地域におけるリスクマネー供給と証券会社の役割
2015-07-23(Thu)
証券会社の主な機能は、株式や社債などの売買機能の提供や投資信託・外国債券の販売、デリバティブ取引の取次ぎなどですが、一方では企業などへのリスクマネー供給を仲介するという役割もあります。このことは、特に成長戦略でも意識されていて、個人の資金をリスクマネーとして供給する新たな機能も求められています。それが、IPO(新規株式公開)の促進だったり、新規・成長企業に対するファイナンス機能(投資型クラウドファンディング等)やヘルスケアリート解禁であったりしていますが、個人の投資資金をリスクマネーとして仲介していくことでもあります。
前回は、内閣府が推進する“ふるさと投資”を紹介しましたが、そのことは地域におけるリスクマネー供給を促していくことでもあり、やはりその中心となるのは証券会社若しくは証券会社的機能だと考えます。その現状の概要について以下に纏めてみました。
☆ 地域におけるリスクマネー供給と証券会社の役割
基本的には、地域の企業や事業が必要とするリスクマネーを、地域の投資家から調達することですが、具体的に証券会社が関与する場合、以下のリスクマネー供給スキームが使われます。
【地元上場企業応援ファンド】地域に本社や主要な工場がある上場企業の株式へ投資するファンド(公募ファンド)を組成して、地元証券会社などで地域住民に販売します。一時的にはこの種のファンド組成が流行りましたが、公募ファンドの組成ではある程度の投資規模が必要で、その為にファンド組成が出来る地域が限られてもいます。また、ファンドは株式を流通市場より調達しますので、間接的なリスクマネー供給支援となります。
【地元企業IPO】現状では、個人投資家にとってはもっとも分かりやすく、かつ参加しやすいリスクマネー供給スキームです。また地域金融機関などでも、地元企業IPO推進は注力するところでもありますが、実務的IPO審査機能は、大手証券にほゞ集中しており、その為投資家ニーズも主幹事となる大手証券の顧客ニーズに集中しがちで、地元投資家の投資ニーズが十分取り込めるとは言えない状況です。反対に、IPOまで達する企業は地元投資家への依存が小さくなっても良いのかも知れません。
【株主コミュニティ制度】本年6月から始まった制度で、証券会社が対象となる企業の投資家リストを管理(株主コミュニティ)し、そのリスト内での売買やファイナンスを証券会社が仲介することが可能となっています。その地域において利用者や関係者が多い未公開の企業にとって、有効な制度となることが期待されていますが、証券業協会の自主規制ルールで運用されており、情報提供や決済などのインフラ整備が待たれます。
【投資型クラウドファンディング】この制度も、本年6月から始まっていますが、取り扱うためには少額電子募集取扱業者としての登録申請が必要なので、もう少し実現まで時間がかかりそうです。但し、クラウドファンディング全般に関して社会的関心も高く、投資型の利用推進は成長戦略における新規・成長企業へのリスクマネー供給の目玉政策になっている観があります。また、ふるさと投資推進と相まって、地域金融機関や都道府県などが地元でのクラウドファンディング業務取組強化の動きを見せています。
【地元事業ファンド】地元投資家の資金を、地域における事業へのリスクマネーとして証券会社が仲介するスキームとして、最も現実的で利用される可能性が高いもとではないかと思われます。投資対象の事業は、太陽光や風力発電などの再生エネルギー施設、そしてヘルスケア施設などですが、例え数億円と規模が小さくとも私募ファンドの形で組成しやすいことと、インフラファンドやヘルスケアなどの上場リート市場が整備されたで、私募ファンドの出口(買い手)も確保しやすくなりました。
以上のスキームを、その事業・企業に合わせて提供していくことで、地域における証券会社のリスクマネー供給の役割も一層深まっていくと考えます。
前回は、内閣府が推進する“ふるさと投資”を紹介しましたが、そのことは地域におけるリスクマネー供給を促していくことでもあり、やはりその中心となるのは証券会社若しくは証券会社的機能だと考えます。その現状の概要について以下に纏めてみました。
☆ 地域におけるリスクマネー供給と証券会社の役割
基本的には、地域の企業や事業が必要とするリスクマネーを、地域の投資家から調達することですが、具体的に証券会社が関与する場合、以下のリスクマネー供給スキームが使われます。
【地元上場企業応援ファンド】地域に本社や主要な工場がある上場企業の株式へ投資するファンド(公募ファンド)を組成して、地元証券会社などで地域住民に販売します。一時的にはこの種のファンド組成が流行りましたが、公募ファンドの組成ではある程度の投資規模が必要で、その為にファンド組成が出来る地域が限られてもいます。また、ファンドは株式を流通市場より調達しますので、間接的なリスクマネー供給支援となります。
【地元企業IPO】現状では、個人投資家にとってはもっとも分かりやすく、かつ参加しやすいリスクマネー供給スキームです。また地域金融機関などでも、地元企業IPO推進は注力するところでもありますが、実務的IPO審査機能は、大手証券にほゞ集中しており、その為投資家ニーズも主幹事となる大手証券の顧客ニーズに集中しがちで、地元投資家の投資ニーズが十分取り込めるとは言えない状況です。反対に、IPOまで達する企業は地元投資家への依存が小さくなっても良いのかも知れません。
【株主コミュニティ制度】本年6月から始まった制度で、証券会社が対象となる企業の投資家リストを管理(株主コミュニティ)し、そのリスト内での売買やファイナンスを証券会社が仲介することが可能となっています。その地域において利用者や関係者が多い未公開の企業にとって、有効な制度となることが期待されていますが、証券業協会の自主規制ルールで運用されており、情報提供や決済などのインフラ整備が待たれます。
【投資型クラウドファンディング】この制度も、本年6月から始まっていますが、取り扱うためには少額電子募集取扱業者としての登録申請が必要なので、もう少し実現まで時間がかかりそうです。但し、クラウドファンディング全般に関して社会的関心も高く、投資型の利用推進は成長戦略における新規・成長企業へのリスクマネー供給の目玉政策になっている観があります。また、ふるさと投資推進と相まって、地域金融機関や都道府県などが地元でのクラウドファンディング業務取組強化の動きを見せています。
【地元事業ファンド】地元投資家の資金を、地域における事業へのリスクマネーとして証券会社が仲介するスキームとして、最も現実的で利用される可能性が高いもとではないかと思われます。投資対象の事業は、太陽光や風力発電などの再生エネルギー施設、そしてヘルスケア施設などですが、例え数億円と規模が小さくとも私募ファンドの形で組成しやすいことと、インフラファンドやヘルスケアなどの上場リート市場が整備されたで、私募ファンドの出口(買い手)も確保しやすくなりました。
以上のスキームを、その事業・企業に合わせて提供していくことで、地域における証券会社のリスクマネー供給の役割も一層深まっていくと考えます。
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