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2012/06
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個人の金融資産
 個人の金融資産という時、日銀の資金循環統計の数値が使われますが、それによると本年3月末の数値は、1,513兆円と昨年末より30兆円ほど増加しています。ただし、増加分の殆どは投資信託や株式などのリスク資産で、この6月末(公表は9月下旬)の数値では4月以降の市況環境悪化の影響で減少していそうです。

☆個人の金融資産

また、個人の外貨資産については、同じく資金循環統計の家計の外貨建資産より、3月末の数値は38.6兆円(日銀による試算値)とされていますが、内訳は、
・外貨預金5.8兆円(1年前より0.2兆円増加)
・外貨建投資信託24.1兆円(1年前より3.3兆円減少)
・外貨建対外証券投資8.7兆円(1年前より0.7兆円増加)
となっています。
なお、個人が多く利用する投資信託による海外投資は、直近の投信協会の数値(本年5月末時点)では22.2兆円ですが。この内訳では、
・株式が3.4兆円で全体の15%
・債券(含む転換社債)が12.5兆円で全体の56%
・REITなどの投資証券が5.3円で全体の24%
となっています。
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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

拡大が期待されるPTS
 長引く欧州債務危機の影響で株式市場のリスクオフの流れは続いて取引も低調だが、その中にあって私設取引システム(PTS=Proprietary Trading System)の存在感は増している。
数こそは一時7社あったものが、2社(SBIジャパンネクスト、チャイエックス・ジャパン)に減ってしまったが、昨年からの取引量増加傾向が鮮明になっており、取引所取引の約6%までPTS利用の株式取引が増加している。また本年2月に発生した東証のシステム障害では、証券業協会ルールによってPTSでの取引も中断されたが、PTSの代替市場機能を重視すべきとの業界や投資家の意見も多く協会に寄せられた結果、このルールも改定された。結果、例へ取引所の取引が停止していても、代替市場として株式を取引することが可能となり、その存在感が増した。

ところで、投資家にとってのPTSのメリットを上げると、以下3つある。
○取引所より取引コストが安い。(売買注文を取り次ぐ証券会社のコストが取引所より安いので、結果、投資家の取引コストも安い)
○取引所よりも取引時間が長い。(震災を理由に一時中断されていた夜間取引も、本年1月末より再開=SBIジャパンネクスト)
○取引所より、呼値が細分化。これにより、100円台の大型株のデイトレードなども行い易くなっている。

反対にデメリットとされてきたことは、次の2つが主なものだ。
●TOB規制(取引所以外で上場株式の取引を行う場合、5%以上の取引はTOB【公開買付】を行わなければならない)により、大口取引が制限されていた。
→この規制で、PTSでの取引を適用除外とする金商法施行令改正が10月に行われる予定。但し、投資家保護要件として以下の対応がPTSに求められる
・ 当該取引に係る有価証券の種類、銘柄、価格、数量等が直ちに公表されること
・ 売買価格の決定方法が競売買の方法等であること
・ 投資者が当該取引にかかる有価証券を売却する機会が適切に確保されていること
●個人投資家の取引の6割を占める信用取引が出来ない。
→PTSとして空売りの注文を取り次ぐことは2010年10月から可能だが、個人が利用する信用取引は、取引所取引の一環として規定されているので、可能とする為には法改正が必要だ。ただし、現在でもPTS(チャイエックス・ジャパン)の売値・買値を提示する方法で個別株CFD(差金決済取引)は行われている。この方法は、個人投資家にとっての擬似信用取引と言えるが、個別株CFD取引を行う証券会社数は少なく、個人にとってのアクセスは不便で、かつ取引数量なども制限されている。

現在、PTSが利用できるリテール証券は、SBI・楽天・GMOクリックのネット証券3社のみだが、拡大するPTSのメリットを個人投資家も利用できるよう、対面やその他ネット証券を含めたリテール証券の参加が望まれる。

☆PTSの現状と概要

(少し実務的すぎる話だが、PTSの呼値の細分化に一般の証券会社が対応する為、自社システム内でそれまで呼値を単位引き下げ実施しなければならない。つまり、システム修正のコストが掛かるが、業界環境の厳しい中、リテール証券にとっては負担が重いものだった。加えて、ナイトセッションを行う場合の態勢整備も証券会社の負担を増す。その為、SBIジャパンネクストは、既存のリテール証券が参加しやすいように呼値も細分化せずナイトセッションを行わない別の取引プログラムを用意して、7月からその取扱いを開始する。)

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

ファイナンスの季節を迎えるにあたって
 3月期決算会社の株主総会開催がピークを迎えつつあるが、総会終了後に前年度の有価証券報告書が提出され、それを元に公募増資や売出し、IPOなどのファイナンス準備に入るというパターンがある。その為、取締役会決議が7~8月に集中(もう一つのピークは、12月~1月)しがちで、ファイナンスの季節到来となる。

リーマンショック後の市場回復期にあっては、公募増資だけで2009年に年間約5兆円、今増資インサイダーで問題になっている2010年には約3.3兆円の新株が市場に供給されたが、震災のあった昨年は流石に0.9兆円と大きく減少した。

今年も、その季節を迎えつつあるが、日経平均が8000円台で低迷している現状では、ファイナンスよりは自己株取得の方を期待する投資家が多い。しかし現在市場で観測されている大型のファイナンス案件としては、震災復興財源確保の為の政府保有JT株の売出しで約5,000億円(別途JTによる自社株取得分で2,500億円)、日航の再上場で企業再生機構が売り出す分が約5,000億円程度、2社で既に1兆円を超えそうで、これにイオンなどの大型REIT上場案件が加われば、再び市場の需給悪化が懸念される。勿論、市場の資金調達機能は重要なのだが、個人を含め多くの投資家のポートフォリオが痛んでいるような状況では、新規のリスクマネーを呼び込む為に新しい取組みがなされても良いように思う。
 
例えば、日航の再上場についてだが、2010年1月の法的整理から僅か2年半での再上場となり、これはこれで喜ばしことなのだが、経営破たん時の株主は38万人もいた。その株主の多くは個人投資家で、優待券目当ての保有も多かったはずだが、株式は100%減資で紙屑となった。日航の破綻に対して、株主責任をとった訳だが、短期間での再上場に何か割り切れぬ想いともつ個人投資家も多いことだろう。

今度の再上場に当たり、この旧株主の個人投資家が優先的に新株を取得できる仕組みを検討されては如何だろうか。

会社法上の権利とか、金融商品取引法上及び公募株の販売ルールとか、余り難しく考えなくとも、新株を販売する引受証券会社サイドでの対応と、旧株主や投資家への周知で、実質的に旧株主中心に新株の募集を行うことは不可能ではない。旧株主優先募入とでもいうのだろうか。但し、引受証券サイドの窓口での事務作業は増えそうなので、その分は発行者や売出し人からしっかりコストを徴求すれば良い。

 少し細かい話になるが、新株を募集する際の手数料についても、もう少し投資家や株主サイドのたった工夫がされても良いだろう。今の新株販売の仕組みは、実質的に投資家が新株を販売する証券会社に対して手数料を支払っている。例えば以下になっている。
・募集価格400円(投資家が証券会社に新株の代金として払い込む金額)
・発行価額380円(この分が、証券会社から発行会社若しくは売出人に払い込まれる)
つまり2つの金額の差額が、証券会社に手数料分として残ることになるが、新株の販売手数料を投資家自らが支払っていることになる。新株の販売に対する報酬として考えるなら、本来は発行会社が支払うべきだろうが、新興企業などで新株発行の費用(販売の為の手数料もこの中に入る)計上を押える手法として用いられるようになった。

JTも日航も大企業なのだから、この費用は投資家が負担するのではなく、企業や売出人(国や企業再生機構)が負担するようにされては如何だろうか。市況環境が悪い中でのファイナンスには、株主や投資家に対してそれなりの配慮をした工夫をすべきと考える。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

投資に関する税制の現状について
☆投資に関する税制の現状と税制改正要望

 6月19日に証券業協会や取引所などから平成25年度の税制改正要望が出されているので、現状の投資に関する税制とその問題点について、簡単に見直しておきたい。
先ず、投資家にとっての最大の関心事は、来年末で終了する予定の株式等(この中には、組成される株式投信が含まれる)の譲渡益課税の軽減措置だ。
この措置の、導入及び延長措置は次の様になっている。
・【2002年~2007年】景気の落ち込みや株式市場の低迷(2001年末日経平均8,579円)を理由に、譲渡益課税を20%から10%に5年間軽減する措置
・【2008年】軽減措置を1年間延長
・【2009年~2011年】リーマンショックの発生により、軽減措置を3年間延長
・【2012年~2013年】再び日経平均が、9000円割れたことを理由(2010年8月)に、軽減措置を2年間延長
と、軽減措置がもう10年以上続いているが、現在の市場環境も欧州債務危機などで8000円台を低迷している。
その為、要望項目の第一にこの軽減措置の延長要望が挙げられている。

