*All archives* |  *Admin*

2013/07
<< 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
発行市場を振り返って~ファイナンスも進化するか
 約1年前に、公募増資インサイダー問題の余韻も残っていた時期でしたが、発行市場に携わるものとして、公募のエクイティ・ファイアンスに対して以下の提言をさせていただきました。

 ☆公募エクイティ・ファイナンスに対する提言~公募増資を売り材料としない発行市場改革を

簡単に言いますと、公募ファイナスの公募足るや何か、証券会社・発行会社・行政それぞれの立場で今一度見直していただけませんかという事でした。
 それから1年が経ち、公募エクイティ・ファイナンスがどの様な状況かについて、簡単にコメントしておきます。

○公募ファイナス案件が増加しています。
公募増資については、金融危機以降は毎年40~50件程度でしたが、今年の2月以降増加傾向を強め、1月から7月(26日まで)に既に60社が公募増資を行っています。また、その中でJ―REITの公募が18社を占めて、大きく目立っています。

○CB(新株予約権付社債)の発行も増加しています
公募CBは、今年に入って16件発行されていますが、うち11件が海外公募で、海外投資家向けに発行されています。中には、岩手銀行のようにシンガポール市場に上場されるスキームもあります。国内公募については、上場問題や格付け取得が前提としてあり、個人投資家にも上場要件(投資数)の問題から販売しなければなりません。

○ライツ・オファリングが利用されるようになってきました。
昨年10月のADワークス以降、今まで10社のライツ・オファリングが実施され、証券会社における取扱い実務も定着してきました。残った分を証券会社が再販するコミットメント型もIRジャパンが行いました。増資内容については、通常の設備投資目的から、再生型やM&A資金獲得型まで様々な事例があり、概ね9割以上が行使されていますが、ファイナンス手法としての評価はまだ定まっていません。

○希薄化に関しては、配慮されている事例が増えました。
公募ファイナンス(公募増資・CB)の希薄化率を見ますと、概ね10%台に収まるケースが多くなっています。

○証券会社向けMSワラントの発行が目立ち始めています。
公募ファイアンスではありませんが、5月以降バイオ企業などを中心にMSワラント(行使価格を時価の90%程度まで下方に修正するもの)の発行が増え、4月以降12社が発行決議を行っています。MSワラントは、市場取引との裁定を前提にしたファイアンス手法とも言えますが、既存株主などへの配慮は十分に行うべきです。
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

IPO増加を阻害するもの
IPO(新規株式公開)が増加しています。本年は既に26社が上場若しくは上場予定が公表されており、昨年の46社を超え60~70社程度のIPO企業数に達するのではと市場関係者の予想が出ています。IPOの数は、経済環境や市況に影響されます。経済環境は新規上場の企業数で市場へのIPO企業供給力、市況は投資家の投資ニーズの需要の大きさ、それぞれに影響を及ぼしますので、ある意味で経済力回復のバロメーターのように捉えられることもあります。
 IPOを通じて、新興企業群に成長のためのリスクマネーを供給する市場機能を考えるなら、当然IPOは多い方が良いということです。しかし、最近はIPOが増加したといっても、2000年代前半のように年間IPO数100~200社という水準には遠く及びません。

IPOの増加を阻害する要因について、以下に整理しておきたいと思います。

【一般的要因】
●経済環境の悪化による企業側の成長力不足
●市況環境悪化によるIPO投資需要の縮小

【政策的要因】
●市場へのIPO供給過多を意識して、金融当局が意識的に取引所・引受証券などの上場審査・引受審査などの厳格化を求める場合
※最近は、金融危機直後の中国市場で一時的に行われましたが、日本の現状は、むしろアベノミクスの成長戦略でIPO数を増加させ、新興企業へのリスクマネー供給を増加させる方向にあります。

以下は、IPOを希望しそれが可能な企業において、IPOを思いとどまさせる要因です
【企業経営者、主要株主側の要因】
●主幹事証券などから示されるIPO時の想定株価が低い場合
●主要な株主が、IPOタイミングに関して反対する場合(時期、価格に不満)

