*All archives* |  *Admin*

2012/09
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
投資を取り巻く環境はどう変わるか
 個人投資家を取り巻く環境が、今後どの様に変化するのかについて、証券業界の環境変化から考えてみました。主なテーマが次の4つです。
【総合取引所に向けた取組み】
東証と大証の統合に伴い、先ず来年7月目途に現物株、再来年初にはデリバティブ市場が統合されます。
これに合わせて、代替市場としてのPTS(私設取引システム)の機能充実が図られますが、先ずは機関投資家が利用しやすいように取引所以外の取引に係るTOB規制5%ルールの適用が免除され、次に個人の信用取引が可能となる整備が行われるようです。その為、今は余り意味が薄い証券会社の最良執行義務について、各証券会社間で差が出て来る可能性もあります。リテール証券会社でのPTS利用は進むと推測します。

【証券税制の変更】
いよいよ来年で譲渡益課税等の軽減税率(現行10%←本来20%)が終了するかどうかですが、厳密に言えば20%の税率だけの適用時期は過去にありませんでした。財務省からは、非課税投資制度である日本版ISA導入が人質に取られたようなかたちで、軽減措置の撤廃を迫られる構造になっていますが、来年に向け、政局や市況環境等も大きく影響しそうです。但し、現在のISA制度は、当初の案から随分後退して、試験的な取組みにしか見えませんので、本格的な同制度導入は経済界も含めた要望になっています。

【投信販売の強化と改善】
個人にとって、投信はもっとも身近な投資商品になりつつありますが、販売する証券会社にとっても、残高に合わせた収益が見込める投信販売は、安定収益確保の中心商品です。この投信販売に対する主な政策は、投信目論書の平易化・簡素化で解り易い説明を求めるものでしたが、これが概ね定着したので、現在は分配金とネット利益の関係を明確にすべきということで、運用報告書の改善に向けた制度改正に進む予定です。

【個人の海外投資支援機能】
個人の海外投資については投信を介して行われる部分が大きい(個人向け投信販売の7割の資産が海外投資へ)のですが、最近は外債販売を手掛ける証券・金融機関も増えています。一方、現在の日本市場は、海外市場の動向に影響されることも大きくなっているので、個人のトレーディングでは海外指数や為替動向に合わせたデリバティブ活用も進んでいます。

☆証券業界を取り巻く環境の変化


スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

来年から機能強化される信用取引制度
 来年の年明けより信用取引では、1日に同じ担保(保証金)を使って何度でも売買できる。損益も反対売買した時点で担保から加減され、新たな取引に反映される。金融商品取引法に係る内閣府令で、信用取引の保証金に対する以下の改正が行われ、2013年1月1日から施行されるからだ。
 
【信用取引に係る保証金の引出し等】
信用取引について反対売買を行った場合には、その約定時点において、顧客が証券会社に預託している当該信用取引に係る保証金(当該反対売買による損失等を除く。)を引き出し、又は新たに行う信用取引に係る保証金として利用すること等を可能とすることとする。

【反対売買による利益の取扱い】
信用取引について反対売買による利益が生じた場合には、その約定時点において、当該利益を、信用取引に係る保証金の額に加算し、新たに行う信用取引に係る保証金として利用することを可能とすることとする。

信用取引保証金に関するこれだけの変更だが、信用取引を頻繁に行うデイトレーダーなどには影響が大きい。個人投資家の取引の6割を占める信用取引において、今は日に1度しか利用できない担保が、何度でも利用可能となる。現在、主要なネット証券においては、大口の信用取引に対する委託手数料を部分的でゼロとするところまで手数料引下げ競争が激しくなっているが、この改正により短期的な値鞘取りを狙った個人の信用取引が増加することが予想される。

一方、個人投資家の信用取引を市場に取り次ぐ証券会社への影響は更に大きい。現行の信用取引に関するシステムを、次の点で早急に変更する必要がある為だ。
○顧客の資産及び信用取引をリアルタイムで値洗いし、新たな取引に対応可能な担保余力(保証金)をリアルタイムで投資家に示す必要がある。
○保証金の担保価値をリアルタイムで把握する為、株式などの代用有価証券をリアルタイムで値洗いする必要がある。
つまり、信用取引と資産管理のリアルタイム化に対応することが証券会社に求められる。
勿論、信用取引は各証券会社が投資家に購入代金や株式そのものを貸すサービスなので、各々サービスの違う信用取引があっても良いのだが、例え対面営業での信用取引であっても、現在の前日の終値で顧客資産を判断する仕組みから、ある程度リアルタイム化への対応が求められそうだ。(※一部のネット証券では上記の対応は既に行われている。)

そもそも、信用取引制度は米国のマージン取引をモデルに1951年にスタートしたが、1998年に貸株市場が証券会社に解禁されたことで可能になった“一般信用取引”も、旧来からある“制度信用取引”も、基本的な仕組みは変わっていない。この間、株券はペーパレス化されたし、ネット環境の整備で、個人でも容易にリアルタイムな市場情報を入手できるようになった。また、取引システムの高速化と、それに伴うシステム売買のアルゴリズム取引も大きなシェア(東証の約4割)を占める様になっている。

 信用取引を含めた株式売買のあり方も、又時代の進化に合わせて変化するべき時かも知れない。例えは、以下の様な点が取引改善の論点としてある。

◎PTSでの信用取引の解禁
東証と大証の市場統合により、代替市場としてPTSは注目されている。しかし、現在は取引所取引でしか出来ない信用取引を取り込む為には、PTS側での売買管理機能(不公正取引などの監視)が求められている。

◎現物売買での資金の効率性(差金決済の禁止規定の一部解除)
金融商品取引法では、購入資金もないのに反対売買した差額だけ受け渡す差金決済が禁止されている。しかし、元々の購入資金があって、同一銘柄を日に何度も売買する行為も差金決済取引と見做され、現状では同一資金による同一銘柄の売買は、買い・売り・買いの1.5回転までだ。(証券会社によっては1回転まで)信用取引で、複数回の売買が可能であれば、この点も元々の規制の主旨を活かして改善する余地があると考える。

◎信用の保証金と言う考え方と、デリバティブ取引の証拠金の扱い方の改善
これは法改正を求めるというより、むしろ証券会社の顧客口座管理上の問題かもしれない。投資家の視点で言えば、信用取引の保証金も、FX取引やCFD取引の証拠金も、同じ資金なら効率良く利用したいというニーズがあるだろう。しかし、信用取引の方はあくまでも現物市場での投資家の売買に対して、証券会社が信用を供与する仕組みで、これ対してデリバティブは証拠金を基にレバレッジをかける為、強制的なロスカット・ルールの適用が義務付けられている。制度が異なる中で、投資家が如何にスムーズに取引できるかは、顧客口座管理の工夫によるのではないだろうか。

以上、信用取引に絡んで、現在の取引システムの進化に合わせた取引制度の改革が待たれる。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

公募増資情報は、何故売り材料なのか
 増資インサイダー問題の背景には、日本の発行市場における構造的な問題があるように思います。それは、公募増資が一般の投資家にとって売り材料になっている事です。
●公募増資による新株が市場に出回れば、市場の需給関係が大きく歪み、供給過多になってしまう。
●上記のイメージを前提に、株主が新株の購入に備える為、一旦保有する株式を売却する可能性が高まる。
何れも、新株の供給過剰を意識した投資家のイメージですが、現状の日本市場において、公募増資はこれら需給悪化材料として捉えられることが多いと感じています。

 しかし、上場企業が大規模に資本を調達するという事は、思い切った投資を行い、その結果将来の企業価値を大きく拡大させる可能性がある訳ですから、公募増資は本来買い材料でなければなりません。
少なくとも、証券会社が公募増資の主幹事を引き受ける場合、これらの調達資金の使われ方やその投資が生み出す効果などを厳密に調査し、先行きの企業業績を分析した上で、企業価値が増加すると判断するので新株の販売を引受ける訳ですから、その引受証券会社にとっては将に公募増資情報は買い材料なはずです。

