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会社法改正~コーポレートガバナンス強化の概要
 前回は、会社法改正案のコーポレートガバナンス強化の部分について取り上げましたが、7月18日の法制審議会会社法部会で示された”会社法制の見直しに関する要綱案(第1次)”を基に、その概要図を作成しましたので、ご参考下さい。

☆会社法はどう変わるのか~(平成24年7月末時点) コーポレートガバナンス強化の概要
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会社法はどう変わるか~コーポレートガバナンス強化の部分
会社法の改正に関しては、2010年4月から法務省の法制審議会において審議が進められ、2011年12月に中間試案が公表されていた。同試案に対する各界の意見も出揃い、審議が重ねられこの7月には要綱案のかたちで会社法改正の概要が取り纏められている。今後の予定では、法制審議会は8月1日に正式に要綱案を決定し、9月に法相に答申を行い、その後の臨時国会に会社法改正案として提出される予定だ。
この要綱案は、主にコーポレートガバナンスの強化に関する部分と、企業結合法制度についての不都合の解消を目指した部分に分かれているが、今回はコーポレートガバナンス部分をなるべく平易に取り上げてみたい。
 最大の注目は、今でも上場会社の半数程度しか導入していない社外取締役の選任を義務付けできるかどうかだったが、中間試案では併記されていた義務付けは経済界の強い反対で見送られた。その代わり、以下の対応が企業に求められる。
○上場会社であり大会社のうち監査役会設置会社は、社外取締役が存在しない場合、その理由を事業報告に記載しなければばらない。
(社外取締役の選任が必須の委員会設置会社は、上場会社でも少数)
(要項案の補足説明としては、東証の上場規則で社外取締役を一人以上確保するよう努める旨の規律を設けるとある。ただし、現在の取引所規則では取締役か監査役どちらかに独立性の高い方を選任する独立役員制度が既に導入されている。)
○社外取締役や社外監査役の“社外”要件に次を加える。
・親会社の役社員ではない。
・兄弟会社(同一の親会社がある)の役社員ではない。
・取締役や重要な使用人等の配偶者又は2親等内の親族でない。
・その会社に10年間は役社員として在籍していない。

 また、監査役会設置会社や委員会設置会社とは異なる新しい会社の組織として「監査・監査委員会設置会社(仮称)」を新設する。
○監査役を置かない代わりに、監査・監査委員となる取締役をそれ以外の取締役と区分して株主総会で選任する。
○株主総会に監査・監査委員となる取締役を選任する議案を提出する際、監査・監査委員会の同意が必要となる。
○監査・監査委員となる取締役の任期は原則2年で、その報酬は他の取締役と区分して総会で決議する。
○監査・監査委員会は、3人以上で組織し、その過半数は社外取締役でなければならない。また、会社や子会社の役社員は兼ねることは出来ない。
○監査・監査委員会の権限については、委員会設置会社の監査委員会と同様

大規模な第三者割当増資に関して、支配関係は入れ替わるような増資を取締役会決議だけで実施することは、現行法では可能だが、要項案では以下の制約を設ける。
○第三者割当後、過半数の議決権を保有する新たな株主が出現する場合には、他の株主に2週間以上前に通知(公告で可)する必要
○上記の場合、議決権の10分の1以上を有する株主は、当該増資に反対する旨の通知をした場合、株主総会で当該増資の承認を受ける必要がある。

また、増資の仮装払込みに対しては、次の様に定められる。
○現金でも現物出資でも、新株を引き受けるものは払込みを仮装した全額を払い込む必要がある。
○また、仮装払込みに関与した取締役は、全額を払込む義務を負う。

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CB(転換社債)が復活する為に
 前回はCB(転換社債)の現状を見ていただきましたが、現在、利用する上場会社数が30社程度で、1日平均の売買高が10億円(国内公募CB)にも満たないこの金融商品はもう時代的な役割を終えた過去の公募ファイナンス手段なのでしょうか。
 少なくとも既存株主にとっては、時価以下で新株が発行される公募増資よりは、時価以上で転換価格が高く設定されるCBの方が、同じ公募ファイナンスでは好ましく思えます。また投資家にとっては、元本が確保されない株式投資よりは、元本での償還を約束したCBの方がリスクは低くなるはずです。発行者にとっても社債に株式への転換権を付与するCBは、本来は資金調達コストを抑えるよい方法でした。それで、前世紀には国内転換社債市場は、利用する上場企業数は400社を超え、発行残高も10兆円を超える市場でした。

 CB発行市場の変化は、丁度名称が転換社債から新株予約権付社債と名称が変更された前後から起こり始めているように思います。それまで転換権という漠然とした概念から、新株予約権という考え方に、CBの転換権も、ワラント債のワラント部分も、ストックオプションも、買収防衛の為のポイズンピルも、全て統一されました。このことは、今の会社法の前の改正商法で新株予約権制度として導入されましたが、日本の資本市場は、この新株予約権制度を十分に使いこなせておらず、すこし新株予約権そのものに振り回されているように思えてなりません。CBの新株予約権も然りです。

一つには、会計制度での扱いですが、CBが普通の社債より金利を安く発行出来るのは転換権=新株予約権が付いている為なので、その部分を社債から割り引いて発行されていると見做して、仮の費用として計上すべきではないかとの考え方です。この会計上の考え方は、現在のIFRSなどで主流ですが、時価会計を旨とするIFRSなどでは、さらにこの新株予約権部分を毎年時価で見直し費用計上の修正を加えるべきではないかとの考え方も示されています。(なお現在の日本の基準では、昔の通りCBの金利部分だけを費用として計上する方法もまだ認められています。)重ねるように複雑に書いてしまいましたが、簡単に言い切ると、CBの発行は企業にとっては現状では経理上の資金調達コストが増加する可能性のある調達方法だということです。

2つ目は、現行の国内CB上場制度です。BBB格以上の格付け取得が必要ということと、20億円以上の発行が必要な為に、規模の小さな上場企業では利用できないような仕組みになっています。また、発行残高がある限り、格付け期間のレビューを受けなければなりませんが、これも企業の負担を増しています。

3つ目は、CBはその転換権=新株予約権の内容を自由に設計できるはずですが、この商品設計の多様性の方は、制度的に一部の投資家の裁定取引に悪用されたMSCB以降、余り目立って新しい取組みななされていないように思われます。

以上3つは、CB市場の復活を阻害している要因や現象ですので、これらの緩和・解消がCB市場復活には必要です。すなわち、
○国内企業の有力な資金調達手段として、経理上も実務的にも発行コストが安い調達手段であること。
(企業の資金調達目的に合わせた、会計処理論点の再整理)
○比較的小規模でも、公募CBの発行が可能となる制度緩和がされること。
(新しいCB上場制度の検討)
○多様な商品供給の為、業界からのCBの新しい商品性の例示やプロ市場・少人数私募の利用促進
(例えば、リキャップCBの発行推進などは実施しやすいのでは。・・)
などが考えられます。

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発行市場とCBの役割について
 増資インサイダー問題に大きく揺れている日本の発行市場ですが、この10年間だけ見ても発行市場の1つのブームの様なものが、流通市場を巻き込んで市場全体に影響を及ぼすことが多かったと思います。
今の増資インサイダーは、2009年・2010年のバブル期以来の水準の公募増資が影響しています。僅か40社程度の大企業が5兆円・3.3兆円と市場から調達するのですから、販売する方の証券会社が投資家需要を集めるのに苦労するのも無理からぬ事だったのではないでしょうか。
また、大規模な第三者割当にともなって、一部の投資家の不公正取引的行為が問題となり、2010年には希薄化25%以上の第三者割当は、第三者委員会の賛同か株主総会の合意が必要となっています。
2000年台前半に新興企業の資金調達方法としてブームになったMSCB(moving strike convertible bondあるいは下方修正条項付転換社債型新株予約権付社債)では、2006年に引き受ける証券会社側の引受姿勢を厳格化することで、実質的に発行を規制しています。
 さて、表題のCBですが日本での最盛期は、バブル期でしたが、流通市場も発行も大きく縮小しています。
現在、日本の発行市場が抱えるダイリューションや流通市場へのマイナスインパクトを小さくするファイナンス手法として期待したいのですが、現状は以下の様な状況です。何故、この様な市場収縮が起きているか考える前に、先ずは今の姿をご覧ください。

☆日本の発行市場の状況とCB

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日本の投資銀行はまだまだ出来る事が多くある
最近は、投資銀行という言葉を使うのも少し気恥ずかしい。金融危機の主因とされるCDS(信用リスクのデリバティブ)を証券化したCDO(合成債券)での悪いイメージもあるが、最近でもCDS取引に絡んだ米証券の巨額損失や、世界的に不信が拡がっているLIBOR(ロンドンの銀行間貸出金利=グローバルな金融取引の基準)問題での英銀行の作為。そして、日本では金融危機後にリーマンの一部を取り込んでグローバルな投資銀行を目指していた野村の挫折と、増資インサーダー問題等で揺れる証券会社の対法人ビジネス。いずれにせよ、投資銀行という言葉の最近の響きは余り良くない。

しかし、投資銀行の実態が良かろうが悪かろうが、企業にリスクマネーを供給する仲介機能を担う投資銀行業務は重要な金融の役割だ。そして、金融危機後は日本の投資銀行(投資銀行業務を行う銀行や証券)がこの業界で最前線に追い付く良い機会だったはずだ。そんな事を、以下のレポートを読んで、思い出した。

・復活する日本のLBOファイナンス~金融危機後に需要が高まるメザニン・ファイナンス(大和総研7月18日)

詳しくは、同レポートをご覧いただきたいが、日本企業による最近のM&Aの増加や2000年台央のLBOローンなどの借り換え時期が重なって、LBOローン市場の規模が金融危機前の水準に近づきつつあるという。
 そもそもLBO=レバレッジド・バイアイトは買収対象会社が将来生み出すキャッシュフローや資産を担保にして金融機関からローンの調達する手法だが、日本のLBOローン市場では2.5~4.5%の利ザヤ(調達金利であるTiborとの差額)が稼げると言われている。このローンは通常メガバンクを中心に引受のシンジケートが組まれるが、金融機関の引き合い(融資するニーズ)は強いようだ。同レポートの筆者が注目しているのが、通常のローンよりも返済順位が劣る劣後ローンや優先株だが、所謂メザニン・ファイナンスと言われる手法で、株式やREITなどよりリスクは少ないが、同程度の期待収益率(年率5~6%)は確保できるとしている。このメザニン・ファイナンスは、普通株の希薄化も防ぐことが出来るので既存株主にも配慮したファイナンス手法だ。

 一方、増資インサイダーに揺れる日本の発行市場だが、低迷する株式市場にあっても企業のリスクマネー調達ニーズは意外に強い。海外展開や事業再構築など、纏まった資金ニーズがあるからだろうが、公募増資や第三者割当など既存のファイナンス手法に頼りすぎると、株価下落や大幅な希薄化を招いて既存株主にダメージを与える。日本の投資銀行は、今こそ多様なリスクマネーの調達方法で上場企業のニーズに応えるべきだろう。
制度的は、4月以降随分と改善されたライツ・オファリンングを利用することで、既存株主の希薄化に配慮することも、CB(転換社債型新株予約権付社債)の商品設計を今一度も直し、株主・投資家双方に配慮した発行条件とすることも、発行市場のプロとして日本の投資銀行に求められている事だ。また、特定の事業に投資する資金調達なら、その事業業績に配当などが連動するトラッキングストックや優先株式の発行もある。買収先の企業のIPOを前提にした交換社債の発行などがあっても良い。
勿論、ファイナンスは投資銀行の業務の一部に過ぎないが、大型公募増資のインサイダー問題に揺れる今こそ、発行市場のプロとして多様なファイナンス手法を企業と投資家双方に示す時ではないだろうか。

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信用取引制度の現状
 前回は、信用取引制度の保証金に関する改革をレポートしましたが、信用取引制度全般に関する問題点の現状について、その概要図を以下に示します。

☆信用取引制度の現状(平成24年7月時点)

同制度に関する証券会社の当面の課題として、以下の4点があります。

○保証金の取り扱い=現行のルール(内閣府令や取引所ルール)では、同一の保証金が利用できるのは1日1回(売買で1往復)となり、日計り商い(デイトレード)では現物より制約があります。(現物では、差金決済の禁止があるので、同一銘柄については1回転半までですが、銘柄が異なれば同一資金で売買を繰り返すことは可能)また、保証金は取引の決済が終了するまで、他の先物やFX取引の証拠金に転用することが出来ません。しかし、ルールの緩和により、反対売買を行った時点で保証金の増減が見直され、かつ新たな株式取引やデリバティブ取引の証拠金に利用できれば、複数の取引において資金(保証金)が有効に活用されることとなります。

○融資能力=現在、日本株取引の手数料引下げ競争は一段落していますが、大口の信用取引ではまだ手数料ゼロキャンペーンなど信用取引顧客の獲得競争が行われています。ネット証券にとっては、信用取引客に対する融資が収益の大きな柱となっていますが、顧客獲得競争が激しくなれば、この融資の金利部分で引き下げ競争が起きる可能性もあります。この場合、重要になってくるのが顧客への融資資金の調達能力ですが、金融機関などとの関係強化の動きが強まることも考えられます。

○貸株調達力=信用取引ですから、売りから入ることも可能なのですが、証券会社は投資家に貸す株を調達してこなければなりません。その為に、貸株市場とのアクセスを良くしておく必要がありますが、この貸株調達力は証券会社によって相当の差がある為、結果として売り建て可能な銘柄数の差も拡大しつつあります。

○アップティック・ルール=売り下がりを禁じたこのルールは、その運用面で全体のバランスが悪くなっています。小規模の取引に関する除外規定も、売買単位が違えば、同業の銘柄で同金額の売付けが、一方では可能で、一方では不可といった状況も放置されていますし、このルールの影響でアルゴリズム取引やシステム取引などに制約を掛けなければなりません。

これ等の課題の為、信用取引といっても各証券会社で投資家に提供するサービスが、相当異なっていく可能性が強いと感じています。

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信用取引制度の改革
 欧州債務危機懸念や、米国・中国の景気動向など海外要因の影響が大きい現在の日本株市場は、個人投資家にとってリスクオンとはなかなか行き難いかもしれない。
6月の東証3市場売買代金ベースでは、個人投資家の売買は委託者全体の2割となっており、2月や3月に3割強となっていた取引シエアも、再び2割割れという歴史的低水準に近づいている。その個人の取引の約6割は信用取引が占めているが、この信用取引の規制緩和策が実施される。
金融庁が7月10日に公表した内閣府令改革案では、信用取引に係る保証金の算定基準時の合理化を図るため、次の見直し案が示されている。

◎信用取引に係る保証金の引出し等=信用取引について反対売買を行った場合には、その約定時点において、顧客が証券会社に預託している当該信用取引に係る保証金(当該反対売買による損失等を除く。)を引き出し、又は新たに行う信用取引に係る保証金として利用すること等を可能とすることとする。

◎反対売買による利益の取扱い=信用取引について反対売買による利益が生じた場合には、その約定時点において、当該利益を、信用取引に係る保証金の額に加算し、新たに行う信用取引に係る保証金として利用することを可能とすることとする。

簡単に事例を示せば、現在は保証金をフルに利用して売買した場合、1日に可能な取引はその反対売買だけだが、改革案では同一日に取引の損益の清算を行いながら、何回でも同じ保証金を利用して取引を繰り返すことが可能となる。
実際の信用取引では、個人投資家が買い付けた株式などが保証金の代用有価証券として扱われているが、現在は、保証金として利用するのは1日1回の為、この担保=保証金となる株式は前日の終値で値洗いされ、信用取引の上限金額が示されている。上記の規制緩和策が実施されれば、同じ株式などの有価証券が保証金として何度でも信用取引に利用できることとなる。その為、担保=保証金となる株式をリアルタイムで値洗いする必要が出でくる。

既にFX取引やCFD取引の証拠金(信用取引の保証金に相当)では、証拠金に対する取引のレバレッジが大きい為、取引自体のリアルタイム値洗いが行われているが、信用取引に関する規制緩和策が実施されれば、同等の対応となる可能性が高い。このことを個人投資家の立場で考えてみると以下のようなメリットがある。
○信用取引を行うデイトレーダーにとって、同じ保証金を何度でも利用できる為、日計り商いを行い易い。
○担保=保証金に差し入れた株式等(代用有価証券)を、信用取引の保証金、先物取引やFX取引・CFD取引の証拠金と有効にかつリアルタイムで利用できる可能性が出てくる。

一方、信用取引を提供する証券会社の方は、以上に対応する為のシステム投資が必要になってくるが、個人のデイトレードをサポートするような個人向けシステム売買などの新たなサービスが期待される。

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投資信託の制度は、どう変わるのか
金融審議会で行われていた投資信託制度の見直しについて、7月初めに中間論点整理が公表された。
国内の投資信託制度がどう変わりそうかといった点については、次の2点に集約される。

【投資信託同士の併合や投資対象の変更を容易にする】
実務上の其々の項目は、
・書面決議を要する約款変更範囲の見直し
・書面決議を要する併合手続きの見直し
・受益者要件の撤廃
・反対受益者の受益権買取請求制度の見直し
となっている。(詳細内容は、同公表文をご覧下さい)

この事の背景を少し説明すると、国内の投資信託は販売会社が投資家に働きかけやすいよう、市場の動向に応じた新しいテーマに基づくファンドを次々に設定してきた為、ファンド数が多く、運用規模の小さいものが増加している。最近の状況をみてみると、投資信託協会公表データで6月末の株式投信は、
・運用資産残高 47兆8612億円 ファンド数4,127本 
となっているが、この中で運用資産が25億円未満のものが3分の2を占める。野村総研によると、1ファンドの年間平均的コストは約4千万円だというが、運用資産が小さいと運用者が赤字となっている可能性もあり、そのコストがファンドの運用利回りにも影響する。
また、外国投信が直接販売されたり、国内投信に組み込まれたりしているが、次の様な現状も指摘されている。
・現在国内で普及している投信管理システムでは円建ての投信しか扱えず、外貨建ての投信を組成する場合は外国籍にならざるを得ない。
・投信の基準価格を毎営業日ごとに計算する必要があるが、海外ファンドは必ずしもそうでない。こうしたファンドを組み込む投信は外国投信の形態をとらざるを得ない。
・国内よりファンド運営に関係する専門業者が普及しており、ファンド組成が短期間で出来る。
国民の金融資産の受け皿、リスクマネーの供給元として、国内の投信運用機能の充実が求められているが、数多くある小規模ファンドの併合を進めるところから始めるようだ。

【個人投資家を念頭にした解りやすい情報の提供】
○運用報告書を解りやすくする為、目論見書のように要点部分を簡略化する2段階化、運用報告書記載事項の見直し・有価証券届出書や有価証券報告書との重複部分に関する内容の圧縮などが検討される。
○高分配型投信の元本毀損の問題が指摘されるが、資産運用での一定の役割も指摘されている。その為、個人投資家がトータルリターン把握を把握しやすいような定期的通知制度の導入が検討される。
○個人投資家が実際に負担しているコストが、運用会社・販売会社・受託会社にどう配分されるか、販売手数料・信託報酬等に関する説明の充実を検討する。
○個人投資家に対して販売時のリスク説明を単に行うだけではなく、そのリスク等を理解しやすいような情報提供の充実が検討される。例えば、収益額の過去5年の平均値からの変動率など。
○運用資産の内容について、現在も府令・協会規則では投資対象に一定の制限があるが、ファンドの複雑化を念頭に規制を深めるか如何か検討される。(この部分は、筆者もあまり方向性を理解できない)

上記の2点に関して、年内に予定されている最終報告に向け具体的緩和・規制策が検討されるということだが、今後個人金融資産の世代間の移転が投信などを通じて行われるべきとの考えも示されており、現状の個人資産運用の手段から、個人資産形成の手段に重点が移っていくことも期待されている。
その為、投信の販売者としては、積立型の投信投資のサービス提供の充実が必須だが、確定拠出型年金の対象拡大や本格的ISA(個人貯蓄非課税口座)などの導入といった政策拡充が待たれる。

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最近の投資信託動向について、7月上旬時点
6月の投資信託の新規設定額は1,264億円、既存ファンドへの資金流入額は2,355億円と、ほぼ前月と同水準の国内投資信託の増加となっています。投資対象は、日本株やオーストラリア株式などエクイティものと、豪ドル債や米国REITなど高利回り期待の商品が中心です。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況6月号(7月5日公表分)

 実際の投信販売では、オーストラリア投資(株式・債券・通貨)に関するものが増加していますが、それに合わせて、運用会社からの情報発信もオーストラリアに関するものが増えています。一方、利下げやそれに伴う通貨の下落が大きかったブラジルやインドに関するスポットの情報提供は減少傾向でもあります。リスクオフ・ムードを反映しているのでしょうか、新興国に関する定期的なレポートも減っています。
 また、7月新規設定予定の投資信託のテーマでは、引き続きオーストラリアへの投資は中心となっており、また高利回債券も多く取り入れられています。今年前半は顕著だった日本株の見直し買い的なものは、金融株に限られるようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(6月上旬時点)

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ディスクロージャーに関する問題の現状
 上場した企業と投資家のあいだを繋ぐ絆は、企業が提供する情報開示=ディスクロージャーですが、この上場企業のディスクロージャーに関する問題の現状について、簡単に纏めてみました。

☆ディスクロージャー制度に関する問題の現状

上記のイメージ図の様に4つの面から見てみますが、

【投資家の信頼】
最近のオリンパスや大王製紙の問題から、関係した監査法人が行政処分されています。虚偽記載を見破れなかったという事ですが、恐れなく言うと、この虚偽記載問題は常にあると思います。約3700社の上場企業がある訳ですから、様々な業態があり、監査精度を上げていくのは監査法人そのものの問題だと思います。(厳格化された監査が良いという訳ではありません)
一方、最近は多少ブーム(書店などの取り扱い)が去ったようですが、IFRSの完全導入(全上場会社に対する)は少し遠のいたように思われます。それは、主要国間の会計制度がかなり共通化されてきたのと、現在のIFRSの議論が相当技術的になっていること、更に欧州債務問題が影を落としているのではないでしょうか。

【企業の負担】
上場会社のディスクロージャー負担は、ある中堅の上場企業の担当者の方に伺いましたところ1億円前後という事でした。勿論、この中には監査法人に支払う費用が相当分を占めています。また、法定の開示書類が増えていますので、事務負担も重くなっています。米国で5月に承認されたJobs Actでは、中堅企業の開示負担を軽減させようといった考え方が取り入れられています。

【情報提供】
基本は、投資家の求める情報の提供ですが、取引所の開示ルールでは業績予想情報の提供が上場会社に求められています。例えば、証券会社の様な市況に大きく左右される業態は、この業績予想を公表しませんが、製造業とは違った業績予想情報などがあっても良いのではないでようか。
また、中期的な企業の変化を予想する為、中期経営計画などの情報が有効です。実際は、上場企業の半分以下しか中期経営計画の開示を行っていませんが、この事業計画などからM&Aの方向性やファイナンスの可能性など推測できる可能性もあります。

【情報管理】
自社の重要事実(株価にインパクトのある情報=インサイダー情報)を管理するのは当然のことですが、最近は取引先などの上場企業の重要事実に触れる時の対応も求められるようになっています。その為、日本証券業協会では、上場会社の役員情報を証券会社間で共有することでインサイダー取引を防止しようとするシステムJ-IRISS(Japan-Insider Registration & Identification Support System)を運営しています。現状は約6割の上場企業が参加していますが、ファイナンスやM&Aなど情報に関与する証券会社など外部の関係者にも対応すべきというのが筆者の考えです。

これと、今問題になっている増資インサイダーで、証券会社として特定顧客へのインサイダー情報提供は、別の問題です。


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証券業界を取り巻く環境の変化について
一般の方々には余り興味がないことかも知れませんが、標記の俯瞰図を1枚に纏めてみました。証券業は、当然投資家がいて成り立つ訳ですから、業界の変化は同時に投資家の変化でもあるはずです。下記の図を一旦ご自分から少し離してご覧いただき、気になる語句の周りを見ていただければ、現状の環境イメージが伝わるかも知れません。
また、本来は投資家の変化が業界や取引所の変化をもたらすはずですが、時として取引所の変化の方は早く感じる事もあります。それは、既に海外投資家の間で起きた変化ということで、代表的なものはアルゴリズム取引ですが、これが取引所間の高速化競争を後押ししいています。この取引きの高速化・高度化の影響は個人投資家にも及んでいます。個人向けシステムトレードなどがそうです。
この図の目的は、ご覧になられた方々が、投資家・取引所・証券業界・行政それぞれどの様な変化のベクトルを持とうとしているか感じていただく為のものです。願わくは、それぞれの方向が同じところを目指していることを願っています。

☆証券業界を取り巻く環境の変化について

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見直されるJ-REIT
本年4月、ケネディクス・レジデンシャル投資法人がJ-REITとしては4年半ぶりに上場した。また6月にはアクティビア・プロパティーズ投資法人も上場され、これで銘柄数は35となる。更に、イオンのショッピングセンター売却による3000億円相当のREIT上場計画も報道されている。
そのJ-REITの最初の2銘柄が上場されたのは2001年9月だったが、既に10年以上が経っている。
その中で、不動産市場からも、投資家からも、デプレに歯止めをかけたい金融当局や行政からも、そして、販売する証券会社や運用する運用会社などからも、其々の期待を込めてREITが見直されている。

☆見直されるJ-REIT
・J-REITの果たした役割と変化
・投資家にとってのJ-REIT
・その基本構造とその問題点
・求められるJ-REITの拡大

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増資インサイダー問題、取りあえずの纏め
 この3月以来増資インサイダー問題の揺れた大手証券会社ですが、週末に野村の同問題に対する社外弁護士の報告書が公表され、また海外大手ヘッジファンドの日本板硝子公募増資に絡んだインサイダー取引で、大和からの増資情報の漏えいが報道されました。これで、増資インサイダー問題に関して大手3社と米証券1社の合わせて主幹事証券4社による公表前公募増資情報の顧客への伝達が確認されています。

 公表された野村の報告書を読むと、ファンド・マネジャーなどを顧客とする営業部隊によるファイナンス情報を集める生々しさが伝わってきます。また、営業部隊への情報漏洩のルートになったシンジケート部(引き受けた公募株の販売上の責任部署)での情報管理の問題も顕わになっています。今後、野村は業界のトップ企業として、この増資インサイダー取引撲滅のために、インサイダー情報管理を徹底してくるようですが、この増資インサイダー問題の本質的なことは、もう少し別のところにあるように思います。

 先ず、かねてより噂のあった海外ヘッジファンドによる日本株公募増資銘柄の空売りが、今回2件(東京電力と日本板硝子)明らかになった訳ですが、日本でのエージェントを使ってその情報収集を行っていたというのは、組織的な方針と言わざるを得ません。インサイダー取引は、市場への背信行為であるとともに先進国では犯罪行為ですが、ヘッジファンドの行動特性として何らかの矛盾や歪みを是正しようとする方向に圧力をかけることを思い起こせば、日本の公募増資が制度的に問題あったのではないかというところに至ります。

 例えば、大規模なファイナンスについては大きな既存株主の希薄化をもたらしますので、第三者割当増資の場合、既に実質的に規制されて発行済み株式総数の25%以上を発行するような時は、外部の第三者委員会による判断か株主総会での合意が必要です。しかし、公募増資に関しては4割でも7割でも希薄化が進むようなファイナンスが、取締役会決議だけで実施出来ます。その為、発行企業側の自社株の希薄化や株価水準に対する対策、既存株主への利益還元などのファイナンスに関する資本政策は重要で、少なくとも公募増資が売り材料とならない工夫が必要です。

 次に、引き受ける証券会社側の問題ですが、本来は販売出来るだけ引き受けるべきです。また市場が受け入れ可能な金額をどう判断するか重要で、今回野村で情報ルートとして問題となったシンジケート部は、自社内や他社の投資家を含めた市場の需要を判断する機能がある部署でした。現状は、野村に限らずこの機能が低下しているのではないかと思われます。理由としては、公募増資などは大型化しているものの件数が少なく、その為主幹事1社で出来るだけ多く販売しようとするバイアスがかかりがちです。その為、他社の需要を取り纏めるシンジケーション機能が劣化しているといった問題があります。
(この事例としては、最近のフェースブック上場における主幹事モルガンスタンレーの例があります。)

以上を簡単に纏めますと、発行者側が公募増資に対する発行者としての規律、引受主幹事証券は公募増資の引受に関する規律、其々が緩んでいたところを海外ヘッジファンドなどにファイナンスの欠点として突かれていたとも言えます。もう一度、公募増資のあり方を見直す時ではないでしょうか。

(何も公募増資でなくとも大規模なファイナンスは可能ですが、ライツ・オファリングやCBなどの代替手段や、情報管理面では発行登録を利用したエクイティファイナスなどが考えられます。ただ、基本的には発行会社のファイナンスによる企業価値向上が投資家に理解されることなので、資金使途などのディスクロージャーの充実が大切です。)


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Author:ポーラスター
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