しかし、前回の延長時に2012年から導入予定だった株式等の少額投資に対する非課税制度(日本版ISA=Individual Savings Accounts:個人貯蓄口座)も延長され、個人投資家にとってはバーターの様な財務省の対応となっている。その為、業界としては譲渡益課税の軽減措置も延長して欲しいが、遅れている日本版ISA導入もして欲しい。もし、日本版ISAの導入見合いで譲渡益課税の軽減措置が廃止になっても、配当課税の軽減措置(本則の20%を10%に軽減)だけは悪くても残して欲しいといったコメントが業界(日本証券業協会長など)から流れている。

 その日本版ISAだが、現状の枠組み(年間100万円、3年間、5年間は非課税だが、年間の取得枠の繰越しや売却した場合の再利用が出来ない)に対しては、業界も経済界(経済同友会は独自の日本版ISA私案を公表)も不満で、前政権時に議論されていたものは、年間100万円、5年間、個人の投資による資産形成を助ける目的なので非課税枠の繰越しも再利用も検討されていたが、現在の制度案は単なる非課税の投資枠の感が強い。その為、税制改正要望としては、この日本版ISAの拡充や別途教育資金を投資によって後押しする制度(個人奨学金口座(仮称)での非課税投資)が新たな要望事項として入っている。

 一方、ようやく加入者数が400万人を超えた確定拠出年金制度の方は、業界は以下の様な制度の拡充の税制上の措置を求めている。(個人分のみ抜粋)
・拠出限度額の水準を引き上げる
・加入者対象の拡大すること(成長ファイナンス会議(国家戦略室)では、主婦や公務員も対象とすることを提言)
・困窮時に一時的に資産を引出せる措置の導入など、途中引出し要件の緩和

 また、そもそも論として、個人が投資する株式、債券、デリバティブが一体的に課税されるの金融一体課税の実現が望ましいが、その為に商品間の損益が通算できる事や、損失の繰り延べも望まれている。(ただし、具体的な検討の前提として、譲渡益課税の軽減措置終了が前提となる見込み)
デリバティブの課税に関しては、FX取引に関するもので店頭取引分が、本年からそれまでの総合課税から取引所取引と同様の申告分離となっている。FX取引と同様の仕組みとなるCFDなども、同じようなことがあり、総合課税から申告分離課税への変更要望も出されている。

※証券会社や金融機関などの実務的要望に関するものは省略

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

増資インサーダー取引の背景
インサーダー取引は、未公開の重要な情報をもとに株式を売買する犯罪ですが、増資インサーダー取引に関しては、別の問題もあります。

それは、公募増資の主幹事証券から、本来は厳格に管理されているはずの増資情報が、投資家のごく一部に流れたという事実です。この情報の漏えいが、直接の犯罪行為かというと、増資を依頼している企業に対する背信的な行為ではありますが、現状の金商法のインサイダー取引規定には違反していません。
勿論、証券会社であろうが弁護士や会計事務所であろうが、インサイダー情報は厳格に管理されるべきですが、増資情報を投資家に流したのでその情報を使って売買するだろうから、証券会社が情報を流す行為そのものを違反対象として新たに加えるべきという議論も、少し乱暴なように思います。
法律論の方は、識者の方々にお任せするとして、若し主幹事証券からの増資情報漏洩に何らかのペナルティを与えるとしたら、それは業界内のルールに依るべきというこが筆者の考えです。その根拠は、公募増資などを引き受けるルールは、そもそも業界内で決めているので、その中で増資情報管理の厳格さも決していくべきです。

 さて、この主幹事証券による増資情報漏洩の背景を考えていった時、引受証券会社に対するひとつの大きな疑念を抱かざるを得ません。それは、主幹事証券が本当に投資家の需要を把握しているか、若しくは把握する為の取組みに努力を払っているかということです。

話題になっている野村も日興もJPモルガンも、公表前の増資情報を本来は知るはずのない営業部門の人間が知っていたということは、情報を管理する引受部門から、どの位公募株の販売が可能か社内的な打診が行われる過程の中で起きたことと見るのが普通です。詳細の説明は避けますが、この販売打診の為の情報が、営業責任者に留まっているうちは問題ないというこが業界内の考え方です。