 そうなると、現在市場で受け取られる公募増資情報と主幹事証券が把握する発行企業の情報のギャップが大きいということになります。同じ企業の公募増資でも、片や売り材料、一方は買い材料となるのですから、誰がこの情報格差を埋める作業が必要になります。

○当然ですが、投資家との情報ギャップを埋める第一の当事者は、発行企業です。
公募増資の発表時までは、増資に係る投資計画を明らかにすることは出来ませんが、そこ公表時点で投資家にその内容や効果などが受入れら易いように、日頃からIR活動を通じて将来のビジョンや経営計画を投資家に発信しておくことが望まれます。

○2番目の情報ギャップを埋めるのは、新株の販売活用を行う引受会社です。
投資家が今まで発行会社に対して気付かなかった将来性をアピールし、新たな投資需要を掘り起こすのが引受会社の役割です。しかし、現状では引受判断を行う時に発行会社から入手した情報を販売活動に使うことは出来ません。販売活動に利用できる情報は、目論見書に記載された情報のみなので、既に発行会社が公表している情報を投資家に伝えるしか出来ません。

一方、情報ギャップは埋まったとしても、投資家の新株に対する需要が無限に生じるわけではありませんから、新株に対する需要を予測し新株の発行額を決める必要があります。この事は、引受証券会社の主幹事の大事な機能でしたが、今回の増資インサイダー問題で次の様な懸念が明らかになったと思います。

●引受証券として、投資家需要を予測する機能が落ちている可能性が業界全般にある。
主幹事証券が新株の販売を集約して、自社内での販売分を増加させようとした傾向が近年続いていたので、他社の需要を推し量る機能が低下して、その為市場全般の需要掘り起こしとそのニーズ調査に関する能力が落ちて行ったと思われます。

以上の状況を変えて行く為に、
○発行会社が自らの責任で資金使途の効果を説明できるロードショーの様な取組みを可能とする。(投資家との情報ギャップの埋めるため)例えば、投資家自らがアクセスするネット上に限って。
○広く新株が販売可能となる為、新株を取り扱う証券会社数を増加させ、主幹事が可能な限り多くの証券会社を参加させたシンジケート団のコントロールを行う。
といったことが行政・業界で検討されることを望みます。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人の金融資産・海外投資~強まらぬリスク選好
 貯蓄から投資への流れが何故政策的に必要か考える時に出て来る資料が、日銀の資金循環統計による個人金融資産の図表ですが、この統計は3ヵ月毎に日銀より速報値が公表されます。本年6月末の状況が20日に公表されていますが、ここ数年余り大きな変化はありません。市況などの影響もあると思いますが、貯蓄は年率で2%程度の増加傾向にあり、個人金融資産に占める割合も6月末時点で55.7%と増え気味です。反対に株式や債券・投資信託などリスク資産の占める割合は、ここ数年12~14%程度で増減は主に市場環境による影響が大きく、とでも貯蓄から投資といえる変化は起きていません。
 個人がリスクを選好しないのは、世代間の資産の偏りなどもあって個人金融資産そのものが老齢化しているといった見方が大勢ですが、それ故に税制や政策面で、個人の投資を促す政策を強化していただく必要があると思います。
 例えば、成長ファイナンス推進会議(国家戦略室)では、世代間の資産移転の為の仕組みが検討されたようですが、子や孫世代の住宅・教育資金を目的にした非課税の移転スキームがあっても良いのではないでしょうか。

☆個人の金融資産・外貨建資産

また、個人の外貨資産については、同じく資金循環統計の家計の外貨建資産より、6月末の数値は36.2兆円(日銀による試算値)とされていますが、内訳は、
・外貨預金5.7兆円(3月末より0.1兆円減少)
・外貨建投資信託22.1兆円(3月末より2兆円減少)
・外貨建対外証券投資8.4兆円(1年前より0.3兆円減少)
となっています。
なお、個人が多く利用する投資信託による海外投資は、直近の投信協会の数値(本年8月末時点)では22.5兆円で、5月末時点と比べると5兆円の減少です。この内訳は、
・株式が3.5兆円で全体の16%
・債券(含む転換社債)が12.6兆円で全体の56%
・REITなどの投資証券が6.4円で全体の28%
となっています。

☆投資信託の海外投資国別(8月末)

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

日航再上場を機に想う、IPOのあり方
 19日、JALが2年半ぶりに上場された。初値は3810円で、公募価格より20円高く寄り付いてまずまずの出足となっている。先ず、日本の空のインフラを担う企業の再生と再上場を率直に祝したい。
 市場からの資金調達額も約6600億円と、久しぶりの大型IPO案件で、今年はフェースブックの約1.2兆円に次ぐ規模だ。このIPOで、政府は出資資金の早期の回収も出来たし、市場は久しぶりに多くの投資家の注目を集める案件に沸いている。当然、この売出しに参加する証券会社も潤うので、曇りがちな業界のムードも明るくなることが期待されている。

ところで、個人投資家の株離れが指摘される昨今の株式市場にあって、このIPOをもう少しうまく市場活性化策に利用出来なかったか、少しだけ悔やまれる。

例えは、経営破綻から約2.5年の最短再上場したことは僥倖だろうが、破綻する直前の半年前を思い起こせば、主に航空チケットの優待券目当てで資産株として保有していた約40万人の個人投資家は、僅か数か月の成り行きで破綻カードを突き付けられた。この1件だけで多くの個人投資家の資金が失われた。

今回の再上場IPOでは、次の様な施策も期待したかった。

○旧株主優先的に、再上場されるJAL株を販売する体制を作り、購入を希望する旧株主には優先価格(一般のIPO価格よりも低い株価で)で販売する。
○個人の株式投資活性化を目的に、先ず個人投資家だけに低めの株価設定で販売し、その後、機関投資家及び海外投資家に個人よりは高めの株価設定で販売を行う。(海外の政府系企業の株式売出しでは、この方法が使われることもある)
売り出す政府としては一刻も早い回収を目指すのかも知れないが、せっかくの機会だったので個人投資家活性化策を重ねて欲しかった。

 そもそものIPO市場の現状はどうなのか。結論から言うと、IPO企業数は少ないものの、上場する企業の内容や、上場後の株価パフォーマンスは改善しつつあるようだ。IPO企業数だけみると、金融危機までの2000年代では年間上場企業数が121~204社と、現在の4~5倍もあったが、その後、新興企業の会計不正処理の発覚などから引受審査が厳格化され、金融危機も重なって今のIPO数の水準となっている。

粗製乱造の上場は許されないが、IPO企業数はその国の経済成長力のバロメーターであり、同時にベンチャー企業の成長目標の一つでもあるので、増加が望まれるが、主な上場市場である新興市場の活性化策が検討されるものの、余り効果的に施策に繋がっていない。それでも、次の様な対応が取られている。

○引受主幹事と取引所が、早期の段階から上場予定企業の情報を共有することで、上場審査に係る期間を短縮化すること。
○出来るだけ個人のIPO株が行き渡るように、売り出す(新株発行も含む)株数の10%以上は抽選で割当なければならない(業界ルール)。その為、勧誘行為を行わないネット証券であっても、IPOが割当てられるケースが増えている。

 IPOを行うプロセスは、概ね以下の4段階に分けられる。
①上場検討期間=上場市場を検討し、上場の為の社内制度整備を行う。
②上場準備期間=上場を想定している市場の上場規定沿って上場関係に必要な書類等の作成、その為の態勢整備
③上場審査準備期間=上場取引所から求められる書類等を基に、引受主幹事証券による引受審査が開始され、ある程度整ったところで、取引所に上場申請する。
④上場の為の投資家需要調査期間=取引所による上場申請承認の後、上場予定日が決定するが、その間、アナリスト・レポート作成などで投資家需要を喚起し、価格などの公開条件決定する為の作業が行われる。そして条件決定から、いよいよ上場へ・・・

