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2017/07
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マイナス金利の証券業務に関する影響について
1月29日の日銀政策決定会合で公表され、2月16日より実施されているマイナス金利について、証券業務に関する影響を中心に見直してみました。
 先ずマイナス金利の実際のオペレーションは、民間銀行の日銀当座預金にある超過準備に対して、-0.1%のマイナス金利を課すものですが、2015年の平均残高は除外とされるので実際の対象となるのは18兆円程度とされています。この分は、銀行が日銀に対して支払うこととなりますが、一方で量的緩和により、日銀が買い取った国債の代金は直ぐに企業などへの貸し出しに回るわけではないので、日銀当座預金残高を増やす要因として市場関係者からは見られています。その為、市場においては金融機関がマイナス金利の悪い効果を最も多く受けるとされています。

 この影響は証券会社にも及んでおり、信託銀行に預託している顧客分別金信託(顧客から預託を受けた金銭、信用取引の担保として預託を受けた金銭等を分別管理する目的)に対して、信託銀行側は証券会社に新たな手数料を請求し始めています。

 一方、マイナス金利は国債など安全性の高い金融商品での運用を難しくしています。例えば、短期金融商品で運用していたMMFなどは、投資運用会社での運用ができないので、全社が資金を投資家に返還しました。(自動的に継続投資が行われるMRFについては、日銀のマイナス金利の対象外となっています。)また、長期国債等の金利も大きく低下しているので、保険では長期終身保険の予定利率を引き下げる動きが拡がりました。ただし、既に国債等の債券での大きなポートフォリオを持つ金融機関や保険会社にとって、先行きの投資収益は低下するものの、保有する債券は大きく上昇して売却益や含み益を拡大させています。つまり、これらの機関投資家がよりリスクを取りやすくなっており、海外の安全性の高い債券や優先証券、リートなどへ資金が回ることを期待する向きも多いようです。

 また、短期金利及び10年程度までの長期金利がマイナスとなっている影響は会計処理にも影響を与えており、企業会計委員会は、企業の2016年3月期決算において、①退職給付債務を算出する際の割引率について、マイナスの利回りを用いる方法、ゼロを下限とする方法、いずれも可能である旨②金利スワップの特定措置(ヘッジ会計)に関して、これまで特例の適用が認められていた借入(利息分の調整等)及び金利スワップ取引(オフバランス化)について、引き続き特例の適用が可能である旨を公表しています。

 以上の様に、マイナス金利政策によって、金融機関は短期的な対応策が求められることが多く、加えて米国の再利上げが遠のいて日米金利差の拡大が望めない現状で為替相場での円安傾向の支えになっていないので、市場関係者の評判が良いとは言い難い状況のようです。
 しかし、中長期的には国債などの安全資産からリスク資産への投資が増えることが期待されるし、企業にとっても資金調達コストが低下したり、借入拡大が望めます。また、国債の利払金額が大きく減少することが予想されており、それを財源にした政府による景気刺激策なども期待されます。個人に関しては、現時点は預貯金に対して、銀行が新たな手数料を課す動きは見られず、借入の方は住宅ローンの金利が低下し、借り入れ条件なども改善されることが見込めるので、不動産投資や消費が拡大することが望まれています。株式市場の視点でみると、不動産業やJ-REITなど借入が多い企業は、今後の収益改善が想定されています。また、上場企業がコストの低い資金を社債やローンで調達し、割安になっている自社株式を取得することで、ROEなど自らの資本効率も大きく改善することが可能となり、これら株主還元策の増加も期待できます。
 つまり、短期的には混乱や金融機関の負担増加があったとしても、中長期的な視点からみれば、リスク資産への投資を拡大し、企業や個人への資金供給を増やし、市場へはプラスに働くはずだというのがマイナス金利政策への現時点での総括になるようです。


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