比で73%の増加になる。

・大和リテール部門の販売した総額は、約1.8兆円で、営業部員一人当たりの月間販売量推計は約7100万円。(リテール部門の7100人をベースに前述野村と同様の計算方法)このうち42%が投信の販売だが、投信の販売額は前年同期と変わらない。一方リテール部門での外債販売は総額7219億円で、営業部員一人当たり月間約1700万円販売していることになり、前年同期比で79%の増加になる。

・日興リテール部門の販売した総額は、約2.2兆円で、営業部員一人当たりの月間販売量推計は約1億円。(リテール部門の6000人をベースに前述野村と同様の計算方法)このうち39%が投信の販売だが、投信の販売額は前年同期より2割程度増加している。またリテール部門での外債販売は、他の大手と同様の増加傾向で総額9165億円(このうち7割程度がリテール販売分と推計)、営業部員一人当たり月間約3000万円販売していることになり、前年同期比で61%の増加になる。

野村の圧倒的な販売力には今更ながら驚くが、各社とも外債投資が個人投資家のトレンドとして定着していることが分かる。リテール部門での販売力は大手証券の強みだが、多少気になる点もあるので触れておく。それは、販売に伴って個人投資家の資産が拡大しているかということだ。勿論、投信や外債の売買は問題ないが、投資家にとって購入時のコストが高い投信や外債を短期売買目的で募集勧誘するのは問題になる。野村リテール部門のケースでは次の様な状況がある。
●前の下半期に半年間で投信を約5兆円販売したが、その間の投信の純増額は310億円に留まっていた。一方、今上半期は4.9兆円の販売に対して2450億円の純増に改善している。
●外債販売は、この1年(昨年10月から本年9月まで)で約1.4兆円販売しているが、この部分の純増額は1000億円強に留まっている。
大手証券の販売力が、個人投資家の投資資産拡大に繋がることに期待していきたい。

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海外企業を日本に呼び込んで、アジアのメイン・マーケットを目指そう
 個人投資家の海外投資は外債や投信では当たり前になったが、株式の売買においても海外投資シフトが進んでいるようだ。大和証券の上期決算説明資料によると、7月~9月の株式売買手数料に占める外国株の比率は、全体の4割近くまで上昇している。また関係者からお聞きした話によると、ある地方の証券会社では、支店長が海外市場の成長力ある銘柄を選択して勧誘した結果、株式手数料の殆どが海外株式売買によるものになってしまったとの事。その中にあって、日本の株式市場の相対的低下が懸念されるが、これだけ日本の投資家の海外株投資が盛んになるなら、いっそのこと海外企業を日本市場に誘致して、より一層日本の投資家が売買しやすくしたら如何かということで、海外の上場企業が本国で行っている英文開示資料を、日本市場でもそのまま使えるようにする検討が、金融庁の開示制度ワーキング・グループで行われている。

 少し状況を見てみると、東証に上場している海外企業は12社しかない。海外企業の上場が最も多かったのは1991年12月時点で127社が上場されていたが年々減少している。日本の国家戦略では、日本の資本市場もアジアのメイン・マーケットを目指そうとのことだが、ここ5年間でのアジア主要取引所における上場外国会社の推移は次の様になっている。(2005年末と本年9月末を比較)
・東証 -16社で、現状は12社。
・シンガポール +193社で、現状は315社。
・韓国 +16社で、現状は16社。
・台湾 +15社で、現状は20社。
・香港 +5社で、現状は14社。
(ちなみに、ニューヨークは502社、ロンドンは596社の外国企業が上場されている。)
 日本経済の低迷とともに、東証に上場している海外企業数は減少し続けた一方、アジアの他の取引所においては、その経済成長を背景に、上場する外国企業数が増加している。海外企業側の立場からすれば、東京マーケットは相対的に地位が低下している割に、日本語への翻訳対応や、日本の開示制度に合わせた対応などから日本での上場に係る負担感が大きく、敬遠しがちになるという。
 日本の投資家が海外株投資に注力しているのに、その一部でも日本市場で売買出来れば、日本の資本市場の空洞化は避けられるのではないか、そんな思いの関係者もいるようだ。

 東証は上記のワーキングにおいて、次の事を提案している。
○日本で上場する海外企業の有価証券報告書等の開示書類は、英文のみで開示できるようにする。
○既に海外の主要市場に上場している企業については、上場に伴う各種の日本の制度への対応の為の負担を、出来る限り軽減する。
 ・有価証券報告書などの継続開示書類は、海外の有報等を提出すれば足りることとする。
(主要部分の日本語翻訳や、対照表の日本の制度との比較、有報記載事項で海外の有報に記載されていない事項を記載した書類等を不要とする。)
 ・海外市場で英語以外の言語で開示している会社についても、英文開示の対象とする。
・届出書や臨時報告書なども、上記の様な取扱いとする。

以上のことは、アジアのメイン・マーケットを目指す日本市場では必要な事なので、早急な制度改正が望まれるが、英文開示が先行しているプロ向け市場TOKYO AIMが昨年6月に開設されて未だ上場企業が無い事の検証も十分行う必要がありそうだ。
 市場活性化の問題は、上場にしても売買にしても、やはり市場仲介者(証券会社等)の問題が大きいのではないだろうか。

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市場に理解されない銀行の公募増資は、ライツ・イシューの利用を
5日公表された“りそなホールディングス”の公募増資6000億円は、海外投資家や個人株主からみて、全く理解できないだろう。詳細な解説は銀行アナリストに譲るとして、市場から調達した資本で公的資金を返済するというが、資本を右から調達して左から出すので、資本の充実に繋がらず、あくまでの公的資金の返済が目的になる。この資本調達を公募増資という手段で行おうとすることが、資本市場的視点では、良く解らない。

この“りそな”の公的資金は平成15年から資本注入され、ピークは3兆1280億円に達したが、“りそな”の経営改革努力で順次返済され、現在は1兆6851億円に減少している。内訳は、早期健全化法での優先株式が1600億円、預金保険法による優先株式が1兆2635億円、同法による普通株式所有分が2616億円(以上、11月5日発表の会社側資料より)になるが、このうち預金保険法対象の優先株式9000億円分について、内部留保の3000億円と今回公募増資分の6000億円を合わせて返済しようという計画だ。

確かに、高コストの優先株式を自社株取得で買い入れ消却することは正しいが、その為に必要な資金をほゞ普通株式の時価増額と同等の公募増資で賄うことは、如何なものだろか。また、公募増資後、株主への還元として配当を2割増加させるというのでは、資本コスト低下の効果も薄れる。公的資金返済は、“りそな”の経営悲願であることは良く分かるし、店舗の営業時間延長など、金融サービス業として事業戦略なども評価されている“りそな”である。しかし、その悲願達成の為の資金調達を、PBRが0.29倍の時に、公募増資で実行するという感覚が分からない。普通株式の4割を預金保険機構が保有しているが、一般株主は約27万人いるし海外投資家も11%以上いる、銀行株ETFにも組み込まれ、“りそな”株の大幅下落は銀行セクター全体への投資にも影響する。

では如何すれば良いかと言うと、金融危機後、欧米の金融機関の大型ファイナンスが成功しているのは、殆どライツ・イシューであることに再度注目すべきだ。“りそな”の事例においても、このライツ・イシューを活用すべきではなかったろうか。例えば、株主に対して、保有する株主と同額のライツ(新株予約権)を割り当てるが、預金保険機構の保有する分は、証券会社を通じて売り出す。所謂コミットメンント方式のライツ・イシューだが、3月末に実行されたタカラレーベンの方式とは異なる。

企業にとっての資本市場の最大の利用価値は、ファイナンス機能だが、それは大いに活用すべきである。しかし、市場機能を損なうようなファイナンスは規制されるべきで、25%以上の大規模な第三者割当は、本年から実質的に規制されている。本来は、企業の成長の為にリスクマネーを供給するのが市場機能なのだが、銀行のファイナンスについては、公的資金返済やBIS対策で調達資金など成長力寄与が見えにくいものは、一般株主にダメージの大きい公募増資を規制し、ライツ・シューや資本提携に繋がる第三者割当に誘導すべきではないだろうか。

確かにライツ・イシューは、現状では証券業界を始めとする関係者が、まだオペレーションに慣れていないこともあって、実務的な問題点が多いとされている。例えば、法制審議会の会社法部会に金融庁側から示された会社法上の改善要望は次の2点である。
① 権利行使期間開始日の2週間前までに必要とされている新株予約権割当通知の交付期限の延長(株式の割当通知の交付期限との平仄から権利行使期間末日の2週間前までとする等)、
② 米国等の証券規制の過度の適用を回避するために、外国居住株主による権利行使を制限することが株主平等原則に抵触しないことを明確化するセーフハーバールールの制定等
勿論これ等が改善されれば、ライツ・イシューは実行しやすくなる。しかし、銀行のファイナンスに関して言えば、①の様に早急に資金を必要することもないし、②はメガバンクなど米国上場しているのではれば、米国開示規制に対応すれば良い。つまり、会社法改正がなくとも銀行のライツ・イシューは実行可能である。それよりも、銀行の大規模な公募増資が、日本の資本市場の機能を傷つけている可能性がある。
なお、公募増資そのものの問題に関しては、別の機会に触れていきたい。

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取引所決算からみえる上半期の証券業界模様
 仕事柄、証券業界のインフラ問題に接することが多いが、その面から見ると、ここ2年近くで日本の資本市場のインフラは世界最高水準になりつつある。投信まで含めた有価証券の完全ペーパレス化、現物及び先物・オプション市場の取引超高速化対応、取引ルールの整備、清算システムの信頼性など、資本市場インフラは世界的に誇れる程に整備されている。しかし、装置や道具がいくら良くても、使い手が熱心に使い込まねばその成果は見えてこない。最近の日本の資本市場の国際的な地位の低下(取引量やIPO数など)を見ていると、せっかくの機能がうまく繋がっていないのではないかとの懸念さえ生まれる。
 その資本市場インフラの中核となる取引所の上半期決算から、ここ半年間の証券業界の有様や変化を見てみたい。

先ず10月26日に公表された東証の上期決算から、営業収益面では次の様に変化している。
・収入の37%を占める取引参加料は、104.7億円と前年同期比7.3%の減少になっているが、これは株式の売買代金が同期間9.2%減少していることの影響だ。なお、TOPIX先物は殆ど取引量の変化はないが、長期国債先物の取引高は17.2%増加している。
・収入の18%を占める上場関係収入は、51.4億円と前年同期比14.8%減少しているが、昨年のメガバンクや電機などの大型ファイナンスの上場株数増加の反動となっている。なお、上半期の公募や第三者割当等での上場企業の資本調達額は、2.24兆円と昨年同期間の3.09兆円から27.6%減少している。また東証上場企業数は、9月末で2293社となり、1年間で45社減少しているが、ETFは反対に23銘柄増加して93銘柄となっている。(上半期の東証関連のIPO数は11社)
・収入の19%を占める情報関連収入は、55.1億円と前年同期比2.4%増加しており、個人向けリアルタイム個別端末台数の増加が影響している。
・収入の13%を占める証券決済関連収入は、40億円と前年同期比7.4%減少しており、これは株式の売買代金減少に連動している。
・その他の収入は、本格化し始めているコロケーションやarrownetなど、場所や専用回線を取引参加者に新たに課す事サービスが寄与して、前年同期比3.5%増加の36.4億円となっている。

 次に同日に決算を公表した大証の方も次の様な変化が見られる。(東証とは収益区分が少し異なる)
・収入の59%を占める参加者料金(取引や清算、アクセス料等)は前年同期とほぼ変わらずの65.6億円となっている。株式の売買代金は全体で4.3%減少したものの、デリバティブ取引は反対に7.2%の増加となっていることの影響だが、特に日経225miniは28.2%も取引量が伸びている。昨年7月から取引が始まった大証FXも軌道に乗りつつあるようで、取引参加者も15社に拡大している。
・収入の31%を占める機器・情報提供料は、前年同期比1.8%増の34.9億円となっている。こちらも株式のユーザーの減少を、デリバティブやコロケーションなどの関連による増加が埋めている。
・収入の9%を占める上場賦課金の方は、前年同期比32.3%減の10.2億円となっているが、東証と同様に増資による上場株数の増加分が前年に比べ減少したことが大きい。なお、上場企業数は9月末で1758社と一年前に比べ98社減少している。

 なお、決算発表時の東証社長の記者会見では、シンガポール取引所(SGX)によるオーストラリア取引所(ASX)買収問題が取り上げられている。それによると、SGXは40%程度のプレミアムをつけて総額84億豪ドルでASXを買収しようとしているが、対価はSGX株式、つまり株式交換方式なので、東証が保有するSGX株、発行済株数の4.9%(シンガポール政府保有の24%に次いで2位の株主)は、3.1%へ希薄化する。また、先物に強いSGXと、世界的な資源会社を含む900社以上を上場しているASXの統合は、アジアの中心的市場を目指す東証にとって脅威となるとしている。

 総合取引所構想をゆっくり議論している時ではないように思うのだが。

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噛み合わぬ税制改正要望
 株式や株式投信(説明は後述)などの譲渡益課税や配当に対する軽減措置(税率10%)について、日本の株式市場の低迷や景気悪化懸念を理由に、再来年以降も延長を要望するのは、証券界の一致した考え方だ。筆者も業界の人間として、この要望に異論を挟むつもりはないし、出来れば、株式投資は個人がリスクを負って、市場にリスクマネーが供給し、企業の成長に役立つのだから、ある程度までは無税でも良いのではないかとさえ思う。しかし、業界の考える証券税制の在り方(軽減措置延長の目的等)と、世間の考え方の間に差があり、方向性は同じ(例えば、金融所得一体課税を進めるというような)はずなのだが、軽減措置延長問題では議論が噛み合っていない。

つまり、何の為に軽減措置が必要なのか、業界以外からは理解されていない。
そのことは、政府税調の専門委員会の議論でも顕わになっており、次の様な論点が示されている。

【制度の現状】
 先ず、この制度は株式市場の低迷対策として一時的な措置で、平成23年12月末で終了することが原則となっている。元々は国民の金融資産形成の為に、勤労所得とは別にした制度として金融所得一体課税を進めるのが政府の基本方針となっており、その税率は20%だ。その中で、株式投資に関する部分だけ10%というのは、預金や債券など他の金融商品と整合性が取れていない。また、平成21年から金融所得一体課税を進めるための損益通算が認められ、譲渡損益と配当金、更に債券の利息等と順次拡大している。また、次の様な現行の軽減措置上の問題点も指摘されている。
 軽減措置は株式と株式投信が対象だが、株式投信は約款に株式への投資が唱ってあれば株式投信扱いになり、実際99%が公社債で運用されていても10%の軽減措置になる。一方、同様の投資を行う公社債投信や公社債そのものへの課税は利子所得として20%の源泉分離になる。殆ど同じ投資対象なのに、課税が異なるのはおかしい。

【勤労性所得との比較等】
 勤労所得は段階的な税率での総合課税となっているが、10%最低限の適用を受けるのは夫婦子二人世帯で270万~325万の所得階層であり、それに比べて軽減措置の10%は低いし、利子所得の20%と比べてもアンバランス。

【これまでの取組み】
 結局、これまでの取組みで恩恵を大きく受けたのは高額所得者や富裕層ではないかとの指摘。例えば投信の個人保有額は増加したが、勤労者世帯ベースの1世帯当たり株式・株式投信の平均保有額でみれば、年間収入が1500万円以上の324万円に対し、500万~600万円の層では34万円にすぎない。また所得税負担率(平成20年分)でみると、1億円までの収入層の28.3%をピークにそれ以上の収入層は低下しているが、その主な原因は株式譲渡益分の軽減措置の影響とされている。

【日本版ISAと10%軽減税率の関係】
 そもそも軽減措置を撤廃し、他の金融所得と合わせて20%に戻すことは日本版ISA(少額投資に対する非課税措置)とバーターだったはずという主張(財務省)。
※これに対して筆者は異論がある。現行の日本版ISAは平成24年1月から始まることが予定されているが、当初設計の10年間毎年口座開設が現制度では3年に短縮されて、また一旦売却したものの非課税口座の再利用が出来ない(英国制度は再利用可)。投資の非課税措置によって国民の資産形成をしていくには、現制度は試行的すぎる。

【諸外国との比較】
 譲渡益課税を比較しても、日本の20%(平成24年から戻る予定の本則)は低い方であるとの指摘。
※これに関しても多少の異論がある。英国は年約135万円分の譲渡益は非課税だし、別途総額で1300万円以上(年間投資額はその10分の1)投資して資産形成に役立てることが可能なISA(個人貯蓄口座)制度があるし、フランスもPEA(株式貯蓄計画)で夫婦合計して約3000円の投資が非課税となっている。
 つまり、日本には投資を通じて個人か資産を形成するのを支援するような制度がない。現行の日本版ISAは、あくまでも投資の非課税措置で、投資による個人資産形成を支援するものではない。

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