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2011/12
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個人投資家の実像について
 先ず株式に投資する個人投資家層はどの位いるのか、ちゃんと考えたい。
各取引所が上場企業の株主状況を集計しているが、それによると平成22年度の上場企業数は3,616社で、延べ株主数は4710万人と前年度より114万人増えている。この内、97.3%が個人なのだが、名寄せされていない数字なので国民の4割近くが株式を保有している訳ではない。
 一方、株券が2009年初よりペーパレスになってデータ化されており、そのテータの集約場所である証券保管振替機構では投資家別に名寄せされ管理されている。その数字は、本年11月末で1667.8万人おり、この中には法人名義なども含まれるので、前節で取り上げた個人の保有比率を掛け合わせると、日本の個人株主はそれでも1600万人以上となる。何と国民の13%が上場企業の株主になっているという事になり、それでもイメージより多く感じる。
 株式以外の投資家はどうなのだろうか。
この推計をするのに、日本証券業協会が毎年実施している“個人投資家の証券投資に関する意識調査”によると、何等かの有価証券を保有している個人投資家の72.7%が株式を保有している。
・1667.8万人×97.3%=1622.7万人 →個人株主数の推計値
・1622.7万人÷72.7%=2232万人 ⇒個人投資家数の推計値
ちなみに以下も推計出来る。
・2232万人×49.0%(個人投資家で投資信託を保有する割合)=1093万人 ⇒個人投資家で投資信託を保有する者の推計値
・2232万人×32.2%(個人投資家で債券を保有する割合)=718万人 ⇒個人投資家で債券を保有する者の推計値

読まれた方には数字遊びの様で恐縮だったが、以上のそれぞれの数字を多いと感じるか少ないと思うかは、立場によって違うかもしれない。私見を述べると、株主数は多く感じ、投資信託の保有者は少なく思うが、国民の6人に1人が投資家だということは、投資に係る機能が国民経済の中で重要な役割を既に果たしているということではないだろうか。

☆個人投資家の実像
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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

証券会社の役割とは何か
 最近、証券会社の方々とお話しすると悲観的な先行き見通しを話される方が増えていて、とても残念に思います。業界大手の経営危機説?(主に資産などの売却の噂からだと思いますが)が市場で流れていたり、上場証券の株価水準を背景にしていると思いますが、業界終末論的な見方は、さすがに行き過ぎだと思います。
 とは言っても、今後株式市場が回復しても、自らのビジネスモデルを変えて解消していかなければならない多くの問題を抱えていることも事実です。例えば今や対面営業の証券会社の収益の中心となっている投信販売に関して、売れ筋の通貨選択型などの複雑な投信は、販売時の投資家との確認作業が今後強化され、販売現場でのコストは増加しそうです。また、取引所機能は現物・デリバティブ共どんどん強化されていますが、相当数の証券会社では機能的(システムや取次ぎのオペレーション)に対応出来ない部分もあります。
 そもそも証券会社とは、どの様な機能を市場で担っているのでしょうか。主な役割や機能と、抱える問題点を見直す為に、概要図を以下に示します。

☆証券会社の役割とは何か

 困難な時は、基本に還れと良く言われますが、最近、証券会社などで日本株見直しキャラバンやセミナーの開催が増えているように思います。この事は、日本の証券会社にとって基本中の基本となる日本市場での役割を果たすという大事なことです。ただし、それを収益性の高いビジネスモデルに変えていくことが、今の証券会社に求められていると考えます。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

2つのファンド
 嘗ての証券取引法が、今の金融商品取引法(2007年9月30日施行)に替わる時、ファンドの機能をもっと使いこなしましょうということで、このファンド(公募の投資信託や外国投信など除く)を“みなし有価証券”として金融商品取引法の第二条第二項に定めた。
 500人未満への販売なら私募となり通常の開示制度がかからない私募ファンドのことだが、このファンドを取り扱う業者を第二種金融商品取引業者とした。証券会社もFX業者も、不特定多数の投資家に勧誘行為をするものは、第一種金融商品取引業者だが、この私募ファンドの扱う業者のバーは少し低くして最低資本金を1000万円(証券会社・FX業者などは5000万円)とし、証券会社の様な自己資本規制は行わないこととされている。この様に私募ファンド業者の参入基準が低かったのは、私募ファンド(ファンドの機能)が、資本市場の活性化や企業の再生なのに役立つと考えられたからだ。
 現在、日本の金融機能を強化しようと行っている「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング」では、大きなファンドとすごく小さいファンドの2つが取り上げられている。一つは企業再生やMBOなどの際に顔を出すことが多いPE(プライベート・エクイティ)ファンド、もう一つは震災復興支援でマスコミなどにも取り上げられたマイクロファンド。それぞれのプレゼンの概要は、以下の様になっている。

【PEファンド】カーライル
・企業に50%以上投資しマジョリティーを握ることが多いが、投資先企業が成長することで資金を回収するので長期間の投資となる。(単なる投資とは異なるという事だろうが、...)
・2010年時点で、PEファンド投資資金は世界全体で140兆円だが、1兆円を超えるファンドは殆どが米国にある。
・投資家層をみると、もっとも多いのが全体の四分の一を超える個人の資産管理会社からの出資、次いで財団、大学基金、公的年金と続いている。
・日本では、金融機関や企業年金の一部が代替投資で出資しているようだが、ヘッジファンド投資ほど多くはなく限定的
・富裕層などの個人の直接・間接の利用は日本ではみられないが、最低投資額約5億円・コミットメント形式での払込・私募で中途解約は出来ないことがネックになっているようだ。
・しかし、長期で低迷する日本の株式市場にとっては、投資元として有効に機能していくのではないか。

【マイクロファンド】ミュージックセキュリティーズ
※音楽ファンドや復興支援ファンドは、事業型ファンドと言われ、例え多数から募集しても有価証券投資のファンドの様なディスクロージャーは不要(開示制度の適用除外)
・匿名組合方式のファンドで、個人などの出資者から集めた資金を事業に必要な原価・販売費として事業者に提供、対象となる事業が一区切りついたところで、事業の売上げの一部を分配する。
・期間は、3ヵ月程度(音楽CDの発行など)から10年に及びもの(林業や被災地事業支援)もある。
・出資者の動機としては、仕組みに共感や事業への応援が全体の4割以上となっており、利益を期待するのは、全体の1%未満となっている。
・出資者が希望する事業は、食の問題・環境問題・地域活性化といったものが上位を占めている。
・また、投資家が欲しい情報としては、ファンドの進捗状況・コミニティの活動状況などの関心が高く、この部分は普通の投資家と変わらないようだ。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

投信販売のあり方について
 投資信託は、投資家がファンドマネージャーに運用を任せるので相応の手数料(信託報酬)を支払う。また、販売時に時間をかけて丁寧に説明するのだから、販売手数料と言う対価を販売者(証券会社・銀行)が得る。これらの投資家が支払うコストが適正かどうか、業界内では常に議論があり、インターネット利用の場合は、販売手数料を課さなかったり、大きく割り引く傾向が強まっているし、運用対象商品が債券などに限定されるものは、信託報酬を引き下げる動きもある。しかし、投資家が投信を購入する際に支払うコストは年々上昇していて、本年度の平均取得コストは4.16%(10月末までに発行された投信の販売手数料と初年度信託報酬を合計した平均値:モーニングスター調べ)になっている。

 手数料が高いから問題だというのではなく、それに見合うサービスを投資家に提供しているかが販売者・運用会社の重要なテーマとなるべきだ。個人投資家が、纏まった資金をファンドマネージャーに預ける為には、単純に投信内容の説明だけで良いのだろうか。確かに昨年夏以降は、新規に発行される投信の目論見書内容は簡素化され、かつ平易で統一された記載内容になりつつある。しかし、目論見書など読んで分かるだけで投信を購入する層はインターネット利用の7.5%の個人投資家で、その他多くは販売員を含めた他者の薦めで投信を購入する。対面営業の現場では、販売員たちが投資家と様々な会話を続ける中で投信への投資の決断がなされている。

 但し、専門家から指摘されている対面営業での投信販売に関する不安や疑問は次の様なものがある。
○今や投信販売の主流となっている毎月分配型では、分配金のみの利回りが協調されていて、分配金+投信の基準価格=トータルリターン(運用成績)が軽視されているのではないか。
○短期的な投信の乗換えが起きている可能性があり、運用額が急減する投信も見られる。
○売れ筋の通貨選択型は、高分配金の仕組みを作る為、新興国通貨+投資対象の2階建て(場合によってはオプションも利用する3階建て)の投資リスクを取ることになるが、投資家の投資目的やリスクの理解は十分か。[この部分の販売管理規制強化は、来年から行われる予定:拙稿“投資信託の販売規制強化について”をご参考に]

以上の問題に関して、投信の販売者である証券会社や銀行は応えていかなければならないが、投信の本当の問題は、販売サイドというよりは、商品の供給サイドである運用会社にあるのではないだろうか。以下の問題が上げられる。
○投資家が負担するコストが高い=販売手数料も信託報酬も運用会社が決めるが、高コストが投資家の運用パフォーマンスを低下させ、投信の魅力を減じでいる懸念
○運用会社としての独立性とガバナンスのあり方=販売会社とではなく投資家と利害が一致するような商品供給・運用がなされているかの疑義

なお、公募追加型の株式投信は2011年現在で2,383本ありその内毎月分配型の投信は943本(33%)
また、通貨選択型は459本で毎月分配型投信の約半数を占めるが、その中の55%が高金利通貨のブラジル・レアルとなっている。
※以上の数値は、モーニングスター作成の金融審議会資料より。なお、モーニングスターが示す投信問題への対応策と筆者の考え方は、必ずしも一致していない。但し、彼等が提起している問題点に関し、大手証券・金融機関・運用会社は其々の答えを示す必要があると思う。

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インサイダー取引に係る問題の概要図
インサイダー取引の規制は、金融商品取引法で定められていますが、規則である以上、形式的なものや数値的な基準があります。世の中が変化したり、企業再編など会社法も変わっていく中、この数値や形式も時代に合わせて変わる部分が、金融審議会報告で示されていますが、一般の方にはかなり技術的に見えます。この際、少し離してインサイダー取引に係る現状の問題点の全体像を見ようということで、前2回にわたりポイントだけを記載しましたが、この分の概要図を示します。

☆インサイダー取引に係る問題の概要

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インサイダー取引に係る問題の概要=後編
 前回に続いてインサイダー取引に係る現状の問題について触れておきたい。後編のポイントは、海外での日本株取引に係るものと、企業活動に及ぼす影響について。
【海外での日本株取引等に係るもの】
昨年、欧米の機関投資家から指摘されたことに、日本の大企業の大規模な公募増資の際、公表前に特定の海外投資家に需要をヒアリングする(主幹事証券が)慣行が、海外ファンドなどの事前の売りを誘発しているのではないかとの指摘があった。この問題に関する指摘は以前からあったが、今や取引の6割を占める海外投資家の、海外での日本株取引に関する不公正取引(インサイダー取引や相場操縦行為)の摘発は難しいのではと見られていた。しかし、香港やシンガポール当局等による以下の摘発が行われている。
●平成15年2月:三井住友ファイナンシャルグループの優先株3000億円発行に係るインサイダー取引で、シンガポール政府投資公社が公表前に三井住友ファイナンシャルグループ株式を売却、優先株発行による普通株価格下落による損失を回避した件。シンガポール通貨監督庁が摘発。
●上記のファイナンスで、英国のヘッジファンドが同件の公表前に三井住友ファイナンシャルグループ株式をインサイダー取引として売却した件。英国金融サービス機構が摘発。
●平成15年12月:住友軽金属の新株予約権付社債(CB)発行に伴い、クレディスイス香港のトレーダーが公表前にインサイダー取引として同株式の売付けを行った件。香港の証券先物委員会が摘発。
●平成18年7月:日本航空の公募増資に絡んで、香港のファンドは値決め日の大引け間際に大量の空売りを行い、決められた決済日に決済を行わないフェイル(ネーキッド・ショート)を発生させ、その半数を公募株の割り当てで解消した。日本の空売り規制違反(当時はネーキッドショートが明確に禁じられていなかったので、売り下がりを禁じたアップティック・ルール違反)及び相場操縦行為。香港の証券先物委員会が摘発。
また、日本の証券取引等監視委員会は、次の海外事案を摘発している。
●平成18年3月期決算:旧ジェイブリッジ(9318)の大幅な業績下方修正に係り、同社経営者がシンガポールの金融機関に解説した法人名義(英領ヴァージン諸島国籍)口座を利用して、公表前に保有していた同社株式をインサイダー取引として売却した件。
【企業活動に対する影響について】
金融商品取引法に定められる原稿の重要事実の数値基準などが、本来のインサイダー取引を防ぐ観点からみて企業再編活動に支障をきたしているか如何か、金融審議会で検討されていたが、以下の様な点について規制の見直し案が示されている。(12月15日)
○純粋持株会社の場合、一般の事業会社に比べ収益が事業子会社からの配当などに限られる為、重要事実(インサイダー取引の対象)に該当する数値水準が低く、一般の企業活動に支障をきたすこともあった。その為、グループからの収益が80%以上の純粋持株会社の場合は、重要事実の基準を連結ベースの数字で判断するように変える。
○組織再編の際、消滅会社が保有する取引先の株式(上場企業)を存続会社に承継する場合、インサイダー取引規制の対象となっていたが、この株式が承継資産の20%未満の場合、インサーダー取引である可能性が少ないとして、適用除外とする。
○組織再編の対価として、消滅会社の株主に対して自己株式を新規に発行する場合は問題なかったが、金庫株(存続会社が既に保有している自己株式)を割り当てる場合、規則上の売買に相当しインサイダー取引に該当する可能性があった。これを適用除外とする。

以上の4項目は、ルール・上場企業の態勢・海外も含めた監視体制・企業活動に支障ある部分の修正となり、時代に合わせて常に見直しが必要だろう。

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インサイダー取引に係る問題の概要=前編
インサイダー取引規制は、金融商品取引法第166条に会社関係者の禁止行為として定められているが、敢えて簡単に言い切ると次のようになる。
“公表前の投資判断に影響のありそう情報を持って、その有価証券を売買してはいけない”

この規制は、昔から証券取引のルールとともにあったものではなく、欧米などでのインサイダー取引規制強化の動きを受け、旧証券取引法に取り入れられて平成元年4月から施行されたものである。当初は、他の実務的な違反行為と同程度の罰則規定だったが、2度に渡り強化された(現在は、5年以下の懲役若しくは500以下の罰金、法人の場合は5億円以下の罰金)。またこれとは別に、取引違反者の経済的利益剥奪目的で平成17年4月より課徴金制度を導入している。

 このインサイダー取引に係る問題は、現状では次の4つほどある。

【インサイダー取引に対する規制そのものの有り方】
取引規制なので、対象を定めていかなければならないが以下ことが問題になる。
・規制の対象となる会社関係者とはどの範囲まで指すのか
上場企業の役社員は当然だか、アルバイトや派遣も含まれるし、その業務(投資判断に影響を及ぼす様な)に関する外部の関係者も対象となる。例えば、許認可権を持つ官庁の公務員、弁護士や会計士、引受証券会社や金融機関、公告を受ける新聞社や印刷会社の社員なども含まれる。また、これらの会社関係者から未公開の情報を受け取った者(第一次情報受領者)も同様の規制対象となるが、更にその先の又聞きしたもの(第二次情報受領者)の行為はどうかという問題がある。

・投資判断に影響を及ぼす情報とは誰がどう判断するのか
規制により重要事実(子会社分も同様)として定められているが、ファイナンスやM&Aなど企業が決定するもの、被災や主要株主の移動など外部要因から発生するもの、業績や配当金など決算に関する情報の3つに分かれ、其々に数値基準がある。またこれ以外に、その他投資判断に著しい影響を与えるものというバスケット条項もあって、これを誰が判断するかというのが議論になる。(正確には、判断するのは経営者だが、誰の判断基準を使うかという問題)

【企業の対応について】
企業が重要事実の情報管理を行うのは当然だが、役社員の自社株売買に関する社内規定も必要となっており、これらを社内コンプライアンス部門が管理する必要がある。つまり、ファイナンスやM&Aに関する情報を誰まで伝えてよいのか管理し、また役社員の株式売買に関して社内ルールを整備し、その運営を行うことが上場企業として求められている。一歩進めて、取引関係先に上場会社がある場合のインサイダー情報も管理と対象企業の株式売買管理も必要だろう。

一方、証券業協会は潤沢な証券市場基盤整備基金(ジェイコム事件での各証券会社の利益相当分の拠出金)を使い、上場会社の役員等のインサイダー取引等の不公正取引を未然に防止するためのシステムJ-IRISS(ジェイ・アイリスJapan-Insider Registration & Identification Support System)を平成21年5月に稼働している。これは、上場会社の役社員(親会社の役員も含む)などのデータを同システムに登録し、株式の売買注文を受けた証券会社がインサーダー取引の有無を確認するものだ。一応、照合を行う証券会社に対しては、個人情報は通知されないという建て付けになっている。現在(12月15日)、2095社が参加しているが、11月末での上場企業数は3598社なので、約58%の加入率ということになる。インサイダー取引防止の為には、早期の上場企業全社参加が望ましいが、インサイダー取引を行うは、役社員だけではない。前述の規制欄で上げた会社関係者には、M&Aやファイナンスに係る関係者が上げられているが、これ等のビジネスに関係する証券会社や金融機関の役社員・弁護士や会計士・公告や目論見書作成に関係する者なども自発的登録を促すべきではないだろうか。

(※後編はインサイダー取引規制について、以下の項目に関することを記載します)
【海外での日本株取引等に係るもの】
【企業活動に対する影響について】

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証券税制はどう変わるのか
 政府の来年度税制大綱も公表され、証券関連の税制改正も定まったが、今までの流れから大きな変更はない。

全体としては、将来的には株式・投信も債券や預貯金も、金融所得を一体に課税(基本的な考え方は分離課税)していこうという考え方だが、先ずは商品間で出来るところからということで、株式・株式投信の譲渡益と配当・分配金の間の損益通算については昨年から、FX取引など店頭デリバティブ取引の譲渡益を総合課税から申告分離課税20%とするのは来年1月からと既に決まっている。今回の改正では、これに債券の譲渡損益と利子を損益通算に加えることの検討を来年度(平成25年度税制改正)で行うとしている。現在、債券のキャピタルゲインは非課税だが、ここも変えて、有価証券投資全体の損益通算範囲の拡大を目指すとしている。

個人投資家に関係ある分としては、もう一つ平成26年から始まる予定の日本版ISAの利便性向上・事務手続の簡素化に向けた所要の措置が決まったが、取り扱う証券会社や金融機関の事務的なことなので、本稿での記載は省略する。ちなみに、9月末時点での税制改正要望項目に入っていた“非課税投資額にかかわらず、分配金の同一銘柄への継続再投資を可能にすること”(これも相当技術的な事だと筆者は思うが)は、取り上げられなかった。

 つまり、個人にとっての証券税制では余り大きな改正が無いように思われる。但し、上記の2つの改革の前提となっているのが、株式や株式投信に対する譲渡益課税の軽減措置(税率20%→10%%)を平成25年で終了することだ。これは証券会社にとっての影響が大きいかもしれない。過去、この軽減措置は市況環境の悪化を理由に何度も延長されており、政府はこの措置の延長が無い旨を国会答弁などで明言している。証券業界としては、よもや相場の悪化を理由に再延長を予想などしていないと思うが、証券会社にとって譲渡益課税の軽減措置終了という大きな対価の割には、得るべき税制改正メリットが個人分野では少ないと思う。“貯蓄から投資へ”というキャッチ・フレーズは言い古されているかもしれないが、金融業界にとって、個人の金融資産をどう日本の資本市場に向かわせるかは生命線のようなテーマだ。

 金融一体課税は、納税番号制や税制全体の改革の問題で時間が掛かるのはしょうがないにしても、日本版ISAは、制度目的を明確にして、その為に利用しやすい制度改正要望を証券業界として上げるべき時ではないだろうか。

 ちなみに、個人投資家が今回の税制改正項目それぞれに対して、どう考えているか。(日本証券業協会“個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書”より)
【金融所得一体課税について】
・金融商品の損益通算の範囲の拡大に関する意見は、「損益通算の範囲の拡大は必要だと思う」が29.1%と、「必要ない」の9.4%を上回るものの、「わからない」が55.8%と高い。
・どのような金融商品から生じる損益との損益通算が必要と感じているかについては、「公社債の利子や取引から生じる損益」(62.6%)、 「公社債投資信託の分配金や取引から生じる損益」(62.3%)が高い割合となっており、大きく離れて「預貯金の利子」(34.9%)が続く。

【日本版ISAについて】
・利用目的としては、「老後の資金づくり」(54.1%)が最も高く、「生活費の足し」が48.1%で続く。最も重視する利用目的も「老後の資金づくり」(39.8%)、「生活費の足し」 (24.2%)が大きな利用目的となっている。
・今後拡充すべき点としては、「投資上限額(現行では、1年100 万円)の拡大」が25.3%と最も高く、「1口座あたりの非課税となる期限(現行では、10 年間)の延長」が15.2%、「ISA口座の開設可能期間(現行では、平成24 年~26 年の3年間)の延長」が10.2%と続いている。

老後は、年金と300万円(現ISA制度の投資上限額)では暮らせないと、多くの方々は思っている。

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ジャンル : ビジネス

個人投資家調査3様
 株式市場での個人投資家の売買シェアは2割弱まで低下して、市場での存在感が薄くなりつつある様なイメージもあるが、ファンドや機関投資家と異なり、一定期間内の投資収益を厳格に問われる訳ではないので、取れるリスクも大きくかつ多様だ。
私事で恐縮だが、金融関係の友人でご主人と奥様が別々に株式運用されている例を紹介したい。ご主人の方は金融関係の優良株の押し目買いでご多分に漏れず、大きな含み損を抱えておられるが、奥様の方は堅調な運用で若干のプラスだという。奥様の投資手法を伺うと、優待券狙いの投資ということだ。優待券狙い、配当狙い、塩漬け覚悟の投資、など個人の投資スタンスの多様性が市場を支えると信じて、取引所も証券会社も個人投資家の市場参加への増加策を講じて欲しい。
 
最近、その個人投資家の投資動向に関する2社1団体の調査が公表されているので、簡単に紹介したい。

【個人投資家は何に注目し、短期的な先行きのどう考えているか】
~ノムラ個人投資家サーベイ12月2日公表分(野村證券が毎月調査を実施、月次ベースの変化に注目)
・個人投資家の半数以上は3ヵ月後の株価見通しに対して、日経平均で1000円程度の上昇を見込んでいるが、同じく1000程度の下落予想は3割近くいて増加傾向にある。
・株式市場に影響を与える要因としては、6割弱は国際情勢を上げており、為替動向も2割と増加傾向にある。
・期待する業種は、医薬品がトップだが最近では消費関連が増加して2位にある。反対に期待出来な業種としては、今夏以降の欧州債務危機の影響もあり、金融がダントツに上げられている。
・株式投資に関しては、増やしたい個人投資家が38.5%、同減らしたい比率26.6%を12%程度上回っている。

【個人投資家は長期的に何に注目しているか】
~国内個人投資家意識調査(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが12月12日公表)
・個人投資家が今後1年最も注目している国は、インド(16.9%)、次いで中国(15.4%)、ブラジル(12.6%)。特にインドに対しては、20年後では約3分のⅠが世界最大の経済大国になるとしている。
・日本経済にとって最も懸念される要因としては、「急激な円高」(75%)が最も多く、続いて「欧州の金融・財政問題」(69%)、「米国の景気動向・財政問題」(59%)となっている。
・今後、保有したい資産としては、55%の投資家が「国内株式」を選択しているが、一方で、6割強が日本経済に対して今後12カ月に「ゼロ成長」あるいは「マイナス成長」を予想しており、日本経済への期待感は低い。

【個人投資家とは、どの様な投資家なのか】
~個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書(日本証券業協会12月9日公表)
・個人投資家の31.2%が恩給・年金などを収入減としている。また、株式への投資金額は「300 万円未満」が6割超(66.6%)であった。
・株式の投資方針は、「概ね長期保有だが、ある程度値上がり益があれば売却する」(51.5%)が、「配当を重視している」(11.0%)、「値上がり益重視であり、短期間に売却する」(8.3%)を大きく上回っている。
・株式の平均的な保有期間は、「10 年以上」(32.3%)が最も高く、続いて「3年以上5年未満」 (20.8%)、「1年以上3年未満」(18.3%)となっており、全体としては1年以上を平均的な保有期間とするものが8割超(86.9%)となっている。保有期間「1か月未満」は、全体で0.6%、インターネット取引を利用している個人投資家でみても1.6%とごくわずかである。
・株式の売買注文は、「証券会社や銀行の店頭(店舗への電話注文を含む)で」(47.5%)が最も高く、続いて「証券会社のインターネット取引で」(35.3%)となっている。

読まれた方々の個人投資家イメージと一致するだろうか。
最近の投資信託動向について、12月上旬時点
11月も個人投資家のリスク・オフの流れが続いて、投資信託からの資金流出は2,593億円と前月よりも拡大、グローバルソブリン物やロート関連からの流出が目立ちます。新規設定の分については、やや回復して1,581億円となっていますが、そのうち半数は海外高配当関連となっています。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況11月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、引き続き欧州問題に翻弄されたつきでしたが、週間ベースの情報発信比率が増加している一方、全体的な情報発信量は低下しているように思います。 欧州問題以外では、中国の準備預金率引き下げやブラジルの金融取引税など市場の意外感があったものが取り上げられています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、12月の新規設定ファンドの投資テーマから、日本株に加えアジア株やCB投資などエクイティ物の増加が注目されます。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(12月上旬時点)

一方、前回触れました通貨選択型投信販売への規制強化は、以下の様なイメージとなりますので、ご参考ください。

☆通貨選択型などの投資信託販売方法の変更

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投資信託の販売規制強化について
投信協会が今年8月時点で実施したアンケート調査によると、個人投資家が投資信託を購入する契機は、「証券会社や銀行等の人から勧められて」が63.5%で、知人からのクチコミ20.7%、新聞や雑誌の8.3%、商品広告の7.9%、インターネットからの選択の7.5%など投資家自らの選択を大きく上回っている。投信販売おける対面販売チャネルの重要性が確認されたわけだが、毎年行う同アンケート調査からみて、今年は若干この傾向が強まっている。(過去2年間は、58%台)

 一方、個人投資家が抱く販売員への不満では、「説明が多すぎてポイントが理解できなかった」と48.3%の方々が感じることトップに上げられているが、反対に「商品の魅力の説明しかしなかった」も41.4%に達していて、販売現場での販売員の説明に対して、個人投資家が感じていることは両極に分かれている。現在の売れ筋である通貨選択型の投資信託は、高配当を狙う代わりに、新興国などの高金利通貨への投資リスクと、投資対象となる株式や外国債券・海外REITなどのリスクを重ねるので、投資魅力以外にリスクを説明しようとすると、どうしても長くなるということだろうか。

 金融庁は、この通貨選択型投信を念頭において、証券会社などの投資信託販売態勢の強化を行う予定である。その内容は次の様なものだ。(一般の理解の為に記載を簡略化しましたが、正確な規制内容は“金融商品取引業者向けの総合的な監督指針(抄)をご参照ください)
○顧客に合った商品を販売するのは当然の事だが、その為に顧客の投資意向をちゃんとヒアリングして顧客カードを整備することが定められている。今度は、この内容について顧客と共有=つまり記載内容について顧客の了承を受ける必要がある。
○例えば顧客カードで、元本の安全性を重視すると記載されていた場合、通貨選択型投信の販売は管理職による承認制とするようなリスクの高い投信に対する販売管理を行う必要がある。
○何か市場インパクトのある重大な事象が発生した場合、ちゃんと顧客が判断できるように情報を集め伝えるなどサポートすることが求められる。
○また投信の運用会社(運用を指図する投資信託委託会社)も上記の様な緊急時の対応には責任があり、証券会社などに運用状況等についての提供することが求められる。
○もし万か一に投資家とトラブルになった時には、金融ADR制度があることを顧客に事前に説明しておく必要がある。
○販売員の勧誘については次のことが求められる。
・分配金について、元本の一部が支払われる可能性があることを、分かり易く説明すること。
・通貨選択型投信では商品やリスク特性を理解した旨の確認書を顧客から受け入れること。
これらの通貨選択型を主な対象として投資信託の販売規制は、来年度からの実施が予定されている。

投資信託の販売現場での販売員の説明は、益々長くなりそうだ。
今や証券会社の収益の中心になっている投資信託販売は強化していくのが共通した営業課題となっているので、今後の証券会社での投信販売については、上記に様な対面営業現場での対応を整備していくことと共に、投信販売におけるインターネットやコールセンター活用を強化していくことになるのではないだろうか。

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投資信託の販売について
 投資信託の販売に関して、インターネットを利用しようとする動きが強まっている。流れは3つあって、一つ目は金融機関などがインターネットバンキング強化に合わせて投資信託の販売を強化する動き、二つ目は運用会社自らネットチャネルを使い直接投資家に販売する体制を拡大しようとする動き、そして三つ目は証券会社のネット販売態勢の整備となる。但し、投資信託の販売全体からみると、増加傾向にあるとは言え、まだ5%程度だ。(2010年度下期、野村総研推計)

また、別の調査ではネットで投資信託を購入する場合でも、対面でアドバイスを受けたいと思う投資家は49%もいる。(地銀ネット投信投資家に関するアンケート:MaDo2011年10月)
インターネットでの株式取引やFX取引の様に、個人投資家のネット投信購入が主流になるには相当の距離がありそうだ。何故か。この事の理由には以下の様な事が考えられる。(以下の数値は、投信協会の統計数値や調査より)

・投資信託への投資は、FXやネット株取引とは異なり、個人投資家にとって、ある程度の纏まった資金を運用者に預けることになる。1 人あたりの投資信託の合計購入額平均は390.2 万円。
・また投資信託の数が非常に多く、国内株式投信(追加型)だけで10月末時点で3633ファンド、外国投信は946ファンドもあり、自分が選択したもの、薦められたものと、他のファンドの比較をするには相当の労力を必要とする。
・投資信託の目論見書は、昨年夏あたりから記載内容の簡素化・統一化(交付目論見書)が進められているが、請求目論見書や運用報告書などを含めると100ページ以上の資料となる。
・投資信託を購入する年齢層は、60才以上が49.3%を占める。また保有比率は年代が上がるにつれて高くなり、70才以上では17.7%(全体の保有比率は9.4%)となっている。

 つまり個人投資家は、自分の投資目的に沿って投資信託を購入しなければならないが、上記に書いたことは、比較的年齢の高い層が、投資信託に関する情報の海の中で自らの行方を探しているようなイメージになる。だから磁石(投信選択ツール)やナビゲーダー(投信販売員)が必要な場合も多く、証券会社にとっては、対面営業やコールセンターでのサポートが、投信販売会社としての生き残り戦略の中核になっている。

※投信販売(特に通貨選択型)の規制強化については、次回

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リテール証券会社上半期の動向
東証と大証が経営統合され、その後1年程度で現物市場が現東証へ、先物デリバティブが現大証へ市場統合される予定です。2014年は市場統合の目途になり、まだ随分先のことになりますが、これにより新取引所グループ(名称は日本取引所を予定)は、アジアのコアマーケットの確立を目指すとしています。

 日本の取引所もグローバルな事業戦略を持つのは良いことですが、市場は取引所インフラだけでは成り立ちません。当然、市場の参加者も強化されるべきですが、この市場参加者とは証券会社のことになりなす。

 この証券会社のうち、決算説明資料等から、国内のリテール証券の上期動向を纏めてみました。証券会社、特に個人投資家を相手にするリテール証券が強くなければ、その国の資本市場は強くならないと思いますので、今後の新しい時代にあった証券ビジネス戦略を期待したいところですが、・・・




☆リテール証券会社上半期の動向

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誰の為の格付機関か
今年後半の市場は、米国の格下げに始まり欧州債務問題に大きく影響されているが、その中心になっているのは“格下げ”というキーワードだ。この格下げを行うのは、勿論格付機関だが、いった誰の為に格付けを行っているのか、なるべくやさしく考えてみたい。

 先ずエンロン問題やサブプライム、リーマン問題を振り返った時に、格付機関問題が議論され、格付機関規制がG20などの金融政策協調でも確認されているが、ここで問題となるのはグローバルに影響力を持つS&P・ムーディーズ・フィッチの3社だ。そして彼らは収益を求める民間企業であって、公的若しくは共同組織を連想させるような機関と言う呼び方は本来なら正しくない。格付会社と呼ぶべきだが、関係者の間で格付機関との呼称が定着していたのは、これら3社の格付会社が非常に大きな影響力を持っていたからだ。債券を発行しようとする企業や組織、投資家も使うが、金融機関も積極的に利用し、国も金融制度などにおいても信用力を測る基準として使っている。すっかり各国の金融制度の中に定着していて、将に格付機関と言う呼称が相応しいが、残念ながら日本の格付会社の格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)はこれに当たらない。例えば、R&Iが30日、日本国債の格下げを発表したが、市場では殆ど影響はなかった。日本の格付会社の格付能力が評価されていないからではない。前記の3社のシェアが動かしがたい状況になっていて、使う側の変更する余地が余りないからだ。

例えば、金融危機に際に、企業や発行体の信用力そのもの証券化したCDOでは、これら3社の格付機関による格付けが殆どを占めていたが、はからずも金融危機によってこの格付けモデルが正しくないことが証明されてしまった。今なら金融機関の人間であれば、誰もが知っていることだが、だからといってこれら3社の格付け利用を止めてしまうことが出来ない。3社が提供する格付けに基づいて、運用のポートフォリオを既に組んでいるので、他の基準を利用して再構築することは難しいとどの運用担当者も考える。

 格付機関の格付けを使わざるを得ないのなら、ちゃんと格付機関をグローバルに監視していきましょうというのが金融危機後のG20の合意事項だが、先ず各国の金融制度の中で監視体制を作って、それを各国が情報共有しながらグローバルな体制を作っていきましょうということになっている。日本では昨年夏から格付機関に対する監視体制(登録制度)が始まり、主要外資系の対応は実質的に昨年12月からと既に1年経過しているが、欧米の実務的監視対応はこれからになる。

何を監視していくかというと、①ちゃんと格付けを行っているか②格付け行為と自らの収益に利益相反がないか、簡単に書くとこの様になる。①のちゃんと格付けを行うことは、格付機関が組織としてどの様な格付けプロセスや態勢整備を行っているかチェックすることなので、それ程困難なことではないと思うが、②の利益相反問題は、既に確立してしまっている格付けシステムの中では難しい問題だ。

普通のビジネスなら、お金を頂く方の為に仕事をするが、格付けをすることの対価は発行者が支払う。それを投資家が利用する。本来は投資家の判断基準となるもののコストは、投資家が支払うべきだが、既に発行されている膨大な債券の格付けがこの方法で発行されているので、今更投資家からコストを徴収するのは現実的ではないというのが格付機関側の主張になっている。また、政府が何らかの課税からこのコストを捻出してはどうかとの考え方も、グローバルな投資家が利用するコストをどこの政府(国民)が負担するのかという現実問題に行き当たる。

何か堂々巡りのような議論で読まれている方には申し訳なかったが、エンロン問題以降、グローバルな格付機関と金融当局の議論はこの様な流れで、一般には分かり難い。

しかし、格付機関が民間企業であり続けるなら、誰の為の格付けか明確にする必要がある。投資家が多く利用し、また大きな影響を受けるのだから、ここは投資家負担の新しい仕組みを模索するべきだろう。
欧米の主要な格付機関が、そのビジネスモデルを変えないのなら、日本の格付会社が率先して投資家からコストを徴収する仕組みを行い、遅れている日本の格付産業をアジアに浸透させる。アジアのコア・マーケットを目指すなら、そんな政策支援を期待したくなる。

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証券仲介業の位置付け
停滞感の著しい証券業界の中であって、証券仲介業(金融商品仲介業)は着実に増加している。現状に関しては昨日レポートしたが、証券仲介業とは何かについて考えてみたい。

先ず、証券仲介業の制度は以下の様に始まっている。
・2004年4月より、旧証券取引法で「証券仲介業制度」が創設される。この制度で登録を受けた者(個人も可)は、次のことが出来る。
◎有価証券の売買の勧誘し、実際の売買の取次を行うこと(媒介)。
・2004年12月より、金融機関も証券仲介業を行うことが可能となった。
・2007年9月末から金融商品取引法が施行され、それに伴い「証券仲介業」は「金融商品仲介業」へ名称が変更される。(金融商品取引法では、証券会社も第一種金融商品取引業だが、現在も証券会社という名称を利用しているので、本稿では金融商品仲介業を証券仲介業という名称を用いる。)また同法施行に伴い、証券仲介業は以下の行為も行うことが出来るようになった。
◎有価証券デリバティブの売買の勧誘し、実際の売買の取次を行うこと(媒介)。
◎有価証券の募集や売出し、または私募の取扱いを行うこと。
◎投資顧問契約と投資一任契約を紹介し薦めること。(例えば、ラップ口座やSMA口座を勧誘することなど)

この証券仲介業が成り立つ為には、利用者である投資家が金融商品の仲介を望まなければならない。つまり、投資家が証券仲介業者利用のメリットを感じなければ、このビジネスモデルは成立しないが、敢えて投資家が証券会社ではなく証券仲介業者を選ぶのは、次の様なことが考えられる。
○投資家にとって、信頼ある助言を受けることが出来る。助言内容は以下。
・投資助言
・資産全体からみた助言(マネープラン)
・ライフプランからの助言
・その他の助言行為(経営する会社の税務や財務に対するものも含む)
少し諄いが、証券仲介業者は顧客の投資家との関係が、通常の証券会社の営業部員より強いことが前提になる。逆に言うと、顧客との関係が強ければ、独立意欲のある証券会社の営業部員が証券仲介業者になっても構わない。

現在、証券会社にはFA(ファイナンシャル・アドバイザー)制度があって、営業成績によって収入が大きく変動するインセンティブが与えられているが、証券仲介業とこの制度を比較すると、仲介業者には次の様なメリットがある。
○複数の証券会社と仲介契約を締結していれば、顧客ニーズが自らの考えに沿った金融商品を選択できる。
○一社専属のFAとは異なるので、個別証券会社の営業戦略に縛られない営業活動は可能である。
○保険や銀行などの代理店業務と兼業することが可能で、金融のワンストップ・ステーションの機能を果たすことも可能である。
○顧客との関係が最重要なので、より地域密着型の営業活動を行う為に、地縁関係を利用しやすい。
なお、証券会社によっては専属の契約をする証券仲介業者をIFA(Independent Financial Advisor)と呼ぶところもある。

証券会社にとって証券仲介業を利用する事は、次の様なメリットが考えられる。
○例え個人であっても、証券仲介業者とは業務委託契約なので、雇用関係は発生しない。その為に営業員1人当たりのコストを下げることが出来る。
○店舗費用などのコストもかからないので、固定費を引き下げることが出来る。但し、販売する自社商品やサービスに対して仲介業者へのコンプライアンス上のチェックは必要になるが、これも自社営業部門へのコンプライアンス対応より軽装備で済む。
○私募ファンドや証券化商品を組成する専業の証券会社にとって、自らの拠点を作ることなく、複数の証券仲介業者と契約することで、営業ネットワークを構築することが可能となる。

 今、証券業界を取り巻く環境は厳しく、リテール証券分野もネット証券及び対面営業とも生き残りを賭けた変化が求められているが、増えつつある証券仲介業を利用することも、生き残り戦略の一つとなるだろう。


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