【上場関係者、特に引受証券会社の要因】
●IPOのサポートする監査法人や引受証券会社が不足する場合
※現在、監査法人不足はなく、IPOに関してはむしろ会計事務所系コンサルティングが市場誘導業務(上場までのサポート)を積極的に行っています。最近の問題は、主幹事業務を行う証券会社数が実質的に十数社に減少していることです。嘗ては30社程度あったIPO主幹事機能ですが、金融危機を経て、IPO数も急減し、市況もアベノミクス相場以前は悪かったことから関連部署がリストラの対象になりました。
結果、IPO主幹事に機能を持つ証券会社数が減少したことから、想定される時価総額が小さいものは、IPOサポートが後回しになっている可能性が出始めているように思われます。
なお、主幹業務については、5億円以上の資本金がある証券会社であれば可能となっていますが、専門性が高い業務なので、専門部署(公開審査部など)が必要というのが従来の考え方でした。しかし、会計事務所や外部のコンサルを利用することで、引受証券としての専門性を維持することも、現在は可能ではないかと考えます。

 IPOを増やすために、それを取り扱う主幹事証券会社が増えることも、新興企業へのリスクマネー供給を促す重要な施策ではないでしょうか。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

地域版資本市場モデルとして~ある市民参加型ソーラーファンドの取組み
 考え方として、新興企業などへのリスクマネー供給は、その事業を目で見ることができ、経営者などのも知っている身近な人達が行うという考え方があります。同じ地域に住んでいれば、事業の実態も経営者の能力も解り易いという訳ですが、例えば地方の放送局や新聞社、バス会社やガス会社など地域社会のインフラを担う企業の株式(未公開企業)が、地元の人々の間で売買されることがあります。
以前は、このような地元有力企業の株式を売買について、証券会社が関与(媒介など)して時もありますが、嘗ての店頭取引市場がジャスダックといった取引所取引扱いになったり、グリーンシート制度で自主規制ルールが定められたことにより、それ以外の未公開株が事実上扱いにくくなりました。それ故、今では証券会社において、例え地元企業の株式といえども、未公開株に関与することは殆どありません。

 一方、地域の社会インフラ的な投資に対して、地元住民が投資と言う形を通じて参加する仕組みを、地域証券会社がアレンジするような新しい動きもあります。例えば、以下の様な市民参加型ソーラーファンドの取組みが、最近なされています。

☆地域内資金循環型の環境貢献と市民参加型ソーラーファンド

この市民参加型ソーラーファンドは、地域住民のお金・ソーラー事業行う地元企業・ファンドの組成や販売は地域証券と、関係者全てが地元で完結し、お金の流れも地域内を循環するということになります。加えて、地域のCO2を削減することで環境貢献も進みます。

 但し、このファンドは証券会社が通常取り扱う株式・債券や投信とは異なる事業ファンド(事業に投資する為のSPCなどを設立し投資を行う)で、金融商品取引法上は“みなし有価証券”として取り扱われており、第二種金融取引業の登録が必要になっています。この仕組みを集団投資スキームとして推進する為に、開示規制の掛からない私募の基準は有価証券の基準より緩やかになっており、500名未満が保有しなければ、私募として取り扱われます。その様な仕組みは、地域における中規模のメガソーラーやヘルセケア施設などの地域インフラ的な事業規模に適していますが、現在は地域証券の一部で、その取扱いが始まった段階です。
今後、地域証券会社の地域に密着したビジネスとして、その取扱い拡大が期待されます。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

株式市場の進化について
 一言でいうなら、インフラの充実と多様性ではないかと考えます。現在おきている日本の株式市場の進化について、以下のように主要項目別に見てみました。

【インフラ】
 言わずもがな取引の超高速化は進んでいますし、これからも進むでしょう。取引スピードで言いますと、ミリ秒単位のスピート競争(グローバルな取引所間)から既にマイクロ秒の競争に移行しているようです。
何故、このような競争が世界の取引所間でおきるかと言えば、各取引所によるグローバルな投資家の争奪ですが、背景としては指数やETFによって、各市場において似たよう投資対象が上場しやすくなっていることも大きく影響しています。

 また、取引スピートが上がれば当然取引関連情報の伝達スピードがアップします。その為、取引スピードを重視する投資家に対して、専用サーバーを取引所システムの近くに設置するコロケーションサービスが強化されてもいます。

 一方、これらの取引インフラ機能強化とは直接関係ない個人投資家に対して、超高速取引のHFTやコロケーションサービスを利用したアルゴリズム取引の状況をどの様に伝えるかが課題になっています。例えば、超高速で注文発注やその取り消しがされる銘柄に対して、専用ウェブ上でその注文状況の変化やその可能性について視覚的に見せる取組みが試験的に行われています。また、将来的にはHFT取引がどの程度のシェアを占めているか個別銘柄の情報開示が求められるかもしれません。これらは、取引参加者(投資家)の多様性を維持するために必要な対応になります。

【取引ルール】
 本年1月より信用取引の保証金利用緩和が行われ、同一の保証金を使って日中に複数回の信用取引を行うことが可能になっていますが、空売り規制の改正により、原則信用取引の売り下がり禁止が原則撤廃されます(本年11月目途)。これにより、個人投資家が利用する信用取引の利便性が向上し、信用取引の拡大や利用の多様化が図られるはずです。しかし、この問題を詰めて考えていきますと、信用取引は市場に注文を取り次ぐ証券会社が、投資家(主に個人)に対して、お金か株式を貸し、信用リスクを管理していくビジネスという事に思い至ります。株式を貸すためには貸株市場(制度信用の場合は、証券金融会社)より調達することになりますが、この株式調達力については証券会社間で相当の差があります。結果、個人投資家が信用取引を使って売る事が出来る銘柄数に差があるのが現状です。

 今後、信用取引機能の拡充や空売り規制改正の目的を考えていくなら、貸株市場(金融機関間の店頭市場)の情報をどう個人投資家レベルまで開示し、また個人投資家を主体とするネットやリテール証券が株式を調達しやすい仕組みができるかが課題になるように思います。

【上場の変化】
 世界各国の取引所動向でいいますと、多様なETFを上場させて内外の投資家売買を取組むというのが潮流になっています。勿論、自国の成長企業にリスクマネーを供給する為、上場企業数を増加させていくということは資本市場としての大命題です。しかし、通常の新規上場企業と異なり、企業内容審査などが必要ないETFは、始めから内外機関投資家の売買参加を想定したものが大半です。言い換えると、取引所にとっては、売買高が期待できる上場商品となります。日本市場では、東証・大証合わせても150銘柄程度ですが、欧米では1000を超える銘柄のETF(ETNを含む)が上場されています。逆に言いますと、日本市場ではETFに関してまだ伸び代があるとも言えますが、増加が期待される投資対象はグローバル投資やレバレッジ投資に関するものです。

【市場の裾野拡大の為に】
 長期的には影響の大きな問題なのですが、上記の3つに比べ市場関係者(証券会社や金融機関等)の動きは活発ではありません。例えば日本市場の裾野拡大として考えられるのは、地方取引所の新興市場、プロ市場、グルーンシート市場、ベンチャーファンド間の情報交換プラットフォームなどが考えられますが、個々の案件(ディール)の規模が小さい為、対応能力や組織的インフラを保有する証券会社や金融機関では逆に出がけ難いのが現状です。これを活性化するためには、小規模な専業者の参入を認めたり地方証券会社の参加ルールを緩和すること、裾野拡大のインフラコストを業界全体で負担する仕組みを作ること、などが考えかれますが、一方投資家として参加する個人の場合は、リスクを限定するような仕組みも必要です。

☆株式市場の進化について

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

本年前半の世界の株式市場~海外からみたアベノミクスの影響は
 今年も、もう半年が過ぎましたが、世界の株式市場の中で日本市場はどう変化しているかということを、取引面で見直してみます。

 先ず、本年前半の世界の株式市場は、前年同期(2012年1~6月)に比べ売買金額が5%増加(米ドルベース)しています。地域別の内訳をみますと、アジア・太平洋地域が日本・中国本土を中心に32.2%増加していますが、南北アメリカは6.1%減少し、欧州・中東なども同率の減少となっています。
 各取引所別では、東証が89.34%、ジャスダックを含む大証が157.4%とアベノミクスの影響で取引高が膨らんでおり、世界市場での日本株取引割合が13.0%まで上昇しています。(※昨年11月時点(月間)での、世界市場に於ける日本株売買は金額ベースで7.9%)

 一方、時価総額ベースでは米国市場の堅調さや中国市場の下落を示すものになっています。6月末の時価総額は世界全体では56兆1061億ドルと1年前より12.4%の増加ですが、個別にみるとNY市場が20%、ナスダックが17.4%、東証が18.9%の増加ですが、上海は5.5%の減少となっています。欧州債務危機の再燃不安が払拭されない欧州も、意外に堅調で各国2割前後の増加なので、先進国市場が現在の市況をリートしていることが分かります。

 また、海外企業の上場数が少ないというのも東証の特徴になっていますが、今後の規制改革等で伸び代が有る部分という見方も出来ます。

☆2013年前半の世界の株式市場

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

グリーンシート市場の失敗から学ぶ教訓
 個人のレベルでは、失敗から学ぶことが大きいという事を誰しもが否定しませんが、企業や組織は現実的になかなか難しいことも多いようです。
 現在、今後の日本市場に関する法規制などの改正を議論する金融審議会(金融庁)では、アベノミクスの成長戦略に沿った“新規・成長企業へのリスクマネーの供給促進策”として、
◎インターネットを通じた資本調達の枠組み=クラウドファンディング
◎地域内での資本調達の枠組み=新グリーンシート市場
が、検討されています。これらの制度整備に期待したいのですが、新しくなるグリーンシート市場が、現在のグリーンシートから何を学ぶべきか考えていただく為、現在のグリーンシート市場の失敗について、一般的な視点から語りたいと思います。

 市場を構成する主な要素は、投資家・上場企業・売買を仲介する証券会社の3つですが、現在のグリーンシート市場は、彼らにとって次の点が問題となります。

【投資家】
・同市場に上場されている企業の情報を取得することは、TDネットや日本証券業協会が運営する専用サイトで、ある程度可能だが、普通の証券会社では売買出来ません。
・売買がなかなか成立しなく、また気配値の適正さも分かり難い。
【上場会社】
・一般の取引所上場企業ほどでないにしても、毎期の監査証明など上場費用が相応にかかるが、同市場を使ってのファイナスなどは殆ど困難となっています。
・現状では、同市場が次のステップアップ(取引所上場)を狙える成長市場といったイメージがありません。
【証券会社】
・ごく一部の証券会社を除いて、同市場への関与はメリットがないと思われています。その最大の理由は、証券会社として同市場関与でかかるコストと同市場から受けるメリットのアンバランスが大きいことです。
つまり、同市場銘柄を扱うには社内である程度の審査を行うことが求められ、更に一定期間内の売買呼値公表義務を負わされます(協会ルール)。

グリーンシートの問題については、同市場を運営する日本証券業協会において既に2度ほど検討され、報告書も作成されていますが、同議論に参加された関係者等のコメントからは、一から作り直した方が良いとのイメージを受けます。
もし、新しいグリーンシート市場をつくろうとするなら、前記の失敗(問題点)を活かして、以下の様な取組みがなされることを期待しています。

【投資家】
○普通の証券会社で売買が可能なように、証券会社の取扱ルールを変える。
○投資家が適正な株価を判断しやすいように、株価算定について、取引所側が一定の情報を提供する。
【上場会社】
○現在のグリーンシートより、上場企業が負う実質的な開示負担が少ないよう同市場の開示ルールを変える。
○ファイナスが可能なように、仲介する証券会社サイドの取扱いルールを変える。
○プロ市場や新興市場にステップアップしやすいよう、新しいグリーンシート市場を経由した場合の上場準備に対して何らかの軽減措置を与える。
【証券会社】
○現在のグリーンシート市場で求められる証券会社としての機能の一部を、市場運営側が負担することで証券会社の負担を減じる。
○ファイナス、M&A、ステップアップ上場に証券会社が対応しやすいよう業界ルールを変更する。

以上を纏めますと、市場運営側で上場会社や証券会社が現在負っている負担の一部を代替し、証券会社の取扱いルールを緩和方向に変えるという事になると思います。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

ファイナンスの季節に、改めてその役割を考える
 公募ファイナス(公募増資やCB(新株予約権付社債)などで、一般の投資家から資金調達する)は、7月に増加する傾向があります。7月に入って8日までに、公募増資が7社、CBが1社の発行決議をしていますが、特に公募増資は、1000億円以上を調達する大型ファイナンスが、電通・大和ハウス・オリンパスと続いています。何故、7月に公募ファイナスが多いかというと、次の様な実務的な要因があるように思います。

・3月期決算企業は、1~3月に次年度の事業計画を纏めますが、同時に資本政策や資金調達計画が策定されます。
・3月期決算企業は、その後、本決算発表・株主総会と重要なイベントをこなしていきますが、資本政策を株主より授権(会社法上、株主より任されているという意味です)されている取締役会としては、株主総会直後が最も決議しやすい時期となります。
・公募ファイナンスを行う為には、直前の企業情報を投資家に示す必要がありますが、3月期決算企業では6月下旬の株主総会後、前年度の有価証券報告書が提出され、この情報をもとに投資家への開示が行われます。
・また、公募ファイナスを引受ける証券会社の引受審査では、この情報をベースに引受判断が行われます。
以上から、7月は公募ファイナンスが増加する傾向があります。

 公募ファイナンスによる資金調達は、直接は既存株主に希薄化をもたらしますが、調達した資金が新たな事業に投資され企業価値を高めるのであれば、既存株主も当該企業の株式保有を継続し、新たに投資する投資家も増えます。問題は、既存株主・投資家にとって、このファイナンスが企業価値を高めるかどうか判断可能な情報提供がされているかです。目論見書が既存株主やその企業に関心ある全ての投資家に配られる訳ではないので、ファイナンス決議時の記者発表文における記載内容が重要になってきます。

 今年は、公募ファイナスが増加しており、年初から公募増資では53社(うちJ-REITが16社)、CBは16社(7月8日までの発行決議状況)が発行決議していますが、昨年1年間の49社(うち、J-REITは11社:日本証券業協会調べ)を既に超えています。このことは、日本市場が回復して発行市場機能が有効に働いているので、好ましいことです。しかし、供給が過多になれば、どの様な市場でも崩れてしまうでしょう。バブル期の1989年、金融危機直後の2009年、日本市場の公募増資額は、いずれも5兆円を超えました。その結果、損失補填や増資インサイダーなどの問題も表出しました。せっかく増加した企業に資金調達ニーズが、市場に良い効果を及ぼすためにも新たな投資ニーズの拡大が重要で、その為に市場仲介者である証券会社の役割は大きいものです。

普段、一般の投資家が余り気付かない引受証券会社の役割として、次の2例を上げておきます。

 昨年末から、J-REITの公募増資が増えており、不動産投資の活発化の為に好ましいことです。ただ、現状のJ-REITは、一般の上場会社と違って増資情報はインサイダー情報になっていません。先の通常国会で成立した改正金商法では、改めてJ-REITの増資情報をインサイダー情報としますが、これは来年以降の施行です。それでは、増資インサイダーなどのように公募増資に絡んで不公正な取引がされないかどうかですが、J-REITの公募増資を引き受ける証券会社では、株価審査といって関係者の売買や価格形成に問題がなかどうかの確認を行います。

 2つ目の役割は、新しい投資家の発掘です。例えばオリンパスの今回の公募増資の様に、海外で全て募集を行う公募増資であっても、その影響は既存株主や国内の投資家にも及びます。海外募集のみを選択した理由が公表されていなのでの、分からない部分もありますが、海外の投資家のオリンパスに対する投資ニーズが強いことを発行者に薦めた結果です。今回の資金使途に見合って、中長期の投資家を発掘することが海外主幹事証券にも求められます。また、金融商品取引法は国内ルールではありますが、1昨年から導入されている空売りした投資家(日本株貸株市場で株式を調達して、市場で売却する)に対して、公募株が割当てられないルールの遵守なども、主幹事証券の責任において行われることです。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

クラウドファンディングが資本市場の機能を果たす為に
 最近は、クラウドファンディングの事を聞かれることが増えましたが、今あるクラウドファンディングとアベノミクスの成長戦略で目指すクラウドファンディングは全く異なります。勿論、インターネットを利用して、不特定多数から広く事業資金を集めるということは同じです。しかし、大きく違うのはクラウドファンディングでお金を提供する個人の目的で、現状のものは寄附や支援ですが、成長戦略で期待されるのは投資に繋がるものです。つまり、寄附や支援と、投資の違いを説明することになりますが、寄附や支援の定義はさておき、個人が投資を行う場合には、投資期待と投資リスクの理解が必要になります。

例えば、クラウドファンディング専用サイト(※今はルールを作りところなので、投資の為のクラウドファンディング・サイトは有りません)で紹介されているネット事業を行うA社に10万円投資したのが、将来成長して100万円になるかも知れないと思うのが投資期待で、A社の事業は評価が高いものの競争相手も多く、何割の確率で失敗するかも知れないと考えるが投資リスクになります。

 インターネットを使って情報を流し、広く資金を募るのは現状のクラウドファンディングでも同じなので、第一の命題は、今のクラウドファンディングの情報提供の仕組みでダメなのかということですが、言い換えると、寄附や支援を募る情報の提供とニーズの集め方と、投資を行う為の情報の流し方が違うのかということになります。現状は大きく違います。
投資に関する情報提供については、今は金融商品取引法に定められた開示ルールになりますが、これだと有価証券届出書制度という企業にとって負担の重いディスクロージャーです。IPOを準備するまで成長した企業なら、これらの開示負担に耐え新規上場にトライするでしょうが、それ以前では、監査法人の費用も難しい企業規模です。
現在のクラウドファンディングの情報提供のあり方を、少なくとも個人が投資期待と投資リスクをある程度判断可能な水準まで高めるには、何が最低限求められるべきかという議論が必要です。

 二つ目の命題は、どうやってクラウドファンディグで投資したもののリスク管理を行うがという事です。
通常の株式投資においてもリスクはありますが、クラウドファディングを行う新興企業は、その何倍も破綻したり事業が失敗する可能性が高い訳ですから、個人が担うリスク負担は個人レベルで限定されるべきです。例えば、金融機関に預かっている金融資産の10分の1以下か100万円のどちらか小さい金額を、個人がクラウドファンディングで応じられる限界にして、個人にとってのリスクを制限(個人の金融資産を預かる金融機関などが)すべきというのは米国Jobs法的考え方です。

 三つ目の命題になりますが、投資としての成長ストーリーが必要です。例えば、クラウドファンディングで資金を集めた新興企業が、今度はベンチャーファンドや金融機関から資金を集める。次にもう少し成長して、プロ市場においてファイナンスを実施する。そして、マザーズなどの新興市場においてIPOを行う。この様な新興企業の成長ストーリーを支える為には、クラウドファンディング⇒ベンチャー投資⇒プロ市場上場とファイナンス⇒IPOと繋がる支援を新興企業に行う金融機能が求められています。

現在、クラウドファンディグをはじめ新興企業へのリスクマネー提供推進に関し、金融審議会で議論が始まったところですが、以上の3つの命題で実務が検討されることを願っています。クラウドファンディグを資本市場の機能とする為にも。

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

リスクオン相場で個人の海外投資はどう変わるか
昨年の11月から始まったリスクオンのアベノミクス相場。その中で、個人の投資活動の主流と見られる海外投資関連において、何か変わって何か変わらないか。そして、それらに関与する金融関連ビジネスにおける変化は、若しく変化の可能性はどの視点にみられるか。金融商品取引業関係の方々に、少しビジネスの先行きをお考えいただきたく、現状を纏めてみました。

☆リスクオン相場で個人の海外投資はどう変わるか
・アベノミクスの影響(最近の個人海外投資)
・投資手段の多様化とその進展
・投資インフラと証券会社の事業戦略
・収益性向上へ向けた証券ビジネスへの取り組み

情報を取り扱う証券関連ビジネスは、いつもイノベーションのおきる機会(チャンスがあるということを、期待しています。


テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード