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2013/12
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証券業界の2013年を振り返って~業界環境概要図
 いよいよ2013年も最終日となりましたが、今年1年拙稿にお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。
今年最後は、(あくまでも主役は、投資家と上場企業ですが)資本市場の担い手である証券会社について、個人の投資をサポートしているリテール証券の現状を以下の様に至極簡単にまとめました。それぞれのお立場で、今後証券会社がどの様に変わっていくか期待するところは異なると思いますが、ご参考ください。

☆ リテール証券会社の業界環境

最近では、賃上げの話がでるほど業界環境は好転しましたが、アベノミクスと世界的な超緩和策推進による株式市場上昇の影響が大きく、やはりこの業界は市況産業との想いを感じる一年でした。ただし、制度上の変化もあり、
・1月からの信用取引における保証金制度の改革で、1日に何度も同一資金を利用することが可能となり
・11月からは、信用取引での売り下がりを禁じたアップティック・ルールが原則廃止され
個人トレーダー層の取引が大きく拡大しています。

また、1月から始まるNISAは、その口座開設が10月から行われていますが、本当に久しぶりに業界全体が新規顧客活動で盛り上がりました。だだし、業界が多少釘をさされた形になったのは、NISA開始を前にして12月から自主規制のかたちで始まった高齢者勧誘規制でした。これは行政主導で行われていたようにも思えますが、金融商品取引法に定められた証券会社の行為規制である”適合性の原則”の徹底として考えるべきかも知れません。
NISA制度の充実を始めとして、確定拠出年金制度の拡充や、日本版IRAの検討など、”貯蓄から投資”への具体的政策が今後実施され、投資経験の少ない個人層まで投資リスクテイクが広がっていく中では、必要なことなのでしょう。

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法人版エンジェル税制で、ベンチャー投資は活発化するか
 新規・成長企業にリスク・マネーを供給する個人投資家主体の新たな取組みが“投資型クラウドファンディング”だとすると、これらのベンチャー企業に対して大企業などがベンチャー投資を行い易くするのが“法人版エンジェル税制”です。この制度が、平成26年度税制改正大綱により来年4月以降の3年間の租税特別措置として始まる予定ですが、簡単に述べますと次の様な制度となっています。

ベンチャー投資を促進するための税制措置の創設
※同制度は、以下の様に2段構えになっています。
◎企業や金融機関などのベンチャー企業への投資を推進する目的で、産業競争力強化法(平成25年12月13日公布)により経済産業大臣が認めたベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)に出資した場合、その出資額の8割まで損金計上することが出来る損失準備金制度を、平成25年4月以降3年間の税制措置として設ける。
○同税制措置の対象となる企業は、適格機関投資家で、株式等の投資残高が20億円以上、ベンチャーファンドへの出資額が2億円以上(ただしファンドの有限責任組合員に限る)の基準となり、平成29年3月31日までの出資分がその対象となる。

○産業競争力強化法による対象ベンチャーファンドの要件として、次の要件を充たす必要がある。
【投資先の要件】=投資予定額の一定額以上は、新規性を有する事業を行う中小企業に投資すること。主な投資先が事業拡張期にある中小企業であること。 等
【ハンズオン要件】=ファンドの組合契約書に、投資先企業に経営又は技術指導等を行う旨が明記されていること。投資先に対して経営指導等を行うに足る知識・経験を有していること。 等
【ガバナンス要件】=毎事業年度、財務諸表及び事業報告書等を経済産業省に提出すること。(途中の認定取消しもある。) 等

今回の法人版エンジェル税制では、経済産業省からの税制改正要望時になかったベンチャーファンドへ出資する企業の基準が高くなっていることもあって、大企業や金融機関優遇の批判もありますが、逆に考えますと、資金の出しやすい大企業や金融機関に絞って租税特別措置が取られることなので、その効果としてベンチャー企業への投資絶対額が大きく増えることが期待されています。

先ずは、新しい制度は具体的に始めることからではないでしょうか。

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個人の金融資産と海外投資の概要
 久し振りに大幅な上昇となった2013年の株式市場ですが、個人投資家は単にアベノミクス相場の乗っていたというより、5月の調整や7月の参議院選、そして譲渡益課税の軽減措置終了などに比較的冷静に対応していたようです。また、来年といっても来週に迫ったNISA口座の開始は、長年言われてきた“貯蓄から投資へ”を推進する制度として、金融業界から大きな期待をされています。

 12月19日に公表された日銀資金循環統計速報版(9月末時点)によりますと、個人の金融資産は1,598兆円と1年間で約90兆円近く増加しており、その増加要因の殆どが株式や投資信託などのリスク資産です。これに債券を加えたリスク資産が個人金融資産に占める割合は、15.0%とアベノミクス相場が始まってから約3%程度上昇しています。とは言いましても、米国の52.7%、ユーロ圏の29.3%とは相当の距離があります。

過去1年間のリスク資産の増減の内容を見てみますと、
・株式や出資金=43.8%の増加ですが、その増加要因は株式相場上昇によるもので、売買に関しては売り越しが続いています。
・債券=8.7%の減少となっており、リーマンショック後の売却(償還も含む)超過が続いています。
・投資信託=33.0%の増加で、リーマンショック後も資金流入は続いていますが、この1年は株式市場上昇要因も加わり、増加率が拡大していました。
 また、個人金融資産に占める外貨建資産は、37.3兆円となり1年間で11.3%の増加ですが、その増加分の殆どが外貨建投資によるものです。

 なお、最近の投資信託を通じた海外投資では、欧州に対する投資が増加していますが、嘗ての高金利通貨豪ドル下落の影響で、円安にも関わらず豪州への投資は減少しています。

☆個人の金融資産と海外投資動向


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今後変わる投資に関する税制~平成26年度与党税制改正大綱より
 与党の平成26年度税制改正大綱が決定されましたので、その中から投資に関する部分について、今後どのように変わるのか、簡単に書き下してみました。

【NISA口座は、毎年口座開設金融機関を変更することが可能になる】
 年明けから始まるNISAですが、10月からの口座開設が可能となっており、証券会社や銀行などでの口座獲得競争の盛り上がりがマスコミなどに報じられていました。現状の制度は、来年から10年間維持ですが、その間、最初の4年間、次の4年間、最後の2年間と3度しかNISA口座を開設する金融機関の変更が出来ないこととなっていました。これを、毎年NISA口座を開設する金融機関を変更することが可能な制度にします。

【特定口座の受け入れ拡大】
 近年、自己株式を信託にパッケージして従業員に与えるインセンティブ・プランのESOP信託が増えています。このESOPで取得した上場株式を、特定口座に入れることが可能となり、他の株式や投信などと損益通算することが容易になります。

【公社債の売買損益・利子が、株式などと損益通算可能となる制度のスタートを前に】
 前年度の税制改正で、金融所得一体課税を進める為、株式・投信などと公社債の売買損益(含む配当・利子)の
損益通算が平成27年1月より始まりますが、その為、今まで原則非課税の公社債の譲渡益が課税対象となります。
今回の税制改正では、その対象外となる以下の特殊な債券を示しています。
・農林債
・同族会社が発行した社債

【日本版401Kの拡充】
 確定拠出年金(日本版401K)の拠出限度額が企業型に限り約8%引き上げられました。
・他の企業年金がない場合  月額5.1万円⇒5.5万円
・他の企業年金がある場合  月額2.55万円⇒2.75万円

【J-REITに関した課税特例措置の拡充】
 J-REIT(投資法人)の根拠法である投資信託及び投資法人に関する法律が大幅に改正され、ライツ・オファリングやCBでの資金調達が可能となったり、よりJ-REITどうしの合併が容易になります。また投資対象も拡大される予定です。J-REITは、配当可能利益を9割以上支払配当に回すことで税制上課税を免れる特例措置を受けていますが、このような法改正に合わせ、以下の特例措置が加えられます。
◎再生エネルギー施設への投資を促すため、平成29年3月31日までの間に再生エネルギー発電施設を取得したもので、資産の50%を超える場合を可能にします。(特例措置は、10年間。それ以外は、資産の50%以下の取得を可能としています。)
◎REITどうしの合併を容易とするため、正ののれん代がある場合、正ののれん代の償却額の70%を配当可能利益から控除することも可能としました。(改正投資信託及び投資法人に関する法律の施行を前提に)

むしろ、こちらの方が重要ではないかと思われますのは、今回の税制改正大綱の検討事項として挙げられた次のことです。

◎日本版401Kを含めて、年金制度に関わる拠出・運用・課税のあり方を総合的に検討すること。

◎NISAについては、措置の実績や効果の検証も踏まえて、引き続き検討すること。

◎デリバティブを含む金融所得の更なる一体化については、総合取引所の実現にも資する観点から、意図的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討すること。

◎投資法人(REIT)等の課税については、税会不一致等による活動の制約の解消を図る観点から、平成27年度税制改正に向けて検討すること。(運用対象資産の範囲など)

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個人への投資信託販売ルールについて
 証券会社などが75歳以上の高齢者に金融商品の勧誘をする際、説明などを丁寧に行い、投資意向の確認をより慎重に行う自主規制ルールが、12月16日より施行されます。上場株式や公社債などは対象から除かれるので、主に影響の大きいのは、投資信託などの販売活動(勧誘)ということになります。

 この個人などへの投資信託販売に関わる最近の一連の規制等の動きを簡単に振り返ってみますと、次のような流れとなっています。

【適正な勧誘行為について】
 2007年9月末からの金融商品取引法施行により、投資信託などの金融商品を個人投資家に勧誘する場合、勧誘者の行為規制がより厳格になっています。その金融商品が、投資家の特性やニーズに合っているかの適合性の原則や説明義務がより強化されています。この金商法上の行為規制によって、勧誘する立場の証券会社は勧誘の自主規制ルールを制定しており、金融庁(証券取引等監視委員会)が証券会社を検査する際、その対応などが確認されます。

【投信を分かり易く】
 投資信託などを勧誘する際、目論見書を利用しますが、100ページ前後の分量と記載されている文言が専門的すぎて、本当に個人投資家などが理解してるか疑問視されていました。これを改善するため、目論見書を平易化・簡素化しようという取組みが行われており、最近は随分改善されたと思います。更に、個人投資家などが実質的収益を把握しやすいよう、運用報告書にトータルリターンを記載し、それを説明することも来年12月以降、投資信託の販売者に求められるようになります。(自主規制ルール)

【投信のリスクをちゃんと認識させる】
 仕組債などデリバティブを組み込んだ商品は、個人にとって分かりにくいものですが、投資信託も同様の商品があり、また売れ筋の通貨選択型などは通貨オプションを組み込んだ投信とみなすこともできます。これらの投資信託の勧誘に関しても、個人には慎重にかつ丁寧に対応することが自主規制ルールで2011年4月より強化されています。

【高齢者へ勧誘することの配慮】
 更に、NISA開始を目前にして、高齢者への勧誘に対して、より慎重さをもって行うことが自主規制ルールで定められました。(規制内容は、既に本稿欄でお伝えしています。)

繰り返しになりますが、投資信託の個人への適正な勧誘を行うためには、投信を分かり易くして、リスクをきちんと認識してもらい、そして高齢者には特に配慮するということが今回加わっています。

☆ 個人への投資信託販売ルール強化の流れ

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新株予約権について、やさしく考える
 最近はファイナンス・スキームとしても定着してきたライツ・オファリングも、買収防衛策でのポイズンピルも、ストックオプションも、企業が発行する新株予約権を使いますが、様々な使われ方をするこの新株予約権について、少しやさしく、でも本質的なことを考えてみます。

この制度は、平成13年の商法改正により創設され、現在の会社法に受け継がれていますが、最大のポイントは企業が発行する株式を引き受ける権利だけを発行でき、しかもそれが有償の価値があることです。例えば、1000円で新株を引き受ける権利を、10円で発行することが出来るのですが、この新株予約権を企業が発行する際、次のような事が、重要なポイントになります。

【誰に渡すのか】(誰に対して発行するのか)
基本的には、新株予約権の発行目的ということになりますが、次の対象者が考えられます。
・株主全員(ライツ・オファリングや買収防衛策)
・特定の第三者(業務提携や資本提携相手)
・役社員や特定の取引先(報酬の一部として)

【新株を発行する条件を、どうするか】
公募ファイナンスや特定の誰かに新株を発行する場合、あまり有利な条件だと既存株主の権利に悪影響を及ぼすというとこで、有利発行として差し止め請求することが出来ます。例えば、1000円の時価の時、新株を誰かに100円で発行しようとすると有利発行として差し止められる場合がありますが、新株予約権も同様に有利発行の対象となります。問題は、その新株予約権が既存株主の権利を著しく毀損するような発行条件かということですが、以下の項目が発行条件として主なものです。
① 行使価額(新株を発行する価額)
② 新株予約権の発行価額
③ 新株予約権の行使期間
④ 新株予約権の行使の条件

 上記の中で、①と②はある種の相関関係があります。例えば、1000円の時価の企業の新株予約権を行使価額100円として、新株予約権そのものを900円で発行する場合と、900円の行使価額のものを100円で発行する場合、近しい発行条件に見えます。(※厳密には、新株予約権の価値が異なりますが。)
また、時々その使われ方が問題になるMSワラントは、①の行使価格を定期的に時価の9割などに見直すものです。

③は、1日から10年程度まで可能ですが、新株予約権発行の目的によって異なります。例えば、ファイナンス目的のライツ・オファリングでは、20~40日程度ですが、ストックオプションでは10年近いものもあります。

最後に④の行使の条件ですが、敵対的買収者以外の株主が行使できるのがポイズンピルとして代表的な使われ方ですし、業務提携相手など発行する場合、業務提携関係の継続する期間中の行使に制限することもあります。また、様々な条件を付けることも可能で、新株予約権を発行する企業と付与される対象者の間の契約的なものとして取り扱うこともあります。

 さて、最大の問題は、株主以外に発行する新株予約権の価値がいくらかということですが、①~④までを幾つかのオプション算定モデルで算定するケースが殆どです。新株予約権≒オプションということですが、①から③まではまだしも、多様なあり方となる④は、一般の株主や投資家には非常に分かりにくいものです。その為、発行会社としては、新株予約権発行の目的と、発行条件を設定した考え方を、株主や投資家に丁寧に説明していく必要があります。

【新株予約権に関するその他の問題】
・新株予約権付社債
嘗ての転換社債は、今は新株予約権付社債と呼ばれていますが、名前の通り有償の価値がある新株予約権が付いた社債ということになりますと、社債そのものは割引発行されていると見なされます。例えば、額面100円の新株予約権付社債を100円で発行し、新株予約権部分の価値が10円だとすると、社債そのものは90円で発行したと見なされます。新株予約権部分の10円は資本、社債の90円は負債に分けて計上すべきとの会計上の考え方ですが、IFRSなどの影響でこのような考え方の企業が増え、結果として新株予約権の発行コストは会計上上昇することとなりました。(旧来の転換社債のように、一つの新株予約権付社債として行使が起きるまで一体的に見なすことも会計上可能です。企業側の会計処理上の選択によります。)

・金庫株の利用
名前は新株予約権ですが、投資家や株主から行使を求められた場合、自己株取得していた金庫株を渡すことも可能です。少し進んだ使われ方としては、将来の自己株取得資金を調達目的で、新株予約権付社債を発行することがあります。リキャップ(リ・キャピタル)CBと呼ばれる資本政策ですが、将来の金庫株利用を前提とした、自己株式取得資金の調達を投資家から行う仕組みです。

【新株予約権の価値算定に関する一つの考え方】
 数学者や実務担当者が構築した幾つかのオプション算定モデルを複数利用するというのが一般的な考え方ですが、モデル自体の理解と前提条件などの置き方など、一般の投資家には把握しにくいのも現在の事実です。上記、発行条件などを普通の常識に沿って判断することも、一つの方法だと考えます。

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不動産証券化~私募ファンドからJ-REIT、そしてインフラファンドへ
 最近は、投資に関する情報媒体でも不動産という言葉が目立ってきました。大型の商業不動産J-REITが上場されたり、海外金融機関などの日本に対する巨額の私募リート投資などが伝えられるようになってきました。成長戦略を支える日銀の異次元緩和策も、目指すところは20年以上に及ぶデフレ脱却ですが、その資産デフレの中心に不動産があったわけですから、この流れは期待したいところです。
 また、不動産に対する投資の在り方も、証券化が進んだことで、より多くの投資家が参加することが可能になっています。その不動産証券化の現状を以下にレポートしてみました。

☆不動産証券化~私募ファンドからJ-REIT、そしてインフラファンドへ
・投資資産としての不動産と最近の動向
・証券化スキームとそのポイント
・不動産証券化への支援
・個人投資家の投資拡大の可能性

取引所ではインフラファンド上場の検討もされていますが、個人にとってはまだまだ認知度が低い不動産証券化商品の情報が、正しく伝わって個人投資家の利用が増えること期待されます。

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