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2017/06
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日本市場におけるディスクロージャー制度を易しく考える
 昨年のスチュワードシップ・コード、そして今年のコーポレートガバナンス・コードと、日本市場の仕組みを基本的に改善していこうという動きが続いているのは、内外の機関投資家・市場関係者からとても評価されています。
 これらの市場改革を受けて、企業側も自社の考えや取組みを投資家・株主に伝えていく事が必要になりますが、改めて日本市場のディスクロージャー(情報開示)制度について、その概要を投資家視点から見直してみました。

 先ず、日本市場の上場企業は次の3つの開示制度に対応する必要があります。

◆金融商品取引法上の企業内容開示(※上場企業が提出する義務があるもの)
・有価証券報告書制度=企業の情報、事業の内容、財務状況など法令で定められた内容を記載したものを監査法人の監査を受けた上で財務局に提出します。内容は決算期ごとに更新されていきますが、その中の財務情報など主要な情報は四半期ごとに報告する必要があります。また、会社経営に大きな影響(M&Aや海外市場でのファイナンスなど)があるものは、臨時報告書で対応します。
なお、報告書の記載内容は開示府令の改定で毎年のように強化・改正されていますが、今年度から新たに開示を求められるのは以下のものです。
○女性の役員比率及び人数
○退職給付債務及び年金資産の記載内容の詳細化
・有価証券届出書=株式や社債を発行する時に、その内容を財務局に届け出る必要があります。上場企業の場合は、既に企業内容は上記有価証券報告書制度で届けられているので、その内容を組み込んだり参照したりします。株式や社債を実際に募集する時はこの有価証券届出書を基に目論見書を作成し、金融商品取引業者が勧誘する時に利用します。
・内部統制報告書=米国のエンロンやワールドコムなどの不正を契機に米国で導入されたSOX法を参考にしたもので、内部統制の整備状況や有効性を評価した内部統制報告書を経営者が作成し、公認会計士等がそれを監査する、二重責任制度で2008年4月以降導入されています。但し、企業側の負担が重いということで、昨年の金融商品取引法改正において、新規公開の一部新興企業はその作成が免除されるように緩和されています。
・自己株券買付状況報告書=上場企業が決定した自社株の取得決議内容や、その取得状況、処分(消却)及び保有(金庫株)の状況について、財務局に毎月報告する義務があります。

◆取引所規則による適時開示=上場規則により、上場企業は投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性のある以下の内容について、決議・発生した場合にタイムリーに公表する必要があります。
・決算情報(決算内容に関する他、配当の変更に関するものも含む)
・会社が取締役会等で決定するもので、重要事実(金融商品取引法に定めるもの)及び取引所別途定めるもの
・災害や事故・訴訟などは発生した事実で取引所が定めるもの
・その他、上記各内容で主要なグループ会社に関係する事実

◆会社法による事業報告=株主に対して、会社の事業の状況(非財務情報)を報告するものです。会社法上の計算書類(貸借対照表、損益計算書)とは別途作成され、併せて株主に送付されますが、この部分は会計監査の対象外です。

以上の3つの開示制度以外に、企業が独自に行うIR(Investor Relations)活動があり、これは企業の状況をより詳細に投資家に伝えるとともに、上記の開示制度では伝え難い業績見通しや事業戦略を説明するために利用されています。

 ディスクロージャー制度については、今後も経済環境や市場の変化に合わせて改善・強化されていくと思いますが、むしろ課題としては伝え方の問題がある様に思われます。例えば、金融商品取引法の開示制度はEDINET(Electronic Disclosure for Investors’NETwork)、取引所の開示制度はTDNet(Timely Disclosure network)、其々で閲覧することが可能ですが、現状では一般投資家向けには1年以内の情報に限られています。また、海外投資家向けの英文開示対応を行っている企業も限られています。

 せっかく上場企業改革を行う機運が高まっているのですから、ディスクロージャー制度も個人投資家・海外投資家を含めて多様な投資家がアクセスし易い情報提供制度が、今後充実していくことに期待しています。

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