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2017/07
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正しい上場企業の資金調達の為に~エクイティ・ファイナンスのプリンシプルと問題行為について
 最近、新規株式公開(IPO)での上場直後の大幅な業績下方修正銘柄が相次いだことで、証券会社や取引所のチェックの仕方が問題となっていますが、これは上場する為には業績は堅調で成長していること・また、その為の業務執行が適切に行われていることなどを、証券会社などがチェック(上場審査・引受審査)しているはずなのに、といった個人投資家などの疑問もあると思います。IPOに限らず、上場企業の公募ファイナンスおいては、これらのファイナンス内容をチェックしていく引受審査などが厳格に行われることは証券業界の当然の責務です。

 一方、公募ファイナンスのみならず第三者割当や株主割当増資(ライツ・オファリングを含む)などエクイティ・ファイナンス全般に対して、昨年10月に東京証券取引所は“エクイティ・ファイナンスのプリンシプル”を取り入れ、上場会社がエクイティ・ファイナンスを行う場合の原則論を示しています。
 その概要は、次の4点となります。
1. 企業価値の向上に資する
2. 既存株主の利益を不当に損なわない
3. 市場の公正性・信頼性への疑いを生じさせない
4. 適時・適切な情報開示により透明性を確保する

 上場企業のエクイティ・ファイナンスは、リスクマネーを調達して次の成長に役立つ投資を行う一方で既存株主の希薄化を招きます。このルール導入は、既存株主のみならず日本市場の信頼性向上に為にも役立つと思いますが、同ルール導入の背景となった上場企業のエクイティ・ファイナンスに関する問題行為の概要は、以下の様なものです。
●上場廃止となる債務超過回避の為、第三者割当てや株主割当増資を繰り返す
●会社の支配権争い(経営陣と大株主)が生じている状況下で、経営陣サイドに有利となるよう第三者割当を行う
●会社経理の不正発覚で有価証券報告書の提出延長中にも係らず、監査法人の監査意見が”適正意見”となることを払い込みの条件とした第三者割当を実施しようとしたが、ファイナンスの不確実性を取引所より指摘され、結局中止へ
●第三者による評価がなされていない営業権を現物出資の対価としようとした第三者割当は、特定の株主への実質的利益供与に近いとの取引所の指摘で、結局中止へ
●第三者割当で調達した資金を、創薬ベンチャーへの投資に充てるとしたファイナンスで、投資先の買収価格が異常に高額であったこと、更に第三者割当の割当て先がごく短期で売却したことなど、特定の株主の関係者や特定の投資会社に著しく有利な条件で行い、結果として企業価値を低下させた
●海外ファンドへの第三者割当で長期保有を公表していたが、その後の外国会社への第三者割当で全部売却して株価が急落し、結果新たな増資も中止された
●長期保有を前提に第三者割当を行った先で、会社の合意なく割当先の事業目的で他者に譲渡された
●ノンコミットメント型ライツオファリングにおいて、資金使途を明らかにせずにファイナンスを実施し、その後公表した事業計画も、短期間で変更や中止となった
●ノンコミットメント型ライツオファリングにおいて、当初公表されていた大株主の権利方針が数度変更され、結果、ライツの行使に対しては大半が失権した
●ノンコミットメント型ライツオファリングにおいて、当初公表されていた資金使途と異なる運転資金に流用され、また筆頭株主のグループ会社の資金繰りにも利用されていた

(※以上の詳細は、2014年12月「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル~事例と解説」をご覧ください。)

 上記で問題となったポイントは、資金使途の不明確さ・特定の株主や会社関係者への利益誘導行為・公表された内容と異なる投資行為などの上場会社がエクイティ・ファイナンスの際にとった行動ですが、その為、第三者による上場企業のエクイティ・ファイナンスの内容をチェックする行為が求められています。後半の問題となったノンコミットメント型ライツオファリングは、原則として証券会社の引受審査に準じたチェックを受けることが前提になりました。

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