*All archives* |  *Admin*

2013/06
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
強化されるインサイダー取引規制
 インサイダー取引規制が、強化されます。6月12日に国会で成立した改正金融商品取引法において、証券会社や運用会社などがインサイダー取引に関与した場合の罰則が強化されています。実際の施行は、公布後1年以内となりますが、昨年発覚した増資インサイダー事件では、次のようなことが問題となりました。

●インサイダー情報を提供したものを罰する規制は、現行のインサイダー取引規制にありませんでした。しかし、増資インサイダー事件で明らかになったように、インサイダー情報を伝えることで自らの取引を有利に行うことは、市場仲介者としての証券会社に許されることではありません。
●インサイダー取引をファンドの運用業者が行った場合、課徴金などの金額が一般の課徴金額に比べて著しく低く感じた方が多かったと思います。これは、一般のインサイダー取引による課徴金が実際の売買による最大限の利益を想定したものであるのに対し、運用業者がおこなった場合は、信託報酬の増加部分など運用者としての経済的メリットの増加を想定したものでした。(運用業者などによる“他人の計算”において行うインサイダー取引というような言い方をします。一般には、自分の資金で行うので“自己の計算”です。)

 その為、以下の規制強化が証券会社や運用業者に対して行われます。
●上場会社や証券会社の役職員が、他人に対してインサイダー取引を行わせる目的で、インサイダー情報を伝えたり取引推奨を行うことを禁じました。実際にインサイダー取引が行われた場合は、刑事罰や課徴金の対象となります。特に証券会社が関与した場合、関係した役社員の氏名が公表されます。
●運用業者が、“他人の計算”でインサイダー取引を行った場合、課徴金額は運用報酬の3月分に強化されます。また、インサイダー取引や相場操縦行為を繰り返しておこなった場合や、取引上の立場を利用してインサイダー情報を要求した場合、関係した役社員の氏名が公表されます。

証券会社や運用業者に対する規制強化は、増資インサイダー事件の発覚が契機になりましたが、最近は次のようなケースで、中堅以下の証券会社などが関与するケースも増えています。
・TOBの公開買付代理人を引き受ける場合
・第三者割当増資の発行価格算定や実際の受け渡しに、ファイナンシャル・アドバイザーとして関与する場合
・ライツ・オファリングのアドバイザーを務める場合
・自ら新株予約権の引き受けてとなる場合
・主要株主などの持分比率の変化の可能性のある貸株契約などの仲介を行う場合

いずれの場合も、取得した情報に対して、自己売買や営業部門との情報隔壁を厳格に守り、インサイダー情報として厳格に管理することが、証券会社として求められるのは、改正前の今でも当然のことです。

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最近の個人投資家デリバティブ取引
外為市場では、個人のFX取引の影響が大きいと言われていますが、昨年11月から始まった円高修正局面において取引が増加を続け、月間の取引金額が2カ月連続で史上最高を更新しています。

 ・5月の店頭FX取引金額は、457兆円でした。
 ・円を売って外貨を取得するポジション(外貨買いから外貨売りを差し引いたもの、所謂円キャリートレード)は、5月末の時点で3兆円を超え、これも最高額でした。
 ・豪ドルも、買いポジションが積み上がり続けているようです。
 ・ユーロは、2ヵ月連続で若干の売り越しとなっています。
(金融先物取引業協会、統計資料より)

 市場予想は専門家の方々にお任せするとして、最近はこの個人FX取引の円売りポジションの大きさが材料になっていて、100円以上のFX取引におけるドル買いポジションが、ドル円における重石になっているのではとの推測がなされています。

 一方、株式関係のデリバティブ取引における個人の動向は、基本的には余り変化(個人の取引ジェア等)はありません。しかし、最近の株式市場の調整局面においては、証拠金引上げ(市場の変動率拡大に伴う)などから若干取引シェアを落としています。

また、有価証券オプションにおけるプット取引において、個人がシェアを拡大していますが、アベノミクスによる上昇局面では、プットの売り(売る権利を売るので、強気のリスクテイクと見られます)ポジションが増えていました。加えて、調整色が強かった6月2週においては、昨年1年間のプットの買い(株価の下落に備える目的)に匹敵する取引がなされています。株価変動の大きい現在のような市場環境において、個人投資家もオプション利用が進むかも知れません。

☆最近の個人投資家デリバティブ取引

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

個人の金融資産と海外投資の概要
 アベノミクスが個人の投資にどの様な影響を与えたか、今後様々な検証がされることと思いますが、第1ラウンド(多分昨年12月から本年5月)まででの影響について、いくつか触れておきたいと思います。

 6月19日に公表された日銀資金循環統計速報版では、個人金融資産において久しぶりに現預金が減少しました。本年3月末の数値は、848兆円で昨年12月末に比べ6兆円の減少となっています。これが、アベノミクスによる成長戦略に期待した個人のリスクテイクの兆しとなることを期待しています。リスク資産の本年第1四半期の変化をみれば、債券は変わりませんでしたが、投資信託が10兆円・株式などが18兆円の増加となっており、株式市場の上昇を反映したものとなっています。ただし、それでも、欧米の個人リスク資産の状況からみると、個人の金融資産全体の14%程度と相当低い水準(米国の54.1%、ユーロ圏の28.6%)です。逆に考えれば、それだけ個人の投資について“のびしろ”があるということかも知れません、

一方、個人の海外投資に関して、全体では外貨資産が3月末で37.9兆円と3ヵ月間で1.5兆円増加しています。その内訳は、外貨建投信が2.5兆円の増加となったものの、外貨建証券は1兆円減少しており、主に個人の外債投資などの利食い売りが出たようです。アベノミクスにより、個人のリスク資産投資が増え、その中で海外投資も増加していくのが理想ですが、成長戦略に対する評価が定まるには少し時間がかかるようで、相場の第2ラウントを待つ必要がありそうです。

☆個人の金融資産と海外投資動向

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

IFRSは何が問題だったのか~ディスクロージャーのルールとして
 気付いてみれば、IFRS(国際会計基準:国際財務報告基準とも言われていたが、経団連の最近の報告書ではこの名称)は一体なんだったのかという思いに囚われる上場企業関係者は多いのかも知れません。
一般的なIFRSのイメージは、時価会計の徹底や企業の価値をフェアバリュー(公正価値)で測れるので、企業価値が解り易くなるというものでした。この基準の導入により、グローバルな投資家の投資判断を容易にし、クロスボーダーのM&Aを一層促すことが期待されましたが、結局、世界統一会計ルールIFRSというのは幻想だったかもしれません。

 このIFRSは、もともとは欧州発の会計基準で、グローバルの会計基準を統一しようと欧州が中心になって米国や日本に働きかけたところは、地球温暖化措置を目的とした排出量取引と、どうしてもダブってしまいます。真摯に議論されておられる関係者には、お叱りをうけるかも知れません。IFRSは、基本的な考え方に基づいて、その実務仕様を米国などが導入しやすいように議論と交渉を重ねながら進んできましたが、このプロセスも何やらTPP交渉と重なって見えます。適用除外項目を挙げて、各国との公表に望むという方法は、その国の企業などの立場を守るとうことでは正しいのでしょうが、導入目的からは如何なのでしょうか。もっとも、IFRS側でも仕様を変更したり、40以上もある検討項目の中で、各国の利害調整から実務検討が停滞しているものもあるようです。会計制度は、経済実態の変化に合わせて変わっていく可能性もあることは、リーマンショック後の経済環境の悪化の中では仕方ないことかも知れません。

 先ず、市場(上場企業と投資家)からみたIFRS問題の概要を、企業のディスクロージャーという視点から簡単に見てみたいと思います。

◎日本の会計基準も、IFRSの要素を取り込んで、相当にIFRSに近いものに変更してきている。
(【コンバージェンス】=完全にIFRSと同一基準ではないが、IFRS側が認める範囲で日本基準がIFRSと共通化されている)
◎IFRSは、ディスクロージャーされるのが連結財務諸のみで、単体の個別財務諸表は各国会計基準による開示。
◎上場企業が任意でIFRS基準利用の決算を行うことを、2010年3月期から金融庁は認めているが、現在、今度の導入は予定も含めてJTや住友商事など22社(経団連調べ)で、その他に約60社が検討している。
◎日本の経済実態に合わない項目を除外した日本版IFRSの導入・強制適用を目指すことも検討されている。実際、IFRS導入83ヵ国において43ヵ国がこの方式。(経団連調べ)
◎米国基準を利用する上場企業もトヨタ自動車や野村など32社と増えている。(経済産業省調べ)2002年からは米国市場に上場していなくても、米国式連結財務諸表を日本での有価証券報告書に含めることが認められている。

つまり、上場企業の会計基準としては、日本基準・IFRS・米国基準に加え日本版IFRSと4つが併在していく可能性があります 会計基準の統一化の為のステップでしょうが、余り好ましい状況ではないようにも思います。

また、IFRSはあくまでも過去の数値で企業実態を把握する目的ですが、今後どのような変化の可能性があるのか探る為には、誰とどの様な競争をしているのか、解り易い開示が求められるように思います。これは、会計制度ではなく開示制度の問題でしょうが、せめて企業が自発的に行う取引所開示などで利用する決算短信には、競争の目的や実態を積極的に開示して欲しいと思います。出来れば、業界内の同じような基準で。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

IPO初値は高ければ良いのか
 最近のIPO(新規株式公開)において、上場初値が公開価格の3~4倍の値段がつくケースが出ており、市場全体の大幅調整局面とは相対的にIPOの活況が伝えられています。勿論、株式であっても農水産物でも、初値(初セリ)に高値が付くことは取引が活況な事を示す訳ですから、明るいニュースであります。しかし、資本市場の機能から見てこの好ましい状況なのかについて、少し考えてみたいと思います。

 【メリット・デメリットについて】
・最もメリットを受けるのは、IPO株の割当てを受けた投資家です。IPOで払込んだ資金が、ごく短期間で2倍、3倍になるのですから通常の株式投資とは異なる利益を得る結果となります。しかし、この様な状況が続けば、過去にはリクルート事件など不正な取引に利用されたこともありますし、世間的注目は未公開株詐欺(IPOが近いという)の背景とされることもあります。
・初値が高すぎると、その企業の成長が伴わなければ、短期的な上昇と取引増大、その後の株価下落と取引低迷の長期化となり、結果として投資家の新興企業離れの遠因となることもあります。

 【市場機能として】
・市場の機能の中心は、流動性の付与と価格発見機能ですが、新興企業をデビューさせる公開価格がそもそも正しかったかという疑問が生じます。理想的には、正しい値付け(公開価格)がされて、その後、企業の成長や注目度の向上から株価が長期的上昇トレンドに入ることですが、改めてIPO株がどの様に値付けされているか見直してみたいと思います。

新規公開株式の値付けプロセス
(日本証券業協会資料より)

 実は、最近のボラティリティの高い日本株全体の動きが、一時のIPO株の株価推移パターンと少しダブって見えました。一時的な急騰と出来高急増、その後の大幅な株価調整。その後の取引低迷になるかどうかは、日本企業の成長力次第でしょうが、“日本株再IPO”(国内外投資家の再評価という意味ですが)として国内外の投資家の期待が再び高まることを期待しています。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

地域における資本調達を促す仕組みの可能性
 前回は、アベノミクスの成長戦略として“新規・成長産業等へのリスクマネー供給を増加させる”仕組み(法制度の変更)が、現在、金融審議会で議論されていることをお伝えしましたが、その検討の中核になっています“地域における資本調達を促す仕組み”について、少しコメントしたいと思います。
 先ず、この仕組みの構成要素から簡単に見直したいと思います。

【対象】成長企業
【リスクマネー供給方法】株式や新株予約権付社債(CB)、優先株などの資本性の投資による
【投資家】企業の成長段階に応じて、リスクマネーを供給する為の中核となる投資家は異なると見られる。
・起業、立ち上げ時=政府系金融機関や地域金融機関などの“地域活性化ファンド”による投資、地方公共団体による助成金若しくは投資支援
・早期成長時期=地域ベンチャーファンド、年金や生保などのベンチャー投資、個人のエンジェル投資など
・成長持続期=その他ベンチャーファンドなどによる追加投資、IPO(新規株式公開)を期待した取引先や関係者などの投資、その他機関投資家などの投資
【利用が想定される仕組み】
 地域ベンチャー企業投資の推進策、ベンチャーファンド間の情報共有システムの構築、政府系機関によるベンチャー企業の技術評価支援、グリーンシート市場の改良、プロ市場利用促進
【投資の出口】
・IPO(新規株式公開)
・M&A
・グリーンシート市場での公開
・TOKYO PRO Market(プロ市場)への上場
・経営者等による買戻し=経営が軌道にのり内部留保が積み上がった段階での自社株買いなどを想定
【政策支援】
・ベンチャー投資推進=経済産業省
・地域活性化策=総務省、内閣府
・地域金融機関や地方証券会社が参加する地方に重心を置いた資本市場機能作り⇒金融庁