大手証券なら、①はIPO企業を相手とする営業部門、②は公開のコンサルティングを行う部門、③はIPOを審査する部門、④は投資家ニーズを調査し、販売活動をプロモーションする部門に分けられが、①と②は、企業と親しい金融機関や会計系コンサルでも対応(市場誘導業務)することが出来る。

IPOを活発化する為には、この其々のプロセスにおいて企業への支援活動量が増加する必要がある。特に①や②で、地域金融機関や会計系コンサルが関与する事は、IPOチャネルの拡大に繋がるが、IPO株の販売まで含めた各プロセスの関係者が増加することと、各プロセス間の連携や協働が円滑にいくように業界内の仕組みを改革していくことも、またIPO増加策として求められることだろう。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人の投資をどうサポートするか~平成25年度税制改正要望より
 個人の投資活動について、その投資目的と投資対象がしっかりしていることが大原則ですが、それでも税制などを通じた政策支援が大きく影響します。9月6日、金融関係などの各種団体より意見を金融庁が取り纏めて、平成25年度税制改正要望が公表されていますが、個人の投資に関する主なものは、次の3つです。

○[経済金融情勢が急変した場合には] 、軽減税率の延長を行うこと
カッコ内は、前提条件ですが、前回の平成23年度税制改正大綱において譲渡益課税の軽減措置を延長した際、経済金融情勢が急変しない限り、譲渡益課税を平成26年1月より本則の20%課税に戻すとしていますので、この文言が使われています。この2年間、東日本大震災もあったし、欧州債務危機も深刻化した、加えて中国経済の減速傾向が鮮明になっている、だから個人の投資環境も良くないで、現在の譲渡益軽減措置を延長して欲しいというのが業界の要望になります。
ただし、振り返ってみると現在の譲渡益課税10%の軽減措置は暫く続いているように思います。そこで、証券税制の変遷を簡単に見直してみました。

☆証券税制の変遷(概略)

この図の様に、株式の売却益(譲渡益)は、昔は非課税でした。それが、1989年バブル真っ盛りの時期に原則課税に変わりました。しかし、課税方法は申告(税率26%)と源泉の2つの方法があって、源泉方式を選択すれば、譲渡益が5%と見做すことが出来、結果として実質的な税率は抑えられていました。この源泉方式は2003年に廃止になり、その代り申告方式の税率が20%に引き下げられていますが、スタート時の2003年から同時に軽減措置が取られ、現在まで4回、同措置が延長されています。
つまり、株式の売買に関わる利益に対して、20%の課税がなされた時期はありません。

この様に、譲渡所得の軽減措置に対する要望は、業界のみならず投資家にとっても強いニーズがあります。

一方、若し軽減措置を撤廃するなら、非課税の投資枠に係る制度とちゃんと整備して欲しいというのが、次の税制改正要望になります。

○日本版ISA(少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の恒久化等
・投資可能期間を(平成26年からの3年間だけでなく)恒久化すること(少なくとも、全体で500万円以上の投資枠を設定すること)
・対象商品を拡大し、公社債・公社債投信への投資を可能とすること
・毎年新たな口座の開設を不要とする(原則一口座とする)こと

次に、非課税枠以外の投資に対して、個人が様々な金融商品を利用しやすくするために3つ目の要望となります。

○金融商品に係る損益通算範囲の拡大及び公社債等に対する課税方式を変更すること
配当や利息と、売買に関する損益の通算、損失額の越年度繰越し、店頭デリバティブの申告分離化など、今までの税制改正で金融商品一体課税に向けて改められていますが、それでも株式や投信、債券、デリバティブ間を跨いだ損益通算は認められていません。また、現在の課税方法が各金融商品間で異なっており、もし一体的に損益通算するなら、相当のシステム対応とその準備期間が必要となります。要望は、早めに対応期間を含めた方向を示して欲しいという内容です。

何れにせよ、譲渡益課税をどうするか、個人の非課税投資制度と損益通算をどうするか、投資家のみならず証券会社・金融機関にとって大きな課題となっています。勿論、国の政策としても。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

リテール証券の営業戦略としての投信販売について
 増資インサーダー問題に揺れ、CEOが替わったばかりの野村ホールディングスが、どの様な新たな事業戦略を打ち出すか注目されていましたが、9月6日の投資家向け説明会資料では、今後のリテール営業部門のアクション・プランはオーソドックスなものです。

☆リテール証券の営業戦略としての投信販売について

基本的なリテール営業部門の戦略は次の2点に集約されます。
○投信信託の残高を積み上げることを中心に顧客資産を増加させ、安定収益源を確保する。
○営業部門の収益性を高める為に、投資助言的機能を強化する。
オーソドックスと書きましたのは、上記2点のリテール戦略はもう10年以上まえから言われ続けていますが、基本に還るという捉え方で良いと思います。
この事は、野村に限らずリテール証券全般に言えることでしょう。その為、リテール営業においては投資信託販売を中心に置かざる得なくなっています。

投資信託の商品性に関していうと、投資対象のグローバル化や多様化によって、随分多彩な商品が設計されるようになっていますが、高分配金が注目を集める通貨選択型も、ある意味では投資のニーズに沿ったものと言えます。但し、販売や情報提供に仕方に問題があるのではとの意見もあって、高分配金を売りにするような投資信託の運用報告書の記載内容を、実態に沿って解り易く変えるべきとの指摘もされています。

一方、リテール営業部門での投資信託の販売とは直接関係ありませんが、ネット証券を利用した投資信託販売は全体の3%程度あります。リテール営業(対面営業)での投資信託販売は、個人投資家の資産運用という面が強いのですが、ネット証券の方は比較的小口の資金を継続して投資するような資産形成目的が多いようです。

資産形成というと、約450万人が参加する確定拠出年金制度(DC)では約3割が投資信託を購入しており、必然的に運用機関のネット環境をインフラとして利用しています。また、今後制度整備される日本版ISAにおいても、少し纏まった金額の資産形成として、投資信託販売が期待できます。

つまり、個人投資家による資産形成の為の投資信託購入は、ネット環境が強化されたり整備したり、投資信託の内容が解り易くなり、資産形成制度も整備されていく中で、それなりに成長していくと思われますが、資産運用の投資信託購入は、リテール営業も投資助言的機能が強化されていく必要があります。その為には、営業部員への社員教育とラップ口座や私募ファンド・仕組債などの商品サービス整備の両方が必要だと思われます。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最近の投資信託動向について、9月上旬時点
8月の投資信託の新規設定額は2,892億円と前月より5割近く増加しましたが、その内約1,200億円は、野村中心に販売された日本株(投資通貨は豪ドル)に投資する単位型投信の設定でした。
既存ファンドは、6ヵ月ぶりに1,771億円の資金流出超過となりましたが、主にリート関係のファンドが売られ、ハイイールド債投資ものが買われています。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況8月号(9月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、中国関連の情報提供が大きく減っているように思われますが、東南アジア諸国は注目度を高めています。ブラジルやインドの株式市場の冴えない動向もあり、新興国関連の情報提供は少し減り気味でもあります。
投信の運用会社からの情報提供頻度は、その情報発信量の4割以上が週次レポートですが、本来は決算に合わせて情報提供するのが役割のように思います。それを週間で情報発信しているということは、販売サイド(証券会社や金融機関)の投資家への情報提供の役割を代替しているとも考えられます。

 9月新規設定予定の投資信託のテーマでは、株式投資意欲が強まっているように思われますが、引き続き日本株見直し、アジア株、中国株、米国住宅関株などが投資対象です。一方、債券投資はハイイールド債投資が中心ですが、以前より毎月分配型への販売依存度は低下しているようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(8月上旬時点) 

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人投資家にとってのヘッジ3様
 本稿の目的は、個人投資家にとってのリスク・ヘッジを考えることです。そもそも、そのリスク・ヘッジのヘッジとは何か、個人の視点でみる為、以下の3つの事を取り上げてみました。
【個人投資家のヘッジに対する認識】
日興アセットマネージメントが7月中旬に実施した、『「ヘッジ」の理解度に関する調査』に関する調査(自社サイトを利用したインターネット調査)では、ヘッジファンドについて次の様なイメージをもっています。
・リスクが高い(78%の個人がそう感じている)
・個人では出来ない難しい投資手法を駆使して、個人ではできない投資を行う(同、59%)
・ギャンブルに近い(同、57%)
マスコミで報じられるヘッジファンドの動向などが大きく影響しているようで、個人にとって親近感がないようだというのが調査者のコメントです。

なお、ウィキペディアではヘッジファンドは次の様に定義されています。
=代替投資の一つ。通常は私募によって機関投資家や富裕層などから私的に大規模な資金を集め、金融派生商品などを活用した様々な手法で運用するファンドのこと。

また、同調査による“為替ヘッジ”については、58%が海外投資を行う際、為替変動リスクを抑える手法として理解しており、こちらの“ヘッジ”の方は個人投資家にとっては身近なようです。

【ヘッジの定義】(goo国語辞典より)
株式・債券・商品・外国為替などの取引で、価格の騰落による損失や不利を避けるため、信用取引や先物取引で売買を行っておくこと。掛け繋(つな)ぎ。保険繋ぎ。繋ぎ売買。繋ぎ取引。繋ぎ。

【個人投資家にとってのリスク・ヘッジ】
例えば、筆者は証券会社に永く勤めていましたが、この状況で証券会社の株式を保有するのは賢明な資産運用ではないかも知れません。つまり、証券会社の業績が悪い時は、報酬も減り株価も下がるのでダブルパンチです。また、不動産を沢山保有されている方が、リート投資に注力するのも資産管理上好ましくないという意見もあるかも知れません。問題は、生活設計や資産の運用管理において、そのリスクをヘッジ(何かに替えて置く)と方法が分かり難いということです。

その点、金融資産においては、個人に提供されるリスク・ヘッジ手段は明確です。数多くの銘柄に投資する投資家に対しては、株価指数先物や同オプション、債券を大量に保有する投資家には、国債指数先物や金利先物、外貨資産の保有に対して為替ヘッジに利用するFX取引を利用することが出来ます。所謂デリバティブの利用です。

デリバティブは直訳すると派生商品ですが、本来は原資産の保有リスクをヘッジする目的で取引が始まったものです。しかし、個人が受けるイメージは、レバレッジ効果や値動きの激しさからリスクの高い投資手段といった印象が定着しています。実際、現状の個人投資家のデリバティブ取引は、短期間のトレーディングが中心ですので、投資とは少し距離があるように感じられています。

 個人投資家の短期トレーディングは、それなりに意味がある行為ですが、これとは別に保有する投資資産に対するリスク・ヘッジ目的でデリバティブが利用されることが望まれます。そうすることで、個人の金融資産運用は厚みを増し、かつデリバティブ市場でも新たな個人投資家のヘッジニーズを取り込むことが可能になります。

 とは言っても、トレーディングを行わない個人投資家がデリバティブを扱う為には、方法やタイミング・反対売買(ヘッジはずし)などのアドバイスが必要で、これは現段階でのネット証券ではできません。対面営業の証券会社やファイナンシャル・プランナー(証券仲介業者など)の助言機能が期待されますが、言い方を変えると、対面営業など証券業務において、個人のリスク・ヘッジ目的のデリバティブ利用が、資産管理型ビジネスへの転換を進める契機になることを期待しています。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

株式の値段の決め方について
上場されている株式の値段は、当然取引所で決まるが、その取引所においてシステムが超高速化し、アルゴリズムを利用したシステム売買HFT(High-Frequency Trading)が取引量の4割も占めるようになって、改めて株式の売買価格決定のあり方を考える必要があるのではないかと思う。日本証券経済研究所の福田主任研究員“取引を行うことは意外に難しい〜袋セリからHFT まで〜”を読んで、改めて考えさせられた。
 株式の値段の決定方法は、オークション方式(個別競争売買)とマーケット・メーク方式に分けられるが、東証の株式売買ではオークション方式が取られておりその定義は次の様なものだ。

“売呼値の競争と買呼値の競争を個別的に行い、最も優先する売呼値と最も優先する買呼値とが値段的に合致するときに、その値段を約定値段として売買契約を締結させる方法”

つまり売値と買値の株数が合えば売買が成立するのだが、ここでひとつの問題がある。この方法だと、例えば大口の売り注文が入った場合、買い注文の出し手が発注行為を控える傾向が強まる。買い手にとって、何か自分達の知らない不利な情報があるのではないかとの思惑が先行しやすい事と、その指値の直ぐ下で売って大口注文の売り指値が引き下げられたところで買い戻すサヤ抜き行為を誘発しやすう事など、本来の需給関係より決定される価格より押し下げられやすくなる。

 その為、大口注文者は発注を細分化して連続して注文できるシステム売買(取引所や売買を仲介する証券会社が機能を提供)を利用するのが最近の傾向だ。
また、金融商品取引法では故意に約定の意図のない大口注文を発注しかつ取り消す行為を、公正な価格形成を阻害するとして禁止している。(不公正取引行為)

 ところで、HFTはプロッブハウスや証券会社による極めて短期のマーケット・メークやサヤ取り行為に利用されるが、ヘッジファンドなどもHFTを利用した戦略を用いるとされている。
冒頭に紹介した資料では、これらのHFTプレーヤーがポジションを保有してから反対売買までの時間に分けて戦略を示している。

・1分未満=最適な価格と執行を推定する計量的なアルゴリズムを用いてマーケット・メークを実行する
・10分以内=価格推移を観察しながら、他の取引者の注文パターンを解析、それを利用して取引を行う
・1時間以内=マクロ経済に関連するイベントを利用して、短期取引を行う
・1日以内=均衡からの乖離を利用して統計的裁定取引を行う

これらのHFTは、他の取引者より少しでも早く発注を行うという行動特性と、既に細分化されて通常の発注状況には隠れている大口注文を探すというのが、大きなテーマとして上げられる。
よって、他者の注文が入り難い銘柄はHFTの対象にはなり難い。つまり、HFTが流動性の向上に役立っているのは、一部の銘柄ということになる。
また、言葉の遊びではないがマーケット・メークと他の取引を誘引する目的で行う裁定取引の区別は、分かり難い。

 勿論、時代の進化に合わせて売買方法も変わっていくべきだと思うが、個人投資家まで含めて理解できる売買制度の議論と維持が必要なのではないだろうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

取引所が求めるもの、求められるもの
東京証券取引所による大阪証券取引所の公開買付も成立し、いよいよ総合取引所を目指す日本取引所(仮称)が年明けにスタートする予定です。商品取引所まで取り込む総合取引所構想を後押しする金融商品取引法の方は、参議院通過までは良かったのですが、現在、衆議院で審議中となっており、最近の政治情勢で少し雲行きが怪しくなっています。
 しかし、政治情勢如何に係らず取引所を取り巻く環境は変化しています。その変化を後押しするものは、本来、投資家や取引参加者の方の変化ですが、この双方の変化は噛み合っているのでしょうか。またその中で仲介者たる証券会社の役割はどう変わっていくべきなのでしょうか。

以下のレポートを纏めてみました。

取引所が求めるもの、求められるもの

-取引所の変化と進化 
  -総合取引所構想がもたらすメリットとは
  -投資家は何を取引所に求めるのか
  -市場仲介者としての証券会社の対応は

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード