*All archives* |  *Admin*

2014/07
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
日本の発行市場の課題~アジアの中心市場として相応しい発行市場機能整備の為に
 発行市場は流通市場と両輪で日本の株式市場を構成していますが、毎日取引されたり動きが頻繁にある訳ではないので注目されにくい存在です。しかし、市場に株式を供給するので需給関係には大きな影響を及ぼすとともに、企業の成長や再生に必要な資金を供給しています。

 証券会社の中においても発行市場関係者は少なく、社内や業界においても専門的分野に見られがちですが、流通市場や世の中の変化に合わせ、発行市場自身も変わっていく必要があります。その課題は何かについて、現在の状況を纏めてみました。

☆日本の発行市場の課題~アジアの中心市場として相応しい発行市場機能整備の為に

 一つ一つのファイナンスは、個別企業の資本政策として株主や投資家から評価されるべきですが、発行市場において新たに対応すべきことや、守られるべきルールは、流通市場での多様な投資家が参加することを促すものであるべきというのが筆者の考え方です。

スポンサーサイト
ライツ・オファリングの対する規制の動きについて
24日付日本経済新聞において、ノンコミット型ライツ・オファリングに対して取引所などで規制する動きがあることが報じられましたが、その背景などについて簡単に述べたいと思います。

先ず、ライツ・オファリングは2010年3月にタカラ・レーベン(8897)が日本で最初にノンコミット型で実施しましたが直近(7月22日発行決議)のアンジェスMG(4563)まで25事例あり、その内3件がコミットメント型(投資家や株主が行使しなかった分の新株を証券会社が引き受けて販売)で、残りはノンコミット型と呼ばれるものです。コミットメント型では、野村が2社、三菱UFJが1社取り扱っていますが、その殆どが株主や投資家に行使されて、実際に引き受けたのは発行予定株数の僅か2~3%でした。ノンコミット型で行使されなかった分を証券会社が引き受けることはありませんが、フィナンシャル・アドバイザーとして証券会社が関与する場合が多く、特にA証券会社(引受機能のない)での対応が10社のこのビジネスでの高いシェアを占めているのが目立っています。
ライツ・オファリングにおいて、必ずしも証券会社が関与する必要はなく、最初のタカラ・レーベンの発行事例では、弁護士の指導の下に上場企業自らが発行実務を進めていますので、発行市場関係者としては敬意を払いたい思いです。また、フィナンシャル・アドバイザーの役割も必ずしも明確ではなく、コンサル会社が勤めた事例もあります。

増加してきたノンコミットメント型において、最近問題視されているのは上場廃止基準にかかるような債務超過の企業が実施したり、短期間に他のファイナンス(第三社割当増資やMSワラントなど)と合わせて複数回の資金調達を行う行為です。

ライツ・オファリングは、制度的には会社法の新株予約権の株主への無償割当てを利用し、その新株予約権を取引所に上場して払込期日直前まで売買させるものですが、実務的に利用しにくかったのを金融商品取引法や取引所規則を改正することで利用を促す取組みが為されてきました。この背景としては、リーマン・ショック後、一時的に急増した金融機関や大企業の大規模(大きく希薄化を招くという意味)な公募増資が海外機関投資家などから批判されていたことが挙げられます。

本来、大規模な公募増資の代替手段としてコミットメント型ライツ・オファリングを想定して制度・規制を緩和していったのですが、想定外だった利用のされかたなど踏まえて、東証の上場制度整備懇談会では以下の様な議論がなされています。(議論は、2月~4月にかけて行われ近々報告書が取りまとまられる予定とのことです。)

●独立した第三者が発行の適切性等をレビューすることが必要(証券会社の引受審査に準じたもの、若しくは第三者委員会など外部チェック)
●若しくは、株主総会の承認を得る方法を取る

上記の規制議論について、基本的に筆者は反対します。理由は、未だライツ・オファリング手法が定着したとは言い難い状況の中で、上場企業のファイナンス手段を狭める可能性があることと、基本的には株主や投資家の判断に任せるべきことと考えます。

 但し、証券会社がフィナンシャル・アドバイザーを行う場合、当該ライツ・オファリングに対して何らかの社内審査行ったかどうかのコメントや、ライツの行使を勧誘するのかしないのかの明確化などを公表するべきと考えます。また、ライツ・オファリング制度は大規模な公募増資の代替として制度整備されてきましたので、公募増資や他のファイナンス手段の問題点と合わせて、上場企業のファイナンスの在り方として包括的に議論されるべきこととも思われます。


