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2018/10
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資本市場からみた商品市場
 本年7月25日より東京商品取引所(以下、東商取)において金現物取引が始まっています。英国のEU離脱問題や中国経済の先行きなどへの不安から、今後金に対する個人の需要が高まることを期待して、商品先物取引が中心の東商取が100グラムと1キロの2種の金現物を取り扱うものです。個人が金現物を持ち込んで売ることは出来ませんが、同取引所が指定した倉庫で金現物を受け取ることも出来ます。

 一方、金先物価格に連動するETN・ETFは、現在東証に5銘柄上場(内、海外ETF1銘柄)されていて、2銘柄はロンドンの価格、残り2銘柄が国内での東商取の価格に連動しており、そのうち1銘柄は個人でも1キロ~5キロまで(現在)は金現物に転換することが出来ます(※金ETFの現物への転換は、現在消費税や改鋳費用などが掛かり、取り扱える証券会社が限定されています。)。商品関係のETFは、2009年~2010年にかけて、東証に数多く上場されており、その数は国内ETF11銘柄、海外ETF19銘柄に達していますが、その内、東商取の商品先物指数に連動するものは6銘柄に限られています。ETFは指数連動商品で商品市場の代替機能を果たしており、ETFの取引が増えれば裁定取引などで原市場の取引が増加しますが、現状では国内の商品取引市場に影響を与えるものは限られています。

 国家戦略として日本市場をアジアのコアマーケットにしようとする戦略は、アベノミクスでも表明されていますが、これは前民主党政権時から議論されていた総合取引所構想がベースになっています。その構想については、日本の経済力や金融・資本市場の大きさに比べ、商品市場やデリバティブ市場が小さかったことや、世界の取引所グループが総合取引所化を進めていたことがありました。当時の成長戦略の一環として、金融庁・農林水産省・経済産業省が中心となって2010年10月から総合取引所構想が検討され、2012年2月にその検討結果が取りまとめられており、その関係法令(金商法関連)は2014年3月に施行されています。その骨子は次の様なものです

・金融商品取引所での「金融商品」定義に、コメ等以外の商品先物取引法上の商品を加える。
・総合取引所については金融庁が一元的な監督を行う。
・総合取引所は、商品デリバティブ取引に関して金融商品取引業以外の者に取引参加資格を与えることが出来る。
・清算機関については、最低資本金に係る免許要件を設定。
・第一種金融商品取引業者の業務に、取引所における商品デリバティブ取引に係る業務を追加し、商品先物取引法における行為規制等に関しては、金融商品取引法の規制を原則として適用した。但し、商品デリバティブ取引のみを行う業者の財務基準は、商品先物取引法に基づく規制と同様とした。
・取引所における商品デリバティブ取引も、金融商品取引法上の不公正取引に関する規制を適用する。  等

 現在、総合取引所の実現に向けた検討は新たな進展はありませんし、今年6月に公表された日本再興戦略2016においても特別な目標設定はされていません。総合取引所の為の関係法令はある程度整備したので、投資家や市場関係者などの取組みを待つということなのでしょうが、日本取引所グループが3月に公表した新中期経営計画(2016~2018)では、“投資者の多様な投資ニーズを充たすとともに、 中長期的な資産形成を活性化する ”重点項目の一つとして、デリバティブ商品の多様化の中で、コモディティ分野への進出など総合取引所化の可能性の継続検討を行うことが示されています。但し、取引所としてはデリバティブ取引の代替機能を持つETFの多様化の中で実質的に同様の効果を上げることも出来ます。
日本取引所グループが、敢えて総合取引所化を目指すのであれば、市場全体の効率化とは別にシステム・清算機関・取引参加者への対応など新たなコストが想定されます。それを踏まえて総合取引所化を推進するのであれば、商品取引所機能を強化するという国策と、それに賛同して取引を行う主要な投資家が必要なのではないでしょうか。

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