しかし、ここ数年の公募増資では公募増資金額が大きくまた大規模な希薄化を伴うものが目立ちました。
その為、海外でも公募株を販売する前提で、一部の海外機関投資家に対象株の需要を聞くこと(業界用語でソフトヒアリング)が、増資公表の1ヵ月から数週間前に行われていたのは事実です。流石にこのソフトヒアリングは、2011年7月にアジア・コーポレート・ガバナンス協会(Asian Corporate Governance Association)が日本企業ファイナンスに関する要望書の中で、インサイダー取引の疑念ありと指摘したことで、現在は自粛されているようです。

最近米国で起きたフェースブック上場に関する問題では、主幹事証券のモルガンスタンレーについて以下の問題があることが報じられています。
・株式公開直前に、コールドマンなど他の幹事会社の影響を排除し、自らの販売分を多く獲得した。
・株式公開の価格を、投資家の需要が多いといって大幅に引き上げた。(他の幹事会社は反対)
・公開直前のロードショー(会社内容の説明会)で、一部の機関投資家のみに業績予想の下方修正を伝えていた。
ここまで外部からみて一貫性の無い行動をとるのは珍しいのですが、主幹事として本当に投資家需要が分かっていたのかという疑問は当然おきます。

日本の主幹事証券はこれほどグリードでなくとも、大規模なファイナンスの時、本当に投資家需要を測るような努力をし、若し需要に満たないと判断した時、発行会社に減額を申し入れる決断が必要です。また大規模なファイナンスの場合は、自社需要だけではなく、他社需要も取組むシンジケーションをちゃんと行うべきです。モルガンスタンレーほどではないですが、最近の日本の主幹事証券も、主幹事への権限・販売額の集中化・集約化が進んでいました。
もう一度基本に戻り、市場全体の需要予測と他社の協力を仰ぐシンジケーションをちゃんと行うことろからやり直す必要があるのではないでしょうか。

また、時代に合わせた投資家へのプロモーション活動も検討すべきで、大規模なファイナンスの際行われる海外機関投資家向けロードショーなども、インターネット上で日本の個人投資家向けに可能となるようなルール改正を証券会社として求めても良いはないでしょうか。
(※現在は、日本国内での販売活動は目論見書利用のみ可能)

テーマ : 証券・金融関連業務
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公的資金による株式等の買入れ
 標題は、今だと日本銀行による日本株指数に連動するETFやJ-REITの市場からの買入れということになる。所謂日銀によるリスク資産の買入れだか、正式には「資産買入等の基金の運営」という名称になり、国債などの買入れオペレーションもこの中に含まれる。
直近では4月27日にこの買入れ枠の増額がなされており、日本株指数に連動するETFの買入れ枠は1.4兆円から1.6兆円に、J-REITの買入れ枠は1,100億円から1,200億円に、其々増やされている。この施策は、2010年の10月の追加緩和策として採用され、同年12月から実施されている。最近の下落相場にあっては、日経平均で100円以上の下落の時などETFの買入れを市場が期待するようになっているが、実際の買入れオぺレーションは以下のようになっている。

☆日銀によるETF・J-REITの買入れ状況など

市場からの買入れにあたっては、日銀の委託により信託銀行(三井住友信託銀行)が行っているが、それでも日銀がETFの様に市場リスクの大きなものを株式市場から直接買い入れるというのは、市場関係者からみても画期的なことだった。ただし、欧州危機の影響を受けている最近の軟調な相場では、市場参加者サイドで慣れてしまったのと、取得枠がETFでは既に8割近くなっているので、次回の政策決定会合では4度目となる買入れ枠の増額が取沙汰されてきている。

 この施策までは、日銀や銀行等保有株式取得機構が、銀行から保有する上場企業の株式を買い取るか、逆に企業から銀行株を買い取る仕組みだった。その沿革は次の様になっている。

【日銀による株式の買取り】
・2002年10月=金融機関が保有する株式の買入れを決定。総額2兆円で対象となる銘柄はBBB-格以上、発行済みの5%以内。
・2002年11月~2004年9月末まで、総額20,180億円を金融機関より買入れ。
・2007年10月~2008年10月(予定期間は2017年9月末までだったが、金融危機などで一旦処分は中止)の間、上記で取得した株式を市場で売却・上場企業の自社株取得やTOBに応募することで処分。
・2009年2月=再度、金融機関が保有する株式の買入れ再開を決定。総額1兆円で、2012年3月末まで処分は行わない。なお、この時点での日銀保有の上場企業株式は、簿価ベースで12,735億円。
・2009年2月~2010年4月までの間、金融機関から取得した買入総額は3,878億円。
・2012年1月=金融機関から取得した株式の処分を、2012年4月以降から2014年4月以降に延長。(なお、取得価格を上回る自社株取得には4月以降応じている。)

【銀行等保有株式取得機構による買取り】
・2002年1月=機構設立、取得枠の上限は2兆円(政府保証枠)で対象となる銘柄はBBB-格以上、6ヵ月以上の継続保有。買取期間は2002年2月から2006年4月。
なお、この間の買取実績は15,868億円。
また、この株式の処分実績は次の通り。
○市場での売却=8,615億円
○発行会社の自己株取得への売却=3,383億円
○証券会社を通じた売出しなど=7,814億円
○その他の処分=238億円(上記の数字は、国会答弁より)

・2008年10月=保有する株式について、市中売却を凍結
・2009年3月=金融機関が保有する株式及び事業会社が保有する金融機関株式の買入れを再度決定。取得枠の上限は20兆円(政府保証枠)で対象となる銘柄はBBB-格以上、6ヵ月以上の継続保有。買取期間は2012年3月末まで。
・2012年3月=銀行等からの上場株式買取業務を、2012年3月末までから2017年3月末までに5年間延長、同時に買取期間を2012年4月から7月に再設定。
・2012年5月末時点での買取累計金額は、7,129億円

早く、公的資金の買入れに頼らない市場に戻って欲しいのだが、・・・

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ジャンル : ビジネス

最近の投資信託動向とそれぞれのネット販売について
5月の投資信託の新規設定額は、前月の4,000億円超に比べ大きく減少し1,486億円に留まりましたが、投資対象はCBや日本株のエクイティ投資が中心でした。
また、既存ファンドへの資金流入額は2,592億円でしたが、豪ドル債や米国REITに投資するものに資金が集まっています。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況5月号(6月7日公表分)

 投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関しては、ギリシャを始めとする欧州債務危機の深刻化から、市況解説的なもの・欧州各国を始めとするマクロ経済的に関するものが増加しています。その他、オーストラリアに関する情報提供やREITに関するものも目立つようになってきました。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、6月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、少し債券投資に比重が移っているように感じます。ただ、ハイイールド債や高配当株などへの投資トレンドなどはここ数か月変わっていません。これは、毎月分配型の投信で高配当ニーズが個人投資家サイドに強いことの影響でしょうか。また、情報発信に合わせるようにオーストラリアやREITといった
新しい投資対象のファンド設定が計画されています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(6月上旬時点)

ところで、投信の運用会社がこれだけ頻度を上げて情報発信する意味を考えてみました。例えば、毎日市況分析情報を発信しているようなところもありますが、中長期運用の投信としては必ずしも投資家への頻繁なマーケットコメントは必要ないように思います。
また、個人投資家がこれをインターネット上で見るというのはケースとしては余り多くないかも知れません。昨年の投信協会の調査によると、インターネットで情報をとって投信を購入する個人投資家は、全体の7%で、3分の2以上の方々は証券会社や金融機関に薦められて買うとのことです。
それ故、運用会社の情報発信は、主に販売会社である証券会社などに向かって行われていると見なす事が出来ます。

 一方、投信販売においてもインターネット対応が進んでいますが、大手ネット証券4社の本年3月末時点の投信残高は次の様になっています。

☆投信販売における其々のネット利用

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株主総会シーズンを控え、先ず見るべきことは・・・
 鬱陶しい梅雨空と、2度目のギリシャ選挙待ちの市場の重苦しい雰囲気の中で、今年もまた株主総会(3月決算期で、上場会社の約75%、社数で約2600社)シーズンがやってきます。昨年からのオリンパスや大王製紙の問題もあり、コーポレートガバナンス強化が各処で言われていますが、投資家として株主総会で見るべき視点ということを考えた時、上場会社の約半数しか採用していない社外取締役制度の是非や、社外取締役・社外監査役の独立性を問う事は、喫緊の株主総会テーマではないように思われます。
勿論、世界中の投資家から安心して投資してもらう為には、コーポレートガバナンス強化は必須で、米国に負けない世界最高水準のコーポレートガバナンスを目指すべきだとは思います。しかし、これらは会社法の問題や取引所ルールで対応すべきと考えますので、個別企業の基本的な施策が明確になる株主総会テーマとしては、重要度は落ちるのではないでしょうか。

同じように、役員報酬(1億円以上)の個別開示問題も、一時のマスコミの話題にはなりますが、元々報酬水準が欧米の経営者の5~10分の1と言われる中で、投資家・株主としてみるべき優先度は高いとは思えません。

 投資家という視点で、株主総会における各上場会社の議案を見るなら、当然利益配当の還元ということが最重要視されるべきでしょうが、(社)生命保険協会が毎年実施している機関投資家向けアンケート調査(平成23年度は153社対象)では、53.2%の投資家が配当性向を重視しています。この比率は、前年に比べ2割以上増加していますが、これに自己株式取得金額を加えた総還元性向(分母は当期利益)を重視する投資家も35.4%と増加傾向を強めています。

 現在、上場企業の手元流動性資金は60兆円超えて史上最高額に達していると言われていますが、平成23年度に実施された上場企業の自社株取得は約1.5兆円に留まります。この数値は、平成22年度(9,951億円)に比べると5割以上増加していますが、平成19年(年間ベース)の約4.4兆円、平成20年の約4兆円に遠く及びません。
株主総会に向け、株主や投資家から先ず注目されるべきは、この自社株取得枠の設定や増加でしょうし、出来れば配当と自社株取得を合わせて利益の何割を還元していくといった目標の設定(総還元性向)が望まれます。

 一方、利益還元策以外に投資家が株主総会において望むものは企業の成長戦略ですが、これは主に中期経営計画などによる説明が求められています。先ずは中期経営計画などで、経営ビジョンと計画を投資家に示して欲しいというニーズは、先の生保協会の調査では機関投資家の9割以上がもっていますが、実際の公表は72%(前年度66%)に留まります。
また、少なくとも企業価値を減じる施策は排除されるべきですが、株主にとって判断が難しいのは買収防衛策です。現在も、約500社が導入していますが、個々の企業によって株主構成も成長戦略も異なるので、その判断は各社の株主が、企業価値を守ったり向上させたりする効果があるか判断することに委ねられています。但し、安定株主もおらず、成長産業でもなく、経営計画も公表していないというのでは、株主はその判断に窮します。
 
株主総会を控え、株主にとって先ず重要なことは、大きな意味での利益還元策、さらにそれを含んだ資本政策がどういった方向性を持っていくかという事なので、企業にはこの資本政策が分かり易いディククロージャーを行うことに期待しています。

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個人投資家の海外投資動向
 個人の海外投資は着実に進んでいる。それは、投資信託で毎月分配型の高配当を狙う新興国通貨を選択する場合もあるだろうが、海外市場での外国株式の売買や外国債券の購入が着実に増加している。
 その状況について、中堅のリテール証券である東海東京証券では、外国株式の手数料収入が株式関連収益の6割(前年度決算説明資料より)を占めるようになっているし、投資家から受け取る手数料以外にも、外国株式や外国債券を顧客に販売するに伴い、為替や価格の差額などの差益から商品部門のトレーディング収益も増加している。この様な個人投資家の海外投資増加に伴うトレーディング収益の拡大は、対面営業型で海外投資商品に注力するっリテール証券の特徴ともなっている。
その概況は以下の様になっている。

☆個人の外国株式・債券の取引概況

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ネット証券の概況
対面営業であってもインターネット専業であっても、投資のネット化対応は進んでいる。当たり前の事で、読まれている方には恐縮だが、それは株式や投信などの個人取引のネット化がどんどん進んでいるという意味ではない。株式においては、既に個人のネット取引が7割に達する状況になって久しいし、投信のネット販売は、増加しているとは言え、まだ全体の販売量の3~4%に留まっている。取引自体のネット化進展というより、むしろ取引の周辺部分でのサービス提供でネット化が進展していて、例えば対面営業の地域密着型証券であっても、顧客の預り資産残高を時価ベースでインターネットを使って確認できるようになっていたりする。また、大手ネット証券の方は、外国株式に外国債券、FXを始めとするディリバティブなど多様な金融商品を取り扱うようになっており、その為、自らが投資情報の個人向けプラットフォーム化している。

最近の大手ネット証券5社の概況を、簡単に以下の資料に纏めてみた。

☆大手ネット証券の動向・戦略の方向性について(概況)

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リテール証券前期の決算動向について~投資の多様化、そして競争と協働
 新年度に入ってからも、一段とリスクオフが進み証券会社の経営環境は厳しい状況が続きます。
前期のリテール証券の決算は、株式市場の低迷を投信や外債の販売で補うといういつものパターンとなりましたが、よく見るとその中でも各社の営業戦略には小さな変化が起きている部分もあります。
 簡単に言いますと、競争すべきところを選択し、可能なら同業他社とも協働するということが、一部では強まっているように思います。
そのリテール証券の変化について、前期決算を通じて纏めてみましたので、ご参考ください。

・前期決算の特徴
・前期決算概要
・リテール営業を取り巻く環境の変化
・それぞれの変化の兆し
・協働と競争への取組みと課題

☆リテール証券前期の決算動向について~投資の多様化、そして競争と協働

(なお、個人投資家のネット化の進展とネット証券の事業戦略に関して、別途取り上げます)

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投資家のニーズ=需要予測について
 金融商品を短期間で販売する為に投資家のニーズを推計することを、業界用語で需要予測と言います。
例えば、今回のフェースブックの場合、これだけ話題の銘柄ですから証券会社や金融機関でなくとも多くの需要があることは分かります。しかし、フェースブックであっても本当に投資家が買うか如何かは、公開価格が決まってからでないと分かりません。
当然のことですが、多くのフェースブックほど有名でない株式や債券、それに投信などの金融商品は一体いくら売れるのか、この金額を決めなければ株式や債券は発行できませんので、販売を引き受ける証券会社などが投資家のニーズを推計します。

 実際に投資家に聞くのが最もベストな方法で、社債の発行などはこの方法が取られています。例えば、発行額・年限・発行者名・格付けなどを示し、金利水準は1~1.2%で購入を希望するかどうかといったことを機関投資家などにヒアリングします。

投信の新規設定の際に行われる需要予測は、投資家が不特定多数の個人となるのでもう少し大雑把なものです。運用会社が、販売する証券や金融の投信担当者から、投資対象やスキームなどの希望を受け新規設定するケースが日本の投信では多いようです。

 一方、上場企業の株式の販売=公募増資や売出し、新株予約権付社債(CB)などは、発行そのものの情報がインサイダー情報となる為、公表前に投資家に聞いてみるということは原則として出来ません。
 では新株などを引き受ける主幹事証券は、何を根拠に需要予測するかというのが問題となりますが、市況環境やその銘柄の市場での出来高、希薄化の程度、自社内における公募株などの販売実績などを考慮して、引受額を判断しているはずです。

今、問題となっている増資インサイダーにおいて、主幹事証券内での情報管理が問題になっていますが、これは本来ファイナンス情報にタッチしないはずの営業部門まで、投資家需要を探るような動きの中で起きた事ではないでしょうか。何故かということを考えると、公募増資自体は件数が減っていますし、個人営業部門などは、普段投信や外債販売に注力していて、株式を取り扱い慣れていなことも上げられます。
日常の株式取引は、大きくネット証券に移っていますが、逆にネット証券の方は引受機能があまり整備されていませんし(IPOの新株のごく一部を販売することはありますが)、需要予測を行う部門もありません。
 つまり、上場企業のエクイティファイナンスを引き受けるという証券会社にとって重要な機能の中で、新株の需要予測する能力が低下しているのではないかということが懸念されます。

増資インサイダー問題について、勿論、主幹事証券内における情報管理を徹底するのは当然です。しかし、現在はインサイダー取引の罰則の対象となっていない情報伝達行為をその処罰の対象としても、問題の背景にある需要予測機能の低下は補えません。

 その需要予測機能を強化していくのは、それぞれの証券会社の役割になりますが、敢えて改革すべきことを上げれば次の様なことがあるのではないでしょうか。
○ネット機能を活用して、投資家への需要調査を容易にする工夫
○他社の販売力を活用して、シンジケーションを行う機能を強化

証券会社の引受を行う仕組みそのものが古くなっているのではと思われますが、ファイナンスが資本市場の大切な機能ですので、適正な競争が行われ為に参入障壁を低くしたり、反対に共同で引受けを行い易いようなシンジケーションの工夫が必要な時ではないでしょうか。

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ジャンル : ビジネス

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