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2016/05
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マイナス金利の証券業務に関する影響について
1月29日の日銀政策決定会合で公表され、2月16日より実施されているマイナス金利について、証券業務に関する影響を中心に見直してみました。
 先ずマイナス金利の実際のオペレーションは、民間銀行の日銀当座預金にある超過準備に対して、-0.1%のマイナス金利を課すものですが、2015年の平均残高は除外とされるので実際の対象となるのは18兆円程度とされています。この分は、銀行が日銀に対して支払うこととなりますが、一方で量的緩和により、日銀が買い取った国債の代金は直ぐに企業などへの貸し出しに回るわけではないので、日銀当座預金残高を増やす要因として市場関係者からは見られています。その為、市場においては金融機関がマイナス金利の悪い効果を最も多く受けるとされています。

 この影響は証券会社にも及んでおり、信託銀行に預託している顧客分別金信託(顧客から預託を受けた金銭、信用取引の担保として預託を受けた金銭等を分別管理する目的)に対して、信託銀行側は証券会社に新たな手数料を請求し始めています。

 一方、マイナス金利は国債など安全性の高い金融商品での運用を難しくしています。例えば、短期金融商品で運用していたMMFなどは、投資運用会社での運用ができないので、全社が資金を投資家に返還しました。(自動的に継続投資が行われるMRFについては、日銀のマイナス金利の対象外となっています。)また、長期国債等の金利も大きく低下しているので、保険では長期終身保険の予定利率を引き下げる動きが拡がりました。ただし、既に国債等の債券での大きなポートフォリオを持つ金融機関や保険会社にとって、先行きの投資収益は低下するものの、保有する債券は大きく上昇して売却益や含み益を拡大させています。つまり、これらの機関投資家がよりリスクを取りやすくなっており、海外の安全性の高い債券や優先証券、リートなどへ資金が回ることを期待する向きも多いようです。

 また、短期金利及び10年程度までの長期金利がマイナスとなっている影響は会計処理にも影響を与えており、企業会計委員会は、企業の2016年3月期決算において、①退職給付債務を算出する際の割引率について、マイナスの利回りを用いる方法、ゼロを下限とする方法、いずれも可能である旨②金利スワップの特定措置(ヘッジ会計)に関して、これまで特例の適用が認められていた借入(利息分の調整等)及び金利スワップ取引(オフバランス化)について、引き続き特例の適用が可能である旨を公表しています。

 以上の様に、マイナス金利政策によって、金融機関は短期的な対応策が求められることが多く、加えて米国の再利上げが遠のいて日米金利差の拡大が望めない現状で為替相場での円安傾向の支えになっていないので、市場関係者の評判が良いとは言い難い状況のようです。
 しかし、中長期的には国債などの安全資産からリスク資産への投資が増えることが期待されるし、企業にとっても資金調達コストが低下したり、借入拡大が望めます。また、国債の利払金額が大きく減少することが予想されており、それを財源にした政府による景気刺激策なども期待されます。個人に関しては、現時点は預貯金に対して、銀行が新たな手数料を課す動きは見られず、借入の方は住宅ローンの金利が低下し、借り入れ条件なども改善されることが見込めるので、不動産投資や消費が拡大することが望まれています。株式市場の視点でみると、不動産業やJ-REITなど借入が多い企業は、今後の収益改善が想定されています。また、上場企業がコストの低い資金を社債やローンで調達し、割安になっている自社株式を取得することで、ROEなど自らの資本効率も大きく改善することが可能となり、これら株主還元策の増加も期待できます。
 つまり、短期的には混乱や金融機関の負担増加があったとしても、中長期的な視点からみれば、リスク資産への投資を拡大し、企業や個人への資金供給を増やし、市場へはプラスに働くはずだというのがマイナス金利政策への現時点での総括になるようです。


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未公開株への投資制度とその現状
 一般の個人が投資可能な未公開株について、以下に纏めてみました。
☆ 未公開株への投資制度とその現状
 先ず証券会社が個別に取り扱う“株主コミュニティ制度”ですが、北陸の今村証券と島大証券が地元有力企業の取扱いを始めています。電鉄会社など株主優待を目的にした地元住民の買いニーズや持株会関係の売買ニーズを取り込んでいますが、これらの企業は元々株主数が多く、有価証券報告書を提出しているので、企業側の新たな開示負担等は少ないと見られます。この制度を使って、株主コミュニティ内で企業が資金調達することも可能で、その場合は株主コミュニティを運営する証券会社が株主コミュニティメンバーに対して勧誘活動をすることになります。但し、証券会社が株主コミュニティに入りことを個人などに勧誘することはできないので、コミュニティ参加への勧誘や誘導は企業自らが行う必要があります。
 一方、投資型クラウドファンディングは株式投資型とファンド投資型がありますが、現在まで実績があるのはファンド投資型です。これは、今まで第二種金融商品取引業者(ファンド業者)が行っていた事業ファンドの情報をWeb上で提供することが、金商法上の電子募集行為に該当する為、既ファンド業者が対応している分が、ファンド投資型クラウドファンディングとしてカウントされています。
ただし、法制度上整備された投資型クラウドファンディングは、小規模の業者も参入可能なように制度整備(少額電子募集取扱業、電子募集は第一種、第二種金融商品取引業ですが、登録基準が緩和されたもの)されていますが、これらの小規模業者の参入・実績はまだ見られていません。
 このことについて、以下の様な理由が考えられます。
◆少額の金額募集であれば、現在の寄付型(寄付行為に関する金融行政上の規制はない)か購入型(物品の購入を目的としている、eコマースと類似しているが、地域性や商品のコンセプト等に共感する仕組み)が機能しているので、あえて投資型を選択することが少ない。
◆投資型を選択した場合、株式型・ファンド型それぞれ自主規制に合わせた対象企業の審査が必要になるが、これは業者にとっても資金調達企業にとって負担がそれなりに大きい。
◆投資ということになると、クラウドファンディングの特徴である共感を呼ぶ以外に、企業を投資勧誘する必要があるが、ネット上でのこれらの投資勧誘手法は確立しているとは言い難い現状である。

インターネットを利用した資金集めとして期待されているクラウドファンディングですが、一般の個人の参加を前提とする投資型が広まるには、まだ工夫が必要なようです。

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