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2017/10
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強まる資産管理型営業への取組み
 顧客志向の資産管理型営業の強化が今再び証券業界で唱えられています。投資信託や外国債券などの短期乗換えに対する批判が強まったり、個人投資家のライフサイクルに応じた投資サービスの提供が政策的にも求められてきたことなどを背景に、大手証券などが顧客の資産純増を目指す個人営業の強化に取り組んでいます。この資産管理型営業の中核になるのが、ラップやSMA(Separately Managed Account )など投資一任口座への資金導入ですが、今期に入ってからこの運用資産が大きく増加しています。ラップ口座でみると、本年9月末で大手3社と三井住友信託の残高が2.1兆円を超え、3月末から約6割増えています。また、野村證券では7~9月期に投資一任口座への資金導入が、純増で2,426億円と前四半期の倍以上の増加となっています。

 資産管理型営業は、20年以上前から米国証券会社の対面営業でのビジネス・モデルとして取り組まれていました。ネット証券の台頭もあって、株式や投資信託などの金融商品の販売に伴う手数料に頼ることから脱却し、顧客からの預り資産に応じた手数料体系に変えることで、顧客の利益と証券会社の収入を同じベクトルの上で考えようとする動きでした。この中には、顧客が運用で利益を上げた際、一定比率の報酬を受け取る成功報酬手数料なども含まれています。(例えば、基本手数料を顧客資産の2%とし、成功報酬部分は20%の手数料率などが一つの基準)
これらは米国においてフィー型マネジメントアカウントと言われていますが、個人投資家の口座に占める割合が最近10数年で倍増(リーマンショック後も順調に増加)し、約3割強に達したといわれています(NRIアメリカ調べ)。

 米国における資産管理型営業の基本プロセスは次の様なものです。(実際の営業プロセス詳細は各社によって異なるが、骨子となるは以下の事項)

① 資産運用のための目標の設定
② 上記の目標を達成するための運用方針・資金計画などの具体化シナリオの策定
③ ラップやSMAを利用した投資の実行手段の提案と投資残高連動手数料などの契約と投資の実行
④ 定期的なレビュー(目標の進捗確認、目標の追加や修正、リバランス)

 主要なリテール証券であるAmeripriseやCharles Schwabなどでは、この顧客資産に連動する管理手数料や助言手数料など資産管理型営業に伴うマネジメントアカウント関連の収益が全体の3割超を占めています。営業現場ではアドバイザー達にとって、このマネジメントアカウント業務のインセンティブが大きく、資産管理型への顧客誘導も一般的です。また、上記の資産管理型営業プロセスでの多くの時間が目標の設定やその修正などに費やされています。それだけリテール営業における顧客への助言的要素が強く、アドバイザーには顧客の目標設定の為のコミュニケーション能力が求められています。

 一方、日本の証券会社における資産管理型営業も、既に金融ビックバンの株式委託手数料自由化後に取り入れられていますが、主に2つの流れがありました。一つ目は、投資信託の預り残高を増やすことでファンドの信託報酬の運用会社からのキックバック分の増加を目指すものでしたが、これは証券会社にとっての安定収益の確保といった面もありました。もう一つは、ラップ口座などの投資一任契約の獲得を目指すもので、一任する条件などある程度契約の自由度が高いものがSMA 、投資対象商品などを限定したものをラップ口座と呼んでいます。これらの投資一任契約は、当初は富裕層向けのサービスでしたが、最近は投資対象を投資信託に限定したファンドラップ口座の開発で、口座開設時の資産基準を引き下げており、退職層などの準富裕層ビジネスとしての取り組む証券会社も増えています。なお、これらの投資一任契約の取扱いにあたっては、証券会社として投資助言・代理業の登録が必要ですが、第一種金融商品取引業279社のうち、この登録を行っているのは64社と全体の2割強に過ぎません(本年9月末)。

 今後、対面営業の証券会社が米国の様に資産管理型営業への取組みを強めていく可能性が高いとおもわれますが、そうなると店頭での顧客との一層のコミュニケーションが重要となってきます。

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