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2017/06
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オプションプライシング・モデルに関する率直な、そして一般投資家の一般的な疑問
 金融工学の在り方やノーベル賞を取ったモデルに異論を唱えるつもりは全くありません。しかし、そのオプションプライシング・モデルを使って上場企業が行う資本政策は、一般の株主や投資家に影響することも多くあり、その使われ方について感じている事を述べます。

 先ずオプションプライシング・モデルを使って上場企業が行う資本政策とは、新株予約権(コールオプション)の発行で、その利用目的はファイナンス(新株予約権付社債=CB)、ストックオプション、買収防衛策、業務提携や何らかの報酬の対価など実に多様に利用されています。但し、会社法上では株式の発行と同様に有利発行の規程があり、発行される新株予約権が適正な価値なのかどうか問題となります。その為、会計用語でいうところの公正な評価単価の算定が必要になります。企業会計基準委員会が定める「ストックオプション等に関する会計基準」では、この算定の為のオプションプライシング・モデルとして、市場関係者の間で広く利用されているブラック・ショールズ式や二項モデルが上げられています。また、最近では、新株予約権の行使条件にいろいろな制約がつくケースでは、ランダムにシミュレーションを繰り返すモンテカルロシミュレーションを利用した算定も行われています。

 次にオプションプライシング・モデルに関して感じることですが、ボラティリティ(株価変動率)の影響がモデルの価格算定に与える影響が非常に大きいのではないかという事です。言い換えると、このボラティリティのベースとなる株価の変動率を見る期間によって、オプションの価格そのものが大きく変わります。勿論、実際に新株予約権の価値算定を行う会計系コンサル会社などでは、一般的な参考期間というものを示していますが、新株予約権の発行に際してどの様に適切な算定期間を考えたか、その根拠が示されることは、まだ少ない状況です。
 
 更にオプションプライシング・モデルに関する疑問の一つに、オプションを利用する人によってその価値が大きく異なるケースがあるのではないかという事です。例えばコールオプション(買う権利)が付いた社債として新株予約権付社債がありますが、海外の機関投資家が購入する前提の海外発行と国内で個人も買える国内発行とでは、新株予約権の行使価格のアップ率(時価の株価に上乗せする分)が大きく違います。これは、貸株市場を利用できる海外投資家と制限がある国内個人投資家ではコールオプションの利用価値が大きく異なることの証左かもしれません。(発行会社にとっては、アップ率が高い方が希薄化を押さえられると考える場合が多いので、最近の新株予約権付社債の発行は国内が減って海外が増加傾向を強めています。)

 最後に、現在のオプションプライシング・モデルは、参加者の限定された市場においてその利用が広まれば、逆に実際の取引に適さないのはないかといった感想です。その事例として、オプションモデルによりオプションと現物市場の裁定取引を行っていたロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻(1998年)、CDSの流動性喪失によるリーマンショック(2008年)などですが、同じルール(オプションプライシング・モデル)を信じる市場参加者が、市場要因の大きな変動が発生した場合、一斉に同じロジックで行動するので流動性が喪失され、モデルのオプション算定機能が働かないのではなかという危惧を感じます。

 勿論、オプションプライシング・モデルを利用することは、新株予約権が適正な発行であることを証する為に必要なことなので、実際の発行や利用方法にあったモデルが改良されていくことに期待しています。
ただし、何の対価か、そして最大利益はいくらなのか、新株予約権を利用するものの立場で考えれば、概ねの利用の適正さは、株主や一般株主にも理解できるのはとも考えます。

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