株価呼値の適正化~取引価格の細分化
 7月22日から東証では現物株取引において、TOPIX100構成銘柄の呼値を引下げます。
株価1,000円以下は1円刻みから0.1円へ、5,000円から1,000円超の株価銘柄では0.5円に其々引下げかれますが、全銘柄に対しては今年12月まで、どうするか検討されます。
この株価呼値を引き下げるのは、投資家の売買コストを引き下げ、流動性を向上させる為と、東証はコメントしていますが、一部のリテール証券ではHFT取引などを行う大手投資家や海外金融機関などの優遇策ではないかとの懸念を表明しています。また、流動性が元々無い銘柄は、更に取引成立しにくくなるのではとか、個人トレーダー層が重視する板情報が取りにくくなるのではとの意見も出されました。今後、他の銘柄への対応は年内中に東証において検討されますが、取引に関しては他に夜間取引や売買単位の統一への取組みがあります。

 今回の呼値引下げを含めて、“呼値適正化”と“株式取引制度改革”の概要について以下に纏めました。

☆“呼値適正化”と“株式取引制度改革”の概要について

 ICTの進歩は、株式市場取引においても十分活かされるべきでしょうか、一方では多様な投資家の参加を促す為の取組みも必要です。その為に、参加者間の取引情報共有の在り方や、不公正取引監視など市場機能維持についても、分かり易い議論をしていくことが常に求められているように思います。
(更なる高速化と取引管理能力を向上させた株式取引システムarrowheadのリニューアルは、2015年9月24日に予定されています。)

ソーシャルレンディングは何の代替か
 ソーシャルレンディングは、P2P融資(Person2Person Lending)と言われ2005年頃から英国や米国で始まっていますが、2013年には全世界で20億ドル(前年比約倍増)を超える金額が利用されたと推測されています。ソーシャルレンディングは、ネット上で不特定多数の個人からお金を集める方法なので、広義のクラウドファンディングの一種です。しかし、現状のクラウドファンディングは、事業や製品などへの共感がお金を出す前提となっているのに対し、ソーシャルレンディングは他の貯蓄性の金融商品より高めの利息を得るといったことが目的になっていますので、通常はこの2つを区分しています。
(※クラウドファンディグに関する調査などでは、ソーシャルレンディングは貸付型クラウドファンディングとされることもあります。)

 日本においては、2008年にManeoはP2Pレンディングのマッチングサイトをオープンして、このビジネスが始まりましたが、現在の最大手はSBIソーシャルレンディングで、ManeoやAQUSHを加えた3社がその大半を占めます。但し、この3社においては其々レンディングの在り方が違いますので、簡単に紹介しておきます。(※金利は、7月時点での各社のHPより投資家側の年率ベース金利)

・SBIソーシャルレンディング=現在の主力商品は証券担保ローン(期間1年で2%程度)と不動産担保(期間約14ヵ月で3.0~4.3%)。証券担保ローンは、借り手のSBI証券顧客預かり資産とリンクする。また、建築資金の融資(コーポラティブハウスローン=期間3~6ヵ月、金利4~6%)や中小企業への融資(ビジネスローン=期間3ヵ月、金利6%)を行う商品もある。

・Maneo=中小企業向けローンで、以前は6ヵ月から1年程度の小口資金(500万円~3000万円程度)を扱っていたが、最近が3年程度のものも募集されている。なお、最小単位は募集合計人数が500名未満の私募事業ファンド規定に沿うよう調整されており、1万~5万円程度。

・AQUSH=元々は、個人のローンを自社で格付けし、投資家側で信用リスクのイメージを持ちやすくして希望する金利でローンを入札(実際は、投資家側が格付けと金利のマトリックスを選択)する方法(金利4~15%)だったが、最近は保証会社の保証付不動産担保ローン(期間3年、金利2.5%)を始めており、また米国最大手のソーシャルレンディング・プラットフォームのLendingClubの案件に投資するファンド(期間3年、金利6.5%但し別途営業者報酬が控除される)の募集も始めた。

 ソーシャルレンディングも、個人の少額のお金をインターネットを使って効率的に集めるマイクロファイナンスの流れの中で拡大してきました。ネットで投資の申し込み及び決済が済んでしまうので、ビジネスとしては効率的で、少人数の組織でもプラットフォームの運営が可能です。その為、投資の世界(既存の証券会社や金融機関など)から見ると、商品説明や投資リスクに関する情報提供など実務的に少し粗いように感じます。今後の拡大を期待する金融機関の関係者は多いと思いますが、現在は少し距離を置いて動向を見ている方が多いというのが筆者の実感です。
 なお、標題の何の代替になり得るかと言いますと、以下の様に考えます。
【借り手から見て】
・カードローン
・中小企業の事業資金(主に短期のつなぎ資金)
・不動産担保ローン
・証券担保ローン(但し、既存の証券会社との連携が必要)

【投資家からみて】
・預金
・債券投資(国債や社債)

ソーシャルレンディングのビジネスは、創成期から成長期に入ったところでしょうが、既存の金融ビジネスの隙間を埋めたり、金融機関の代替機能を果たしていく為には、ソーシャルレンディング・プラットフォーム側の一層の体制整備(Webでの情報の出し方や、投資家への情報の伝え方など)が必要だと思われます。

金融教育から投資教育へ
 金融教育は随分深耕してきていると感じました。6月16日に、金融経済教育推進会議(事務局:日銀情報サービス局)より“金融経済教育推進会議の取組み成果について”が公表されましたが、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の項目別・年齢層別スタンダードということで、今回“金融リテラシー・マップ”が示されました。
以前は金融教育というと学校で実践するようなイメージが強かったのですが、今回の報告は、大学生・若年社会人・一般社会人・高齢者それぞれの階層に必要な金融リテラシーを其々の項目で明確にし、個々が理解すべき点が明らかにされています。
少し驚いたのは、試験的ではありますがFP(ファイナンシャルプランナー)を「金融コンシェルジュ」として病院に派遣し、主に高齢者を対象とした患者とその家族の金融関連の相談を無料で受けるパイロット・プランが実行されたことです。この報告も公開されています。
 教育とは一生必要なことでしょうが、報告書を一読して日本人としてどう生きるのかといった事にまで及びそうな内容に少し圧倒されたのも事実です。この金融教育への取組みから、“投資教育”がどう派生してくるか証券・金融業界にとっても重要なことです。
金融庁が5月に実施したNISA(少額投資非課税制度)に関する調査で約1万名の証券会社や金融機関の営業部員をヒアリングした結果では、46.3%が若年層にNISA利用拡大を促す為に最も必要なことは、投資教育(投資の方法等)としています。

 さて、実際の投資教育がどう行われるか考える時、前述した病院に入院されておられる高齢者の方々には投資教育はおそらく関係ないように思いますが、現在最もニーズが高い方々がおられます。それは約500万人に達した確定拠出年金制度(日本版401K)の加入者の方々です。この制度は約94%が勤めておられる会社を通じて制度加入していますが、その為自分で運用している意識が無い方が多く、現状では約三分の二が貯蓄性商品にされており、ほぼ商品の変更なくこの制度を利用されています。勿論、ご自分の判断でされておられるのならコメントの必要もありませんが、企業側でこの制度を担当されている方の意見としては、せっかくこの制度に加入されていても利用者が投資商品や投資タイミングなどの判断が分からないケースが多いとのことです。

 一方、投資教育はプロと呼ばれる銀行や証券会社の営業部員にも必要ではないでしょうか。もちらは、投資教育の教育者としての立場でという意味ですが、自分の顧客の特性に合わせ、顧客個別の投資リスクをどう判断し、どの様にリスクを負うか個人をサポートするのがコンサルティング営業です。そのコンサルティングを効果的に行う為には、投資教育的ノウハウが求められます。
 また、ネット証券においては最近投資教育を意識した情報提供が自社WebやSNS利用で増えていますが、現状は多くの情報を流す段階で、個々の個人自らが必要な情報を取捨選択する必要があります。その為の新たなサービスがネット証券(若しくはネットでの証券ビジネス)に求められる可能性があります。

 投資教育を必要としている方は、これから投資を行う若しくは行うべき個人ですが、同時に仲介者としてその個人に接する証券会社も、よき助言者である為には自らの投資教育も必要ではないでしょうか。

もう一つの市場~貸株(日本株レンディング)市場
 日本の株式市場は、教科書的には流通市場と発行市場といった機能別の分け方がされますが、もう一つの市場として貸株市場(日本株レンディング市場)を考慮すべきではないかと思います。
 勿論、株式を借りる目的は売却で、何れは市場から買って(一部は、新株予約権の行使や特約付き貸株契約など個別デリバティブ契約の実行)返すので、空売りとして取り扱われています。その空売り集計(東証が全体の比率を毎日公表)は、比率が7月10日現在で32.8%と相当高い水準にあります。

 この貸株市場の直接の参加者は、証券会社や国内外の金融機関・ファンドなどですが、基本的には大株主や長期保有者(年金ファンドや保険会社など)から株式の貸し手となり、借り手は短期的に裁定取引やトレーディングを行うファンドや証券会社で、個人の場合は信用取引を通じて証券会社から借ります。

 非常に重要な市場なのですが、国内で取引されるのは想定で3~4割程度で、海外でヘッジファンドや海外金融機関などが大口で取引するケースが多く、個人投資家にとって全体像は把握しにくい状況です。
 
一応、個別株の貸株に関するデータは以下のものがあります。

【銘柄別信用取引週末残高】=東証が前週末の信用取引銘柄別残高を、翌週火曜に公表
例えば、ソフトバンクの7月4日の信用取引で借りられている株数は、191万株(制度信用分=173万株、一般信用分=18万株)
(制度信用分に関して、自社内でのマッチング分を差し引いた分につき証券会社は日本証券金融から借りますが、これは貸株残高として日々公表)

【銘柄別株券等貸借週末残高報告】日本証券業協会が証券会社経由の貸借取引を週末ベースで集計し、翌週木曜に公表
例えば、ソフトバンク株式の7月4日貸借残高は、2,893万株(有担保が2,256万株、無担保が637万株

【その他、海外の大口取引】海外の投資銀行業務を行う金融機関及び大手ファンドや年金基金などが相対で取引を行う場合が多く、上記の統計には貸株状況が反映されない場合もある。但し、大手金融機関・投資家向け情報サービスを手掛けるマークイット(旧Data Explorers社)では、貸株在庫情報や貸株フィーなどの貸株関連情報を証券会社などに提供している。

 以上の様に、個人投資家が貸株市場の状況を正確に把握することは難しい状況ですが、最近はネット証券において自社顧客から動きの激しいモメンタム株を借り、制度信用では空売り出来ない銘柄も空売り可能とするケースが増えています。貸株取引も、ネット証券の自社顧客内でマッチングさせる取組みが増えており、個人のトレーディングをサポートしています。

☆貸株市場のイメージと空売り動向について

新しいファイナンス手法なのか?~発行市場にもイノベーションは必要ですが・・・
 ICTの進歩によって株式市場の流通機能は、どんどん進化しています。取引や決済がプログラミングに対応して高速化することでHFTなど超高速の裁定取引が行われ、株式がペーパレスになったことで金融機関同士の株式の貸し借りは概ねリアルタイムで行うことも可能になっています。

 一方、発行市場(上場企業のファイナンス)の方は既に流通市場があることが前提となっているため、その流通市場に悪影響を及ぼさないよう発行ルールを定めています。その為、発行市場の進化とは流通市場の進化に合わせた発行ルールの改定という見方も出来ますが、その発行ルールは関係法令や証券会社の自主規制及び上場企業の発行規律によって成り立っています。新しいファイナンス・スキームを行おうとした場合、この発行ルールに照らして実務的にも問題ないことを確認しながらファイナンスを進めますが、これは証券会社や専門の弁護士などフィナンシャル・アドバイザーの仕事です。

 嘗てのライツ・オファリングやリキャップCB、株式へ転換する数量をコントロールしようとする新株予約権付社債(CB)、そしてMSCBやMSワラントなどもこの発行ルールを一つ一つ実務的に確認しながら行いますので、これら新しい取組みを行ったフィナンシャル・アドバイザーの方々には敬意を払っています。

 最近実行されたリプロセル(4978)のファイナンスでは、改めて日本の発行市場について考えさせられたので、ここに取り上げます。(※あくまでもファイナンス手法に関する評価なので、投資判断には用いないで下さい。)

 先ず6月11日に取締役会決議されたファイナンスは次の様なものです。

【ファイナンス概要】(一般の方に理解しやすく筆者が簡略化しました。詳細は同日の記者発表文を)
・4回に分割した第三者割当増資=1回80万株の株式発行×4回で合計320万株(6月27日、9月4日、9月24日、12月4日に割当先が払い込む。なお、割当日は各日の2週間程度前)
・割当先=ドイツ銀行ロンドン支店 (ドイツ証券(東京)がアレンジ)
・割当する株式の発行価額=割当日の時価の90%(1回目は6月11日に801円で決定)
・借株契約有り=割当株数と同数までの借株契約がドイツ銀行によってなされることがある。
・割当て株数の調整=月間の取引高が一定株数以下の場合、次回の割当株数が減少される。(割当て株数が半数若しくは割り当てられない場合も)

【筆者の考え】
・このファイナンス・スキームは、所謂MSワラントに相当近いと考える。
・初回こそ、80万株の新株が割当てられるが、発行決議前に借株契約があり割当者もしくはその関係者による当該株式の売却が実行されていれば、MSワラントの発行と同様の効果がある。
・次回以降の出来高に対する割当株数の調整は、割当先が裁定取引(借株契約で借りた株を売却し、割当株を引き受けて、株式を返還)を行うことの証左ではないだろうか。
・なお、MSワラントやMSCBは割当者の市場での裁定取引行為が前提で、実質的には流通市場でファイナスしているに等しい。その為、公募ファイナンスに準じた株主や投資家への配慮(ファイナンスや資金使途の内容を分かり易く伝える等)が必要。

【割当者(証券会社等)が留意すべき点】
・割当者が株式を借りて売却することが前提だが、インサイダー情報の管理は重要。
・特に、最初の発行決議前の売却については、ファイナンスそのものがインサイダー情報なので、このスキームの計画段階から売買は出来ない。
・また、当該ファイナス・スキームを検討中に入手した他のインサイダー情報(M&Aや新商品開発など)がある場合、その公表まで売買出来ない。
・つまり証券会社としての情報管理と売買管理が重要になってくる。

 いずれにしても、新しいスキームへのトライは投資銀行として称賛されるべきですが、そのスキームとファイナンス目的を正しく投資家や株主に使えることが重要です。なお、このファイナンス・スキームは、STAPならぬSTEP(Straight-Equity issue Program)と命名されていますが、関係者の洒落にしては少しきつい気もするのは、筆者だけでしょうか。


日本の社債市場と個人の投資について
 昨年は個人向け社債が2兆円近くも発行され、その内7,000億円がソフトバンクの発行によるものでした。また、発行者の傾向としては、証券会社や金融機関(劣後債など)の発行が増えていますが、自社顧客の債券投資ニーズに応えるものでした。また、ネット証券が自社顧客向けにネット販売(勧誘)を行うことも定着してきました。
 この傾向は今年も続きそうですが、個人が社債の受け皿となることは今後も増加しそうです。但し、個人は2016年から債券投資に関する税制が変わり、譲渡益は課税されるよう変更されたり、株式関連損益との損益通算が可能になります。

☆日本の社債市場と個人の投資について

 さて、日本の社債市場そのものはどの様か言いますと、拡大していると言える状況ではありませ。東日本大震災で電力債の発行が減少しましたが、一方ではリーマン・ショック後、社債市場活性化の為の検討が進められてきました。その成果は今後に期待ということかも知れませんが、もう5年近い歳月が経過しています。
 主要な問題点を洗い出し検討が進められてきましたが、流通市場の為の取引価格を共有する仕組みは1部に限って今秋スタートする予定です。(目標としていた米国での同様のシステムに比べ、かなり限定された仕組みでのスタートです。)市場拡大には、発行者・投資家双方の拡大が必要でしょうが、そろそろ大手業者のアジアの中心市場として相応しい本気の議論が待たれます。

動き始めたクラウドファンディング~期待と少しの不安
 6月24日に閣議決定された新成長戦略では、クラウドファンディングを活用した地域資源活用型ベンチャー等の企業支援活用モデルの検討という項目が新たに記載されていますが、実際に地方では地域に密着したクラウドファンディングの取組みが始まっています。
 また、それとは別に“投資型”クラウドファンディングの制度整備が進んでおり、改正金商法が5月末に交付され1年以内に施行されますが、今後、内閣府令や自主ルールの整備が秋口に行われ、来年4月にも金融商品取引業としてのクラウドファンディングが始まります。
 この事は、今は規制されていないクラウドファンディングが純粋な寄付行為以外は規制されていく可能性が強いということでもあります。
 今後、制度整備される“投資型”クラウドファンディングは、不特定多数の個人が未公開のベンチャー企業などに投資すること可能にする仕組みとして期待されていますが、これが投資行為と成り立つ為には旧来の資本市場に何らかの形で繋がっていく必要もあります。例えば、成長すればIPOを目指すとかM&Aで大手企業が資本参加することなどがありますが、その為にも仲介者として証券会社などが数多く関与していくことも重要と考えます。

 取りあえずは、今後の自主ルール制定に向けて業界で議論が進むことに期待しています。

☆動き始めたクラウドファンディング~期待と少しの不安
・それぞれの期待
・クラウドファンディング・スキームの現状
・2020年のクラウドファンディング
・証券ビジネスとしての可能性と課題


最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード