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2010/12
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ファンド運用会社が投資家に訴えたいこと
 今年は欧州の格下げ問題や新興国の利上げ・資本規制など投資家の注目する材料は海外関係が多かったが、個人の投資が投信などを通じて海外シフトしていることもあって、投信を運用するファンド運用会社=アセットマネジメントor投信委託会社の情報発信力は格段に向上している。海外市場で何かイベントが発生したら、翌日は主要な運用会社から何らかのレポートが公表される。例えば、直近の中国の利上げなどは市場が休みの土曜日に実施されたにも係らず、多くの解説レポートが月曜には公表されていた。その事はある意味では当然かも知れない。海外に調査機関を持つ大手の金融機関ならいざ知らず、ネット証券や地域証券・地域金融機関など、同じ様な投信が多くのチャネルで販売されるようになっていて、運用会社には販売後のメンテナンスとして、関係情報を適時提供することを求めている。しかし、運用会社としてはこの部分はどちらかと言えば守りの情報提供なので、新たにファンドを集めるために攻めの情報提供を行わなければならない。2011年・・最近は次の十年の始まりの年と前向きにいう事が多いが・・を迎えるにあたり、主要な運用会社が発しているメッセージを取り上げてみる。
(注:概要を記載するが、ご興味があればレポートをお読みいただきたい。その為、レポートにリンクさせておくが、運用会社の都合や考えで削除されることもある。なお、記載順位は、筆者の興味を持った順)

○日興アセット
「改めて今、日本株式について日興アセットマネジメントがお伝えしたいこと」(12月27日)
今までは、債券運用の投資戦略が有効だったが、日本株を“そろり”と買っていく戦略が優位になる可能性があるとの考え。
○ゴールドマン・アセット
BRICsとN-11の個人消費の台頭(12月28日)
BRICSという言葉を作ったジム・オニールのレポート。N‐11とは、具体的に、バングラディッシュ、エジプト、インドネシア、イラン、韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナムを指す。今後米国の消費低迷があったとしても、BRICSとN‐11がそれを補う以上の成長を遂げるとの見解。
○フィデリティ
2011年の市場展望(12月9日)
国内需要拡大により、アジアでは内需関連株(消費テーマ)のパフォーマンスに期待が持てる。日本株はアジア株と比べて割安な水準、市場反転のカタリストは配当政策と、M&Aに注目。
○野村アセット
投資の視点:2010年の為替市場と今後の注目点(12月13日)
内容は、為替変動要因とその注目点の解説
○ニッセイアセット
今後一年間の見通し(11月末時点)
○三菱UFJ投信
2011年為替の投資環境
中期見通しでは年後半穏やかな円安を予想:1年後の為替レート、ドル=90円、ユーロ=113円
○JPモルガンアセット
世界投資適格債券 市場環境と見通し(12月27日)
新興国現地通貨建債券 市場環境と見通し(12月27日)
新興国展望 各国株式市場の見通し(12月16日)
○大和投資信託
※インドのアセットマネジメントを買収、アジア諸国中心に各国のマーケットレターは充実しているが、投資戦略に関するオピニオンは公表なし

各社、やはり新興国投資と為替での円安傾向を見ているようだが、外資系の一部を中心に日本株の個別見直しのような戦略もあるようだ。だた、投資戦略をハウス・オピニオンの様に公表するのは、外資系に一日の長があるように思う。

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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

証券業協会にお願いしたいこと
 先ず一般の方々には余り馴染みのない日本証券業協会とは何かから説明したい。
協会なので会員から構成されるが、証券会社=第一種金融商品取引業者(金融商品取引法上の名称)299社と、株式売買の取次ぎ以外の有価証券売買が可能な金融機関=登録金融機関211社が、その会員となっている。(登録金融機関の方は特別会員なので、自主規制は及ばない)その業務は、主に次の二つに分けられる。

○自主規制業務=金商法や取引所規則では定めない、証券会社の守るべき実務的なルールを、自主規制として定め、その遵守状況をチェックし、違反の際には過怠金や会員資格停止などの自主制裁を発動する。なお、この業務の中に投資家との紛争の際に斡旋を図る金融ADR業務や、取引所外取引制度(PTSやグリーンシート市場)整備が含まれる。

◎金融商品取引業、金融商品市場の健全な発展を推進する業務=投資家からの高い信頼を得る為に、市場に関する調査を行い、また証券市場の信頼性向上と活性化のため、証券市場におけるシステム等の共通基盤の整備に取り組む。この為に、市場に関する情報を集約して提供している。この部分は、一般の投資家からみて非常に重要な機能であるが、提供される情報が投資家にとってどの様な意味をもち、どう使われているかも検証される必要がある。また、金融教育に関する活動も、この業務の中に含まれる。加えて、グリーン市場の運営もある。

金融ADR法の施行により、金融商品取引業を営むものは、実質的に何らかの自主規制機能を持つ業界団体に入ることが必須となったので、証券会社と呼称されるものは、必ずこの協会の会員である。(昔は、外国証券やネット証券が別の協会機能を立ち上げる動きもあった。

それで、証券業協会には証券会社を利用する投資家の立場として、以下の3点をお願いしたい。

☆証券会社そのものの情報発信の促進と、業務内容が比較可能な情報の提供
 投資家への投資情報の提供で、業を営んでいる証券会社であるが、実は一部の証券会社を除き、自らの情報開示は余り積極的でない。例え一部の投資家の為の会員制クラブのような証券会社であっても、投資家から見て、どの様な特色があるか一目で業容の比較できる会員一覧を、ネット上で公表すべきだ。陣容や自己資本比率、取扱商品量などは必須だが、大手証券が一方的に優位に見えないよう、各証券の特色のアピールポイントも記載して、投資家向けに示して欲しい。つまり、投資家が比較検討して証券会社を選択することが可能な情報の提供を求めたい。

☆協会が発信される情報の、投資家にとっての影響の解説の提供若しくはその適宜の更新
 各懇談会やワーキングで議論されることは、日本の資本市場にとって重要なテーマであることが多い。また、証券会社を通じて集約している情報も、本来は投資家の投資判断等に利用可能な情報でなければ可笑しい。協会が労を取って行っている検討や作業につき、それが投資家に何の意味があるか発信することが、大きな意味での投資教育にも繋がる。なお、ワーキング等の議事録を箇条書きで公表することは余り意味がない。どういう立場の人々がどの様に発言したか、検討全体の文脈が分からなければ、投資家のみならず10万人近くいる証券業界の人々にも、その意図は伝わらない。300社余りある会員の9割方も、理解していないような事も多い。

☆未公開株投資としてのグリーンシート市場の整備と未公開株投資に関する情報の集約及びその提供
 正直にいうと、今新興市場のプレマーケットとしてのグリーンシート市場は機能していない。それは、現在のグリーンシート市場が、資金調達と売買が行い難い仕組みとなっているからだ。つまり、グリーンシート公開企業のメリットが余りなく、流動性への配慮がされていないので投資家が拡がらない。一方で未公開株詐欺が発生して、業界としては残念なことだ。しかし、詐欺的行為は何を使ってでも為される。協会が行うべきことは、正しい未公開株投資の情報を徹底して流すことで、未公開株投資への正しい道筋を、投資家に示すことではないだろうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

新興市場:マザーズはどう変わるのか
日本の新興市場はどう変わろうとしているのか。多くの投資家は、あまり変わらないと思っているかも知れない。また、市場関係者の多くは、こう変えなければならないと考えている。そもそも新興市場問題とは、何だったのか。先週、21日の東証の斉藤社長の定例記者会見時に“マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた上場制度の整備”が公表されているが、その対応策から、何が問題だった見直してみたい。
※規則改正分は、来年3月を目途に変更

○市場の信頼性向上に向けた施策⇒つまり、新興市場が投資家の信頼を失うようなことをしたという問題に対して
・財務諸表の信頼性向上の為の対応⇒つまり新興企業での売上高や利益で、虚偽記載が数件あったという問題
→つまり新興企業の財務諸表監査にも問題があるとして、これを行う監査法人は、日本公認会計士協会で認(登録制)められた上場企業向け監査法人=“上場会社監査事務所”であることを、東証はマザーズ上場会社に義務付ける。
・上場審査の実効性向上のための市場関係者との連携強化⇒つまり、おかしな企業を上場前にシャットアウトする為の仕組みが問題あると言っているが、この事は本当の関係者以外分からない。少なくとも投資家は理解できない。
→主幹事、監査法人、財務局と東証の情報共有を要請するとともに、主幹事や外部機関などあらゆる方法で情報を集めるとしている。
・市場コンセプト明確化のための対応⇒簡単に言い切ると、新興市場なので、上場企業が新興企業でなくなった場合、どうするかという問題
→上場廃止基準を厳しくして、成長力がなくなったり、当初の事業コンセプトが難しくなった企業に退場を促す一方、上場から10年経った企業は、原則、東証1部や2部への移行で新興市場を卒業させる。

○流通市場の活性化に向けた施策⇒つまり、多くのIPO銘柄が、上場当初数か月間は売買が盛り上がるものの、その後取引が長期に渡って低迷する傾向が強いことに対して
・アナリスト・カバレッジ拡大に向けた取組み⇒新興企業のアナリスト・カバー率が1割未満となっている現状の問題
→大証の様なアナリスト・レポートのプラットフォーム構想は見えないが、一応取り組んでいくことを東証は表明
・上場後間もない会社のIR支援⇒この部分を正直に書くと、上場間もない時は、IR対応はそれほど悪くない。しかし、上場後、業績が低迷し始めると、途端にIR対応が悪化するケースが多い
→アナリストや機関投資家を対象にした合同IR説明会開催や、IR助言ザービスの活用支援を東証が行うとしている。

○新規上場の活性化に向けた施策⇒今年のIPOは22社で、昨年の19社より増加してはいるが依然低水準。
・市場コンセプトに即した上場審査手法の導入⇒上場直後を株価のピークに、その後の株価の低迷に入る新興企業が多いのは、上場審査時期に合わせて企業業績がピークになっているような懸念がある。
・上場審査プロセスの効率化の為の対応策⇒今のプロセスでは、主幹事が一旦審査したうえで、自らの推薦書を添えて新興企業の上場審査が開始される。また、取引所の審査期間は一定でないことから、全体として上場審査プロセスを明確化して短縮していくことは好ましい。
・遡及監査の実施にむけた環境整備⇒現在、上場準備期間は最短でも2年半かかると言われているが、これは2年分の監査証明が必要な為。上場申請時に過去分を遡及監査できれば、準備期間を1年程度まで短縮できる可能性がある。しかし、これは法改正が必要にも思うが。
・未公開ベンチャー企業に対する上場支援の強化⇒実施した方が良いかもしれないが、東証には申し訳ないが効果は疑問。それよりも、市場誘導者として証券会社以外の金融機関や専業者を認めても良いのではないだろうか。

 以上、一つ一つの施策は正しいと思われるが、新興市場対策としては何か合成の誤謬的な罠に入っているように思われて仕方がない。但し、この問題は取引所だけの問題ではないので、新興市場活性化策は、国家戦略として検討して欲しい。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人投資家の相場操縦行為について
インサイダー取引の摘発の増加も目立っているが、今年は個人投資家の相場操縦に関する事件が明らかにされることも多かった。21日に、証券取引等監視委員会よりインスペック(東証マザーズ6656)株式の相場操縦行為に対して摘発が行われ、課徴金納付命令(実際行うのは金融庁)の勧告がされている。
違反者に対しては、個人の相場操縦としては最大金額となる1864万円の課徴金が課せられるが、違反行為の概略は次の様なものだ。

・違反行為を行う前に、既に1573株を保有していた。(保有株の取得価格は、2万8190円(保有株の91%)から3万6400円まで)
・2009年7月23日から29日までの5営業日の間、大量の成り行き注文を発注して高値で約定させたり、直前約定価格より高値で売り買い注文を同時発注して株価を引き上げ、同社株式を2万8000円から3万6800円まで引き上げた。この間の買付株数は161株、売付株数は137株。
・以上の行為は、金融商品取引法159条第2項第1号=相場操縦行為等の禁止:売買が繁盛であると誤解させる行為又は相場を変動させるべき一連の売買行為に当たる。
・違反行為中に売買したものは、137株でこの分の課徴金は、47万円
・結果的に保有している株式に対しても、何らかの経済的メリットを受けた分のペナルティとして、違反行為後の1ヵ月間の高値(4万円)と買付代金の差額を課徴金とされ、この部分が1817万円で、合計して1864万と個人としては過去最高額となっている。
・なおこの株主は、インスペックの主要株主にあたり、かつインスペック自体は債務超過で株価の低迷からマザーズの時価総額基準に抵触する可能性があった。

また、本年摘発された事件としては、次のものがある。
●20代会社員:小池酸素(2008年12月~2009年2月)高値形成を狙っての大量の買い注文=課徴金54万円
●30代男性2名:バリューコマース(2008年10月)直前株価より乖離した値段で売り注文と買い注文を同時に発注する方法で株価を不当に上げ下げ=課徴金95万円と26万円
●40代男性:スズケン(2009年5月~6月)見せ玉を使って、売りまたは買い圧力が強まっているように見せる行為を繰り返し行う=課徴金159万円
●会社員=タウンニュース(2008年11月)自社株での高値形成を狙い実勢よりも高い値段で、買いと売りの注文を同時に出す=課徴金25万円

なお、相場操縦行為の類型は次の様なものがある。
【仮装取引】権利の移転を目的としない取引を行い、現実の取引と区別することが出来ない記録上の取引を作出する行為
【馴合い取引】売り手と買い手があらかじめ通謀のうえで、取引またはその申込みを行う行為
【現実の取引による相場操縦】取引を誘因する目的をもって、取引が繁盛であると誤解させ、相場を変動させるべき一連の売買行為
【不実な表示などによる相場操縦】取引を誘因する目的をもって、重要な事項(投資判断に影響する)について虚偽や、誤解を生じる表示を故意にすること。
【見せ玉】約定する意思がないにも係らず、市場に注文を出して売買を申し込み、約定する前に取り消す行為
 以上の相場操縦に違反した場合、刑事責任(懲役10年以下、個人としての罰金は3000万以下、法人の罰金は7億円以下)民事責任、課徴金などを負うことになる。

 相場操縦行為は、その目的が問われるが、実際の売買にあたり、その検証をしていくことが難しい場合もある。また、売買システムや手法の変化で行為の手口も変わってくるだろう。例えば、米国ではファンドがCDS(信用ディリバティブ)や信用情報を活用して空売りをしたケースも明らかになっている。健全な日本市場を守る為に、証券取引等監視委員会の機能に期待していきたい。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

SWF(政府系投資ファンド)をちゃんと考えるべきでは
 欧州の債務問題に対して、中国が支援する為の具体的行動をとった事が中国副首相から公にされた。SWF(政府系投資ファンド)を使って、アイルランドやスペインの国債でも購入するのだろうか。そういえば金融危機直前の時期に、中東や中国のSWFが相当な規模で欧米金融機関の増資要請に応じていた。ちょうと同時期に、日本では前自民党政権下で、外貨準備(今ではごく一部が埋蔵金扱いされることもある)を使って国家ファンドを立ち上げてはどうかいう日本版SWF議論が盛り上がっていた。最近、政府関係者で議論(緊急経済対策:10月)されたようだが、総合取引所の様に国家戦略に入るわけでもなく、詳細は余り伝わってきていない。しかし、それで良いのだろうか。日本経済研究所発行の証券レビュー12月号“SWF(政府系投資ファンド)の国家持ち株会社化―現状と展望”(青山学院大学中川教授の講演録)を読んで、そう感じた。

 先ずSWFの規模だが、SWF関係国に助言を行うIFSL(International Financial Services London)によると昨年時点で3.8兆ドルの運用資産残高になり、プライベート・エクイティの2.6兆ドルやヘッジファンドの1.6兆ドルの規模を凌いでいる。その国別内訳は、国家為替局投資公司や中国投資公司を抱える中国が24%、アブダビ投資庁などのアラブ首長国連邦が18%、政府年金基金のノルウェーが12%、SAMAなどのアウジアラビアが11%、ジンガポール政府投資公司やテマセクのシンガポールが10%となっている。元々は原油の代金か輸出で稼いだ外貨を国の資産(あるいは国民の年金資産)として運用しようということだが、その投資内容は、相応の投資収益を狙う為に、時としては積極的運用に見えるし、投資先のマジョリティを握るケースが多く、投資先国から警戒されることもある。
SWFの分野別国際投資残高の構成は次の様になっている。
・金融---42%、・製造業---14%、・サービス---13%、・不動産---11%、・商品---10%、その他---10%
また、投資先の出資比率は、50%以上の出資が39%、20%以上の出資が23%となっており、合計すると3分の2近くが企業の支配権に影響を及ぼすような投資になっている。その為、米国などの警戒感は強く、次の様なSWF投資のルール化を求める動きが国際間のコンセンサスになっている。(中国などの投資を歓迎しながらも、業種によっては規制したいとの先進国側の思惑が強い)
①安全保障にかかわる企業への投資を行わない。
②通貨を対象とする投機的な取引は行わない。
③政治的意図を持った投資は行わない。
④SWFの資産運用上の透明性を向上するように努める。
 しかし、SWFの投資行動に規制を嵌めることは出来ないので、SWFの透明性とガバナンス評価を行いながら、新興国・資源国の先進国への政治的投資の思惑を牽制していくというのが、現状のようだ。

 最近、新興国などのインフラ投資で、政府を巻き込んだグローバルな受注競争が一般化しているが、グローバルな経済活動においても、中国などの政治・政策的思惑は、それがSWFなどを使った経済戦略と言われれば、完全に排除など出来ない。日本版SWF議論を再び活発に行うべきと考えるのは、単に国民資産のグローバル投資による増大を目指すだけでなく、中国を含めた各国のSWF運営の対抗上も必要なのではないだろうか。グローバルな経済活動は、政府も含めた総力戦になりつつあるように思われるが、総合取引所など金融インフラ整備に注力するだけで、日本の金融資本市場はアジアのメイン・マーケットの地位を維持できるのだろうか。日本版SWF議論は、金融を含めた新成長戦略で骨太な議論をすべきと考える。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

平成23年度税制改正大綱の個人投資関連部分について
 来年以降の投資に関する税制はどう変わるのか。12月16日に平成23年度の税制改正大綱が閣議決定されて、業界からみれば、やれやれという評価だろうが、貯蓄から投資への促進を考えれば、残念な部分もある。また、投資家から見て課税目的からすると少しおかしいと感じている部分も手直しされている。

その個人投資関連部分の内容は次の様になっている。
◎上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率については、景気回復に万全を期するため、平成25年末まで2年間延長する。【大綱の概略】

●この軽減措置の延長にともない、平成24年度から導入を予定されていた少額投資非課税制度(日本版ISA)は、その導入時期が2年延期された。なお、この非課税口座には、募集株式(IPOやPO)やライツ・イシューなどで割当てられる新株予約権、株式分割により割当てられた株式も取り扱える措置が取られている。
※この部分が残念な結果と筆者は考える。譲渡益課税の軽減措置とバーターになっていたので、仕方ないのだろうが、何の為に日本版ISAを導入すべきか、業界はもう一度議論し、考え方を整理して、政策提言し直す事を期待したい。そもそも本家の英国のISAは、投資による国民資産形成を手助けするものだ。それが、導入を予定されていた日本版ISAは、単なる非課税取引口座にしか見えなくなっていたので、軽減措置撤廃が導入条件となっても致し方ない。しかし、国民の金融資産を、過剰な貯蓄から不十分な投資へ誘導していく為には、長い期間の非課税措置によって、個人が投資により資産を形成していく仕組みが必要だ。その為には、もう一度日本版ISAの制度設計をやり直す必要があるだろう。例えば、非課税口座開設者を65歳未満に限るとか、日本版401Kとの関係を整理し直す等、富裕層以外の一般の国民の投資促進に取り組む業界の姿勢が求められる。

●大株主の個人の配当は、現在5%以上なら軽減措置を受けられず総合課税となるが、この基準を3%に引き下げこの部分の課税は強化される。(平成23年10月から)

◎金融商品間の課税の中立性を高める観点から、店頭デリバティブ取引に係る所得は、市場デリバティブ取引(取引所)と同様に20%申告分離課税とした上で、両者の損益通算お酔い損失額の3年間の繰越控除を可能とする。【大綱の概略】(平成24年1月1日以降の決済分について変更)
・店頭カバードワラントも含まれる。
※この部分は、FX取引などの投資家かから不満が強かった部分だが、デリバティブ取引間で同一の扱いになったことは好ましいい事だ。加えて、下記の金融商品に係る損益通算が進めば、金融所得一体課税が見えてくるが、株(含む投信)・債券・デリバティブ間の一体課税や損益通算に関しても、株式等の譲渡益課税の軽減措置撤廃が条件となりそうだ。その為、金融所得一体課税までには相当の時間がかかりそうだ。
課税側の論理ではない視点で、金融所得一体課税の実践の為の政治的判断を促す議論が望まれる。

□平成26年に上場株式等の配当・譲渡所得等に係る税率が20%本則税率になることを踏まえ、公社債等に対する課税方法の変更及び損益通算範囲の拡大を検討する。【大綱の概略】

○特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次のものを追加する。【大綱の概略】
・第一生命などIPOされた生保株(生保会社から割り当てられた上場株式)
・上場株式を無償で割り当てたもの
・新株予約権を無償で割り当てたもの(ライツ・イシューなどを含む)
・新株予約権の行使により取得した上場株式(ライツ・イシューなどを含む)
・税制適格でないストックオプションにより取得した上場株式
・被相続人等の持株会等口座から取得した上場株式
※現在、2300万口座(複数金融機関での口座開設は可能)ある特定口座の利便性を向上の為には良いのだろうが、そもそも徴税コストを証券会社等に負担させるこの制度は、金融所得一体課税・納税者性番号制・非課税投資制度などの改革が進めば、どう変化していくのだろうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人投資家が証券会社に求めるもの
証券会社のことを今更株屋と呼ぶ人も、殆どみかけなくなったが、個人投資家が証券会社に求めるものは何なのだろうか。儲かる商品を提供してくれる、複雑な金融商品を分かり易く説明してくれる、安定した資産運用を行ってくれる、便利で安価な取引手段を提供してくれる、と人によって異なるだろうが、取り纏めて言うなら、現在の証券会社は、投資に係る金融サービスを提供している。例えば、日本株なら3,661銘柄、国内投信なら6,510ファンド(数字は11月末現在)、ETFにREIT、加えて外国株に外国債券・外国投信、デリバティブと膨大な数の金融商品から、投資家の求めるものを効率よく探し出し、分かり易く説明し、安全に管理する。出来るだけ廉価でという注文もつくだろう。証券業協会が11月にかけて実施した個人投資家を対象にした“証券投資についてのアンケート調査”では、証券会社に対して次の様なことが個人投資家より求められている。
(※アンケート方法は書面及びウェブサイトを通じて実施、サンプルは35,176名。うち投資家数25,367名。回答内容は、証券業協会が設問した選択式の回答による。)

【対面取引】
・営業員の誠実さ=投資家の重視度が最も高く、実際の満足度も最も高い。
・重要度は高いが、実際の満足度は低い。
・手数料の水準=重要度は高いが、逆に満足度は最も低い。インターネット取引との比較感では当然に思える。
・説明のわかりやすさ=重要度の高く、満足度も高い。営業員の誠実さと併せて考えると、投資家が証券の対面営業に求めることが見えてくる。
・情報の量及び質=重要度は高いが、満足度は平均値。つまり投資家は証券会社の提供する情報の質には十分な満足をしていない。
・安定した経営=重要度は平均値だが、満足度は高い。対面営業を行っている証券会社は自己資本比率が高い事、また個人投資家資産の8割方は大手・銀行系証券に集中している為とみられる。
・社会貢献や環境問題への取組み=重要度は最も低く、満足度も低い。CSRを意識しての質問の設定だろう、企業としての問題なので投資家の関心は薄い。

【インターネット取引】
・手数料の水準=最も重要度が高いが、満足度は平均値に近い。筆者の個人的感想は、十分手数料は安くなったと思うが、信用取引や証拠金取引でのキャリーコストなどを含めて考えると、投資家の求めているものは、トータルした取引コストの安さと読み替えるべき。
・取引画面の使い勝手=重要度が高く、満足度が最も高い。システムの安定性に関する設問もほぼ同じ傾向で、ネット証券では当然の事だろう。
・十分なアフターケア(購入後の情報提供などの対応)=重要度も低いが、満足度は最も低い。これもネット証券なら当然の結果の様に思えるが、反対にネット証券同士で差別化する場合、この事が意外な改善ポイントになるかも知れないと考え直した。コストを掛けずに、このアフターケアを行うネット証券の次のイノベーションに期待したい。

【自由回答による部分で、投資家が考える証券会社が取組むべきこと】
・対面取引の投資家は、1位が証券会社のサービス等の向上、2位が営業姿勢の改善、3位が市場の活性化
・ネット取引の投資家は、1位が市場の活性化、2位が証券会社のサービス等の向上、3位が証券税制の改正等、4位が不公正取引の排除
(※証券税制要望は、軽減税率の維持だけではなく、損益通算の拡大、デリバティブ取引課税の不一致是正などと見られる。)

 証券業は、やはりサービス業である。そう考えて、サービスの改善に取り組む証券会社が生き残っていくのだろう。

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新興市場の問題とは何なのか
大塚ホールディングスが東証1部に15日上場され、東証の時価総額が1.1兆円増加した。今年四月の第一生命に次ぐ大型IPOで、市場では期待とともに祝福ムードでスタートしている。IPOというと新興市場を思い出すが、大塚ホールディングスも第一生命も新興企業ではないし、新興市場に上場もしていない。何を今更と思われるかもしれないが、直接一部に上場するような企業のIPOも、マザーズやジャスダックに上場する新興企業のIPOも、同じ仕組みで上場される。

 最低でも2年近い上場準備期間があり、IPOの主幹事を担当する証券会社が、開示資料作成、取引所への上場審査準備対応を指導し、それから取引所へ上場申請を行い、そして概ね3ヵ月~半年後に上場する。証券会社の組織でいうと、IPO銘柄を発掘する営業部隊があって、上場のコンサルティングを行う部署が1~2年程度面倒みて、上場審査に対応する部署が上場申請をサポートする。結構な重装備(コストがかかる)で、証券会社のビジネスからみると装置産業的な部分がある。だから証券からみると、同じことをするなら当然大型のIPOに集中しがちで、規模の小さい新興企業のIPOは後回しになりがちだった。例えば、取引所の形式基準をクリアしていても、時価総額10億円以上見込めなければ上場申請のサポートも受けられない事例もあった。

 また中堅証券が取り扱ったIPO銘柄の値付けで、企業の経営者の意向を受け、協会ルールを逸脱して公開価格を決定したことが当局より摘発されたり、新興企業の開示資料の虚偽記載が相次いで、証券会社のIPO引受態勢が問題視され、日本証券業協会で引受審査ルールが強化されたこともあった。

 しかし、新興市場の本質的問題とは何なのだろうか。技術的な事は横に置いて、考えてみたい。
例えば、市場が活性化するというのは、市場に商品は運ばれてこなければ始まらないが、新興市場に新興企業を運ぶ役割は、今までは証券会社が担ってきた。市場誘導機能というが、証券会社が行うと装置が重いので、小さいものは運びたがらないなら、証券会社ではない者に市場誘導させてみては如何だろうか。
候補は、銀行やベンチャー・ファンドや公認会計士などだが、証券会社に代わって取引所の上場申請を行うことが出来るようにする。その為には、取引所の上場審査の実質的な部分を明らかにし、取引所の会員証券でなくとも、新興企業の上場申請を行えるようにすべきだ。これらの新たな市場誘導者と、実際にIPOの販売・株式の売買を行う証券会社間で、審査情報を共有する仕組みを取引所が作ることも必要だ。
また、市場の持ち込まれた商品も古くなると鮮度を失うことがあるが、新しい商品を持ち込む為には、これらを市場から排除することも必要で、日経が報道したような新興市場における退場ルールの厳格化(東証)は好ましいことだ。

 日本の新興市場の問題を考えた時、IPO数が中国の7分1だから問題なのではない。日本の新規起業数が中国の7分の1な訳ではないし、日本の新興企業の上場意欲が中国企業に著しく劣っている訳でもない。当然だが、日本の資本市場の方が成熟しているので、新興企業が資本調達する場として、優位にあるはずだ。日本の問題は、それらの意欲ある新興企業を市場まで連れてくる者(市場誘導者)の数が、実質的に数社の証券会社に限られていることだ。この市場誘導者の数を増やさない限り、日本の新興市場問題は本質的に解決していかないと筆者は考える。

テーマ : 証券・金融関連業務
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株主とは誰のことを指すのか
 期末を越えて株式を売却し、その後株主総会の議案と招集通知が送られ、議決権の行使に違和感(その時点では、当該株式を売却してしまっているので)を感じながらも、配当を受け取ると、何だか少し嬉しくなってしまう。そんな感覚をもつ個人投資家は多いのかも知れない。配当を受け取ることは、前期の利益の配分なので、多少手続き上の時間もかかろうが、最早自分は株式を売却しているのに、新しい取締役を選任したり、定款変更に賛成・反対したりすることに、多くの個人投資家は意味を見出せない。
 そもそも株主とは誰のことを指すのか。難しい会社法(旧商法)の議論はさて置いて、株主とは株式を保有している人を指すが、株式が昨年1月から完全にペーパレスになり電子化してから、技術的にはリアル・タイムで株主を判明することが出来る。つまり、新たに株式を購入した時点から株主としての権利を行使することが可能な部分がある。取り上げたいのは、組織再編やMBO(経営陣による会社買取)・M&A事案に係る株主総会議案に対する株式買取請求権の行使だが、“今後の企業法制のあり方について”(法制審議会資料;経済産業省)によると、次のようなことが問題になっている。

・例えばMBOの場合、株価が継続して下落傾向にあった会社がMBOでTOB(公開買付)を実行し、その後のスクイーズ・アウトで残った株主に現金を渡し100%子会社化する場合、TOB価格と同一の価格で現金化する場合が多い。この時、TOBとスクイーズ・アウトの間に、新たに株式を取得し株主となったものが、スクイーズ・アウトの現金化価格を不満とし、株式買取請求権を行使し、裁判所に対して価格決定請求の裁判を起こすケースがある。新たな株主にとって、経済的不利益は無いはずなのだが、元々のTOB価格(TOB時点では、このものは株主ではない)が低すぎるとして株主買取請求権を使うのだ。
少しややこしいのが、長い間株主で経済的不利益を被っている株主も同様の権利を行使する場合がある。一方はMBO前からの株主、一方はMBOの為のTOB後の株主ということになるが、現在は同様の権利内容となっている。

・上記の株式買取請求権の買付価格が裁判所で決定されて実際に株主に支払うまでの間、会社側は買取請求を起こした株主に対して法定利率の6%を支払うが、この事が実質的資金の高金利運用になり、買取請求を誘発する状況にある。

・また買取請求制度が別の目的で利用されるケースとして、本来目的であるはずの総会議案等への反対ではなく、纏まって株式を保有する特定の株主から、会社が株式を時価より高く買取る目的で利用したものが複数あった。通常、会社が特定の株主より自社株式を買い取る場合、時価若しくは数%のディスカウント価格でToSTNeT等を使って買い取るが、この様なケースで時価と比較して相当高い価格であった。(この部分の記載内容は筆者追加)

 いったい権利を行使すべき株主とは誰なのか。権利の行使目的や権利内容によって異なるべきではないだろうか。その時点で経済的影響を受けるものが、その議案及び議案に係る権利行使の対象となる株主で良いのではないだろうか。紙の株券の時には、物理的制約があって便宜的に決めたことが、完全ペーパレス化によってリアル・タイムで株主を特定することが可能になったので、決済制度の進歩に合わせた株主の権利行使の仕組みが待たれる。

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公開企業のトップは自社株価に対するコメントを
高くなったら売却し、安くなったら買い戻す。別にヘッジファンドや個人投資家でなくとも、当たり前の経済行為であって、公開企業の経営者でも親会社でも、又は公開会社自らだって行って構わない。但し、企業の先行きに関する未発表の情報を数多く持つ立場なのだから、株価に影響を与える情報と考えるなら、基本は公開して、計画中など微妙な段階では売買を手控えるのが資本市場ルールの常識だ。また、MBOや完全子会社化などで、その公開会社(公開子会社)を完全に買い取ってしまう場合には、特別のルールが必要になる。現在(12月13日時点で)、TOB(公開買付)が12社進行中だが、その内半数の6社は実質的に経営陣もしくは親会社による公開企業の100%買い取りで、当然だが上場廃止になるので、一般の株主は原則売却せざる得なくなる。その為、TOBの買付価格には4~5割程度市場価格に上乗せして買い取るプレミアムがつくが、買い手である経営陣や親会社は、それでも安いと思い買付けを実行する。

 一連の市場での評価と、経済行為の結果なのだから、止め立てするものは何も無いが、経営陣・親会社と一般の株主の情報の非対称性は、通常の買い手・売り手のそれより格段に大きなものなので、売り手である一般株主への配慮は必要になる。2007年8月に公表されている経済産業省の企業価値研究会によるMBO(経営陣だけでなく親会社による買い取りも基本的に同じ)に関する報告書[正式名称:企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する報告書]では、
・企業の価値向上を目指したものかどうか
・既存の株主の権利が損なわれないように、第三者によるチェック機能が働くこと
の2つの原則を示している。

 この様なルールはあっても、例えば公開して数年しか経っていないような企業が、MBOや親会社による完全子会社化などを行うに事に、割り切れなさを感じるのは何故だろう。企業の多くの未公開情報を持つ経営陣や親会社が、自社株を安いと感じて、その為にMBOや完全子会社の準備を始めたのは何時なのだろうか。若し問題があれば、MBOに関した一連の裁判や、TOB実行時の第三者委員会の調査で明らかにされるかも知れないが、その事は一般の株主にとって結果如何に関わらず新たな投資判断の機会と時間を失わせるものだ。

 そこで提案したいのは、公開企業の経営者・親会社が、自社株価若しくは上場子会社株価に対してコメットを行うことを義務付けることだ。
自社株が安いか高いのか、概ねどの位の株価水準を目標とするのか、自社株と何か別の指標(競合他社株)を比較しているのか。勿論、この様な経営者の自社株に対するコメントは、IRなどで企業から発信されることもあるが、まだまだ一部の範囲に留まる。これを、決算短信などの取引所での開示制度で対応しては如何だろうか。このコメントで、一般株主や個人投資家は経営者の自社株価に関する考え方を知ることになる。また親会社の上場子会社に対する株価コメントも、一般投資家にとっての一方的な子会社上場政策を牽制することにも役立つ。
 公開会社の経営者なのだから、自社株の水準に関しては日頃から強く意識(今時、株価は市場に聞いて欲しいという公開企業の経営者はいないと思われる)しているだろうし、株価に対する割安コメントがなされれば、企業の自社株買いを促すことにもなる。

なお、自社株価コメントする経営者に対する政策的サポートも必要で、この株価コメントが経営者個人の損害賠償責任の対象とならないことの明確化も必要だろうが、議論と試案は法制審議会にお任せしたい。

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“アジアのメイン・マーケット”プロジェクト=その2
 日本市場が、アジアの成長力を取り込んで、メイン・マーケットの地位を維持して行く為に、市場インフラの整備だけでは、活力ある他のアジア諸国の競争市場には敵わない。海外の企業や投資家に、日本市場に来てもらいやすい仕組みが必要だが、英語でも簡潔で分かり易いディスクロージャーや、簡素化された税制などは、政策の方向性で決められることなので、是非早期の実施をお願いしたい。“アジアのメイン・マーケット”プロジェクト第二弾は次の様な主な施策内容になる。(※なお、表記の順番は、筆者の主観による重要度順)

【税制に関するもの】
○金融商品に係る損益通算範囲及び損失繰越期間の拡大:金融所得を一体的に考え、一律の課税を行うという考え方を進めるには、損益通算範囲と期間の拡大は重要。近年、損益通算の範囲は拡大しつつあるが、一層の拡大が望まれている。平成23年度税制改正要望。

○証券の軽減税率の延長:証券業界が強く要望している。(但し、日本版ISA導入の延期と相討ちになることは、避けていただきたい。軽減税率の延長は、日本市場活性化目的だし、日本版ISAは個人投資家増加策・投資による個人資産形成目的なので、それぞれ検討されることが望ましいと筆者は考える。)

○店頭デリバティブ取引等の申告分離課税化:同じFX取引でも、片方(取引所FX)は申告分離でもう一方(店頭FX)は総合課税というのは確かにおかしい。デリバティブ取引に関する規制を強化したのだから、利便性も向上することが期待されている。

【ディスクロージャー=開示制度変更に関するもの】
○外国企業等による英文開示の範囲拡大等の制度整備:現在、開示制度ワーキングにおいて検討中。本国で英文開示している場合、同程度の開示義務済むなのが主な緩和内容だが、平成23年度中の開示政府令改正を目指す。

○ライツ・オファリング(所謂ライツ・イシュー)が円滑に行われる為の開示制度等の整備:現行ではライツ(新株予約権)を割り当ててから、7日以上経たないと権利行使できないが(売買は可能)、この期間を短縮するなどのライツ・イシュー推進の為の緩和策。平成23年度中の開示政府令改正を目指す。

○四半期報告の大幅簡素化:企業の過度な負担を軽減する為、大幅な簡素化を実施。平成22年度中を目途に会計基準の改正と併せて行う。

○取引所における業績予想の在り方の検討、取引所の取組の慫慂:業績予想は適時開示(取引所ルール:決算短信等)で求められるが、強制ルールではないので一部上場企業は開示していない。しかし、投資家にとっては重要な情報であるので、取引所ルールの改正が今後検討されるようだが、金融庁も後押しするということ。但し、平成23年度以降。

○開示制度・運用の見直し:社債発行などで使う発行登録の際の追加的開示負担(追補目論見書交付義務等)などの軽減を検討し、発行企業の利便性向上を狙う。平成23年度中の開示政府令改正を目指す。

【税制に関するもの】
●投資信託・投資法人法制の課題の把握・見直しの検討:このテーマは重要だが少し重そうだ。つまり国民一般の投資・運用手段になってきた投信やREITの運用者に対して、情報開示レベルを一般の個人投資家まで合わせることは本年から始まっているが、運用に関する情報・買い手である投資家と利益相反するような事項などを開示させる事も、欧米中心に厳格化の傾向が強まっている。運用に関する態勢の整備とともに、どの範囲まで、どのタイミングで投資家に伝えていくかも重要な問題として認識されている。

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“アジアのメイン・マーケット”プロジェクト=その1
 プロジェクトを始める時、そのプロジェクト名をどのように命名するかという事は、関係者間で意外と重要である。プロジェクト名は、参画するメンバー達が期間中共通の目標を持ち続ける“象徴”でもあり、プロジェクトに寄せられる様々な期待と批判を集約する“看板”でもある。分かり易く、かつ新鮮で、そして覚えやすい方が良いが、更に明るいイメージを与えるものの方が長続きするというのは筆者の経験則だ。
 12月7日、金融分野の新成長戦略の実行策として“金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン”が金融庁より公表されていて、全部で37項目のアクションプランが示されている。その内、金融・資本市場に関係するものが24あり、この部分を総称して標題の様に“アジアのメイン・マーケット”プロジェクトと呼んでみたい。その主な内容は次の様なものだ。

【規制緩和若しくは機能強化】
○新興市場等の信頼回復・活性化:次の施策を実施すべく平成23年度前半を目途に工程表を作成・公表し、金融庁及び市場関係者による協議会を設置する。
①グリーンシートの活用促進(新興市場へ上場する際のメリット等を検討)
②一定の質が確保された上場前企業のリスト化(ベンチャーキャピタルが出資している企業リストの作成・公表等の検討)
③有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有(主幹事・監査人・取引所間)
④引受審査等における審査の適正化・明確化等(上場作業を中断するような事項の明確化など)
⑤内部統制報告書の見直し(中堅・中小上場会社での負担感が大きい事に対する配慮)
⑥成功事例を積極的に生み出すための支援の重点化(アナリスト・カバー、新しいインデックスETF、IR活動支援など)
⑦リスク情報を含めた継続的な情報発信・開示の促進(リスク情報の類型の整理、発信促進など)
⑧新興市場の位置づけの明確化(市場からの退出基準の整備など)
⑨上場廃止銘柄の受皿の整備(フェニックス市場などに必要なシステムの整備等の検討)

○プロ向け社債発行・流通市場の整備:TOKYO AIMでの業務規程の整備などに合わせ平成22年度中の開設に向け速やかに整備

○社債市場の活性化:現在、証券業協会で行われている社債市場活性化として次の取組みが行われているが、金融庁として積極的に支援。
①証券会社の引受審査の見直し(発行会社の発行時期の利便性の向上を目指して)
②コベナンツ(財務制限条項)の付与及び情報開示問題(ローンに対して社債が劣後しているかどうかの情報等)
③社債管理の在り方等(社債管理会社を務める金融機関の投資家の為の機能と、ローンの出し手としての利益相反問題)
④社債の価格情報インフラの整備(※昨日の本稿をご参考)

○総合取引所(証券・金融・商品)創設を促す制度・施策:金融庁・農水省・経産省の検討チームで年内に中間整理を取りまとめる。

○株式等のブロックトレードの円滑化:発行済株式総数の5%以上の買付行為はTOB規制の対象であるが、5%以上のブロックトレードの際の証券会社の仲介行為も、この規制のインサイダー取引規制(買集め行為)の形式的に対象になっている。その為、平成23年度中を目途に、この仲介行為を適用除外とする関係政府令の改正を行う。

○投資運用業の規制緩和:登録要件が厳格な為、小規模な投資運用業者が海外流出しているとの指摘があり、一定の顧客層の限定される場合には特例を設け、小規模ファンドの国内設立を促進する。平成22年度内の改正法案の国会提出を目指す。

※その2は、規制強化部分・開示制度緩和策・税制関係部分など

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日本の社債市場問題の解決策を易しく考える
日本の社債市場は、大手の金融機関や機関投資家と一部のブローカー証券の限られたマーケットで、それも相当に発行市場に比重が偏っている。市場機能としては、発行・流通の両方の活性化が望ましいものの、発行市場の方は低金利と追加緩和策の影響でそこそこの水準だが、流通市場の方は社債の格付けが下がるにしたがって乗数的に取引が閑散となる。日本の社債市場は、グローバルにみてローカル・マーケットの域を出ていない。
そんな状況の中、アジアの競争市場が追いつく前に、何とか欧米の社債市場に規模や内容も追いつく必要があるのではないかと、“社債市場の活性化”プランが日本証券業協会でスタートして2年近くになる。関係者の多大な努力には敬意を払うが、それでも社債取引活性化の為の具体的施策までには、相当距離がありそうだ。

 理由は、活性化議論がブローカー証券にとって多少の痛みを伴う割には、具体的なメリットが見えにくいので、抜本的な変化を避ける方向に議論のベクトルが流れがちになることだ。社債市場の根本的な問題は、流通市場を活性化しようということだが、その為には実際の売買価格などの流通価格情報を投資家・ブローカー間で共有が必要する仕組みが必要だ。つまり、証券ブローカーは実際に取引した社債の値段を公表することになるが、そのコストや負担は誰が負うか、この事も含めて議論しなければ、流通価格情報の共有は中途半端なものになりかねない。

 証券業協会におけるワーキングでは、一応代替案が検討されている。それは、証券日本国内で発行された社債は証券保管振替機構(ホフリ)の機能を使うことだ。現在、日本で発行される流通可能な社債はペーパレス化され、ホフリで決済・保管される。そのホフリに口座を持つ金融機関などに対して、ホフリ側は売買に伴う決済照合サービスを提供していて、社債の取引を行った証券ブローカーや金融機関は社債の売買を行った度に、その取引を照合することが出来る。この照合データの売買値段を利用すれば、業者からいちいち報告させなくとも、市場で実際に取引された値段が分かる。証券ブローカーも新たに売買報告システムを構築する必要がない。但し、現在のこの決済照合サービスは有料なので、利用率は実際の取引された社債決済のうち3割程度のようだ。
それでの良いのではないかと筆者は考える。今まで一部の証券会社や投資家しか知る事が出来なかった社債の実際の取引価格が公表されれば、海外投資家や個人投資家の社債取引参加の拡大が期待できる。また、現在有料な社債の決済照合サービスのコストを無料化すれば、社債売買での決済照合サービスの利用率は上昇し、取引値段のカバー率もアップする。

 しかし、これらの決済照合サービス無料化や流通価格情報を公表するシステムのコストに関して、業界は真剣に議論すべきだ。筆者は、証券ブローカーなどの負担増加は避けるべきだと考えるが、その理由はただでさえマージンの薄い社債売買に関して、これ以上のコスト負担増加は売買仲介のディスインセンティブになりかねない。業界全体で負担という事になると新たな基金が必要になるが、そういえばジェイコム基金があったのではないかと思い出した。ホフリの既存サービスを活用するのであればそれ程重い負担にはならないはずだが・・・。
(※ジェイコム基金=証券市場基盤整備基金、ジャイコム誤発注事件に伴い、50社の証券会社から約209億円の基金が拠出された。既に内部者管理システム≪J-IRISS≫には30億円弱が充てられているという。)

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空売り規制問題”:誰の為に何を規制し、何を明らかにするのか
“空売り”が良いのか悪いのかという議論ではない。“空売り”は、市場の流動性を増す上で有効に機能するが、パニックに陥るような時は規制しなければならない。ここまでは、市場参加者なら誰しも合意する最低限の事だろう。実際、今回の金融危機において、パニック的な売りを規制する為に、銘柄全て若しくは金融株に対して、一時的に空売りを規制した国は多くあった。しかし、現在は一部の欧州諸国を除いて空売りそのものを禁止する処置は取られていない。なお、米国に於いては1日に10%以上下落した銘柄に対して、空売りでの売り下がりを禁じるアップティック・ルールを再び導入している。(日本と同様の全銘柄へのアップティック・ルールの適用は、2007年に米SECが一旦廃止している。)

 そもそも“空売り”とは何か。保有しない株式を売却することだが、実際は株式を借りて売ることを指す。何処から借りてくるかというと、個人投資家は証券会社から、その証券会社は自社の顧客保有分若しくは他の金融機関(一般信用)か日本証券金融(制度信用)からだが、現在売買の約半数を占める海外投資家(東証の8月市場統計では49.4%)は、大手金融機関が参加する日本株の貸借市場ということになる。

 長い前置きになったが、日本に於ける“空売り規制”は、次の様になっている。
(1) 原則直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制(アップティック・ルール)
※個人投資家が信用取引で行う50売買単位以内の空売りは、本規制の原則対象外。
(2)売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務
(3)各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表
  ※金融危機前は全銘柄合計を月次で公表するものだったが、33分類の業種別を含めて日次公表へ変更
(4) 売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止。
  ※個人投資家には解り難い事だろうが、空売りしてから約定日までの間に株を借りるか、空売りしてしまった株式が借りるまで、業者間の株式の受け渡しを延長(フェイル)する前提で、海外投資家の空売り注文を執行するサービスを外国証券が行っていた。この行為をNaked Short Sellingと呼び、禁止するのはグローバルな金融規制の流れになっている。(借りられた株なら、空売りしても良い)
(5) 一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。
 ※現在、証券会社毎の空売りポジション保有者の報告表は東証のホームページで閲覧可能となっている。但し、銘柄毎の集計はされていない。

 上記の空売り規制は、(1)~(3)までが金融商品取引法及び施行令の本則部分、(4)と(5)は金融危機後三ヵ月ごとに継続されていたので、恒久措置化が現在金融庁で検討されている。この内、東証が“証券市場の機能強化策”で改定を指摘しているのは、(1)の恒常的なアップティック・ルールは厳しすぎてグローバル・スタンダードではないということと、(5)で投資家の指名まで公表する必要があるのかということだ。

 (1)のアップティック・ルールは元々大恐慌時代の経験を参考に意図的な売り崩しをさせない目的で規制され、戦後の日本でも導入されたが、相場操縦行為への監視がしっかり行われていたり、アルゴリズム取引の障害になるのなら、廃止を検討すべきだろう。一方、空売りポジションの報告・公表は何の為なのだろうか。もしこの報告・公表が、信用取引しか空売り出来ない個人投資家の為に、仮需要の偏在を知らしめる目的なら、投資家名はいらないが、日々の銘柄毎の集計の公表は行うべきではないだろうか。その事は、売買ショア16%(東証8月)落ち込んだ個人投資家の売買を増加させるかもしれない。

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“公募増資問題”:問題の本質を見据えた規制・改革を
コンサルティングをしていて一番困るのは、解決しようとする問題の対応策を検討している時に、似たよう問題を追加で持ち込まれ、一緒に解決しようという圧力がかかる時だ。確かにAとBの問題は、同じカテゴリーの問題なのだが、実は原因が違っていて、本来解決しなければならないAの解決策を実行することなく、新たなBの解決をもって全体的な問題の解消とする。結果、Aの問題は殆ど解決しない。
 この様なことは企業社会ではよくある事だろうが、Bの問題を追加で持ち込む人たちが悪意なき場合程、プロジェクト自体の成果を、中身のないものにしがちになる。プロジェクトメンバーの多くは、A・B合わせた問題の対応策は講じられたのだから、良いではないかというが、Aの問題に対する実効性のある取組みはなされない。この様なケースの多くは、プロジェクトメンバーがAの問題解決の為の痛みが、Bの場合より大きいことを潜在的に感じてもいる。
 
本稿でも既に取り上げたが、11月24日の東証社長会見時に、東証は公募増資時の規制等の在り方について、証券市場の機能強化策の一環として、業界や行政との調整を行っていくことを公表している。この問題で、東証は公募増資前後の空売りの増加が、本来の需給関係を反映していない恐れがあるとして、空売りした投資家に公募株の割当を禁じる米SECルール105のような空売り規制の検討を示唆しているが、筆者は現在の公募増資が抱える問題の解決策として、このような空売り規制の導入には、基本的に反対する。この公募増資に係る問題Aは何なのか。

 先ず問題Aとは、最近マスコミでも取り上げられている大型の公募増資に関する情報管理の問題である。
調達資金が100億円を超えるような大型の公募増資の場合、国内外の投資家に販売する(所謂グローバール・オファーリング)ため、公募発表前の数日から1ヵ月以上前の時点で海外の主要な投資家に投資ニーズを聞く“ソフトヒアリング”が主幹事を務める証券会社より実施される。問題となるのは、この“ソフトヒアリング”の扱われ方で、当然インサーダー情報なので、情報に接した機関投資家の売買は停止される。しかし、東証社長会見でもコメントされたように、この“ソフトヒアリング”が一部海外ファンドに漏れ、空売りされているのではないかという疑義が欧州の複数の機関投資家から寄せられているという。
この問題は、“ソフトヒアリング”に接しない他の投資家や既存株主にとって、ダメージが大きいものだ。

 次に問題Bに相当するのは、実需のない投資家に公募株を割り当てるべきではないという考え方だ。A・B両方とも公募増資に係る空売りの問題だが、実は問題の本質が全く異なる。問題Aは、海外における“ソフトヒアリング”情報の管理の仕方だが、問題Bは空売りから入る投資家に公募株を割り当てるべきではないという主幹事証券の公募株販売上の問題になる。勿論このような公募株の扱われ方は、公募株を発行する企業から見ても好ましい状況ではないが、公募増資が発表された後、空売りして、公募株で決済することが本当に市場全体に悪影響を及ぼす問題なのだろうか。この事自体は、違法行為ではないし、そもそも市場の需要以上を販売しなければ市場の需給関係は平準化されるはずだ。

 問題Aと問題Bが微妙に重なっている部分も確かにある。“ソフトヒアリング”情報を入手した投資家に公募株を割り当ててしまうような事だが、意図的に行えば犯罪行為なので、そんな事を想定しても意味が無い。内外投資家の信頼を回復する為に、今市場が求められているのは問題Aの解決策で、公募に伴う空売り自体を規制しても余り意味がないと考える。

この問題は、やはりライツ・イシューや公募増資に係る発行登録制度の充実で対応していくべきだろ。

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今年日本の資本市場に起きた事を振り返り、来年の注目ポイントを考える。
少し早いが12月に入ったので、日本の資本市場に関して今年起きたことを振り返り、来年期待されることを考えてみたい。出来事を整理する為、下記の様に分類してみた。

【市場にインパクトを与えた出来事】
○QE2(Quantitative Easing 2):量的緩和の第二弾で、直接は11月初めに明らかになった米国の追加的金融緩和策を指すが、国債を始めとする有価証券を市場から大量に買い資金を供給するとことでは、10月に公表された日銀の追加緩和策も、同様の効果が期待される。特に日銀の緩和策は、REITやETFの買入れという今までより市場に一歩踏み込んだもので、12月より信託銀行を通じて実際の買入れが始まる。

●欧州ソブリン・リスクの顕在化:アジアを中心とする新興国の景気回復基調とは対照的に、欧州諸国の財政危機問題が顕わになっている。5月のギリシャ危機の再燃・11月のアイルランドの格下げなどから、EUの財政支援策が打ち出されているが、他のEU諸国への信用力不安問題の波及懸念が拭えない。

●フラッシュ・クラッシュ:5月6日に米国株式市場で起きた短時間の急落・急反発を指す。取引終了間際の20分間で、クラッシュするような下落が発生、一時的にダウ平均で1000ドル近く下げ、500ドル反発。その過程で約200銘柄が取引最低単位の1セントを付けた。(これらの取引の殆どは、その後取り消し処置へ)

【市場への規制】
○空売り規制の継続:金融危機後、各国で強まった空売り規制だが、売る株式の手当て(借りること)をしないで売るネーキッド・ショート・セリングの禁止と、一定量以上の空売りポジションの報告義務は恒久化しそうだ。ただし、日本の規制で元々ある売り下がりを禁じた規制は、業界からは緩和を求める声が強い。また同規制と一緒に実施されている自己株の市場買付ルールの緩和も、公開企業の自己株取得促進策として引き続き期待される。

●始まったFX取引レバレッジ規制:8月よりFX取引のレバレッジを50倍以内とする制限が始まっているが、1年後の来年8月には更に25倍以内にする。同時に、取引における損失を確定するロスカット・ルールの徹底がされ、個人のFX取引の健全性を確保しようとしている。同様の規制はCFD取引にも及び、来年1月から取引の対象毎4つに分けたレバレッジ規制が始まる。

○大規模第三者割当増資に対する実質的規制強化:東証は昨年8月下旬から大規模な第三者割当の場合、第三者委員会からの意見書か株主総会決議などを求めているが、更に金商法の開示省令の改正により、本年2月より希釈化25%以上又は支配株主の異動を伴う第三者割当増資は、取締役会の判断した根拠や、割当予定先に関する情報(資金の根拠)等の開示を求め、実質的に規制を強化している。

【取引システム】
○取引の高速化進展:世界トップレベルの高速化対応の東証新取引システムarrowheadは年初にスタート、このシステムに関する業界の評価は高く、ダークプールの新たなPTS(7月スタートのチャイX)の接続で、更に市場全体の流動性が増すことが期待されている。但し、市場全体の出来高低迷をカバーするには至っていないのが現状。なお、処理速度が従来の10倍とされる大証のデリバティブ関連システムの高速化も、2月に始まる予定だ。

○総合取引所構想:政府が6月に公表した新成長戦略の中で、アジアのメイン・マーケットとして機能整備していく国家プロジェクトとして位置づけられた。商品のETFや海外の商品先物取引が出来れば良いではないかという証券業界の冷めた見方もあるが、金融・資本市場分野の唯一の国家戦略なので進展が注目される。

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