*All archives* |  *Admin*

2016/03
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
証券税制の変遷とその方向性
☆ 証券税制の変遷とその方向性
税制の変更は、個人の投資行動に大きな影響を及ぼしています。譲渡益課税の軽減措置が終了する2014年の個人の日本株売買では、8.7兆円を超える金額が売り越されましたが、その直後から始まった非課税投資のNISA(少額非課税投資制度)では、昨年9月まで957万口座、5.8兆円(金融庁調べ)の投資資金が流入しています。
この個人の投資に関する税制がどの様に変わってきたか、主要な項目別に見直して見ますと、次の様なものです。
〈キャピタル・ゲイン課税の変遷〉
 戦後の所得税制の基点は1949年のシャウプ勧告に拠りますが、利子・配当・譲渡益も一旦全額総合課税とされました。しかし、資本が脆弱な当時の日本企業への投資を促す為に、1953年から原則有価証券譲渡益は非課税とされ、1961年に一定の大口取引が課税化されたものの、日本経済の高度成長期を経て、原則非課税は1988年まで続いていました。なお、この原則非課税制度に伴って、取引金額に課税する有価証券取引税制度が導入されていました。(1999年に廃止)
1988年度からは、原則譲渡益課税に変わりましたが、申告分離課税(税率26%)か源泉分離課税(売買代金の1.05%)が選択できる2者択一の制度が取り入れられ、この制度は2002年まで続きました。
2003年からは、源泉分離課税方式が廃止され申告分離に一本化されましたが、税率は20%に引き下げられました。なお、景気対策として同時にこの譲渡益課税に対する軽減措置が取られ、10%課税が昨年末まで続いていましたが、2014年から本則の税率20%に戻っています。
〈非課税投資制度の変遷〉
 「マル優」制度(少額貯蓄非課税制度、別途国債投資に限った特別マル優制度があり)が1963年に始まり1988年まで存続しており、公社債や公社債投信に加え1972年からは株式投信も投資残高300万円まで非課税の対象となっていました。この制度は、1988年に高齢者(65歳以上)・障害者・母子家庭向けに限られ、同制度は2005年を持って廃止されました。
一方、2001年10月には景気刺激策として一時的な投資の為の非課税措置が取られ、2002年中に購入した1000万円までの株式を2年間保有した場合(2007年末まで)、100万円までの株式を1年間保有した場合(2005年末まで)、それぞれに限り非課税とするものでした。また、目的が個人年金資産形成に限られますが、2001年10月から確定拠出年金制度(日本版401K)が始まっており、毎月の拠出額に上限があるものの残高の制限がない非課税投資制度とも言えました。なお、2014年から始まったNISAに関しては、取りあえず制度期限10年間の暫定的導入とされています。
〈配当課税について〉
 1965年に、1銘柄年5万円以下(1974年に10万円以下に引き上げ)の申告不要制度(税率10%)、1銘柄年50万円未満の源泉分離選択課税制度(税率15%)が創設され、その後、税率が段階的に引き上げられましたが、2003年に上場株式等の申告不要制度(税率が原則20%、但し軽減措置が昨年まで実施され10%)の導入に伴い、両制度は廃止されました。
 
また、貯蓄から投資へという政策テーマは、ここ20年来いわれ続けていますが、その政策的な目的は、次に上げるようなことがあります。
○投資による個人の資産形成=新規の投資家層の育成目的
 NISA(少額非課税貯蓄制度)の恒久化や利便性の拡大が、今後図られることが予想されます。また、確定拠出年金制度の利用者が、専業主婦や公務員・中小企業の従業員にも利用しやすい制度へ改善されていますが、個人の老後に必要な金融資産形成に役立つことが期待されています。
○金融所得一体課税への取組み=既存の投資家層の一層の投資促進
 2016年より、株式や公募投信と債券の売買損益が通算(配当金や利子も含めて)出来るようになりましたが、これにデリバティブ取引や預貯金の利子所得も合算して申告分離課税(税率20%)されるのが、金融所得一体化の取りあえずのゴールです。市場関係者からは、既存投資家の一層の投資拡大を促す為、損益通算期間(現在3年間)を延長したり、ベンチャー投資など特定の投資を促すエンジェル税制の拡充に期待する声も高まっています。
○世代間金融資産移転の促進=高齢者層から若年層への資産移転
 2016年4月から開始されるジュニアNISAは、親や祖父母などから年80万円(最大5年間で400万円)を上限として非課税(譲渡益等)で投資することが可能な口座です。対象者が18歳までは引き出せません。また、教育資金譲渡信託は、30歳未満の孫や子供の教育資金として、一括して1,500万円まで非課税で贈与することが可能な税制措置です。これらは、祖父母などの高齢者から、若年層や子育て世代に対して資産移転を促す目的をもっているといえます。

スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード