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2017/08
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IPOというビジネス
結論からいうと、IPO(株式公開)という業務は、証券会社内における単独のビジネスとして成り立たなくなっている可能性がある。ただし、“今のやり方のまま”ならという注釈が付く。
 元々、証券会社においてIPOビジネスは、装置産業的なところがあり、
A:新規上場企業を発掘する営業部門
B:発掘してきた企業に対しIPOコンサルティングを行う支援部門
C:社内の審査及び取引所審査に対する指導を行う審査部門
の、IPOの為の専門部隊が必要で、取引所のOKが出て上場スケジュールが見えたところから、引受・アナリスト調査・販売戦略などが加わる。
上場に至るところでは、投資銀行としての総力戦になるのだか、そこに達するまでA~Cが対応する部分が、平均で1~2年、長ければ3~4年を要することもある。元々、大手の証券会社でも、数年に一度の民営化案件や大型金融機関の上場・再上場でもなければ、単独のビジネスとしてのA~Cの様な組織の維持は難しかった。 実際、IPO案件の減少期には、A部門を他の営業部門に配置転換させたり、Bなどは会計系コンサルが代替するケースも増加していた。
 しかし、IPOは企業にとって資本市場の入口になるのだから、証券会社の機能としてIPOは重要である。Aの様なIPO企業発掘の為には、市場誘導業務として地域金融機関など連携したり、有望企業に対してはファンドの形で投資したり、M&Aビジネスとリンケージさせたりし、証券会社はこのビジネスの収益性改善に努力してきた。
 現実のIPO市場は、極端に縮小している。この様な経済情勢と、市況環境なので仕方ないという見方で良いのだろうか。
 14日に、あずさ監査法人のIPOサポート室が、本年上半期(1~6月)のIPO動向について公表している。以下、概要。
IPO社数:9社←24社(2008年同時期、年間では49社)←73(2007年同時期、年間では121社)←93社(2006年同時期、年間では188社)
調達資金:常和ホールディングス(不動産業)の34億円を除けば、数億円規模、調達なしが2社
上場初値:3社が公募価格2倍前後の初値、それ以外は公募(売出し)価格前後。
 この様なIPO市場の縮小原因について、経済情勢と市況環境以外に次の2つの問題があると筆者は考える。
○審査の問題(取引所、証券会社)
○公募価格プライシングの問題
ここ数年、新興市場を中心とした問題として、粉飾決算や極端な第三者割当・ファイナンス・反社会的勢力との関係など、投資家にとってコーポレートガバナンスを問題にしたくなるような案件が相次いだ。この事で、証券及び取引所の審査が厳しくなることは問題ない。しかし、審査のグリップが緩まったり、締められたりする(多分、行政の姿勢を、審査する側が勘案してということだろうが)ことがもしあれば、外部からは分かり難い。そのことで、市場誘導する側の混乱があるのではないか。
また、プライシングに関して、新興企業ということで価格算定根拠から大きくディスカウントして公募価格を抑え、初値が高くつくのがよい事ではない。販売する側は、プレミアム商品ということで重宝するだろうが、結果は、初値で公募価格の倍、その後半年で初値の半分以下になってしまう新興市場であれば、短期売買以外の投資家が離れていくことは、現実の新興市場が証明している。このことは、関係者の努力で、現在改善しつつあると信じたい。

証券会社の社員なら、入社した時に、一度は下記の様な話しを聞いているだろう。
戦後、取引所を再開した時に松下を、上場した時にソニーを、1000株(最小の売買単位という意味)数万円で買っていれば、それが数億円の資産になっている。
目先の利益ではなく、投資の夢を語れる新興市場にする為には、どう市場の仕組みを作り直していくか考える時期に来ている。プロ向け市場で、審査対応を簡便化するのもある。また、新興企業のファイナンスに関して、投資家がその成長を見守ってやれる仕組みとして、株主割当増資は有効かもしれない。
そう言えば、高度成長期のファイナンスは、株主増資割当が主流だった。
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ジャンル : ビジネス

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