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2014/06
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投資に関する税制の変遷と課題について
 税制は個人の投資に大きな影響を与えていますが、その課題を大まかに書きたくて、以下の資料を求めてみました。

☆ 投資に関する税制の変遷と課題について

 投資を含めて金融に関するものは、金融庁が各業界団体からの要望を取りまとめ8月下旬にも平成27年度改正要望として纏められ、それが年末に向け与党や政府で検討され、平成27年度税制大綱として12月には決定されます。

 これは税制なので、相当実務的なことも含まれますが、個人の投資に関して何が課題になっているか見直した場合、大きく仕切っていうと以下の2点です。

◎個人の非課税投資をどの様に拡充していくか
◎個人の金融一体課税への取組みを進める

 個人の非課税投資については、NISAと確定拠出年金制度(日本版401K)それぞれの拡充がありますが、NISAは今年始まったばかり、確定拠出年金制度は年金制度そのものに影響するので、どこまで拡充するかは政治的判断になるのではないかと予想されます。
また、一体課税の方はマイナンバー制度実施などの環境が整ってきたようにも思えますが、損益通算をどこまで認めるか、損失繰り越しなどの年数延長などが注目されます。

少し先走っていますが、長年の”貯蓄から投資へ”の為にも、今までの流れを一度振り返ってみるべきではないでしょうか。
(※「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」は、2004年6月政府税調金融小委員会報告で纏められています。)

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新・非上場株式取引制度について
 資本市場の成長戦略の一つに、“新たな非上場株式の取引制度”がありますが、
●未公開株詐欺などの問題
●グリーンシート以外の未公開株が、実質的に証券会社で取扱い難くなっている現状(勧誘行為が伴わなければ証券会社でも取り扱えますが、実際は上場株式がペーパレス化で証券会社から金庫が無くなって、未上場の株券を取り扱う態勢が証券会社内で殆どなくなっています。)
●グリーンシート市場そのものも、取り扱う証券会社数がごく少数に減少していること
などから、現在の市場関係者の関心はそれほど高くはありません。
 しかし、新制度を成長戦略として見直した場合、地域の有力企業(非上場)の資本政策に利用されることも考えられ、その可能性について取り上げてみました。
 
☆ “新たな非上場株式の取引制度”利用の可能性について

 この制度整備は、本来は成長戦略の一環ですから新規・成長企業にも利用が広がる可能性がありますが、証券業協会などの議論をみていますと、特定の地域に株主や顧客が多くいる地域有力企業(非上場)の利用が取りあえず想定されているようです。

例えば、地方交通機関や地域放送局、ゴルフ場、サッカーなどのスポーツクラブなど特定の地域で利用者が多い企業が有望ですが、基本的な仕組みは証券会社が管理する投資家のリスト“投資グループ”内で売買したり、勧誘することが可能です。

その為に必要な企業情報については、既に有価証券報告書を提出している企業(過去に1億円以上の資金調達を一般募集したり、株主が既に500名以上いる場合など)は有価証券報告書、それ以外の企業は会社法に基づく事業報告や計算書類などが想定されています。また、上場株式の様に頻繁に売買されることは想定されておらず中長期の投資が前提となるので、この制度の株式はインサイダー取引の対象外となっています。その為、適時開示は必要ありません。

 この制度を地域の有力企業が利用することについて、それぞれのメリットは次の様なことが考えられます。
【地域の有力企業にとって】
・企業価値を顕在化することで、持株会やストックオプションなどの自社株利用のインセンティブプランを利用しやすくする。
・投資家リスト内の公募ファイナンスが可能となり、自社株取得と合わせて、より柔軟な資本政策をとることが可能となる。
・企業再編や株主構成の変化をスムーズに行うことが出来る。
・株主優待などを通じて、地元顧客の株主化を進めることが容易になる。

【投資家リストに参加する投資家にとって】
・地域企業の事業を資本面で支援することが容易となる。
・株主優待を通じて、企業の事業を一層利用することが出来る。
・株主及び投資家として企業情報を取得することが出来る。

【同制度を提供する証券会社にとって】
・地域の有力企業に対して、資本市場機能利用のソリューションを提供することが出来る。
(※其々の業務は他社と協働することで対応し、自らはフィナンシャル・アドバイザーとして機能することも)

最後の証券会社については、同制度にかかるコストと新たなビジネスメリットのバランスで推進力が決まるのが業界の常ですが、市場の成長戦略が地域から始まっていく知恵も同時に求めらているように思われます。

個人の金融資産と外貨投資について
 18日に、日銀の資金循環統計による個人金融資産(2014年3月末)の概要が発表されました。
それによると個人の金融資産は、1,630兆円で昨年の12月末より14兆円程減少していますが、現金の減少と株式の下落がその主な要因です。株式については、アベノミクス相場が始まってから個人の売り越しが続いていますが、株価の値上がりで金融資産としては増加していました。また債券については、個人向け国債の大量償還が影響しており、前年比1割程度の減少が続いています。
 一方、外貨資産への投資ですが外国株式や外債投資が増加しているようで、この分で昨年末より2割以上の増加となっています。

☆ 個人の金融資産と外貨投資

 この外貨投資が拡大していることは、財務省が公表している国際収支統計(投資家部門別対外証券投資=金融商品取引業者経由部分)の5月までのデータでも確認出来ます。
 外国株式への投資は本年に入ってから拡大しており、月間で1000億円近い金額が買い越されていますし、外債も6000億円前後の買い越しが続いています。

 また、投資信託を通じた海外投資でも米国への投資(株、債券、REITとも)拡大が続いていますが、新興国株式への投資も復調ぎみの様です。

 一方、FX取引はドル・円の値動きが極端に小さくなっているので取引高が減少していますが、円売りポジションについては過去最高水準に近い金額です。

 個人の海外投資が拡大しているので良いことでしょうが、成長戦略により日本企業を見直した個人資産が本格的に日本株に向かうことにも期待したいと思います。

資本市場の成長戦略について
 市場では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産見直しで日本株比率をアップさせることが大きな話題となっていますが、公的年金の運用の在り方(投資先への関与、組織内ガバナンス強化など)も新成長戦略ではテーマとして上げられています。その新成長戦略は6月下旬に公表されますが、素案は6月5日に産業競争力会議(首相官邸)で示されています。
 その中で、金融・資本市場の国際競争力を高めるため、金融庁・財務省・民間有識者による「金融・資本市場活性化WG」を設置し、金融特区のフィージビリティも含めた市場活性化策を検討し、本年中に概要を固める方針が示されています。一方、今国会で成立した改正金商法では、新規・成長企業へのリスクマネー供給拡大策として、“投資型”クラウドファンディングや新未公開株売買制度が来年4月にもスタートする予定です。
 金融・資本市場は、あくまでも企業や経済活動の血流部分ですが、今まで何が変わって、今後何を変えるべきか、その成長戦略上の議論が金融・資本市場活性化有識者会合(金融庁)で行われています。その概要について、分かり易い資料が公開されていますので、以下に紹介します。

☆今までの取組み(NISAの導入や改善、公的年金基金の運用体制、日本版スチュワードシップ・コードの導入など)

☆今後の取組み(投資信託改革の継続、コーポレート・バナンス改革への取組み、決済機能の高度化、金融教育の推進)

 資本市場に関する部分では、次の様な大きなテーマと今後の具体的取組みが示されています。

◎NISAや確定拠出年金制度の拡大などで個人の資金が投資信託を通じて資本市場に入ってくることが期待されていますが、その為にも投資信託から出される情報の分かり易さ、そもそものファンドとしての運用パフォーマンスの向上、個人の特性に応じた適切なファンド販売方法の改善などが取り組まれてきました。今後、これらの改革がより目的に沿った実効性を持つよう、以下の取組みが進められる予定です。
・2014年12月より、トータルリターン(分配の累積額+キャピタルゲイン・ロス)を把握できる書面等を投資家に提供することが証券業協会自主ルールとして決まっています。
・証券会社などの監督指針で、短期間の商品乗換えによる販売手数料収入重視の営業を見直し、運用に係る透明性向上とともに、投資家のライフステージを踏まえ、真に顧客の投資目的やニーズに合う、個人投資家の利益を第一に考えた商品の開発・普及促進に向けた取組みを強化させる為、次の留意事項が追加されました。(2014年3月)
○営業員の業務上の評価に係る留意事項=営業員に対する業務上の評価が投資信託の販売手数料等の収入面に偏重することなく、預り資産の増加等の顧客基盤の拡大面についても適正に評価するものとなっているか留意して監督する。

◎日本の上場企業が、個人や海外投資家からみて安心して投資できる対象とする為、コーポレート・ガバナンス改革が以下の様に進められています。
・日本版スチュワードシップ・コードが、実質的に本年6月から実施されています。
・上場する銀行及び銀行持ち株会社に対して、少なくとも1名以上の独立性が高い社外取締役設置を義務付けるように金融庁が監督指針を改正しています。
・収益性やコーポレート・ガバナンスに注目した指数JPX日経インデックス400の先物を11月までに大証に上場することを予定しています。

◎国内の必要な施設やインフラなどに投資資金が流れる仕組みとして、インフラ・ファンド上場制度整備やヘルスケアリートの組成や上場推進への取組みが進められています。

◎改正金商法により制度整備される“投資型”クラウドファンディングや新たな非上場株式の取引制度(現在のグリーンシート市場は廃止予定)は、今後関係法令や自主規制が整備され、来年の4月から新制度が始まる予定です。

以上、資本市場の成長戦略も見直すと結構あるものです。

MSワラントと特殊なファイナンスについて
 上場企業のファイナンスには、広く投資家を求める公募、特定の者に割り当てる第三者割当、ライツ・オファリングのように取りあえず株主に増資に応じる権利を与える株主割当てと主に3つの手段があります。
 いずれの方法であっても、ファイナンスの対象とする投資家のみならず、上場企業である以上は既存株主や一般の投資家にファイナンスの内容・目的について分かり易く伝える必要があります。
 ファイナンス企業に対して、その手伝いをするのが、公募の場合は引受証券会社、第三者割当などではフィナンシャル・アドバイザーなどでしょうが、標記のファイナンス方法に関しては、少し難しい面があるので取り上げました。

 MSワラントとは、新株予約権を証券会社などの第三者に割当てするのですが、問題はこの新株予約権の行使条件です。当初の行使価格はあまり問題ではなく、発行後、時価の9割近くまで行使価格を低下させることが条件になりますが、この様に行使価格が変動するのでMoving Strike即ちMSワラント(※ワラントとは現在の新株予約権制度が出来る前の同様の権利に対する通称です)と称しています。

 このMSワラントを割当てられた証券会社などが、先ず株式を借りて市場で売却します。その為、市場価格は下落しますが、MSワラントの行使価格も同時にその時価の9割掛けに低下します。MSワラントの保有者は、市場で株式を売却して、MSワラント権利行使で市場価格よりも安く新株を入手し、借りた株式を返済します。結果としては、MSワラントを割当てられたものの市場での裁定取引行為が前提となる手法ですが、これは市場での一般の投資家の買いがなければ成立しません。
 つまり、MSワラントは表面的には第三者割当の形をとりながら、実態は一般の投資家の買いを前提とした公募ファイナンスに近いファンナンス手法とも言えます。

 従って一般の投資家に理解しやすいスキームの説明や増資目的のディスクロージャーが必須ですが、MSワラントの引受証券会社やアドバイザーに求められるのは、可能な限り丁寧な説明を株主や投資家に対して行うこと発行会社に助言することです。

 なお、MSCB(行使価格が下方修正される新株予約権付社債)は企業の資金調達ですがMSワラントは直接の資金調達ではなく割当者の裁定取引を介した間接的資金調達ということりなります。また、MSCBやMSワラントを証券会社が引き受ける場合の自主規制ルールはありますが、他の第三者に割当てられた場合、市場規律上の問題をどう遵守するかは企業そのものの責任になります。

また、MSワラントではありませんが、時価より低い行使価格に設定した新株予約権と主要株主(会社の経営者である場合が多い)からの貸株契約をセットにした新株予約権の第三者割当てが行われる場合がありますが、これは疑似MSワラントとも言えます。

 筆者は、これらのファイナンス手法に関して否定するものではありませんが、スキームや目的の分かり易い説明を公表する義務が発行会社にはあると考えます。特に、新株予約権の割当てが正当かどうか一般の投資家が判断する材料の一つとして新株予約権の価格算定書がありますが、結果だけ述べたものや学術的説明ではなく、普通の投資家が理解可能な算定根拠の記載があるべきと考えます。


日本版スチュワードシップ・コードが始まる
最近、海外プライベートファンドの方と日本の資本市場の仕組みについてお話する機会があり、その中で日本版スチュワードシップ・コートに対して非常に期待している旨の発言がありましたが、少し意外に感じました。
それまでの筆者の日本版スチュワードシップ・コードに対する認識は、改正される会社法(来年4月施行の可能性)で、社外取締役設置の義務化が出来なかったので、機関投資家側からのコーポレート・ガバナンス強化策として、議決権行使などをルール化するものといったイメージでした。機関投資家としての行動基準を定めて、企業との会話を進めることを目的にしていますので、率直にいって機関投資家側の負担が増すだろうといった感想を持っていました。
一方、海外ファンドの方が期待していたのは、この行動基準によって日本企業の投資家との対話が進み、結果として日本企業の企業価値向上に向けた動きか強まる。その為、企業側・投資家側双方が影響を受けて、日本市場が構造的に変化していく可能性もあるとのことでした。

 そもそものスチュワードシップ・コードは、2010年に英国で制定されたものですが、その背景には2008年の金融危機がありました。銀行が過大なレバレッジを掛けた原因が取締役会のコーポレート・ガバナンス機能が十分でなかったという問題認識もあり、機関投資家が投資先の企業との会話をより積極的に行うことで、これを補おうとするものです。
 この名称のスチュワードとは、中世において領主の財産を預かっていた家令や執事のことを指すようですが、日本版スチュワードシップ・コードは “責任ある機関投資家の諸原則”とされています。
 
日本版スチュワードシップ・コードは、昨年末にその内容が示され広く関係者や有識者から意見を求めるパブリック・コメントが実施されていますが、原案が英訳されて公表されたことで、海外からのパブコメも寄せられ、その内容が公表されています。海外の機関投資家にもこの取組みを理解して欲しいとのことでしょうが、英文パブコメの公表も、また新しい取組みです。
その内容は、責任ある機関投資家(あくまでも中長期の投資を目指すもので、短期的利益を目指すファンドやヘッジファンドは想定されていません)として企業との対話の在り方や議決権行使に関して基本行動ルールを公表するなど7つの原則が中心になっています。このそれぞれの原則にそって、より具体的な内容を示す指針も示されています。例えば、保有する株式を貸株している場合、貸株取引に関する基本方針を示すべきとか、議決権行使で助言サービス会社を利用している場合は、その活用内容を公表すべきといったものもあります。

金融庁は、日本の生命保険会社や運用会社などを想定し、5月末まで日本版スチュワードシップ・コードを受け入れるかどうか表明を求めていましたが、120社以上が同基準を受け入れるといった報道がマスコミでなされています。なお、同基準を受け入れる機関投資家は、自社のホームページで自らの行動基準を公表する必要があります。既に、最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や複数の生命保険会社や運用会社などが受け入れを表明しており、今後機関投資家との会話が進むことで、日本企業の投資環境が構造的に変化することに、大いに期待したいと思います。


投資家にとってのリキャップCBの意味
 最近リキャップCBへの関心が再び集まっています。勿論、企業側の注目度の高まりなのですが、一方では、自己株式の取得資金調達を目的にファイナンスすることに関して、企業の財務やIR活動を担当されている方々の中には、多少の違和感を覚える方々も多いようです。株式を買い取る資金を、将来の株式発行する前提である新株予約権付社債(通称はCB=転換社債を今でも使います)で調達することが、何やら資本というものを軽く扱っている様に感じるようです。確かに、昔の商法では資本充実の原則がありましたが、資本を減じる自社株取得が認められ、株主が認めれば資本準備金まで取り崩したり出来るようになり、株式会社の資本政策は随分柔軟になりました。
 ですから、自社株取得資金獲得を目的としたファイナンスがあっても良いわけですが、その前提となることは、現在の株価水準では自社株を取得し、将来の株価上昇局面において新株を発行することを企業側がコミットするという事になります。

☆ 投資家にとってのリキャップCB

リキャップCBのリキャップは、リキャピタライゼーション(負債資本再構成)から取られたものですが、CB発行で調達した資金の全部若しくは一部を自社株取得資金に充てるCBの呼称として使われています。もともとは米国などで利用されていたファイナンス手法でしたが、日本では以下の様な主な発行事例があります。

・ヤマダ電機(2008年2月1500億円 2014年5月1000億円)
・ヤマト運輸(2011年2月300億円)
・KDDI(2011年11月2000億円)
・日本ハム(2014年3月300億円)
・静岡銀行(2013年4月約500億円)や常陽銀行(2014年4月300億円)などの複数の地方銀行  など

 一方、リキャップCB発行は投資家や株主にとっては以下の様な意味があるとも考えられます。
◎発行企業が、発行時の株価で自社株買いを実施することで、自社株が割安な水準にあることを示し、また将来の株価上昇を見込んでリキャップCBを発行することで、将来株価に対する自信を示しています。
◎資本を効率的に利用することをコミットしていると考えられます。

以上が、将来の企業価値向上に向けて積極的な資本政策を企業経営者が取っていくことを、株主や投資家に期待させるので、筆者はリキャップCBの発行を基本的に支持します。

なお、リキャップCBの商品性に関しては、新株の発行を一定量制御しようとするものやスキームの名称が分かり難い(引受証券側のスキームに関する商標である場合も)がありますが、一般投資家が理解しやすい解説やスキームの簡略化が必要だとも感じています。利用拡大に為に。
リージョナル&クラウド~地方金融機関の資本市場機能について
 10年程前に、地域金融機関が地元中小企業への支援をもっと強めましょうということで、地域活性化策の一環としてリレーションシップバンク構想という金融行政が進められました。新規企業への融資を増加させたり、政府系金融と組んで地域ベンチャーファンドなどを立ち上げる動きが強まりました。また、上場する企業を増やそうと、地元の成長企業をIPO(新規株式公開)へ導く目的で、大手証券などと株式公開業務で提携する市場誘導業務を推進する地方銀行が多くありました。
 そして、昨年6月に公表された政府による成長戦略の影響もあり、昨年度の中小・地域金融機関向け監督方針(平成25事務年度)のポイントとして、地域密着型金融の進化ということが上げられています。

一方、5月23日に国会で成立した改正金商法では、新規・成長企業へのリスクマネー供給増加を目的として、新たに“投資型”クラウドファンディング制度の創設などが予定されており、これは証券会社などの金融商品取引業者の制度(事業ファンド形式の募集は第2種、株式での募集の場合は第1種)として今後整備されていきます。
 地域密着型金融と金融商品取引業は、教科書通りでは間接金融と直接金融ですが、実は“投資型”クラウドファンディングに最も近いところにいるのは、この地域金融機関(=リージョナル・バンク)ではないかと思われます。
 その最大の理由は、新規・成長企業の最もよく知る立場にいる金融機関は地域金融機関だからです。つまり、対象となる企業の成長力も信用リスクも金融機関として、既にチェックしているということですが、勿論、実際の“投資型”クラウドファンディングを行っていく場合、ライセンスをもったクラウドファンディング業者と組むことになります。

 実際の”投資型”クラウドファンディングにおいては、その業務が主に次の様に分けて進められると考えられています。
① 資金調達する事業が企業を選択する。
② 選択した事業や企業の情報をネット上で提供し、資金集めの為のネット上のプロモーション活動を行う。
③ 実際に集めた資金をファンド若しくは株式の形で管理し、ファイナンス後の事業や企業の定期的情報提供に努める。

 上記の①については、選択した事業や企業の内容を精査する必要がありますが、これは本来資金を提供する一般個人(クラウド)の為に行うものです。②は資金を集める企業の為、③は双方の為と分けられますが、それぞれのプロセスにおいて、ある程度の利益相反があります。これを、公募ファイナンスの様に引受証券会社の機能とチャイニーズ・ウォール構築に任せるには、小さな資金調達を扱うクラウドファンディング業者では荷が重すぎます。
 
 今後整備される”投資型”クラウドファンディングが、新規・成長企業の役に立ち、共感を感じてリスクマネーを提供しれくれる一般個人に報いる為にも、地域金融機関とクラウドファンディング業者のコンソーシアムの様な共同作業で進めることが一つの在り方ではないかと考えます。

リージョナル&クラウドで、資本市場に繋がるようなクラウドファンディングが試みられることに期待しています。
 

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