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2011/02
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ディスクロージャーの難しさとIRビジネスへの期待
上場企業のM&Aに係るディスクロージャーは難しい。大規模なファイナンスや業務提携、そして合併や経営統合、更に株式を大規模に買い付けるTOB、何れも投資判断に大きな影響を及ぼすが、これを取引所の適時開示ルールでは、決定した時にディスクローズ(開示)しなければならない。通常は、この決定を組織決定として解し、取締役会決議のタイミングで公表される。しかし、オーナー型や実質的な支配株主が事実上決定してしまえば、これも即時に公表すべきとされている。株主や投資家に対して情報を素早く伝えるという事もあるが、企業としてインサイダー情報を長く抱えないという情報リスク管理の問題もある。M&Aが進展し、時間が経過するほど、関係者が増加し、そのリスクは増大する。それを、避ける為には、先日の新日鉄と住金のように少数の経営者同士でM&Aの大枠を決定してしまって、開示することだが、金融機関やM&Aアドバイザーも公表までは排除されていた。

 一方、24日公表されたCSK(9737)のTOBと合併に関する公表で、改めてM&Aに関する情報開示の難しさを感じた。内容は、再生ファンド(ACAインベストメント)が保有する普通株・優先株・新株予約権・新株予約権付社債(潜在株式を含めてCSKの支配権の64%に相当する株式)を、時価を大きく下回る203円で公開買付し、6月後半の株主総会で住商情報システム(9717)との合併(合併比率住商情報株1に対しCSK株0.24)を決議し、9月下旬の上場廃止後、10月1日に住商情報に吸収合併されるというものだ。直前の住商情報の親会社である住商によるCSK株TOBが、一部マスコミで伝えられ、株価急騰後の公表となり、その後大幅に株価を下げている。市場がTOBをミスリードした形だが、似た様な状況は昨年のパナソニックによる三洋電機のTOBの時にもあった。いずれも対象のなる企業は、当初ファンドが出資、その後再生パートナーによる事業再生が進められ、その後再生パートナー若しくは子会社との統合とういストーリーであった。

 この様な再生案件は、関係者の多大な労力により進められていくが、再生の主体となる大株主とその他の一般株主(支配権に関与しない少数株主)が有る時点から利益相反する。TOB、MBO、合併比率、上場廃止など、株主や投資家の判断に大きく影響する内容を決定する時だが、ディスクロージャーで難しい点は、その時点で既に対象となる企業には決定権がないことだ。ただし上場している以上、企業はディスクロージャーの責任を全うするしかない。

 それでも、一般の上場企業は悩みながらもディスクロージャーを充実させようと、IR(インベスターズ・リレーション)活動を活発化させ、株主や投資家への情報発信に力を入れている。そんな企業のIRをサポートする企業が、3月18日にジャスダックに上場を予定している。アイ・アールジャパンという野村系のIRコンサルティングの専業会社だが、証券関連業からは久々の上場となる。業界内でいうと、かつてFX会社やファンド組成会社の公開が多かった時から5~6年経過するが、今の日本の資本市場に必要なのは、企業が株主や投資家とディスクロージャーを通じて会話していくことだと思えば、この業界内のIRコンサルティング業に期待したい。
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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

運用会社の情報発信力=リビア情勢などをどう伝えるか
 この2週間位で、グローバルな投資環境は随分変化している。原油の高騰も、長期金利の低下も、株価の下落も、その中心はあるのは現在のリビア情勢だが、投信の運用会社は、プロとしてこの情勢をどの様に伝えているのだろうか。勿論、彼らは国際情勢の専門家ではないので、不透明なリビア情勢の先行きについて予想する訳ではないのだが、リビア情勢の及ぼす影響から、投資家に何を伝えたかということの概要を見てみたい。(マスコミに報道されているような情勢の説明は除き、投資家目線の内容を伝えたいが、本稿の目的は、あくまでも運用会社の投資家に対する情報伝達スタンスを考える目的で、投資を助言するようなものではない。)主な運用会社の情報発信は次の様なものだ。

○“リビア情勢の株式市場への影響について”大和投信委託(2月23日)
・国内株への影響は、今までの株価上昇が米国景気の持ち直しに支えられたものなので、このポイントが変わらなければ、調整は一時的か>
・リビアと関係の深いイタリア市場の下落が大きい。リビアと関係のあるのは、石油生産を行っている欧米企業や、貸出を行っている欧州銀行、建設を行っている韓国企業、鉄道受注を請け負っている中国やイタリア企業だが、いずれも割合は小さく、影響は限定的。
ただし、原油動向には注視。

○“足元のグローバル市場の動向について”ゴールドマン・アセット(2月23日)
・北アフリカ地域の政情不安の高まりで金・先進国債券・日本円などの安全資産へ投資資金が避難。
・この背景には食糧価格の高騰があり、直近のG20(2月18、19日)でも対応策が話し合われたが、今後もこの問題は世界的に重要なトピックス。

○“中東・北アフリカ情勢について”日興アセット(2月24日)
・政情不安が石油供給に大きな危険を及ぼすことは無いものの、テロへの警戒は必要。
・リビアの石油生産活動の停滞は今後少なくとも2~3週間続く可能性はある。
・今後半年程度のシナリオは次の二つ。(実現する可能性は同程度)
シナリオA=先進国が金融緩和を強化、OPECがリビアの石油生産の落ち込みをカバー出来ない場合、インフレ懸念の強まりから債券下落、株式は資源関連以外大きくは上がらず、為替は円安傾向へ。
シナリオB=OPECがリビアの石油生産の落ち込みをカバー出来る場合、先進国は他の商品市況の上昇からやや引き締め気味の金融政策へ。一時的には株式の調整局面。商品価格は調整する一方、債券価格は上昇。

○“中東・北アプリカの混乱が世界的に及ぼす影響について”三菱UFJ投信(2月24日)
・原油価格への影響は、リビアそのものは世界生産量の2%なので、他の産油国の増産で補えるが、イランへ波及した場合は更に高騰する可能性もあり、世界経済の腰を折る懸念も。
・同地域の各国は原油輸出に頼らざるを得ないので、長期に渡り供給が逼迫する可能性は無いと思われるので、徐々に落ちつきを取り戻すのではないか。

○“リビアの政情不安拡大の影響”国際投信(2月25日)
・リビアにおける石油関連施設の操業停止などで、1日当たりの原油生産量が25~50%減少していると言われ、更なる操業停止が拡大すう懸念。
・民主化要求は中東・北アフリカ全域に広がりつつあり、サウジの動向が焦点。

証券会社であれば、グローバル投資のアナリストがいて、この様な混乱に対してはハウスオピニオンを顧客に示すのが普通だが、今や投信は郵便局や銀行の窓口でも販売している。またネットでの投信販売も増加しつつある。投信の運用会社が投資に影響のある事象(特にマイナスの影響があると思われるもの)に対して、適時コメントするのは、投信の販売現場での投資家の不安に応えようとするもので、今後もこの様な対応が強化されると予想される。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

誰が株主なのか=MBOと信用取引
2月15日に行われた日本証券業協会長の定例記者会見では、信用取引における証券会社の議決権行使問題に質疑応答が終始していた。これは、幻冬舎のMBOに絡んだ立花証券の議決権行使が注目されたいた為だが、その概要は次のようになる。

・2010年10月29日、幻冬舎(7843)に対するMBOが公表される。買付者は見城社長の持株会社、TOB(公開買付)での買付価格は22万円(前日終値に対して50.2%のプレミアム)
・2010年12月6日、イザベル(投資顧問業、ケイマン籍)が同社の大量保有報告書提出、保有株数は8347株で議決権保有株数の30.6%。なお、同株式の取得はTOB公表後の11月24日から開始され、立花証券の信用取引での取得であることは開示されていた。ただし、イザベル自体の資金については12月9日の変更報告書であらためて開示されている。
・2010年12月13日、TOBの買付条件を変更、買付価格は22万円から24万8300円へアップ。
・2011年1月6日、TOBの成立、買付株数は15968株で議決権保有株数の58.1%。
(※定款変更は特別決議になるので、議決権の半数以上の行使、及びその3分2以上の賛成が必要)
・2011年1月7日、TOB後の少数株主スクイーズ・アウトの為、TOBに応募しなかった株式を、会社側が実質的に現金で取得することを可能とする全部取得条項付株式へ転換する為、定款変更を行う臨時株主総会の基準日を、同日に定める。
・2011年1月20日、イザベルが提出した大量保有報告書で、保有株数は10198株(議決権保有株数の37.2%)とされる。この時点では、イザベルが信用取引で取得した株を現引きするか注目された。
・2011年2月3日、臨時株主総会の基準日である1月7日時点の株主名簿確認から、イザベルが現引きせず、大量保有報告書で開示していた当該株式の株主名簿上の名義は、立花証券(この分は9727株で、議決権保有株数の35.4%)にあることが判明。(つまり議決権の行使は立花証券)その為、臨時株主総会での立花証券の議決権の行使が注目される。
・2011年2月15日、立花証券は議決権行使せず、定款変更が成立、TOB後の残った株式は、全部取得条項株式へ転換されるため、3月16日をもって上場廃止になることが確定した。

以上の経緯から、この事案について次のようなことが問題と考えられる。

●信用取引における議決権行使の在り方
証券会社が信用を供与する(つまり資金を貸した)買付けで取得した株式は、取引の担保として証券会社名義で管理する。その為、配当や権利などは証券会社自ら処理して、買付価格等を修正する。議決権行使も通常は市場仲介者として中立を維持する為、行使しないのが慣行になっている。しかし、問題提起としては、MBOなどで極端に株主の権利が変更されるような総会議案で、議決権を放棄してしまって、株主や投資家の為に良いのかという事だ。残念ながら、そのガイドラインは未だない。

●ファンド向け信用取引の在り方
最終的な大量報告書によると、この事案ではイザベラの自己資金は約65百万だが、買付資金(立花証券の融資)は23億2千万円になる。つまり、35倍以上のレバレッジになるが、個人投資家が利用する信用取引とは著しく異なる。若しこの信用取引が、CFDの様に実質的に差金取引で現引する可能性が無いのなら、立花証券は議決権行使に関して自ら行うことを早期の段階で開示する必要がある。ある意味では、この事案で証券会社に議決権があること、また通常は証券会社が議決権行使を行わないことなどは、投資判断に影響を及ぼす重要事項に類するのではないだろうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
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個人投資家の情報共有=掲示板から株SNSへ
 そもそも孤独な判断が必要な投資活動に、投資家同士の情報共有の意味があるのかと優秀な証券マンなら思うかも知れない。しかし、他の投資家がどう考えているかは、時として重要な投資判断材料になることもある。それが一個人の考えであっても、個人投資家層の行動のトレンドを示すものであれば、なおさらだ。その個人投資家同士が情報を共有するシステムとして、早くから情報ベンダーが提供する掲示版が使われている。少し前の調査になるが、総務省が2006年に実施した“ネットワークと国民生活に関する調査”によると、日本人のネット利用者の45%が何らかの掲示版を利用していて、この割合は米国の3倍(米国ではチャットの利用が48%と日本の23%に比べて高い)になる。
ただ投資関連の掲示板に対する個人的思い出は少し複雑なものがある。証券マンとして上場企業のM&Aやファイナンスに携わっていた時、対象になる企業の掲示板をある時期入念にチェックせざるを得なかった。理由は、レピュテーションと情報漏えいのチェックだ。また、掲示板の内容に関しては、何らかの情報を得ようと閲覧してみても、時として感情と非難が渦巻く時があって、少し距離を置きたいと感じることもあった。

 時代は変わったのかも知れない。株式関連の掲示板の膨大な情報の中から、個人投資家のもつ投資関連情報を選択するツールとして投資関連のSNS(株SNS)は有効だ。2007年4月に開設された代表的な株SNS“みんなの株式”の仕組みは次の様なものだ。
・SNSである以上、会員として実名で登録するが、意見表明やポイント数(後述)などはハンドルネームで公表される。累積会員数は現在24万人台の模様。
・基本構造は、会員によって予想される対象銘柄の買いか売りかの予想を、その時点の時価でパフォーマンス評価してポイント化し会員に付与する
・売り買い予想のパフォーマンス評価は、その効果を計る予想の平均ポイント(収益性)、適格な予想をどの位積み上げたか計る合計ポイントが会員以外にも公表され、一般の投資家が銘柄選択の際の参考に出来る。
・また会員が保有している銘柄を申告して、そのパフォーマンスを計るポートフォリオ評価もポイント化される。
・それ以外には、会員予想がどの位ホームページ上でアクセスされたかもポイント化される。
・SNSらしいのは、会員間のリスペクト制度があって、他の会員からリスペクトが選択されれば、これもポイント化される。
・以上のポイントは項目別及び合計がランキングされ、一般に公表される。なお、同サイトは投資に関するコンテンツのネットショップ事業も行っていて、付与されたポイントは将来このショップで利用できる可能性もある。
この株SNSを既存のネット証券(カブコムやマネックス)も個人投資家への情報提供として利用し始めている。

ネットでの情報取得は、自らが必要とするものに辿りつくまで情報の海を渡らなければならないが、売り買い予想と言う形で個人投資家が持つ情報やニーズを単純化させ、ランキング化して見せることで一般投資家の情報検索を容易にしたシステムと言える。ただ、株SNSはネット時代に更に新しい金融サービスを提供する可能性があるビジネスモデルかもしれないが、但し先頭を走る“みんなの株式”にしても、その内容はまだ試作的なものも多い。それは日本の社会全体が、まだSNSに慣れていないからだろうが、今後のSNS普及に伴い、株SNSも発展と競争と選別がなされるのだろう。
なお、リスペクトというのは人間本来の願望としてあるのだろうから、株SNSが持続的に成長して行く為には、重要なポイントかも知れない。特に日本では。

テーマ : 証券・金融関連業務
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M&Aというビジネス=大手金融機関編
M&Aという言葉ほど金融機関の法人営業に携わる人達をときめかせるものは無いだろう。彼らはディールという言葉を使うが、そのディールは何十というアイデアと提案の中から、企業が興味を示したものを、数か月、場合によっては数年かけて成立させようと努力する。そのM&Aは、ウィキペディアによると次の様に定義されている。
「M&A(Mergers and Acquisitions、(合併と買収)の略、エムアンドエー、エムエー)とは企業の合併や買収の総称。他の企業を取得しようとする際には買収者やその子会社などに吸収合併させるほか、買収先企業の株式を買収して子会社化する手段が用いられることからおよそ企業の取得という効果に着目して合併と買収を総称するものである。」但し、実際のM&Aの形態は多様で、合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式公開買付・業務提携などに分かれる。またM&Aをビジネスとする金融機関はファイナンシャル・アドバイザー(FA)と呼ばれるが、個々の役割はディールによってその関与度合いも異なっている。

そのFAにとって、最も重要視するのはリーグテーブルと呼ばれるものだが、M&Aの対象企業の時価総額で順位付けられる。これはTOBに関与した場合も、単に合併比率を算定した場合も、同じ様に対象企業の時価総額を合算して、金融機関がM&Aアドバイザーとしての順位を競うのだが、時価総額数十億円でも受け取る手数料が数億円の買収案件もあれば、3日に公表された新日鉄と住金の経営統合の様(時価総額3兆円)に当事者間で相当話が進展していて、後は統合比率の算定だけで数千万の手数料に留まるケースもある。あくまでも業界慣行なのだが、M&Aビジネスの収益性からみると余り意味のない場合が多い。

では何故M&Aアドバーザー達はリーグテーブルに拘るのか。それは一つのビジネスの収益性より次の様なビジネスの波及効果を狙っていると見られる。
○買収案件には、当然買収資金が必要なので、大型の案件に関与していれば、大型のファイナンスに関与できる可能性が高い。
○業界に影響するようなM&Aは、次なる業界内のM&Aを呼ぶ可能性が高い。
○M&A後の対応や、対象事業の再構築にアドバイザーとして持続的に関与できる可能性もあり、企業との長期的な関係を構築しやすい。
これらはM&AのFAという機能を果たすことで、企業から出来るだけ多くの情報とニーズを得ようとすることになる。

一方、M&Aビジネスにおいて金融機関が最大限の注意と責任を果たさなければならないことは、次の2つである。
●情報管理の徹底=M&Aは長期間インサーダー情報を抱えるので、FAは企業との間で守秘義務契約を結ぶが、FAが証券会社の場合、この情報は法人関係情報として社内の管理部門で登録され、自己売買や銘柄勧誘行為は制限される。しかし、情報の管理上難しいのは、このM&A関連情報がいつ登録され、それはどの位の可能性があり、そして社内の誰が同程度まで知っているか、管理しなければならない事だ。また、M&Aは進展するに伴い関係者が増加してくるが、その関係者も含めた全体の情報管理をどうするかということも、ディールを成功させる為には、全くの企業任せには出来ない。 
●利益相反行為への対応=主な利益相反は次の様なものがある。
・FAは、両方の立場に立って仲介することは出来ない。つまり、買い手と売り手は当然利益相反するので、どちらかの立場で助言する。
・自らが株主や資金の貸し手でいる場合、利益相反することもあるので、企業側にその可能性を伝えなければならない。
・もし競争相手のM&Aに別途関与している場合、アドバイザーとしての役割は果たせない。

結論を言うと、大きな組織ほど、情報管理と利益相反対応は難しい。

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自社株買い+CB発行=リキャップCBを支持する
CB(転換社債)を資本調達手段として見れば、CBを発行して、その調達資金を自社株取得に充てるというのは、何か資本を右から左へ出し入れする様で違和感があるかも知れない。しかし、自社株買いから先に考えれば、企業は自社の株価を割安ということを表明している事になり投資家にとって歓迎出来るし、将来株価が上昇すれば、
・自社株取得⇒金庫株⇒CBの株式への転換時に放出
・自社株の取得価格と転換価格の差額は、資本準備金として資本を厚くする
といった効果もある。
もし、株価が転換価格まで上昇しなくとも、CB発行により低利で調達した資金で自社株取得することで、ROEやEPSなどの資本効率を上げ、株主にとってはメリットがある。
何より評価できるのは、リキャップCBを発行することで、発行を決議する企業経営者の自社株の適正水準を表明するに近い効果はあるということだ。

 2月17日、ヤマトホールディングス(9064)は300億円(2400万株)のリキャップCB発行と共に、300億円の自社株取得を公表したが、実際の自社株買いは18日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で50億円(400万株)、残りは1年内に取得されるという。発行を予定されるリキャップCBの概要が次のようなものだ。
○CBは5年債で、利率なしのゼロクーポン⇒財務的負担が少ない
○CBの転換価格は、1850円で直前時価に対して40%アップ。
○CBを株式へ転換する際の条件として、株式の時価が転換価格の120%以上をある一定日数以上上回らなければ転換出来ない条項が付いている。⇒現在の株価推移からみれば、転換されにくい。
また評価されるべきは同社の開示スタンスだが、最初に【CB発行の背景としての同社の経営戦略】があって、次に【同CBの資金使途】が明確に記載され、そして【CB発行と自社株取得の狙い】で同社の資本政策が明示されているので、株主や投資家にとって同社の資本政策が理解しやすい。
但し、リキャップCBのスキームが上記の様な120%転換制限条項が付されているので、オプションを活用しなければ同CBの投資効果は分かり難く、個人投資家向けではない。その為に、同CBは欧州のファンド等に販売される。

 少しもったいないような気もしている。リキャップCBの様な資本政策が日本の資本市場でも根付く為には、発行会社・株主・CBの投資家の3者にメリットがあること理解される必要がある。その為、日本の同CB投資家を開拓すべきだが、その為には次の様な方法がある。
◇個人投資家にもスキームメリットが理解できるよう、株式への転換条件を単純化する。そうすると希薄化が起きやすくなるが、同CBを既存株主が優先的に応募できる方法(株主優先募入)で行えば、既存株主の経済的デメリットは小さいものになる。
◇スキームはそのままとし、代わりにオプション利用に慣れた国内機関投資家のみに販売する。そうすることで、国内個別株オプション市場が拡大するし、オプション利用の機関投資家の増加にも繋がる。

 同CB発行に関しては、発行する会社の開示の在り方や既存株主への配慮は申し分ないと思うが、同CBの発行を国内でも行えるような市場仲介者の努力が日本市場でも待たれる。

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対面営業のリテール証券の問題意識とその方向性
 先ず個人的な感想からいうと、証券の個人営業現場は、一般論としては法令遵守に厳格になったし、大量の金融商品情報を顧客に整理して伝える事にも慣れてきている。しかし、証券業も金融サービス業なので、サービスの向上の為には、投資家のニーズに細やかに答え、クレームには素早く対応しなければならない。現在日本証券業協会で行われている“証券市場の新たな発展に向けた懇談会”の市場仲介者(証券会社のこと)分科会で議論されている証券会社のリテール営業の実際について、以下のことが問題として意識されているようだ。

●投信の乗換えの頻度に関する問題
投資家が投信を乗り換える場合の協会の自主ルールはあるが、社内ルールの整備とその遵守
●個人投資家からの苦情処理対応
営業体とは独立した組織で、外部のチェックが入り、経営にも逐次報告される態勢か
(金融ADR活用の影響はこれからか)
●対面営業での顧客への金融商品説明
顧客への分かり易い説明に尽きる
基本は担当者による説明だが、担当者がつかない顧客はネットでの情報提供や報告へ
●高齢者対応
適合性の原則に沿って勧誘されているか(勧誘ガイドライン・上席者のチェック・勧誘時の録音・家族を交えての面談)
●営業員評価の問題
「社員の能力向上」の観点は非常に重要
●投資教育への協力
証券投資を身近なものにする為、小中学校段階からの投資教育に期待

 これらの問題意識から、対面営業の現場では投信販売が大きな収益源になっていることと、その商品説明を相当な時間をかけて行っている現状、また一般投資家のネット誘導などが類推される。

 一方、日本の業界の10年先を行くと言われる米国リテール証券だが、金融危機後、モルガン・スタンレーとスミスバーニー、バンカメとメリルなど大手証券などの統合が進んでいる。ただし顧客からの支持が高い(顧客満足度)のは、全国12000以上にアドバイザー1人と拠点管理者で構成する小型店舗を展開し、きめ細かいサービスで顧客に対応するエドワード・ジョーンズや、逆に自社店舗を有せずに12000名以上の独立アドバイザーをネットワーク化して、営業を行っているLPLなど、営業員の独立性の強いリテール証券となっている。

特にLPLについては、昨年11月に上場しているが、そのビジネスモデルの概要は次の様なものだ。(※野村資本市場研究所の石井氏による“上場によってさらなる成長を狙う独立系証券会社LPL”と言うレポートがあるので、詳細はそちらをご覧いただきたい。)
○自社グループ内に投信運用会社を持たず他社商品のアレンンジャーに徹しているので営業員(独立アドバイザー)の商品選択の自由度が高い=400以上の運用会社から8500本以上のファンドの提供
○営業員への販売手数料のペイアウト率が高い=直近85%以上のペイアウト率、費用を差し引いても70%以上と見られる。
○統合資産管理ツールや包括的決済システムで、発注の効率化やコストダウンに持続的に取り組んでいる。

 米国におけるリテール証券のトレンドの一つに、大手証券から上記のような独立系証券へ営業員は移っていくとういことがあるが、これら独立系証券は、商品揃えやインフラが大手に劣らないことは当然として、営業員を顧客に見たてて(対面営業に必要な)サービスを提供することが徹底している。
日本において、このビジネスモデルは生まれるのだろうか。

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ETFの増加について
X-JAPANではなくて、EX-JAPANとは3月に上場を予定されているETFの名称の一部だが、日本を除く世界の先進国23カ国と新興国21カ国の株式市場のパフォーマンスを総合的に指数化したものに連動する。日本を除くというところが、何か寂しくも思われるが、既に日本株ポートフォリオを持つ年金基金や機関投資家に利用されている指数だ。このETFで、東証に上場されるものは99銘柄になり、上場数はアジアトップで、一年前は71銘柄なので4割近い増加だ。また、昨年10月からの日銀による包括的な金融緩和策において、日本株指数に連動するETFの4500億円の買入れ枠が設けられ、昨年12月から既に288億円(1月末まで)取得されている。

しかし、これだけ注目が集まるETFなのだが、東証におけるETF全体の出来高は、年間ベースでみると余り変わらない。何故か考えるのが本稿の目的であるが、その前にETFの概況を見ておくと、世界の主要なETF取引は次の様になっている。(上場数は1月末、東証の昨年の出来高はドルベースで249億ドル)

・ニューヨーク取引所:銘柄数1143、年間売買代金4兆1644億ドル(東証の167倍)
・ロンドン取引所:銘柄数1273、年間売買代金2431億ドル(東証の9.7倍)
・ドイツ取引所:銘柄数764、年間売買代金2047億ドル(東証の8.2倍)
・香港取引所:銘柄数72、年間売買代金778億ドル(東証の3.1倍)
・上海取引所:銘柄数14、年間売買代金621億ドル(東証の2.5倍)

つまり、日本のETFは銘柄数こそアジア1位になっているが、取引量では中国勢に大きく劣っているし、欧米勢には遠く及ばない状況だ。実際の東証におけるETF売買の約3分の1は証券会社の自己取引(マーケットメークに類した行為を含む)だが、委託された分の投資家別売買高(口数ベース)の昨年のシェアは、
海外投資家=51.2%
個人投資家=29.9%
国内機関投資家=9.3%
事業法人等=6.1%
となっており、期待された個人投資家は東証の株式市場のシェア並みだし、機関投資家の内の投信会社分に至っては0.3%という状況だ。

ETFは、何等かの指数に連動する投信なのだから、インデックス投資を重視する機関投資家の売買がもっと活発であるべきだし、まして投資会社は自らの同種のインデックスファンドとの裁定取引を行っていくぐらいの売買活動があっても良いように思われる。流動性が低いから売買しないのか、売買しないから流動性が低いのかの鶏・卵議論を避ける為に、次の3つの視点から考えてみたい。

○仕組みの問題=簡単に言えば、指数に連動する投信として、ちゃんと連動した市場価格で売買できるが問題になる。例えば、中国株指数連動ETFがあるとすると、ほぼ東京市場の時間と重なる中国市場の変化が、このETF価格にリアルタイムに反映されているか如何か。もし投資家が反映されていないと考えるなら、同様のETFを上場している香港市場に投資ニーズが流れる可能性がある。投資家にとって、対象とする指数と連動した売買が希望する金額で出来ることが重要だが、その為には市場価格と指数の乖離をリアルで把握したいというニーズがある。このニーズに応える為、東証は3月よりETFの一口あたり推定純資産額(インディカティブNAV)を、ほぼリアルタイムである15秒間隔で算出・配信を行うこと決めている。

○市場取引者のインセンティブ=市場価格と指数で示される理論価格(上記のインディカティブNAVに相当)の投資家による裁定取引が行われることが流動性の増加の為には望ましいが、先ず直接市場参加する証券会社のETF裁定取引行為に対し、一定期間取引所コストを軽減するようなインセンティブを与え、裁定取引を活性化すべきではないだろうか。

○市場仲介者のインセンティブ=個人投資家のETF投資を推進する為には、この部分が重要だと考えるが、証券会社にとっては少し難しい問題かも知れない。つまりETFは上場された投信なので、もし証券会社にとって新規に販売しようとする投信と同様の投資効果があるETFがあっても、投資家を導くインセンティブが少ない。投信と上場投信(ETF)。証券会社にとって収益性が現状は大きく異なるが、もしETFの方のメリットがあるとすれば、投資家の(短期)売買が自主規制ルールなどで規制されないことだ。このメリットを生かす為には、個人営業現場における投資助言態勢が必要になるが、現在のSMAやラップ口座と異なるインデック投資に対する投資助言サービスが生まれることを期待したい。

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ネットでの投信情報発信と投信ブログについて
投資信託は難しい商品だから、お客様にちゃんと説明して売りましょうと教えられた証券を含める金融集機関の人間にとって、投信をインターネットを使って販売促進をかけるというのは、いささか困難に思える。あの100ページ前後もある目論見書(交付分と請求分含めて)や運用報告書を、投資家が自ら読むのかといった疑問と、そこに至るまで、投信をどうやって選択するのかというプロセスがイメージできない。だから、投資テーマを決め、それに沿った新規設定の投信を販売促進(集中的に投資勧誘)する方法を多くの証券が取るのだけれども、本当にこれで投資家のニーズをカバーできるだろうか。
当然のことだが、理想は投資家が買いたい時に希望する運用方針にそったものが買えるということだ。その為、十分な情報提供がされているかが問題となるが、現実にネット上に溢れている投資信託に関する情報について、それが投資家の選択を容易にするほど十分かどうか考えてみたい。

 先ず投資家が必要とする情報を、簡略化して分類すると下記の様なものだろう。
○運用方針=何に投資するか(何らかの指数連動を目指すインデックス投信以外は、運用者に任せる訳だから、どの様な運用方針であるか、また運用目標はどうあって、かつ修正されていくか)
○取るべきリスク=どの様なリスクをどう考え、そしてどうコントロールしていくか
○投資家の払うべきコスト=買った時、保有している時、運用期間中途中で売却する時
○運用する会社・運用者の信頼性=最終的な運用者、運用方針に沿った運用実績などの信頼性。
 そして、これらの情報を正確に把握する為には、目論見書での確認が必要となる。(運用者が情報を開示する目論見書は、記載内容に関して法的責任を負う)

 現在、ネット上で提供されている投信情報の主なものは、情報ベンダー系のQUICKマネーライフやモーニング・スターがあり、何らかのランキングから投信を選択することが出来る。また投信協会ホームページでも、商品分類別か運用会社別で投信の概略を調べることが可能だ。もし、新規の投資家が、ネット上で、自らの運用目的に沿った投信を選択しようとするなら、これらのネット上の機能を使い、目的とする投信に辿り着くことは可能だが、目論見書のネット上での入手については運用会社によっては提供していないところがある。また、ETFは上場された投信だが、これを同種の公募投信を比較するような情報の提供は為されていない。

 一方、投信ブログは投資家目線に立った投信関連情報を提供している。提供されるブログ内容は、投信などの自らの投資実績や、目論見書・運用報告書などの解説、運用者の評判など多様だが、投資をあと一押ししてくれるクチコミ情報として、機能し始めているのではないだろうか。取り上げられるテーマでは、インデックス型投信・ETF・運用会社への評価(独立系の運用会社を取り上げる場合が多い)などで、あくまでも自ら投資するスタンスで書かれるケースが多い。またテーマによっては、ブログ間で情報や意見の遣り取りが行われる場合もあって、投資家が投信で何を注目しているかの分かり易い。
ただし、ブログの特性として各ブログは匿名の個人によって運営されているので、提供される情報が体系だっていないこと、テーマとすることが投信や投資以外にも拡散しがちになり“情報の海”を作ってしまうこともある。調べていて筆者が思ったことは、投信ブログに対する検索機能があれば、普通の投資家も販売する証券会社も、もっとこのブログ情報を有効に活用できるかも知れないという事だ。

 情報ベンダーや投信協会が提供する投信情報に、投信ブログの様な投資家の意見が体系的に加われば、一般の投資家にとって新たな情報の価値を生むと考えるが、これはフェースブックやSNSなどでの次の段階の投信関連情報共有に依るのかも知れない。
 

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

コーポレート・ガバナンス議論をやさしく考える
もうこの議論は10年以上もしている。だからと言って、議論に飽いたとかいう事ではなく、資本市場を構成している基本要素の会社(上場企業)というものが、どう運営されていくべきか、そして会社は誰のものかと言った議論に会社自らがどう答えていくか、コーポレート・ガバナンス向上の為の取組みは、日本の資本市場の品質向上の為の必要最低条件だ。ここで対照的な2つの事象を上げておきたい。

 中国などの新興国の企業にとって、日本の衰退産業と言われる分野の上場企業は、割安かどうかは別にして、コーポレート・ガバナンスが良いのが魅力的だと伝えられている。

 一方、欧米の機関投資家中心に、上場企業に対するガバナンス改善要望が常に示されていて、ファイナンスや配当政策など資本政策に関するもの、役員選任や報酬などの透明性、それらを外部からチェックする機能として社外取締役の充実など求めている。

 現在、法制審議会において会社法の見直しが行われており、詳しい法律議論はそちらに委ねるとして、上記の新興国企業の視点は、日本企業のコーポレート・ガバナンスを上から見た企業支配のものだろうし、海外の機関投資家の視点は、それを横から見た少数株主(支配権を持たないという意味)のものだろう。ただし、資本市場にその企業が居続ける限り、投資家という名の少数株主の要望にどう応えていくかが、このコーポレート・ガバナンス議論の行く先だろう。

なお、現在のコーポレート・ガバナンス議論は、“会社の経営形態がどうあるべきか”というものが中心になっているが、昔からある監査役会設置会社(取締役会と監査役会)が良いのか、社外取締役を多く取り入れた委員会設置会社(社外取締役の参加が必要な指名・報酬・監査の2つ委員会)が良いのか、委員会設置会社から監査委員会を取り出した監査委員会設置会社(経済産業省や経団連などが提案)が良いのか、そして社外取締役や社外監査役の社外と言う定義は、大株主や主要取引先などでも良いのか。

 どの様な形や定義にしろ、会社の不測のアクシデントや一部経営者の誤った判断から守る仕組みが求められていて、会社から独立した何らかの経営へのチェック機能が必要というところに纏まる。方や、投資家の方も、特に機関投資家は少数株主の代表として、コーポレート・ガバナンス向上への具体的行動を求められている様に思われる。

以下、ご参考までに、会社法見直しを受けて、現在金融庁主催で行われているコーポレート・ガバナンス連絡会議において、昨年の株主総会の特徴として説明されたもの(議事録より)。なお文末の注記は筆者。

<総論>
○6月の株主総会について、6月総会開催日の特定日への集中率は減少し、株主総会招集通知の発送が早期化。株主総会の場では、会社による丁寧な説明が行われる傾向が続く。来場株主数は引き続き増加傾向で、発言株主も増加傾向。
○株主提案の件数は増加傾向が続いており、提案にはコーポレート・ガバナンス論の核心に触れる内容のものがみられた。
○独立性の基準について機関投資家の間からは企業との考え方の相違を指摘する声もある(特に金融機関出身者を対象)。
<国内機関投資家の動向>
○企業年金連合会は取締役の独立性判断を厳格化。その他国内投資家も社外取締役の有無、独立性などコーポレート・ガバナンス体制に注目している。社外者への報酬等には厳しい見方をとり、その考え方は海外投資家に似ている。
○公的年金などスポンサーによる自発的な議決権行使は限定的。ヒアリング等を通じ、運用委託先の議決権行使に影響力を行使する傾向は変わらず。
○海外投資家は、取締役会の機能をモニタリング機能・アドバイザリー機能と考えており、業績については執行者が責任を負うべきものと考えているため、取締役会に対してはその責任を問わない。他方で、国内投資家は、取締役会を業務執行機関と見ているため、業績や資本効率性についても取締役会が責任を負うべきものとして介入してくるという特徴がある。また、企業不祥事をリストアップ、個々の取締役・監査役の役割にも注目する傾向が強まっている。
<海外機関投資家の動向について>
○大半はISS(注1)等外部の議決権行使助言会社の考え方に沿っている。社外取締役が少ないことが議決権行使の争点となっている。社外取締役がいない会社に対し社長・代表取締役等へ反対票を投ずる傾向が顕著になった。
○社外監査役や委員会設置会社における社外取締役のように、義務化された制度における社外役員の独立性に注目している。しかし、監査役設置会社の社外取締役の独立性には甘い。これは、監査役設置会社については一人でも良いから社外取締役をおいて欲しいという意思表示の表れ。
○配当性向に注目。海外の企業がそれを目標として公表するようになったためと思われる。
<海外の株主総会における特徴>
○アメリカの株主総会において、選任につき機関投資家の反対が多かった取締役の特徴としては、独立性、特定取引に関する情報開示が不十分、過剰兼務等が挙げられる。
○欧州では「Comply or Explain」原則(注2)を遵守する会社における議案支持率は高水準。また、役員報酬に関する議案も関心を引いている。
<国内外の株主総会が示すコーポレート・ガバナンスの方向性>
○「Comply or Explain」規範を持つ国では、安定株主比率が低くとも議案支持率は高い。機関投資家がこの規範を支持するため、会社による遵守宣言がある場合には賛成票の増加につながりやすい。規範のないアメリカでは株主提案が多発し、これが相当の支持を得ていることから、コーポレート・ガバナンスへの取り組みが拡散し、企業も個別の対応に追われる傾向がある。
○「Comply or Explain」規範は企業を対象とする行動規範であるため、企業みずからが現状を踏まえて制定することが望ましく、これを株主・機関投資家が評価・支持し、さらに遵守状況についての説明を開示義務とすることで実効性が高まる。あわせて、機関投資家も規範のメリットを享受するとともに、自らも受託者責任を認識した行使およびその開示に努めることが求められる。

注1:ISS=Institutional Shareholder Services大手議決権行使助言サービス機関
注2:「Comply or Explain」規範=欧州においては、企業と機関投資家などが協議して、コーポレート・ガバナンスに関する統合的な規範を作成(行政も関与)。遵守するか、そうでない場合は年次報告書等で説明をする。

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投資助言・代理業とは何なのか
永く証券取引法そして現在の金融商品取引法という業法に接していると、時々何故こんなに重層的(法律・政令・府令・ガイドライン・自主規制等)で、一部については分かりくい構成になっているのかと嘆息することがある。勿論、法律の基本的な考え方は一貫しているだろうが、時代の変化に合わせて追加した部分と過去からの部分が混み入って、文脈を分かり難くしていたりすることは、どの法律にでもあるのだろう。だから、業法である金融商品取引法については、日本の金融・資本市場の実態に合わせて変えていく時に、金融審議会においてしっかり過去から現在に至るまでの文脈が分かる議論をしていただきたいし、その周知について、業界団体を使って業者に徹底することが望ましい。

 ところで金商法における業者とは誰のことを指すのか。2007年9月末からは次の様に業者は分けられている。
・第1種金融商品取引業=証券会社やFX業者など、広く投資家に金融商品(第1項有価証券と言われる伝統的な有価証券とそのデリバティブ)を勧誘したり取り次ぐ者⇒昨年末現在で、337社
・第2種金融商品取引業=事業型ファンド(映画ファンドなど)を含む集団投資スキームと言われるファンド(公募投信とは異なる第2項有価証券)を募集したり、その売買を取り次いだりする者⇒昨年末現在で、1291社
・投資助言、代理業=投資の助言を行ったり、投資顧問や一任契約提携の媒介などを行う者⇒昨年末現在で、1142社
・投資運用業=投資一任運用をしたり、投信やファンド(集団投資スキーム)の運用を行う者⇒昨年末現在で、318社

 この内、投資助言・代理業を取り上げるのは、最近の証券取引等監視委員会による業者検査において次の様な問題点があり、増加傾向にある投資助言・代理業に対して、登録する際の要件を厳しくすべきと金融庁に対して建議を行っている事に触れておきたいからだ。

●投資助言・代理業者は、あくまでもアドバイスか投資運用者への媒介行為などだが、自ら投資家に勧誘を行う場合は、普通の有価証券なら第1種金融商品取引業、集団投資スキームなら第2種金融商品取引業として登録する必要がある。しかし、勧誘行為を行っていた業者があった。
※財務局のホームページでは、投資助言・代理業の登録を受けてできる業務として、次のことを示している。
①顧客に対し有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し助言(アドバイス)を行うこと
②投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介を行うこと
●投資助言・代理業者は登録制だが、無登録業者に対して自らの名称を使うことで、助言行為やファンドの販売を行わせていた業者があった。
●著しく事実に相違する表示の広告や、顧客に対して契約前交付書面等を交付していなかったり、記載事項に不備のあるケースが、多数あった。
●法定帳簿が未作成だったり、虚偽内容を記載した事業報告書を提出するケースが多数あった。

 以上から、証券取引等監視委員会は投資助言・代理業の登録要件(登録拒否事由)として、基本的な法令の知識や法令遵守意識が欠如しているなど業務を適確に遂行するに足りる役職員が確保されていない場合は、登録を拒否できるように法令等の変更を求めている。つまり、コンプライアンス態勢の整備を登録要件とすることになる。

 ちなみに、投資助言・代理業は登録制で、登録拒否事由をクリアしなければならないが、法人はその形態(合同会社なども可能)を問われず、個人でも登録することは可能な制度となっている。但し、営業保証金として500万円を法務局へ供託する必要がある。
元々は投資顧問会社の業務の一部としていたアドバイス業務を、金商法で定義し直し、個人資産の貯蓄から投資への転換が進むよう、金融・資本市場の仲介者のバーを低くして、裾野拡大を狙ったものだった。この本来の主旨が活きる行政とそれを支える業界活動を望みたい。

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ベンチャー投資について
未公開株詐欺に気をつけましょうというキャンペーンは、行政・業界をあげて行っているが、詐欺的行為は何であっても行われるので、むしろ世間が持っている未公開株への成長期待や、IPOに対する興味が悪用されていることが、業界の人間としては悔しい。正しい未公開株投資とは、どうゆうものなの、ベンチャー投資の状況を、個人投資家に正しく伝えていくことから始めるべきではないだろうか。

一応、大阪証券取引所には、ベンチャーファンド市場があって、基本的には個人もファンドを通じてベンチャー投資をすることが可能になっている。上場されているのは2銘柄あるが、いずれも900円台の株価で、日々の出来高は、2つ合わせても10万円に満たない日が多い。このファンドの中身について少し見てみたい。(※本稿はベンチャー企業への投資の現状を考える目的で書かれており、投資を薦めるものではない。)
上場ルールでは、ファンドの資産内容が制限されているが、未公開株及び上場5年以内の株式は資産の7割以上、現金及び現金同等物は3割未満とされている。

実際の上場ベンチャーファンド“A”の直近(2月4日時点)の資産内容は次の様になっている。
・未公開株等(簿価ベース)=4億49百万円(ファンド資産の37.5%)
・上場株券等(時価ベース)=4億42百万円(ファンド資産の36.7%)
・現金等同等物(負債を差し引き)=3億8百万円(ファンド資産の36.7%)
これに対して、この“A”ファンドそのものの市場評価は、時価総額3億16百万円となっていてPBRは0.3程度、つまり市場は未公開株部分を全く評価しておらず、将来のファンド自身の損失(運用コスト等)を見込んで、現金等同等物部分の評価しかしていないことになる。
なお上場ルールでは、未公開株投資部分について、週次で未公開株等評価機関に時価評価を委託して、その数値を公表することになっているが、“A”ファンドの未公開の時価評価は、同時点で6億25百万円と公表されていて、この数値を入れた修正PBRは0.23まで低下する。また、実際にどのようなベンチャー企業に投資しているかは、月次でその会社の概要・主な財務内容とともに公表されていて、この“A”ファンドは、現在12社の未公開企業に投資している。

 一方、ベンチャー投資がそれ程甘いものではないという事は、プロのベンチャー・キャピタリストが行う投資でも、実際にIPOに至る企業が1~2割程度と言われることでも解る。先月、(財)ベンチャーエンタープライズセンターから公表された“2010年ベンチャーキャピタル等投資動向調査”によると、2009年度(昨年3月末まで)のベンチャー企業への投融資状況は、87ファンド合計で11,931社となり、前期比10.6%の減少だ。同期間の、新規投資は585社、追加投資は231社、合計990社に対して行われているが、反対の資金回収(EXIT)は、合計823社となっており、その内訳は次の様な比率になっている。(注:社数は、各ファンド毎の合計なので延べ数とみられる)
・IPO(株式公開、日本に限らない)=106社(12.9%)
・償却、清算(つまり投資の失敗分)=197社(23.9%)
・売却、経営者への売渡し=486社(56.6%)M&Aの増加もあろうが、近年はこの部分が増加傾向
・その他=54社(6.6%)

 昨年12月に金融庁より示された新興市場等の活性化策では、検討項目として未公開の新興企業のIPOを促進する為、一定の質が確保された上場前企業のリスト化として、ベンチャーキャピタルが出資している企業のリストの公表を検討する項目があった。ベンチャー投資額は米国の20分の1程度だが、少しでもベンチャー投資拡大の為には、せめてプロ投資家でベンチャー投資に関するリアルな情報を、共有する仕組みがあった方が良いのではないだろうか。

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デリバティブを組み込んだ仕組債や投信の販売
 個人投資家のFX取引や取引所に上場されているデリバティブ商品の取引が、増加していると伝えられている。デリバティブは、何かに派生する金融商品なので、外為取引でも何らかの指数でも金利でも対象となるが、条件の設定は自由に出来る。その自由さ故に、個人投資家には解りにくいとされるが、上場されているデリバティブは、標準化され、価格の透明性も高いので、リスクをちゃんと説明すれば、個人にも勧誘して良い。上場していないもの=店頭デリバティブは、金融商品取引法の改正によって本年4月1日より、不招請勧誘・再勧誘の禁止が徹底される。
一方、デリバティブを組み込んだ仕組債や投信については、個人にとって商品性やリスクが理解しにくいことや、説明不足によるトラブルがあるとされ、販売にあたっては、自主ルールで、適合性の原則等に基づき勧誘を適正に行うことや、最悪シナリオを想定した損失の説明や確認書(チェック・シート)を利用することが義務化される。対象となるのは、個人投資家に次の商品の販売・勧誘する時で、これも4月1日からの適用となる。
・デリバティブを組み込んだ複雑な仕組債
・デリバティブを組み込んだ複雑な投資信託
・レバレッジ投資信託(例えば、投資対象とする指数の何倍かで価格変動するもの)

上記の商品を販売する際、自主規制により証券会社は次の態勢を整えなければならない。
●販売前に、商品のリスク特性・パフォーマンスなどについて事前に検証しなければならない
●勧誘を始めるにあたり、年齢や取引経験の有無・財産の状況などから、勧誘対象となる顧客を選別しなければならない
●勧誘・販売時においては、不招請勧誘規制の適用が有る場合はその旨、リスクに関する注意喚起、金融ADR機関の紹介などを記載した注意喚起文書を交付しなければならない。
●最悪シナリオを想定した損失額、中途売却の制限や売却資産額などについて、重要事項の説明しなければならない。
●以上の対応の確認書を顧客より受け入れなければならない。
ここで、個人投資家にとっても販売する投資家にとっても、問題となるのは、何が店頭デリバティブに類する(デリバティブを組み込んだという意味)複雑な債券や投信なのかということだ。デリバティブの中には、単純にヘッジを目的とするものもあるが、特に複雑な=個人投資家に分かりにくいものについて、証券業協会は、償還の方法・通貨の違い・クーポンの設計・リスクの種類と大きさなどから判断すべきとしているが、主な仕組債のスキーム毎に、“デリバティブ取引に類する複雑な仕組債”であるかどうか判定する一覧表を作成している。

【複雑な仕組債】=上記に説明した自主規制の対象となるもの。
・払込通貨と異なる通貨で100%償還。クーポンが株価や為替等の金融指標に連動して変動する⇒フロータークーポン型順デュアル債、同逆デュアル債
・クーポンが金利や為替等の金融指標等の変動により大きく変動する。払込と償還通貨が異なる場合もある⇒[リバースフローター型、CMS フローター型、パワークーポン型、ダイレクトクーポン型、snowball 型、コリドー型、デジタルクーポン型、リースト型]
・プット売り型EB(償還時等あらかじめ定められた時限で自動権利行使されるものを含む。)、ノックイン型債、償還通貨判定型債、エクイティ指数リンク債(プット売り型)、クレジットリンク債(単一の企業等のクレジットのみを参照し、当該企業等のデフォルト発生時以外は100%償還となるものを除く。)など

以上は、仕組債類型だが、投信についても同等のものは、自主規制の対象となる。
何だか、営業コンプライアンスの様な文面になってしまったが、これら仕組債や投信は、証券会社に高い収益性をもたらしていることを思えば、自主ルールは徹底されるべきだが、同様の投信を販売する金融機関は如何なのだろうか。

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信用取引制度をやさしく考える
今は株式市場を語る証券の支店営業マンも少なくなってしまったが、それでも市場における株式売買高の23.3%(2010年東証3市場の売買金額ベース)は個人投資家の分で、その内6割近くが信用取引と言われている。その個人投資家が、ヘッジやレバレッジ投資で活用する信用取引について、やさしく考えてみたい。(注:文中では説明を分かり易くするため“株券”と言っているが、2009年1月より完全ペーパレスになっているので、今は株式という表現になる。)

 信用取引制度は、米国のマージン取引をモデルに1951年にスタートしたが、仮需給を導入することで市場の流動性を高めることを目的にしている。その意味では、投資家にとってはレバレッジ投資や空売りから入ることが可能な先物取引やCFD取引などに性格が似ている。しかし、制度が始まった当時は、十分な貸株市場もなく、また顧客の資金需要をカバーする金融機能も十分でなかったので、顧客への信用供与に伴う受渡資金や株券を節約しようとして生まれたのが、証券金融会社の“貸借取引”とされている。

 信用取引における売買代金・株券の部分につき、この貸借取引を単純化して説明しようとするなら、証券金融会社が中に立ち、買い方には資金を提供して代わりに買い付けた株券を担保に取り、売り方には株券を貸付けて代わりに売却代金を担保として金利分だけを支払う、という仕組みになる。つまり、証券金融会社において、売買代金・株券が買い方・売り方で喰い合う部分を相殺することが可能で、その部分が資金も株券も節約可能となる。したがって、証券金融会社は買い方が多い場合には、短期金融市場などから売買差額分の資金を調達すればよく、また、売り方が多い場合には、生保など長期投資の機関投資家などから売買差額分の株券を借りてくる。この場合、顧客にレバレッジ投資効果を与える為に、信用供与するのは証券会社だか、その後の売買執行は、前述の証券金融会社を通じた取引になる。これが、現在の“制度信用取引”と呼ばれる制度の基本的な形だ。対象とする銘柄は、流動性や貸し株の状況により個別に指定される。当初は市場1部に限られていたが、1991年には市場2部、2004年にはジャスダック市場の銘柄も、貸借銘柄として指定することが出来ようになった。なお、この制度における信用取引の期限は、6ヵ月と定められている。

 一方、“一般信用取引”と呼ばれるものは、1998年に貸株市場が証券会社に解禁されたことで可能となった制度で、証券金融会社を通さない貸株が可能になり、証券会社自らが制度信用における証券金融の役割を演じることが出来る。つまり、買い方の顧客に買付資金を貸し付けることも、売り方に株を貸すことも、そして自社の顧客の売買分を相殺・融通することも可能になった。この制度における証券会社の問題は、自社顧客分において買い方が過剰になった場合の資金調達力と、売り方が過剰になった場合の株券調達力という事になる。資金調達に関しては、証券金融会社が証券会社の一般信用向けに融資する一般信用ファイナンスが始まっているし、自らの信用力で短期金融市場などからも調達しているが、株券の調達は、業者間の貸株市場から調達するか、自社の顧客保有の現物株を借りる方法で行う場合もある。ただし、顧客から借りた株の権利処理などオペレーションが複雑にもなるので、一般信用においては銘柄によって買いだけに制限することも多い。また、一般信用は証券会社が委託保証金率以外の顧客との取引条件を自由に決まられることから、期限は6ヵ月以上も可能で、無期限信用取引の様に期限を定めない取引も可能となっている。

信用取引は証券会社(特にネット証券)にとって重要な収益源だが、そのポイントは株券の調達にある。制度信用なら証券金融会社から、一般信用なら貸株市場か自社顧客からだが、どの株式がどれ位借りられているかは、投資家にとっても仮需給を推定する上で重要な情報だ。制度信用は、貸借取引残高、一般信用も含めたものは信用残高として基本的には週一回、信用取組みの多いものは毎日、公表される。
一方、市場売買の6割を占める海外投資家も、株式を借りて売却することがあるが、この仮需給の部分は公表されないし、また集計することも少し難しいかもしれない。しかし、信用取引が仮需給に関する指標を重要視するものなら、この部分の仮需給を計るものがなければ、仮需給取引における個人と海外投資家等との情報の非対称性は、大きなままだ。全体の融資・貸株残高というものが公表されれば良いが、海外ブローカーに報告を義務付けるのは難しそうだ。

信用取引をやさしく考えるはずが、最後の1節は難しい話になってしまった。問題点の指摘だけでは申し訳ないので、代案も考えてみたが、全体の貸株残高集計の代わりに、売買決済以外で株券が移動される数値を公表しては如何だろうか。株券を貸し借りすると、必ず証券保管振替機構(ほふり)の口座を株券が移動する。これをもって、貸株状況を推計するものの代用とすれば、現在の信用残高報告における貸株残高より、貸株状況の実態に近づくことが出来るかもしれない。

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取引所のデリバティブ戦略と個人投資家=大証編
株式の売買高や時価総額が、中国市場に抜かれる事はよく話題になるが、それでもまだ経済規模に相応しい順位を維持している。しかし、デリバティブの取引高になると、日本市場は大きく順位を下げる。大証によると、昨年の国内取引所(大証、東金取、東工取など7か所)のデリバティブ取引は、合計3億7500万単位で世界14位ということだ。国内最大のデリバティブ取引所である大証自身は単独で15位だが、今年から始まる中期経営計画では10位以内を目指すとしている。金融商品関係のデリバティブについて、アジアでは個人の取引シェアが5割以上という市場も多いが、日本は個人投資家のデリバティブ取引が増えているといっても、まだ2割程度だ。個人投資家の参加しやすい仕組みを提供することも、デリバティブ取引増加の為の重要なポイントだろう。デリバティブ取引と新JASDAQを両輪に、総合取引所化を目指す大証の取組みは次の様なものだ。

【大証のJ-GATEとFX取引】
 2月14日からスタートする新デリバティブ売買システム=J-GATEにより、日経225先物やオプションは次のように実際の売買方法が変更される。

・取引時間の拡大:昼休みが廃止され、日中取引(9:00~15:10)は1場制となる。16:30スタートのイブニングセッションは、昨年7月に20時から23時30分まで延長されているが、これを今年の7月まで翌朝3時まで延ばしたいとしている。

・マッチング・ルールも若干変更されるが、大きくかわるのは注文方法だ。先ず注文の種類が、従来の指値と成行き以外に、最良指値注文(成行きと異なるのは、最良の呼値のみに対当する)やストップ注文(逆指値)が導入される。またこの注文に3種類の執行数量条件(注文の全数量が出来なければ取り消すとか、一部出来た場合、残りを有効若しくは無効とする)と2種類の有効期限条件(日中取引で終了、若しくは指定した期間の日中取引まで有効)が加わる。単純に考えれば24種類の注文執行方法があることになる。

 今まで、注文条件や逆指値などは、個々の証券会社がシステムで対応していたものもあるが、それを取引所の売買システムで提供することになる。ただし、個々の証券のシステム変更も必要な事と、個人投資家への注文の多様化の効果をどう分かり易く説明していくかは、証券各社の個別対応なので、個人投資家が注文執行のフル機能を使えるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。(1部ネット証券では対応)

大証FX取引について、少し触れておくと、スタートして1年半になるが、証券会社の取引参加者は実質11社(大手中堅では、野村のみ、大手ネット証券では、5社中3社)に留まる。株券を証拠金の代用としたり、投資家が直接証拠金残高の状況を確認できるよう、証券会社向けに工夫されてはいるが、取引規模は年間456万枚と、まだ東京金融取引所の5%未満に過ぎない。まだ取引基盤が整っていないようにも思うが、東金取の方は取引参加者は28社と大証の倍以上で、その内中大手FX専業者が参加していたり、取扱うFX商品が22種(大証9種)で、特にクロスカレンシー取引と言われる円を介さない取引が充実している。FX取引では、FX専業者が先行したことを思えば、当然の結果かもしれないが、今後証券会社のFX取引が本格化してくれば、大証FXの成長余力は大きいかも知れない。

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