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2012/11
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インサイダー取引規制議論を起点に、日本市場の問題点を考える
 現在、金融庁の金融審議会においてインサイダー取引規制に関し、その見直しが行われている。昨年に続いて2年目の作業となるが、今年は増資インサイダー問題顕在化があって、
・今まで法律上の罰則がなかった情報伝達者への罰則をどう考えるか
(増資インサイダー取引の事例では、引受証券会社内から、特定の投資家に対してインサイダー情報が漏れた)
・課徴金の計算方法を見直すべきか
(ファンドの運用者がインサイダー取引を行った場合、その経済的利益が対象となる現行ルールでは、売買で得た利益ではなく、運用報酬に対して課徴金額が決定される。その為、少額の課徴金が問題視された。)
・企業の経済活動や投資家の行動に支障のないインサイダー取引規制の見直しをどう考えるか
(現行ルールでは、株式交換など組織再編において支障のある場合も想定される。)
以上の3点を中心に規制の見直しが検討されている。

 誰でもが参加しやすい公正で透明性の高い市場機能を確保する為には、必要な事なので期待したい。但し、誰でもが参加しやすい市場である為には、インサイダー取引規制も解り易くあるべきだ。その意味で、言葉の定義も含めて、ルールの簡素化、ケーススタディーの詳細化などが望まれる。

 一方、インサイダー取引の中核材料となるのは、公募増資と公開買付(TOB)だろう。TOBの方は、企業の支配権を獲得する為、市場価格に数十パーセントもプレミアムがつくので、明らかに買い材料だが、公募増資が売り材料となることに、現在の日本市場の問題があるのではないだろうか。
 何故、公募増資が売り材料なのだろうか。
“企業がリスクマネーを調達することで、思い切った事業戦略が実行され、次の成長に期待できる”
多くの投資家がこう考えれば、公募増資は本来買い材料となっても良いはずだ。しかし、現実にこうならないのは、次の様な問題があるからだろう。

●企業の成長戦略が理解されない
投資家に理解される為には、以下の様なディスクロージャーの充実が必要だ。
・先ず、公募増資で調達した資金が、どの様に事業拡大の効果を上げるか、投資家向けに説明しなければならない。
・日頃のIR活動やディスクロージャーを通じて、事業戦略が株主や投資家に理解されなければならない。
・公募増資後、事業の進展に関して、積極的に情報発信を行うべきだ。

●目先の供給増懸念が先行し、新たな投資家需要が期待されない
投資家需要を掘り起こす(勧誘行為)のは、証券会社の仕事だ。その為、以下の様な改革を行っても良いのではないだろうか。
・現在の少数の引受会社に絞って、公募株を販売する方法を改め、出来るだけ多くの証券会社が販売活動に参加できる公募方式を検討する。

●一般の株主に配慮される方法が取られる事が少ない
短期的な株価下落に耐える株主に対して、増資後のメリットを策定すべきではないだろうか。
・例えば、増配や株主還元など、実質的利益配分の増加も考えられる。
また、株主の希薄化を避ける増資方法として、ライツ・オファリングの定着が望まれるが、
・決まった金額を調達するのに適した公募増資の代替手段として、コミットメント型ライツ・オファリングの証券会社における実務対応の確立が期待される。

以上の結論は、今の公募増資の仕組みが古くなって、現状の市場環境に適していないという事だ。


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ものの値段~社債の売買価格の場合
 日本の株式市場は、超高速化取引の推進、上場商品面ではETFを中心にした多様な投資対象への対応、そして総合取引所へと取引所機能がどんどん進化しているようです。アジアの中核市場を目指してという事ですが、その為には株式以外で企業の資金調達の場、機関投資家などの資金運用の場として、社債市場の拡大も待たれています。

 しかし、現実の日本の社債市場は、拡大というよりは、流通市場での売買は縮小ぎみですし、発行市場でも低格付け企業の発行は難しい状況が続いています。その為、業界を中心に社債市場の拡大の為に、過去3年近く市場活性化の次の施策が話し合われています。

① 社債の取引価格情報インフラを整備する事
② 社債が他の借入れなどと比べて著しく不利とならないよう、借入れ条件の制約について可能なディスクロージャーを行う事
③ 社債管理会社の役割と機能を充実する事
④ 証券会社の社債引受審査を機動的に行えるようにする事


この中で、取引量や取引参加者の増加の為に最も重要なことは、①の価格情報を共有する仕組みを作ることです。この社債の取引価格情報インフラ整備に関して、業界の取組みがようやく始まります。
社債は取引所で取引される訳ではなく、証券会社を通じた相対取引ですが、決済は証券保管振替機構(ホフリ)で行います。その際、取引価格の照合なども行われることが多いので、これを利用して次の様な社債の取引価格報告制度が来年1月から開始予定です。

・証券会社は、社債の取引価格に関して、日本証券業協会に報告義務を負う
・ホフリを利用して社債の決済照合をする場合、上記の報告を行ったと見做される。
・実際は、社債取引でホフリにて決済照合された取引きは、証券業協会に報告される。

問題は、これらの取引情報がどの様なかたちで公表されるかですが、新規の投資家や取引参加者を増加させる為の工夫も望まれます。

☆社債市場の概況


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買収防衛策について
前日は敵対的買収について取り上げましたが、この行為への対抗策として、新株予約権(ライツ)を使った買収防衛策を導入している上場会社があります。レコフの調べでは、本年5月末で519社が導入しているようですが、基本的な防衛スキームは、敵対的買収者が行使できないライツを株主全員に割当て、敵対的買収者の持分が実質的に大きく減少するように設計したものです。

その概要は次のようになります。
【買収防衛スキームの概要】(代表的なもの:スキームの呼称はライツ・プラン)
・株主全員に新株予約権(ライツ)を割当て
・行使価格は、株主の負担が少ないように1円
・但し、20%以上を保有、若しくはTOBなどで保有しようとする株主は行使できない。(この事を、行使条件とする)

このスキームは、ライツを株主全員に割当てるところまではライツ・オファリングと同じですが、行使価格が1円だったり、敵対的買収者が行使できない企業防衛を目的としたもので、資金調達のライツとは全く違います。勿論、ライツは上場されません。ただし、もしスキームが実行された場合、敵対的買収者以外の他の株主が、1円を払込んで新株を受け取るといった事が必要となり、効果を上げる為には他の株主の協力が必要です。

また、敵対的買収者(取りあえず会社に事前相談もなく、大量に株式を買付けると言う意味)に対して、上記の買収防衛スキームを必ずしも実行するという訳ではなく、以下の買付ルールに従った場合は、買収防衛スキームを発動しないというのも一般的な買収防衛策です。

【大規模買付ルール】
・20%以上の大規模買付けを行った場合、目的を上場会社に伝え、それは公表される。
・上場企業が準備した第三者委員会によって、買収目的などを確認する必要書類が要求される。これを10日以内に第三者委員会に提出。
・60日以内に第三者委員会は評価を行い、その際、買収条件の変更などの交渉が行われることもある。

☆買収防衛策の概要

買収防衛策については、株主・投資家にとってマイナスのイメージがありますが、上記のようなものであれば、買収者の買付行為を必ずしも阻害するものではないように思います。また、買収防衛策導入企業の株価に対する影響を検証しようとした研究論文も複数ありまあすが、明確に買収防衛策と株価の関連を定義するのは無理のようです。

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敵対的買収とは何かを考える
 11月15日に発表されたPGMホールディングス(2466)によるアコーディア・ゴルフ(2131)の公開買付け(TOB)は、久々の敵対的買収と報じられている。このTOBに至った経緯は、PGM側の記者発表文によると以下の様な概要になっている。

・本年、1月26日、PGMはアコーディアに対して経営統合を提案
・3月22日までの間、両社による協議・検討
・3月22日、アコーディア経営者の私的流用疑惑で協議打ち切り
・4月26日、アコーディア株の1.8%を保有するオリンピア(PGMの兄弟会社;親会社はそれぞれ平和(6414))が6月の株主総会に向け役員選任の株主提案を行う。所謂、プロキシーファイト。
・5月21日、アコーディアの経営トップが退任
・6月29日のアコーディア株主総会において、オリンピア側の株主提案が否決
・以上の経緯から、PGMはアコーディア側が統合提案を受け入れる可能性が低いと判断、事前の両社の協議なく公開買付け開始を決定

また、公開買付けは次のようなものだ。
・対象株式:アコーディア・ゴルフ普通株式
・公開買付価格:81,000円(過去6ヵ月の市場価格に対して、57.81%のプレミアム)
・公開買付期間:本年11月16日~平成25年1月17日までの38営業日
・買付予定株数:209,224株(下限)~524,105株(上限)
※応募が上限に達した場合、比例案分方式で決定

ここで敵対的買収の定義を確認しておきたいが、一般的には“上場企業の株式を、対象企業経営陣の同意を得ずに市場における買い集めによって取得すること。”(あずさ監査法人HPより)とするのが、最も簡略化された説明だろう。今回の件では、この定義に当てはめれば敵対的買収行為ということになるが、対象会社の株主や顧客であるゴルフ場の利用者にとって、敵対的なのかどうかは議論があるところだろう。

但し、今回の公開買付けにおいて、そのスキーム上注意を要する点もあると考えるので、指摘しておきたい。
それは、買収者が対象会社との経営統合を目的にした買収にも係らず、対象会社の50%までしか今回のTOBでは買付けない。その理由としては、対象会社の株式を半数取得したところで、両社の経営統合に向けたデューデリジェンスを実施したいとしている。一応、買収者側の表明としては、今回のTOBに応じなかった株主から再度対象株式を買い取る場合、今回のTOB価格を前提に検討する可能性があることは示されている。しかし、デューデリジェンスの結果、残った株主が不利になる条件変更(統合比率や買取価格)の可能性も残っている。
買収者の目的からすれば、TOB応募者から全て買い取る方がスキームとしてはスッキリしているが、買収資金の問題を指摘する関係者もいる。今回の買収資金は、420億円を超えるが、80億円はPGMの自己資金、340億円は親会社の平和からの融資とされている。
なお、金融商品取引法のTOB規制によれば、残った株主が不利にならないよう強圧的二段階買収を避ける目的で、三分の2以上を取得するTOBにおいては、応募者全員から買い取らなければならない義務を課しているが、今回は半数までなので、この条項に抵触しない。買収者のTOB成立後の対応が注目される。

【敵対的買収事例】(太字は事業会社による)
・村上ファンド⇒昭栄(2000年)
・スティール・パートナーズ⇒ユシロ化学工業(2003年)
・スティール・パートナーズ ⇒ソトー(2003年)
・夢真ホールディングス⇒ 日本技術開発(2005年)
・ライブドア ⇒ニッポン放送(2005年)
・楽天 ⇒東京放送(2005年)
・村上ファンド ⇒阪神電気鉄道(2005年)
・ドン・キホーテ⇒オリジン東秀(2006年)
・王子製紙 ⇒北越製紙(2006年)
・スティール・パートナーズ⇒明星食品(2006年)
・スティール・パートナーズ v. ブルドックソース(2007年)
※いずれも買収は成立せず


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証券会社が求めるもの
 証券会社の業務コンサルティングが筆者の仕事ですので、常に彼等が求めるものは何か考えています。
ビジネスで顧客の求めることを考えるのは、しごく基本的なことですが、一般の方にも分かるように書くと、次のようなものだと考えます。

“証券会社は新しいビジネスモデルを求めている。”

何か、当たり前のことでお叱りをうけそうですが、今一番必要なことは何かと証券会社の経営者に聞くと、上記のような答えが返ってくるだろうと思います。
このことを考える前提として、次のような証券会社を取り巻く環境の変化があります。

◎取引システムの高速化・高度化・グローバル化
証券会社が投資家の為に行う取引がどんどん進化しています。株式やデリバティブ取引の高速化はもちろん、アルゴリズム取引など取引手法も高度化しています。また、海外市場での取引も取り次ぐ大手ネット証券・中堅証券が増えています。証券会社にとっても問題は、多様な取引サービスを投資家に提供することが可能になった反面、これら取引機能をどこまで揃えるかといたコスト・パフォーマンスの問題が大きく認識されるようになっています。

◎決済機能の集約化と電子化対応
最後に株式が完全ペーパレス化して既に4年近くが経とうとしています。株式も投信も債券も、完全に電子化されたことで、決済・保管が証券保管振替機構(ホフリ)に集約されています。従って、証券会社において今まで人手がかかっていた部分は、システム対応が進みコスト削減に大きく寄与したはずです。考え方としては、各証券会社で其々取引きしたとしても、最終的には各々の取引処理は同じはずなので、事務対応は共通化し、共同で処理するようなことまで進んで良いはずです。しかし、証券会社間の共同事務センター的な構想はあっても、そこまで進んでいないのが現状です。

◎ICTの進化の恩恵
インターネットの利用が進み、かつそれを使った情報発信体制も整ってきたので、投資家が入手する投資関連情報のリアルタイム化が大きな恩恵と考えられます。但し、投資に関する情報の非対称性に頼るような証券会社の営業は成り立たなくなってきました。それ故、投資家と新たなコミュニケーションのあり方が、証券会社に求められています。SNSの利用やスマートフォン対応は、ネット証券だけの課題ではなくなりつつあります。

以上の3つ大きな環境変化に対応する為、証券会社は新たなビジネスモデルを模索しています。

その基本的な考え方は、顧客ニーズの把握の為、顧客とのコミュニケーション力の向上ですが、大資本の証券会社でなければ全ての顧客をカバーすることは不可能ですので、先ずは顧客層をセグメーンテションして、自社の注力する顧客層に的を絞って顧客とのコミュニケーションを増加させていくという事ではないかと考えます。

☆証券会社が求めるもの

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改めて、証券会社とは何か
投資信託は、銀行や郵便局でも販売しています。外国債券も、銀行などで取扱いが始まりました。しかし、株式は証券会社でなければ取り扱っていません。では、株式を取り扱うのが証券会社の特徴なのか、と定義してしまうと中には株式を取り扱わない業者がいたり、海外市場の株式まで取り扱う者もいます。

 そもそも証券会社とは何なのか、改めて見直したいと思います。
金融に関係した業務は、何らかの国の規制を受けますが、その行為を規制する所謂業法というものは、証券会社にとっては、金融証券取引法になります。この法律は2007年9月末から施行されていますが、それ以前は証券取引法です。この証券取引法では、証券会社について基準と業務内容の定義がありましたが、新しくなった金融商品取引法では、証券会社に関する定義がありません。代わりに次の様な定義のされ方になっています。

○第一種金融商品取引業(有価証券やデリバティブの取り扱い、引受業務、PTS業務など)
○第二種金融商品取引業(私募ファンドなどの組成と取扱いなど)
○助言・代理業(投資助言業など)
○投資運用業(投資一任契約、公募ファンドの運用、私募ファンドの運用)

なお、第一種金融商品取引業に限り、証券会社という呼称を使用しても良いという構成になっています。

但し、第一種の中にはFX業者も含まれていますので、第一種=証券会社ではないが、証券会社である以上第一種に該当するということになります。

また、証券会社が私募ファンドの取り扱いを行う場合には第二種のライセンス、ラップやSMAなどで投資助言を行い成功報酬を得ようとすると助言業のライセンス、投資家との間で投資一任契約を結ぼうとすると投資運用業のライセンスが必要となります。

もともとこれらのビジネスは、証券会社の業務から派生したものでしたが、証券会社内のビジネスの多様化や専門家が進んだので分けられたものです。また、金融商品取引法では、上記4つの業務を纏めて金融商品業者として定義し、かつこれらの業務への参入を促進する為、ライセンスを与える基準を下げています。特に公募・私募を問わずファンドを通じた投資の推進に大きな期待がかけられていました。

金融商品取引法の施行から5年経過しますが、リーマンショック後のリスクオフの影響が大きく、残念ながら証券会社数は減少しています。また、中小証券会社の統合や、業務撤退も伝えられています。

しかし、証券業務が構造的な不況業種になってしまったというと、必ずしもそうは言えないと思いますが、現状は今の経済状況や時代の流れに合うようなビジネスモデルの転換に苦しんでいるもの事実です。
そのビジネスモデルのあり方から、証券会社を見直してみると次の様なビジネスモデル上の問題点が浮かびあがります。(概略図を示します)

☆証券会社のビジネスモデル上の問題点

図の内容を纏めますと、リテールは個人投資家層をセグメント化して、それに合わせた対応が必要ですし、ホールセールは引受やM&Aなどの機能別に証券会社同士の共同利用化が必要なほど業容の集約化を求められそうです。また、トレーディングは裁定取引の焦点をどの分野(投資対象、時間など)に当てて競争力を磨く努力が必要にも思います。詳しくは又の機会に。

ただし、証券会社は市場での直接取引を行う者でもありますので、日本の市場活性化は結局日本の証券会社に依るとも言えます。


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最近の投資信託動向について、11月上旬時点
10月の投資信託の新規設定額は2,207億円とほぼ前月と同水準の規模になりましたが、そのうち約半数が海外の高配当インフラ関連株式に投資するものでした。なお、販売会社は野村證券1社のみですが、大和は豪ドル建てエマージング債を500億円販売しており、大手2社の下期営業への注力姿勢が伺えます。
既存ファンドは、資金流入・流出とも3000億円台で5月以来の資金移動規模になっていますが、買われているファンドは新興国債や米国REITに投資するもの、反対に売られたファンドは豪ドル債投資のものでした。差引きは約330億円の資金流入でした。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況10月号(11月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、新興国関連の月次レポートが増加し、市況関連の情報提供は週間ベースが定着しています。この運用会社のレポートは、証券や銀行などファンドの販売サイドか、個人投資家への説明を行う際に利用されており、これら販売会社の市場調査機能の代替を果たしているようにも思います。良く言えば、投資信託の営業現場における分業体制が、投資信託の運用会社(情報提供)と販売会社(情報説明)の間で出来上っているとも言えます。

 11月新規設定予定の投資信託では、新興国ハイイールド債投資というテーマは変わりませんが、株式投資も新興国など海外株式・J-REITなどの見直しなど循環してテーマ探しをしているようです。
また、毎月分配型は高配当ファンドの分配金引下げが相次いでいますが、これは運用益と元本の払い出しが個人投資家にとって混同されやすいとの批判があり、これに応えるため元本部分の払い出しを押えたファンドが増えているからです。
この様な動きとは逆に、毎月決まった金額を払い出すといったファンドが組成され始めています。資料では毎月払い出し型としましたが、これも高齢層などの投資家ニーズに沿ったものだと言うことでしょう。
(元本は減る可能性がありますが、毎月定額を分配しますと)
何れにせよ、投資に対して運用がどうなっているか解り易い表示が望まれます。現在、金融審議会で議論されているトータル・リターンの解り易い運用に期待します。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点)

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ボラティリティETFから見えるいくつかの問題点
 2010年12月、大証に日本で初のボラティリティ(市場の変動率)に投資するETFが上場されました。ETFの名称は“S&P500 VIX短期先物指数”で、国際投信投資顧問が同名の先物指数との連動を目指したファンドです。リーマン危機後、恐怖指数として有名になったVIX指数と連動するものではありません。

少し込み入って煩わしいですが、VIX指数、VIX短期先物指数、上記のETFの関係を少し説明します。

① 先ず(恐怖指数=通常の株価指数と逆相関関係にあるのでこのように呼ばれる)VIX指数は、CBOE(シカゴオプション取引所)が、S&P 500種指数のオプション取引の値動きを基に算出・公表しています。この数値が高いほど、投資者が相場の先行きに不確実性を感じているとされています。
② 次に、ETFの名称にもなっているVIX短期先物指数は、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を売却し、第2限月の先物を買付ける取引を日次で行い、加重平均した残存日数を1ヵ月に維持する取引を行った場合のリターンを指数化したものです。
③ そして、大証に上場されているETFは、2番目の指数に連動することを目指した指数連動債(ETN)にほゞ100%投資されるファンドです。つまり、海外に上場されているボラティリティETN(ETFはファンドで、ETNは債券、指数に連動しようとする目的は同じだが、設立根拠法が異なる)を日本で円建てで取引する為、リパッケージしているようにも見えます。
 
このファンドを通して、ETFについていくつか見えてくる問題点があります。
●何に投資しているのか=投資家のイメージと合っているか開示上の問題は
このファンドの場合、名称となっているVIX指数に連動していないことが個人投資家にどの位理解されているかが問題です。目論見書の記載では上記の①と②の違いに関して説明が少し分かりに難いものでした。なお、販売用資料には両指数がグラフ化され表示され説明文も並列で記載されていますので、解り易くなっています。
●連動するとしている指数と実際のETFの価格差の問題
次に、このETFの市場での価格が、指数からみて割安なのか割高なのか分かり難いといった点が挙げられます。日本株関連のETFに関しては、日中リアルタイムで理論価格であるインディカティブNAV(推定一口当たり純資産価格)が公表されていますが、海外株価指数ETFに関してはこれらの公表がありません。
●指数に連動するスキーム上の問題
これらETFやETNの取引が急増したり急減したりした場合、実際の指数先物取引を行って資産を購入したり売却したりするオペレーションを多くする必要があります。例えば、上記のVIX短期先物指数に連動するETNが、急激に買われた場合、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を大量に売却し、第2限月の先物を大量に買付ける取引を必要があります。普通はこの様なオペレーションを引け間際に行うことが多いのですが、ヘッジファンドなど他の取引者がこれを見込んで先に売買すれば、値幅が増大していく可能性もあります。
(この事に関しては、日本経済研究所志馬氏“米国ボラティリティ商品市場の拡大とトラブル~クレディ・スイス発行のETNを巡る問題”に詳しく書かれています。)

以上を簡単に書きますと、ETFは情報開示の問題、理論価格情報の問題、対象指数との価格連動の問題があると言えます。ETFは例え複雑な投資対象であっても、個人投資家が小口化・単純化して取引できる投資対象なので、取引所や運用会社などの皆様が改善を進めていくことを期待しています。

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FX取引の現状
10月は、欧州債務危機問題も少し落ち着いていたこともあって、FX取引は前月比で2割程度増加しているようです。このFX取引は、今や為替市場にも大きな影響を与える個人の外国為替取引ですが、その取引イメージは次の様なものです。

・FX取引の口座数 320~330万口座
・主要な取引年齢層 30~40才代
・女性の比率      約2割程度
・証拠金の平均残高    25万円程度
・平均取引金額     150万円程度(平均レバレッジ5倍程度)
[金融商品先物業協会公表:6月末顧客証拠金残高とレバレッジは、店頭FXが8,507億円で4.3倍、くりっく365分が2,023億円で4.2倍、大証分が120億円で5倍]

株式や投資信託の投資家層のイメージからみると、年齢層も若く、証拠金も少額で、小粒の投資家層に見えます。しかし、株式や投資信託とは異なり、FX取引は短期間で売買を繰り返しますので、取引額は大きく膨らみます。例えば、この4月から6月の間に、上記のようなFX取引が何回取引しているかというと以下の様になります。(以下数値は、4月から6月の取引総金額を、6月末の建玉残高金額で割ったものです。)
・店頭FX  112回 
・くりっく365 17回 
・大証FX   23回
[同じく金融商品先物業協会公表:4~6月の取引金額は、店頭FXが411兆9,426億円、くりっく365が14兆8,830億円、大証分が1兆4,381億円]

FX取引の投資家は、平均で日に2~3回取引していることになりますが、主な取引戦略は次の様に大別されます。
○日中の上昇や下落のトレンドに沿って、少しの値鞘確保をねらった売買(スキャルピング)
○短期的なトレンドを読んだ売買(1日内はデイトレード、1週間程度はスイングトレード)
○高金利通貨への投資だが、逆張りで下がったとこを買い、金利差分の収益確保も狙う売買(金利差相当分のスワップポイント獲得が主目的)
○政策的な歪み是正や期待に沿った売買(例えば日銀の円売り介入を期待)
○債券や株式投資の代替手段として売買(例えば保有するリスク資産のヘッジ目的など)
FX取引は、売買は単純だが、その取引目的は多様化しています。

 FX取引は、一時の高成長期が終わり、現在は取扱業者間の生き残りをかけた競争段階に入っています。しかし、FX取引の多様化が次なる成長に繋がると予想されており、特に代替投資手段として利用されるなら、新たな成長ストーリーも描けると考えます。その為には、現在のFX取引で大きなシェアを握る専業者と、個人投資家資産を押える証券・金融機関などの競争・協働の為の新たな関係構築が注目されます。

☆FX取引の現状

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ライツ・オファリングへの期待
 ライツ・オファリングへの期待は、高いものはあります。それは、大規模な希薄化を起こす公募増資の代替手段としてのもので、その為、法律や取引所ルールが改正されています。更に、公表から払込完了までの期間が長い為、長く市場リスクにさらされるといった欠点に対して、会社法改正や信託銀行の株主確定期間やライツの発行作業も短縮への要請が出されています。

この様に、行政や取引所関係者などの期待が強いライツ・オファリングは、あくまでも公募増資の替わりを意識したものでした。その為、業界などの同制度整備も、証券会社が行使されなかった分を引き受けて、新株として販売するコミットメント型を想定して為されています。

 しかし、今まで発行された2つの発行事例は、ノンコミットメント型のものです。公募増資の代替とは少し異なったファイナンスということになりますが、それでもやはり公募ファイナンスである事に変りありません。

今後、コミットメント型・ノンコミットメント型含めてライツ・オファリングが日本の発行市場で使われていけば、上場企業は多様なファンナンス方法を選択できるでしょう。

その為、上場企業は勿論、投資家や株主、市場仲介者としての証券会社もライツ・オファリングに慣れていく必要があります。

 増資インサイダーに揺れない市場を作る為にも。

☆ライツ・オファリングへの期待
    1-発行市場の問題点とライツ・オファイリングへの期待 
    2-ライツ・オファリングの仕組みと機能整備
    3-株主にとって、発行会社にとって、そして証券会社にとって
    4-ライツ・オファリングが定着する為に必要なこと

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投資信託の販売における分業体制について
投資信託を購入する個人の約6割が、証券会社や銀行などから薦められて買うということですが、公募の株式投信の約99%が、これら販売会社から購入されたもので、ファンドを組成する運用会社から直接購入する分は、現在1%もありません。
その為、新たにファンドを組成する場合は、投資家ニーズを把握する販売会社サイドの意向が強く働く仕組みとなっています。また、ファンドの販売時に運用会社が販売会社の営業活動支援を行うことも多くあります。ファンドにおける製造・販売双方が相互に機能を補完し合う分業体制が成り立っているとも言えます。
ただし、この分業体制が投資家にとってメリットがあるかどうかは議論のあるところです。
投資家の支払うコスト、情報提供の解り易さ、商品の選択のし易さ、などを投資家に示すことが可能なら、投資信託の販売における効率的な分業とも言えます。

☆公募株式投信の分業体制

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