 複数の政策支援が本件に関わってきますので、必然的に関係者も多くなりますが、投資という視点でみますと以下のストーリーに纏まるのではと思われます。

 ベンチャー企業の内容を一番わかっているのは、その取引先であり地元金融機関なので、彼等を何らかの形で地元ベンチャー企業への投資に参加させる。しかし、ベンチャー企業が特殊な技術やビジネスモデルを持つ場合、将来性や企業価値が分かり難いので、その評価を政府系の評価機関がサポートする。
 また、ベンチャーファンド間や機関投資家などで、ベンチャー企業への投資情報が共有されれば、ベンチャー投資も活発化する可能性があるので、このベンチャー企業投資情報フラットフォーム機能は政府系機関の運用もとで充実させいく。
 ただし、ベンチャー投資で最も重要なことは、出口戦略(EXIT)をどう想定していくかという事なので、最終的目標をIPOに置いて、途中段階でのM&Aやグリーンシート市場・プロ市場の活用を容易にする為の制度改正や支援策を検討する。

 言い換えると、地方のベンチャー企業と密接な関係にある地域金融機関や地方証券会社において、M&Aやグリーンシート市場・プロ市場対応やIPO支援などの専門性の高い業務を行っていく為、それぞれの場面において専門家との関係構築(ネットワーク化)が望まれますが、そのインセンティブとして、規制緩和策など支援政策が期待されるのでないでしょうか。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

資本市場改革はアベノミクスに貢献できるのか
 アベノミクスの3本目の矢が出揃ってところで、市場はある程度調整するのではと市場関係者が予想していた事でしょうが、まさかこれほどの荒い値動きになるとは多くの方々の想定外の動きとなっています。
まるで新興国市場の値動きを見ているようで、つい比較的落ち着いている米国市場を羨望してしまいますが、日本が再生するための成長への期待とその反動と思えば、改めて足元の成長戦略を見直すという事ではないでしょうか。
 その成長戦略において、資本市場の役割は“新規・成長産業等へのリスクマネー供給を増加させる”ということですが、その為の新たな施策・既存制度の改正に関して、現在金融審議会において議論されており、来年の通常国会での改正金融商品取引法の成立を目指しています。
 簡単に言い切りますと、新規事業などの立上げや成長企業のファイナス(資金調達)を行い易くしようとの方向性です。以下、現在検討されている事項について簡単にコメントします。

【金融仲介業者の活用(クラウド・ファンディング)】
 現状でもインターネットを利用した資金集めとしてクラウド・ファンディングは行われています。しかし、それは投資ではなく寄附行為に近いものです。例えば、音楽のイベント、スマフォのアプリ作り、地域特産食品の製造支援などでしたが、一時的には東日本大震災後の被災企業支援などにも使われました。
 この仕組みを、新規事業や成長企業への投資にどう結びつけるかが問題となります。現在、個人の投資は、証券会社などの金融商品取引業者を通じて行われますが、この現行制度の枠組みを利用して個人投資家の投資リスクを制限しながら、成長性の高い成長企業への投資に結びつけていく事が課題となります。

【地域における資本調達を促す仕組み】
 現在、一般の個人投資家が投資可能な未公開市場としてグリーンシート市場がありますが、この市場は日本証券業協会ルールのもとに運営されているものの、資本市場として機能しているとは言い難い状況です。つまり、この市場の銘柄を取り扱う証券会社数が極端(実質的に2社程度)に少なく、取引も少ない状況なので、市場の価格発見機能に疑問符がつきます。その為、上場している企業のファイナンスなども実質的に難しい状況です。
この市場改革を兼ねて、新たに地方証券会社や地域金融機関などを市場仲介者とし、彼らの地元にある企業の株式の換金の場や、地元投資家を前提としたファイナンスを可能とする市場に、グリーンシート市場を変えていくことが検討されます。簡単に言いますと、地域証券を使って、地域の未公開企業の株式売買や資金調達を可能とする仕組み作りです。

 以上の2つが資本市場のアベノミクス対策としては重要なのですが、以下のことも改正していくべきこととしています。(※筆者の感想は、現行制度の技術的な手直し)

【新規株式公開における事務負担の軽減】
 現在では最低2年間の監査済み財務諸表が必要ですが、これを新興企業に限り1年分としたり、内部統制報告書提出義務を上場後も一定期間免除することが検討されており、これにより監査法人にかかるコストや開示負担が軽くなることが予想されます。

【新規株式公開時の株主規準の見直し】
 例えばマザーズなら上場時に300名以上の株主となることとされていますが、現在は同基準に合わせて上場時公募増資などで株主作りを行っています。この基準が下がることで、より小型の成長企業も上場することが可能となることが想定されています。

【上場企業の資金調達に係る期間の短縮】
 現行は、ファイナンスの決議を行い、募集するために有価証券届出書を提出しますが、7日経過後から投資家からへの勧誘行為が可能となります。これを短縮することついて、筆者としては個人投資家を相手に募集するのであれば、ファイナンス内容の周知徹底が必要なので余り意味を感じません。むしろ、発行登録制度の利用基準を下げて、多くの上場企業が正式なファイナス内容決定以前に、募集活動を行い易くする方が公募ファイナンスの利用拡大につながるように思います。

【有価証券届出書提出前の勧誘的な活動に係る整理】
 現行制度は有価証券届出書提出前には勧誘行為が出来ない仕組みになっています。しかし、引き受ける証券会社からみると、この公募株はいったいいくら販売可能か市場ニーズの調査を行いたいと要望があるようです。これに対しては、前文節で説明しましたのと同様に発行登録制度を活用すべきではないかというのが筆者の考えです。

【大量保有報告制度の見直し】
 例えば現行制度では対象となる自社株取得を除外することや、個人の場合の記載情報の見直しが検討されそうです。

【虚偽記載等に係る賠償責任】
 無過失責任議論は、東電の原子力事故を背景に盛んになっていますが、ちょっとした(?)虚偽記載(例えば子会社の時価評価ミスや課税処理忘れなど)で、市場で売買している投資家などから損害賠償責任(無過失責任として)を負うべきかという企業側の論点があります。企業としては、内部統制報告など開示負担に耐えているのに、投資家保護名目としても厳しすぎるのではというところでしょうか。

 何れにせよ、成長戦略に相応しい市場の成長や変革を促す改正がなされることを期待しています。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

改めてプロ市場の機能を考える
 6月4日、プロ投資家向け市場「TOKYO PRO Market」に4社目の上場となる“碧”が上場しました。同社は、沖縄県などでステーキ店を展開していますが、2~3年後に東証マザーズへの上場も目指す経営者のコメントも伝えられています。この銘柄の上場は、証券会社以外で初めて上場審査を行った株式会社OKINAWA J―Adviser(沖縄県産業振興公社などが出資)の件でも注目されますが、このことは別の機会にふれるとして、改めてプロ市場の機能について考えたいと思います。

 証券取引法が、現在の金融商品取引法に替わる時(2007年9月末施行)、資本市場関連ではファンド関連(集団投資スキーム)が整備され、市場に関連した業者も基本的には参入が緩和方向でした。プロの投資家(特定投資家)に限ったプロ市場の開設もこの時に認められましたが、実際の市場開設は2009年6月に東証がロンドン取引所との合弁(2012年3月に合弁解消で東証の100%子会社の取引所)でTOKYO AIM(現在のTOKYO PRO Market)を設立し、2011年7月にメビオファームが初めて上場されています。同市場のお手本となったのは、ロンドン証券取引所の新興市場AIM(Alternative Investment Market)ですが、新興企業に不足しているディスクロージャー態勢をサポートしたり、流動性(上場後の売買)の向上の為の仕組みなどが工夫されています。

☆TOKYO PRO Marketの基本構造と機能、プロ投資家

 先ず、このプロ市場の参加者ついて簡単に説明しますと、通常のプロと呼ばれる運用会社や金融機関などの適格機関投資家だけではなく、法人や金融資産を3億円以上保有する個人も、証券会社に申し出ればプロとして認定され、プロ市場で売買することが可能です。勿論、プロ市場に上場する企業の個人株主は、売却注文を出す事も出来ます。

 次に、プロ市場の基本構造は、通常の新興市場などに比べ、上場企業のディスクロージャー負担が軽くなっており、成長企業などが早期の上場を目指すことが可能です。その為に、プロ市場機能を支える仕組みが準備されており、上場企業を上場準備や上場後のディスクロージャーをサポートするJ-Adviserと、流動性供給に努める流動性プロバイダーが制度化されています。

 最後に、プロ市場の機能についてですが、基本的には一般投資家が参加可能な新興市場と同様です。つまり、価格発見機能・流動性の確保・ファイナンスなどの企業の資本調達ニーズへの対応・企業情報の獲得などですが、プロ市場に上場した企業が、次にどのようなステップアップで成長していくか示すことも重要なことだと考えます。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード