*All archives* |  *Admin*

2014/08
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
プロ投資家とは何なのか~プロ向けファンド規制動向から
 最近話題になりましたプロ向けファンド規制の動向から、改めてプロ投資家というものを見直してみたいと思います。

 規制強化議論の対象となったのは「適格機関投資家特定業務」で、1名以上のプロである適格機関投資家が参加するファンドで、49名以下であれば一般投資家も参加することが可能なプロ向けファンドについてです。このプロ向けファンドは、普通のファンドより投資家に情報提供する開示規制が緩やかで、かつファンド販売者に対する行為規制も限られています。2007年9月に施行された金融商品取引法において、ファンド形式(集団投資スキーム)による企業や事業にたいするリスクマネー供給を一層活発化する目的で導入された制度ですが、最近は同業務を行う業者の中には業務執行(出資金の流用など)に問題がある事例も指摘されていました。

・適格機関投資家・・・715(8月1日現在)
・一般投資家・・・多数
・適格機関投資家特例業務業者・・・2,977業者(6月末)

【消費者委員会(内閣府)による提言概要】(2014年4月22日、詳細は提言をご覧ください。他に同様の提言は日弁連・国民生活センターなど)
 プロ向けファンドは、一般投資家(アマ)向けの投資勧誘において重要な、広告規制、契約締結前書面交付義務、契約締結時書面交付義務、断定的判断の提供の禁止、適合性原則等の行為規制が適用されないので次のことを提言。
●プロ向けファンドにおける投資家範囲の見直し
●悪徳業者の排除

これを受け、金融庁は適格機関投資家特例業務関係法令の改正を行い、プロ向けファンドの適格機関投資家以外の販売可能範囲を次の様に定めました。(主なもの)
・資本金5,000万円以上の法人
・有価証券など投資性金融資産が1億円以上の個人
・同、100億円以上の企業年金 など

上記の法令改正案は、この8月1日から施行予定でしたが、ベンヂャーキャピタル業界などからベンチャーファンドが集めにくくなるとの指摘が相次ぎ、現状では施行が見送られています。

 さて、上記の動きはプロ向けファンド規制への動きとしてマスコミで報じられることが多いのですが、この制度は一人以上のプロが投資家としてそのファンド内容をチェックして参加しているなら、少人数に限り一般投資家の参加も良いでしょうという制度なので、プロの投資家としての範囲をどこまで拡大すべきかという議論とは少し異なる議論が必要に思います。

ちなみに、現状では個人がプロ投資家になる為に、次の2つの制度があります。

・個人の特定投資家=金融資産3億円以上で、証券会社に取引口座を1年以上開設している個人は、取引先証券会社に申請し、認められれば特定投資家(プロ)になることが可能です。
(上場会社若しくは資本金5億円以上の企業は、原則特定投資家扱いですが、それ以外の一般企業は各証券会社毎の基準に拠ります。)

・個人の適格機関投資家=有価証券の保有残高が10億円以上あり、証券会社に取引口座を1年以上開設しているか、ファンド(匿名組合契約)の業務執行組合員である場合。
(ちなみに8月1日現在で、20名の個人が適格機関投資家として登録されています。)

 プロ投資家も、金融機関や運用会社・機関投資家だけではなく、ヘッジファンドや海外投資家、それに個人も加わり、プロ投資家としての多様性が確保されることが、市場全体の拡大や健全性に寄与するのではないでしょうか。

スポンサーサイト
地域における資本市場機能について
 アベノミクスによる成長戦略も地方にその重心が移ってくるということですので、地域における資本市場機能について見直してみました。資本市場の裾野拡大の為にも、地域での資本市場機能拡充が重要なのですが、現在の状況と可能性について次の様な状況です。

【地域の成長企業に対するリスクマネー供給について】
 現在はIPO(新規株式公開)に偏っていると言わざるを得ません。取引所に上場して、その際リスクマネーを調達することは分かり易いシナリオで、今後もこのIPOが地方における資本市場機能の中核であることは変わりがないでしょう。むしろ問題は、IPOを仲介する業者(IPO引受証券会社)のキャパの方かも知れません。業者にとってIPOは組織的負荷が重い装置産業で、証券会社でも大手と中堅の一部しか実質的な主幹事対応が出来ません。現在、一部の中堅証券会社ではIPO人員の拡充に動いているようですが、各社の機能拡充には時間がかかりそうです。

 このIPOに替わるリスクマネー供給として、一部の地方ではファンドでの資金調達が行われ始めています。例えば、地元での自然再生エネルギー施設やヘルスケア施設の建設・運営資金調達、地元信用金庫の資本調達など、上場企業でなくとも地元での認識が高い事業や企業のファイナンスでファンド(事業ファンド)が活用されることが増加しそうです。

 またIPOの代替としてプロ向け市場(TOKYO PRO Market)が注目されます。この市場はロンドンの新興市場AIMに模して創られた市場ですが、専業者(J-Adviser)が企業のサポートする仕組みで、企業側がより軽い負担で上場することが出来ます。但し、J-Adviserとしての負担が重かったので、中堅以下の証券会社には敬遠されていましたが、既存の証券会社と組むことを前提にした専業者が沖縄県内で設立され、実績を積み始めているので、より多くの地方証券会社や地域金融機関などが地元企業をこの市場に誘導することが期待されています。

 今後については、成長戦略で制度整備される“投資型”クラウドファンディングと新・非上場株式取引制度があります。今秋にも関連業界において自主規制ルールを整備し、来年4月以降には稼働すると見られていますが、上記其々の資本市場機能と繋がってこそ、資本市場の裾野として上手く機能していくと思われます。

【資本市場に繋がるベンチャー投資について】
 殆どの地域には、地域金融機関や地方公共団体・政府系金融機関などが設立に関与した地域ベンチャーファンドがありますが、これらが資本市場の裾野として機能する為には、ベンチャーファンドが出資した企業が更なる成長資金を調達したり、IPO以外のEXIT(ベンチャーファンドの資金回収)としてM&Aを行い易くする環境整備が必要と考えられています。独立行政法人中小企業基盤整備機構では、このベンチャーファンド間の取引を活性化させようと、ネットワーク構築を試みて2012年2月からベンチャー投資の情報ネットワークとして”ベンチャー投資ナビ”を開設しています。現在、88社のベンチャーキャピタルが参加して563社の企業情報が掲示されていますが、実際の投資やM&Aニーズに応える為の情報共有化(ベンチャーキャピタ間の)は、これからという感じがします。

 率直な感想を述べますと、地方においては既存の資本市場関係者より、ベンチャー投資関係者の方は随分多い様に思います。この各地域間のベンチャー投資関係者間の情報共有が進めば、資本市場の裾野としての地域ベンチャー投資の在り方も見えてくるように思われます。


クラウドファンディングのマーケティング手法
 インターネットを使って容易に事業資金などが集まるかもしれない夢のマイクロファイナンス手法とのイメージが先行していますが、寄付や商品購入の優先するeコマース的なものなら現状でも良いでしょう。
その現状のクラウドファンディングのマーケティング手法(投資でいうところの投資ニーズの集め方)を簡単に示しました。

☆ クラウドファンディングのマーケティング手法

 しかし、投資であるならeコマースと異なり将来の投資成果を期待している個人に対応する必要があり、上場企業の様に企業情報が十分開示される代わりに、ウリとする製品・サービスや経営者などに関する持続的な情報提供が求められます。またSNSを活用する為、経営者などの個人情報に関する露出が多くなることが予想されます。
 現在、投資を目的としたクラウドファンディングの制度整備が行われ、来年度には“投資型”クラウドファンディングが開始される予定ですが、eコマース的マーケッティング手法の良いところを活かしながら、不特定多数の個人への持続的情報提供やリスク情報の伝え方が、クラウドファンディング業者(改正金融商品取引法では、少額電子募集取扱業者=株式での募集は第一種、ファンドでの募集が第二種)の課題となっています。

 なお、貸付型クラウドファンディングとされるソーシャルレンディングでは、利用している個人は明らかに投資目的です。その個人が負うのは、主に貸し手の信用リスクですが、これを判断しているのは各業者で、現在まちまちの信用リスク判断について、個人の理解し易い一層の情報提供が求められます。
現状ではソーシャルレンディング業者は、貸金業者がファンドを組んで細分化した投資口をネット上で販売するという業法上の構成になっていますが、業界団体において共通の情報公開の為の自主規制が必要ではないかと考えます。

世界の中の日本市場
 時には少し離して日本市場を眺めてみては如何でしょうか。

☆ 世界の中の日本市場

 アベノミクス以降、日本市場の注目度が上がっているのは事実で、世界市場の中での時価総額シェアは7%台ですが、売買シェアは10%(米ドルベース)を超えています。現在、政策的にも日本株の魅力を高めようと、コーポレート・ガバナンス改革を様々な面から行っていますが、一層日本株の売買が盛んになることに期待したいところです。

なお、少し発行市場にも思いを馳せてみましたが、米国や中国に比べてIPO数が少ないのは、やはり経済成長力の差でしょうか。その割にニューヨーク取引所の上場数が少ないのは、M&Aや上場廃止などで市場の新陳代謝が活発だということで、その様な活力は日本市場にも必要です。
単にIPO増加だけではなく、上場企業のM&A活発化、IPOに至るまでの裾野拡大(プロ向け市場やファンド上場の活発化)、そして上場廃止基準の厳格化もあってこそ、市場の活力が醸成されるのではないでしょうか。

クラウドファンディングが越えなければならない壁
 インターネットで事業資金を集めるクラウドファンディングは、それぞれの立場で夢の方法の様に思える時があります。筆者も、長く証券会社で企業ファイナスを支援する仕事をしてきましたが、この様な方法が仕えたならと今更ながら思いますし、今年度中に整備される“投資型”クラウドファンディングに対して大きな期待をもって見ています。また、世間一般の関心も高いので時々マスコミに取り上げられ、少しだけのブームを起こすこともあります。最近では、飛騨地方の地ビール会社が、地元信金の勧めでクラウドファンディングを行い、醸造タンク資金を調達したことが、ウォールストリート・ジャーナルの記事で取り上げられています。

 しかし、企業のリスクマネーを集める以上、“投資型”クラウドファンディングが越えなければならない壁があります。一つ目は資本市場の壁です。

 日本の資本市場は、金融商品取引法を基盤として投資家保護が図られていますが、例え50万円以下の少額であっても“投資型”クラウドファンディングにおいても一層の投資家保護が図られなければなりません。関係法令の国会での審議以前でしたが、消費者委員会(内閣府)より“ クラウドファンディングに係る制度整備に関する意見”(2月25日)では、クラウドファンディングを仲介する業者に対して次の様な対策が講じられるべきとの意見が纏められています。(筆者が簡略記載:詳細は消費者委員会のHPをご覧ください。)
●クラウドファンディングの仲介を行う業者が、デューデリジェンス(企業内容の詳細調査)をどう行うか明確にする必要があり、一個人の投資上限50万円の実質的しり抜け行為な無いようにする。
●ネットを通じて、適切にデューデリジェンスや企業内容に関する情報提供が行われるようにする。
●投資者が非上場株式やファンドへ投資することの意義・特質、そして流動性リスクやデフォルトリスクを十分に理解した上で投資判断しているかを仲介者が確認する。
●クラウドファンディング専業者については、電話や訪問などの勧誘行使を禁じるべき。
●海外業者の行う詐欺的行為を防止する措置をとるべき。

 クラウドファンディングの日本での現状は、累積投資額80億円程度と未だ創成期段階で、寄付型・購入型が殆どと言われていますが、一部の事業者では投資に近いものも扱い始めているようです。普通のIPO銘柄でも、数年でビジネスモデルが上手く行かないものもありますが、話題先行のクラウドファンディングで問題が顕在化してくるのはこれからの様です。
 
二つ目の壁は個人情報の壁ですが、これは企業の経営者のものと投資家のものの2つの側面があります。
クラウドファンディングを利用する企業は、普通の公開企業に比べ著しく情報が少ないのですが、それを補う為に経営者情報を投資家に継続的に与える必要があります。現在のクラウドファンディングは、単に業者のプラットフォームにファイナンス情報を晒しておくだけではなく、メールやSNSを使っての個人に対するマーケティングも行われていますが、企業・製品情報だけではなく経営者情報もこのルートで流されるようになります。結果、経営者のプライバシーがクラウド(一般)にも流される可能性も想定しておく必要があります。一方、投資家の個人情報に関して、クラウドファンディング業者の個人情報保護義務は当然ですが、個人への製品発送を行う企業側にもこのルール順守の徹底が必要です。
 つまり、経営者情報は壁を越えて投資家に流れるよう、投資家情報は壁を越えないような仕組みを作っていく努力がクラウドファンディング業者に求められます。

 これから出来る“投資型”クライドファンディングが日本にしっかり根付いていく為に、この2つの壁を超える努力がクラウドファンディング業者に求められています。

試される投資家~2つのファイナンス事例より
 株主や投資家が直接対応を問われるようなファイナンス手法としてライツ・オファリングがありますが、株主は先ずライツ(新株予約権)を受け取るかどうか(受け取らない場合は当該株式の売却)決断を求められます。ライツを受け取った場合、そのライツを市場で売るか、行使するか選択しなければなりません。
また、投資家がライツを売買したり行使を検討したりすることで、このファイナンスに直接参加することが出来ます。

 一方、MSCB(Moving Strike Convertible Bond)やMSワラントと呼ばれるファイナンス手法は、時価より1割程度安い行使価格の新株予約権を証券会社などに割当てますが、割当てられた証券会社は市場で当該株式を売却しますので、この手法は証券会社にとってはある種の裁定取引です。この裁定取引を支えるのは、市場での投資家の買いですので、一般の投資家がファイナンスを支持することがこのファイナンス手法の前提となっています。なお、同様の効果があると見なされるファイナンス手法として、大株主からの貸株+時価から1割程度低い価格での第三者割当の複数回実行があります。

 いずれのファイナンス方法も、株主や投資家がその投資行動を直接問われる方法ではないかと思います。

☆ 株主や投資家が問われるファイナンス事例

 なお、最近ライツ・オファリングに対する規制議論が報じられていますが、その背景にはノンコミット型の場合、第三者がチェックしているか分からないので何らかの発行企業に対する制約が必要ではないかとの意見があります。しかし、ライツ・オファリングの原型であります株主割当増資そのものを規制できなければ、ライツ・オファリングを規制しても、株主は上場されないライツ(株主割当増資で株主に付与された新株予約権)を持つことになり、株主にとってはデメリットが大きくなる可能があります。むしろファイナンスが問題というより、問題あるファイナンスを繰り返す企業が上場されていること自体が問題の様に思われます。

☆ 直近のライツ・オファリング事例

証券税制の流れと課題~「貯蓄から投資へ」の進め方
 個人の投資に税制が影響することが非常に大きかったのは事実です。昨年約9兆円近く個人が日本株を売り越したのは、譲渡益課税の軽減措置が終了することが大きな要因でしたし、現在官民一体で拡張・拡大策を進めるNISAは、個人の非課税投資制度です。
 少し使い古された感もしますが“貯蓄から投資”に向けて個人の金融資産が動くため、NISAなどの非課税投資制度や金融所得一体化(各金融商品間の損益通算の進め方など)に向けた今後の取り組みが注目されています。
 
 その証券税制に関して、過去からの変遷と今後の予定を今一度なぞってみることで、今後の課題などについて見直してみました。

☆ 証券税制の流れと課題~「貯蓄から投資へ」の進め方
・証券税制の変遷と課題
・金融所得一体課税の進め方
・非課税投資制度への期待
・業界の取組みと変化、そして可能性

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード