*All archives* |  *Admin*

2011/11
<< 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
証券仲介業の現状
 現在の市況環境は、証券会社にとって非常に厳しいもので、291社ある証券会社も、ここ1~2年で相当数減少するのではないかと言われています。ただ、それは日本の投資家の減少を意味する事ではなく、リテール証券では、投資信託はそこそこ販売出来ますし、外債への投資ニーズもあり、またこれだけ下落した株式を買う個人投資家もいます。 

 一方、証券会社へ個人投資家を仲介する証券仲介業(金融商品仲介業)は着実に増加しています。



その現状について概略を纏めました。



☆証券仲介業の現状
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

東証・大証の統合スキームについて
東証と大証の統合スキームが11月22日に公表されましたが、発表に従い、両取引所の経営統合の為の概要図を示します。

☆東証・大証の経営統合スキーム概要図


・両取引所は、2013年1月1日を予定日として経営統合する。

・その為に、非上場の東証は、上場会社である大証をTOBで半数以上3分の2未満買い付け、子会社化する。(TOBの予定価格は、48万円)

・大証は、上場を維持したまま、統合に向け持ち株会社化し、企業を100%子会社へ承継する。

・東証も、統合に向け持ち株会社化し、100%子会社を2012年4月1日に設立し、事業を承継する。

・両持ち株会社は、2013年1月1日に合併。東証株主には、1株につき0.2019の大証株式が割当てられる。存続会社は、大証持ち株会社。東証持ち株会社は消滅。

・その結果、2013年1月1日以降は、合併された新しい大証(存続会社)は、日本取引所グループとして傘下に、東証と大証を保有する取引所の持ち株会社となる。



メリットや効果に関しては、今後、経営統合の詳細が明らかになり次第、コメントします。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

証券会社によるSNS利用の現状
 ネットワークというのは、双方向で情報をやり取りして成り立つのが基本だろうが、証券会社のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)利用は、少し違う。多くの企業と同様に、取りあえず情報発信から試験的に取り組んでいるといった段階だ。
 証券会社によるSNS利用状況について、日本証券業協会が10月にアンケート調査を実施、その内容を公表しているので、その主な内容を紹介したい。
〇先ず、10月段階での証券会社のSNS利用は38社で、全体の13.3%(証券会社292社中、回答255社で、具体的に利用しているSNSは以下のとおり。
・ツイッター=28社
・フェースブック=11社
・ブログの活用=8社
・mixi=1社
・その他=15社
今後利用を検討しているものとしては、フェースブックが13社、ツイッター8社、ブログ6社となっている。
〇具体的な利用目的は、
・SNS利用の86%である33社が、市況などのマーケット情報の提供
・同63%の24社が、セミナーの案内
・同50%の19社が、個別商品の紹介
・同29%の11社が、顧客からの意見の受付・回答
の順となっている。
〇ここで問題となるのは、証券会社としてインターネットを利用する際に守らなければならない法令や自主規制ルールだが、SNS利用の際には次の様な対応が取られている。
【勧誘や広告を行う際、会社の情報を提供し、手数料やリスクに対する表示を行うべき法令の遵守】
・ツイッター利用では、市況情報を流すことのみに留意し、勧誘を行わない。
・勧誘・広告に該当するものは、通常のインターネット広告と同様の基準で会社情報及びリスクに関する表示を行うか、若しくはホームページへ誘導する。
【広告を行う際、社内審査を行うべき自主ルールでの対応】
・情報の即時性をいかすため、ソーシャルメディア掲載用の審査フローを定義している。
・広告審査マニュアル等に基づいて審査を行っている
【第三者の書込みに対する対応】
・第三者の書込みを認めない
・書込みを認める場合、社内の専門部署で随時確認し、不適切なものは削除。
【役職員による書き込みやソーシャル・プラグインの利用制限】
・担当者以外、書込みも含めて個人的に活用することを禁止
・SNSの社内ガイドラインを策定して運営

物を作らない証券会社にとって、情報こそが全てであるが、顧客ニーズに合わせた情報の提供、その為の投資家ニーズの吸収など、SNSも含めたインターネット活用を大いに進めていくことで、日本の資本市場を活性化する機能を担っていること強く自覚して欲しい。その中から、今のネット証券とは異なる新しい証券会社モデルも生まれるのではないだろうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

もう一つの大事な市場機能=最近の社債市場とその論点
 世界的なリスク・オフ志向の強まりで、市場はすっかり萎縮しているが、そんな中で東証・大証統合が公表された。取引所統合は、日本の市場機能のインフラの問題なのだが、オリンパス・大王製紙問題もあって、日本の株式市場機能をもう一度考え直そうとする契機になればと、市場関係者ならずとも期待したい。

 もう一つの市場機能とは、国債を含めた債券市場のことだが、こちらは金融機関や一部の金融機関の売買が中心になるので、余りマスコミに大きく取り上げられることもない。しかし、リスク・オフの流れで、日本国債が強含んでいる内に、以前から指摘されている社債市場の機能を、欧米並みに引き上げる事が必要だ。少なくとも、市場関係者自らが日本の社債市場のことを、アジアのローカルマーケットと言っている現状を打開する為には。

 社債市場改革の議論は、もう金融危機後に始まっていて約2年以上経過しているが、今年の社債市場は大震災による原発事故の影響を大きく受けてしまっている。それは、社債(事業会社の債券)の発行残高約62兆円のうち、約四分の一の15兆円以上発行している電力会社が、本年度上期、原発を持たない沖縄電力以外、事実上社債の発行することが出来なかった。

東電以外の他電力への原発事故補償問題の波及、保有する原発の検査後の再稼働問題、国のエネルギー政策の行方など、上半期の政治判断や情勢が大きく影響していたからだが、市場関係者の間では改めて電力債の発行の仕組みや投資の安全性を見直す契機にもなった。

つまり、電力債は一般企業の社債のように無担保で発行するのではなく、一般担保付社債として発行されるので安全な債券だったはずだ。民法上の先取特権(清算などの為の共益費用や雇用関係費用など)を除いて、ローンや通常の損害賠償に優先して弁済されるのが電力債だったが、原子力損害賠償法が成立したので、福島原発の被害者の保険金支払いが電力債よりも優先することになった。

電力債も金融商品である以上、政治的なリスクは完全に排除できないことが明らかになったが、では政治的なリスク以外のことでも、一般担保はちゃんと保全されるのか、若しくは電力債を管理する金融機関(社債管理会社)がちゃんとそのことを主張するのかといった疑問も投資家に生じた。

電力債は、一般担保がちゃんと機能するかどうかといったことだったが、無担保で発行される一般企業の社債は、一体他のローンなどの債務に比べ、どの程度返済順位や条件が不利になっているか分かり難いので、ローンなどの純資産や利益維持など財務上の条項を社債権者などに開示すべきとの意見は投資家に根強くある。
ただし、リスク・オフで国債や高格付債の需要が強いこともあって、東電以外に高格付けを維持している電力債は、流通価格も夏以降回復し利回りが低下、下期には新規の発行も再開されている。

なお、原発の事後処理と保証問題に揺れる東京電力は、約5兆円の社債発行を行っているが、株式ほどではないが大きく売り込まれ5年債の利回りは10%を超えおり、すっかり海外ハイ・イールド債並になっていて、海外格付機関の格付けもBB+(国内格付機関は投資適格のA格を維持)とハイ・イールド債格付けになっている。

一方、社債市場を拡大して行く為には周辺部分の機能充実は必要だと言われているが、社債のデリバティウブとも言うべきCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、日本においてもある程度取引が拡大しているようで、個人投資家の売買も出始めたようだ。ただ、肝心の社債取引の方が閑散としているようで、CDSの取引に比し現物社債の流通が少ない銘柄が多いとの指摘もあり、裁定取引など現物・ディリバティブ相乗効果が出難いとされている。その改善の為には、社債のレポ市場(貸債券市場)の整備が必要なようだ。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

コーポレートガバナンスの概要
ここ10年来、上場企業の不祥事がある度に、コーポレートガバナンス機能の強化が話題になります。
現在も、法務省の法制審議会で会社法改正の議論が行われていますが、本来の改正議論は、M&Aなどを進めるのに、技術的な障害を除きながら、一方でコーポレートガバナンス強化の仕組みを、企業が過度の負担を負わないように検討していこうという趣旨だったと思います。
難しい議論は、法学者の先生方にお任せしますが、企業も人で構成されている以上、約3800以上ある上場企業にも、確率論的に何か予期しない事が起きるというのが投資家の前提ではないでしょうか。
どの様な制度に変更しても、人が絡む以上、不祥事の発生を100%抑えることは不可能です。故に、不祥事を抑止する仕組みも大事ですが、早期発見が重要で、米SOX法に影響されて導入されたのが内部統制報告制度だったはずです。
 また、早期発見の為の仕組みも大事ではありますが、永年上場企業対して資本市場のアドバイザーとして接してきた経験から言いますと、問題のある企業は、ディスクロージャーの姿勢が急速に悪化することが多かったと思います。
 株主や投資家への影響がある何か起きたら、すぐにディスクロージャーを実施する。この事が、社内的にも、対外的にも不祥事に対する牽制になって、企業も株主も、そして日本の市場も守られると考えます。
 ちなみに、日本企業のコーポレートガバナンス格付けは、GMI(Governance Metrics International)が公表する2010年のランキングでは39カ国中36位だそうです。

☆コーポレートガバナンス問題の概要

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

スマートフォンは、証券ビジネスを変える
 現在の市況や証券会社の株価水準を見ていますと、証券会社の経営者自らが厳冬時代と言い、かつて山一が破綻した時の日本の金融危機時の株価さえ下回っています。単に投資家のリスク・オフで、証券会社の収益が悪化するとのことだけではないように感じます。この市場の動きは、現在の証券業というものに対し、何か構造的な問題を認識しているのかも知れません。

 例えば、証券会社が扱う金融商品は増え、取引所機能は高速化などで強化されています。また団塊世代のリタイアよって潜在的な投資家層の拡大が望めます。証券会社を取り巻く環境で、市況見通し以外はそれ程悪くはないのですが、何かが今の日本の証券業に不足しているので、現在のような市場の評価となっているのでしょうか。

 最近の証券会社動向を見れば、投資家に販売する商品やサービスは十分にあるのですが、それらが顧客ニーズと上手く合っているのか、少しの疑念を感じています。店頭営業の方々も、ネット証券も、それなりに顧客ニーズを調査して商品やサービス供給を行っているでしょうが、未だどこかに販売すべき商品や提供してあげるサービスありきの発想が残っているのではないでしょうか。

 証券会社は、今は第一種金融商品取引業者と言いますが、一般の投資家と企業や運用会社の間に立って、投資ニーズと株式を含めた金融商品を仲介するのが基本的な機能です。投資家に向かう時は、情報の海の中から、投資家が望む情報を引き上げて提供し、実際の売買取引が容易に行えるよう機能やサービスを投資家のニーズに合うよう提供するのは、サービス業として当たり前の事です。

 スマートフォンの普及により、個人がよりインターネット環境を使いやすくなりますが、証券業でも本年度上期はスマフォ対応を進める動きがネット証券中心にありました。このスマフォ対応を金融商品取引で進める時には、次の2つのことが重要だと思います。
〇情報を投資家にニーズに合わせて提供する。それもなるべく簡潔に、そしてリアルタイムに。
〇取引機能を単純化して提供する。単純化すれば、慣れるまでは多くの疑問を投資家自らが解消していく必要がありますので、サポート体制も必要です。
つまり、スマフォという道具を金融商品取引で投資家に利用していただく為に、情報提供の選別と取引機能の単純化が求められますが、この事で今までネット取引と縁のなかった投資家層を取り込むことが出来るのはないでしょうか。
少し加えると、次の機能もあった方が良いと考えます。
〇顧客の金融資産の管理。つまり、自分の金融資産の全体像からみて、投資家が今何をなすべきか、リアルタイムで考えられる機能。

以上の話は、今までのネット証券のあり方とも少し違うと思います。ネット証券の顧客であっても、対面営業の顧客であっても、個人のスマフォ普及が進めは、投資家はインターネット環境に近く、そしてスマフォでそれを簡潔に単純化したものを求める。そんな役割を熟すのが、次世代の証券会社ではないでしょうか。


☆スマートフォンは証券ビジネスを変える

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

市場を救うか---ライツ・イシューの現在の日本に於ける問題点
標題は、ライツ・イシュー制度の整備によって、発行市場機能が整備され、大型のファイナンスを売り材料とするような既存株主にとって辛いマーケットから、日本市場が脱却することを願ってつけた。
現時点でのライツ・イシューに係る問題点を、本質的な問題と技術的な問題に分け、なるべく簡単に書いてみたい。

【ライツ・イシューに係る本質的な問題】

○大型のファイナンスが企業の生き残りの為に必要な時があるのは分かるが、といって持分が3割も4割も突然希薄化するのは既存株主にとって避けたいことだ。第三者割当増資でも公募増資でも既存株主には希薄化といったダメージを与えるが、第三者割当に関しては25%以上を行う場合、第三者委員会か株主総会の承認が必要なように取引所ルールなどで実質的に規制している。では、大規模な公募増資なら自由に行って良いのか。この問題点は、海外の機関投資家からも再三指摘されている。

○ライツ・イシューとは新株予約権を使った株主割当増資である。しかし、昔からある株主割当増資と少し違うのは、新株を払い込まない株主は、その権利を新株予約権として他の投資家に売却することが出来る。既存株主は自分の持分の希薄化を完全に防ぐことは出来ないが、かなりの部分のカバーは出来る。少なくとも、ライツ・イシューと聞いて、公募増資の時の様に慌てて売る必要はない。

○ライツ・イシューは昨年3月にタカラレーベンが日本で最初に行ったとされるが、リテール証券(ネット証券を含む)で取扱い可能だったのは三分の一にも満たない。つまり、ライツ・イシューを取り扱うべき証券会社の実務が確立していない。本来は実務の問題は技術的な問題なはずだが、株主や投資家にちゃんとライツ・イシューのことが説明できなければ、業界の本質的問題と言わざるを得ない。

【ライツ・イシューに係る技術的な問題】

●ライツ・イシューは、株主全員に新株予約権を割り当て、それを新株に払い込むか権利として売却するか判断させる必要がある。その為、目論見書を株主及び新株予約権を市場から買った投資家に配布しなければならない。また、新株予約権の割り当てから新株の払込みまで二ヵ月近くあり、その間、もし投資判断に影響がありそうな事象が発生すれば、訂正の目論見書も配布しなければならない。株主が多ければ大変なコストとなる。
これを改善する為、Webの画面で目論見書が確認できるようにしておけば、実際の目論見書配布を免除するように法規制を変えた。

●ライツ・イシューは、株主や投資家の払込みに頼るので、公募増資の様に最初に予定した金額が全て払い込まれるという訳ではない。つまり売れ残り(払込み残り)がでるのだが、売れ残りをそのままにしてファイナンスを終了するのも無理のない考え方だ。
但し、どうしても必要資金を調達したい場合、売れ残ったものを証券会社に販売してもらう。この場合は、事前に株主や投資家に公表しておく必要がある。コミットメント型ライツ・イシューと言われる方法だが、この事が少し技術的問題を複雑にしている。つまり、この証券会社の行為を引受けと定義付けたり、大量のライツ(新株予約権)を再販する時に、5%ルールやTOB規制に掛からないよう法制度を整備しなければならなかった。

●証券会社が、株主や投資家に対してライツ(新株予約権)を行使することに対しアドバイスすることは、法律上の定義が無かったが、これを勧誘行為として行為規制の対象し、投資家の保護を図る制度整備が行われた。ただし、ライツの行使勧誘に対して、証券会社の報酬対価の実務がまだ整備されていない。例えば、新株予約権の払込みを取り扱った証券会社に対し、数%の手数料を支払うというような実務慣行がライツ・イシューの定着の為には必要だと考える。

なお、以上の3つの法制度整備は、金融商品取引法に係る内閣府令などで来年4月1日より施行される予定となっている。

●米国人株主が10%以上いる場合は、少し厄介だ。日本企業であっても、米国人がライツを行使しようとすると米国での開示をしなければならない。ライツ・イシューの盛んな欧州企業は、これを避ける為に、米国人株主の部分はライツを売却して、その代金を米国人株主に配布し直接ライツを行使する判断をさせない。日本企業のライツ・イシューもこれと同様に、米国人株主対策を行えば良いと思うが、実務慣行が確立していない為、会社法で言うところの株主平等原則に抵触しないかとの意見もあった。この意見に対して、ブルドックソースの買収防衛で使われた買収者の新株予約権行使を制限した事例での最高裁判決が、株主間で異なる新株予約権の行使対応の事例として上げられている。法学者の中には、異なる意見もあるかも知れないが、ファイナンスの遂行という目的が正しければ、問題とはならないという考え方も金融庁主催の研究会で示されている。この問題は、かなり技術的問題だと思うが、実務慣行が成立していない為の議論の為の議論の様にも思える。

どの様な問題であっても、本質的なことの解決の為、技術的な問題の整理と解消が行われて行かなければならないが、ライツ・イシューに係る議論もそうあって欲しいと願っている。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

日本市場のファイナンス改善策としてのライツ・イシュー
ファイナンスは資本市場の大事な機能だが、企業が大規模なファイナンスを行う場合、それが公募増資でも第三者割当でも、既存株主の持分が希薄化する。ファイナンスで調達した資金が、企業価値を上げることに使われたとしても、その効果が出るには時間が掛かるのが普通で、現状の市場では大規模なファイナンスは残念ながら売り材料にしかなっていない。
とはいっても、企業が生き残りをかけて大規模にファイナンスすることはあるので、出来るだけ既存株主が有利となる方法が望ましい。例えば、今話題のギリシャやイタリアの国債を大量に保有する欧州の銀行は、これら保有する国債の下落に備えて自己資本の増強が必要だが、日本企業の様な大規模な公募増資を行うのではなく、先ず株主に増資に応じる権利を与え、払込みに応じても良いし、この権利を他の投資家に売っても良いというファイナンス方法を取る。これだと、既存株主の選択肢は広がり、ファイナンスと聞いて慌てて売ることもない。所謂ライツ・イシュー(最近の日本国内の議論は、ライツ・オファリングという事が多くなっている)だ。また、米国などでは、大規模な公募増資は、株主総会で判断だれることが多い。いずれも、日本の株主の様に突然大規模な希薄化を突き付けられことなどない。
 少し昔の話になるが、バブル崩壊後日本市場のファイナンスに対しては、これを引き受ける証券会社サイドに一定のルールがあった。例えば、公募増資なら発行済株式総数の15%までとか、CB(現在の新株予約権付社債)なら20%までとかいったもので、ファイナンスした後の増配や株式分割などで株主への利益還元の増加を求めていた時がある。これらのルールは1990年代半ばに撤廃してしまったが、リーマンショック後の2009年2010年と少数の企業による大規模な公募増資が市場需給を悪化させたのは事実だと思う。

先ず、現在の日本の発行市場と、その改善策として期待されるライツ・イシューの概要などをご覧いただきたい。

☆ライツ・イシューについて(平成23年11月版)

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最近の投資信託動向について、11月上旬時点
10月も個人投資家のリスク・オフの流れが続いて、投資信託からの資金流出は2,107億円と9月よりも拡大しています。新規設定の分については、50本925億円と4月や5月に2000億円を超えていた時から減少が続いています。また、既存の投資信託への資金流入では、日本国債ファンドの様にマーケットリスクの小さいものしか資金流入はありませんでした。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。
☆投信マーケット概況10月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、ギリシャを始めとする欧州債務問題関連が急増し、情報量が増加しています。また、週間ベースで市況情報を発信する運用会社も増えていいます。運用会社による投資家への情報提供強化が窺えます。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、新規設定の新しい投信の投資テーマを見れば、ある程度推測することが出来ますが、11月以降の投資では、欧州関連への投資を避け、投資テーマが分散しているように思われます。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点)

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

証券会社として、今行うべきこと
 オリンパス問題で日本市場が大きく揺れている。飛ばしや損失補てんなどという1990年代の亡霊の様な言葉に、市場特に証券株の反応が大きかったが、今更前世紀の遺物の様な法令違反に業界が関与するはずはないだろう。しかし、証券会社として行うべきことがあるように思う。
 今の市場に動きに対する様々な解釈はあるだろうが、投資家の信頼が揺らいでいるのは事実だ。この投資家の信頼をどう取り戻すかということに、証券会社は取り組むべきだ。

先ず、最大のテーマはコーポレートガバナンスの強化だが、現在、法制審議会で行われている会社法改正で、社外取締役導入の義務化(上場企業の約半数は導入していない)が検討されているが、これを待つのではなく、取引所ルールでの独立性の強い社外取締役の導入を義務付けるよう働きかけること。現在の取引所ルールでは、独立役員制度が昨年から取り入れられているが、これは社外監査役でも良い事になっている。日本企業のコーポレートガバナンス強化を、国内外の投資家にアピールしていく為にも、早急に取引所ルールで、独立性の強い社外取締役導入の義務化を行うべきことを、反対論の強い経済界に訴え、取引所へのルール強化を働きかけるべきだ。

二つめに、ディスクロージャーの強化を行うこと。上場企業に対して金商法で定められた法定開示や取引所の適時開示をキチッと行えるようアドバイスすることに加え、IR活動を通して経営方針や経営課題について内外の投資家に分かり易く伝わるようにサポートすることが証券会社として重要だ。このディスクロージャーに関する部分については、上場企業は元々インサーダー情報に繋がるような重要情報を抱えているが、これらの情報管理と公表までのプロセスを的確にアドバイスしていくのが本来の幹事証券の機能となる。

 以上の2つについては、上場している証券会社は自ら率先して行うべきだ。特に、自らのディスクロージャーに関しては、大手やネット証券の一部を除いて、業績予想や経営計画の開示を行わないなど、一般の上場企業に比べその対応が劣っているように思う。現在の様に業況が芳しくなく、株価も37年ぶり(野村の場合)の低水準にある今こそ、上場会社として自らを語り投資家に向かってアピールする必要がある。

 3つ目は、証券会社として最も重要なことになるが、精通しているはずの自国の証券市場が最も魅力的な市場であることを投資家に示すことだ。金融危機や大震災後に復活する日本企業への投資を、内外の投資家に薦めることは、日本の証券会社として当然の行為だろう。グローバルなポートフォリオ構築の話は運用会社に任せ、日本株そのものの強さを語る証券会社であって欲しいが、何も優良な企業に大規模な公募増資をさせ、海外投資家に販売することを言っているのではない。現在の様な市場環境であれば、先ず最後の買い手として、上場企業自らに対して自社株買いを薦めることが、幹事証券会社としての務めではないだろうか。

勿論、自ら範を示して大規模な自社株取得を行うような上場証券会社が相次げば、内外の投資家は、日本市場を見直す契機となるだろう。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

信用取引の状況と問題点・改善への動き
日本の株式市場における信用取引制度の現状について、見直しておきたい。
先ず10月の株式市場の売買代金(東証1部、2部、マザーズの合計)40兆9,721億円の内、個人投資家が占めるのは6兆7,067億円で、全体の16.3%となっており、復興需要期待のあった4~6月の20%台半ばから大きく減少している。
また、その個人投資家の取引の内、62.8%が信用取引によるものだが、10月の信用買いと信用売りの比率(個人投資家分)は、49.8%対50.2%で僅かに空売りの方が多い。

以上は、東証の統計資料による数字だが、いったい個人投資家のうち信用取引をする人はどの位いるのだろうか。日本証券業協会の資料によると、今年9月末時点では、777,353人が信用取引の口座をもち、信用取引残高は1兆376億円なので、単純に計算すると10月中に個人投資家の信用取引は6.4回転していることになる。これを売買に引き直すと、信用取引のイメージは1週間に一往復取引している。個人投資家の口座数は、9月末で1482万口座なので、凡そ20人に一人が信用取引を行っていることになり、信用取引をしない個人投資家に比べ、相当程度に頻繁に株式の売買を行う。その為、取引コストは重要な取引決定要因となるので、当然ネット取引を選択する場合が多く、大手ネット証券5社による個人投資家の信用取引シェアは8割に達していると言われている。
取引コストの中には、手数料と信用取引で買建てた分の金利が含まれるが、大手ネット証券5社にみる手数料と金利収入(投資家のコスト部分)の比率は、今期第一四半期は以下の様になっている。

・SBI=手数料1に対して、金利収入0.82
・松井=手数料1に対して、金利収入0.62
・カブコム=手数料1に対して、金利収入0.93
・楽天=手数料1に対して、金利収入0.52
・マネックス=手数料1に対して、金利収入0.67

ネット証券にとって、主要な収入源の手数料と信用買いからの金利収入は、引下げ競争があってもいずれ平準化されると考えると、金利収入の相対的少なさから、松井ら楽天の信用取引顧客の方が、カブコムやSBIの顧客よりも頻繁に売買しているのではないかとの仮説も成り立つ。つまり、先の2社の方がデイトレーダー(値鞘取りを狙って短期売買を行う個人投資家層)の取引比率が高いのかも知れない。

今上期に、大手ネット証券は信用取引関係で2つの取組みを強化させている。

一つは、信用取引で売建て可能となる銘柄を増加させているが、投資家に貸すべき株式を調達してくる必要がある。その為、自社の顧客からの株式調達強化を目的に、貸し株サービスとして個人投資家の注目度が高い銘柄などの借入金利(年率の%で表示=個人投資家の収益)を大幅に引き上げて、信用取引で貸すか株の調達力を強化しようとしている。

二つめは、信用取引での日計り商いを何度でも行えるように、取引を大阪証券取引所での立会時間外取引でマッチングさせ、即日に決済を行うことで同じ担保(代用有価証券及び保証金)を何度でも使えるように工夫したサービスを始めた。ただし、これは1社(松井)によるサービス提供に限られるので、松井の顧客内で売買注文をマッチングし、決済を大証で行うという仕組みなので、流動性のある銘柄しか有効でないかもしれない。

一つ目の貸株サービス提供の背景には、信用取引の売建て(空売り)で利用する株式の調達に関して、信用取引の提供を行う証券会社間で差が大きくなり始めている。つまり売建て可能な銘柄数が証券会社によって差が拡大傾向にある。
二つ目の複数回可能な日計り商いの背景には、現在の取引所に通常の立会時間における取引の決済(取引日の4日目)及び信用取引の担保管理(前日の終値で評価、リアルタイムの評価替えは行っていない)のあり方が問題としてある。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

CFD取引、期待ほど伸びず
市場の値動きを追って売買するというのは、プロのトレーダーだけの領域ではない。何かに投資するというのではなく、値動きに対して個人投資家が反応して売買する。この事の是非を問うことは、FX取引などを見ていると、もはや余り意味が無いようにも思う。プロのトレーダーもいれば、金融機関のファンドマネージャーも、そして個人投資家も、買って売る、売って買うという行為をし易くしたスキームとして、エクイティ・スワップやそれを個人も利用可能としたCFD取引がある。

 この取引の基本的な構造は、カバー業者と言われる投資銀行が、投資家との売買値段を取りきめ、その投資家が投資銀行相手に反対売買したところで損益が決済される。この仕組みは、相対の取り決めで、投資家の方はカバー業者が提示する取引値段を信頼し、カバー業者の方は投資家の決済履行を信じて、双方の取引が成り立っている。投資対象を外国通貨としたFX取引も、基本的には同様の仕組みだが、ネットを利用したオンライン取引で、多数の個人を相手とする為には、売値と買値の同時提示、強制的なロスカット・ルールの適用など、独自の仕組みで取引を行うようになった。

売値と買値の同時提示は、投資家にとって株式の様に指値注文を出す必要がなく、どちらか選択すれば取引は成立するメリットがあるが、この売値買値の値幅の中にカバー業者の収益の源泉がある。カバー業者は、受けた取引を通常の市場でカバーしても良いし、自らのポジションとして抱え込んでいても良いが、多数の投資家を相手にすることで、その選択のバリエーションが増え、収益のチャンスも増加する。
また、取引利益の拡大を狙って、取引が当初の投資資金にレバレッジの掛かったものとなるが、カバー業者は、その取引リスクをコントロールする為に、強制的なロスカット・ルールの適用を行う。
 
以上の説明は、CFD取引の基本的構造の説明を試みたものだが、実際は個人投資家とカバー業者の間に、取引を取り次ぐFX業者や証券会社などが入るケースも多く、また取引所に定型の取引形態を上場して、そのマーケットメークはカバー業者・決済や売買管理は取引所と分業する仕組みもあるが、基本的には同様である。この仕組みの良いところは、投資家・カバー業者双方が合意していれば、投資対象が何でも良いので、投資の多様化に耐えられところだ。欧州やオーストラリアなどで、個人投資家にも浸透したCFD取引なので、日本でもその拡大が期待されているが、現在のところ標題の様な状況となっている。

 日本証券業協会のデータから、上期は以下の様な状況になっている。
※証券関連でのCFDに関する4月~9月の取引若しくは9月末の状況について
○口座数:137,424口座(半年前から978口座しか増加していない)
○証拠金残高:80億円(半年前から17億円の増加)
○取引の比率は、建玉残高から、51%が株式指数関連、40%が債券関連、残り9%が個別株などとなっている。
○8月以降、株式指数関連の取引が月間ベース8000億円を超え、それ以前の2~2.5倍程度に急増しているほか、特に大きな取引の増加傾向はみられない。

なお、東京金融取引所でも株価指数関連CFDは上場されているが、特に取引の増減の傾向は出でいない。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

株式市場からの最近の資本調達
欧州問題での緊張が未だに緊張の続く株式市場ですが、市場の機能としては企業の資本調達の場という役割り(発行市場機能)もあります。市場での時価を参考に、新たに株式を供給して資金を調達しますが、そのファイナンス方法としては、公募増資・第三者割当・株主割当増資・新株予約権・新株予約権付社債(CB)・優先株式などが上げられます。
この内、ファイナンス直後から市場に新たな株式が供給されるのは公募増資・第三者割当・株主割当増資ですが、既存の株主の希薄化(資本の持分の低下=つまり株価下落の可能性の高まり)があるのは、公募増資・第三者割当に限られます。第三者割当は、本来は業務提携に伴う資本提携(つまり相手に株式を保有してもらう)が中心でしたが、最近は公募増資の際に主幹事証券に販売のバッファーとして割り当てるケースもあるので、市場にインパクトの大きい公募と併せてみる必要があります。
この上半期(4月~9月)は、金融危機後の2年間に比べて市場からの資本調達が大きく減少しました。

☆株式市場からの最近の資本調達

現在の株価水準や市況環境からは、下期も市場からの資本調達が増加することは予想し難い状況で、反対に自社株買いは増加傾向にあるので、市場の需給バランスの好転が期待されます。

但し、発行市場の機能低下は好ましい事でもないので、金融危機後の2年間、バブル期に迫るような調達額となった公募増資や大規模な第三者割当に対して、株主や投資家サイドから問題視されたことを、この発行市場の閑散期に改めて見直し、対応策を講じてこそ、アジアのメイン・マーケットと誇れる市場になるのではないでしょうか。ちなみに、以下の様なことを発行会社が明確にディスクロージャー対応することも、筆者は重要と考えます。
○公募増資=資金使途の明確化
○第三者割当=割当先とその効果

また、一般論としてファイナンス後のディスクロージャー対応の良い企業は、資本調達として成功する場合が多いようにも思います。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード