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2017/08
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空売り規制について
 空売り報告義務の恒久化の報道が流れているので、もう一度空売り規制について整理してみる。
そもそも空売り規制そのものは、前回の金融危機後の1998年に旧証券取引法(現金融商品取引法)で導入されたが、昨年のグローバルな金融危機で、各国が導入もしくは強化(米国は大手金融機関株中心)した。日本での、10月末から強化され、その内容は、以下。
(1)原則直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制
(2)売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務
(3)各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表(昨年10月14日以降)
これに加えて、昨年10月30日以降の時限措置として、
(4)売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止。
(5) 一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。
(6)上場会社の自己株式取得に関する、取得制限(一日の出来高25%まで、引け前30分の取得禁止)を停止
となっており、この(4)~(6)の部分は、この7月末までの適用期限となっていた。
報じられたのは、この(5)の部分の空売り報告義務恒久化である。

 市場への規制に関しては、今回の金融危機のような緊急時であっても、市場関係者からは根強い反感がある。また、空売り規制に関する反発や効果を疑問視する識者もいる。大量の空売りを仕掛けるヘッジファンド等からの、注文減少を心配するトレーダーの気持ちも分からなくない。しかし、本当に空売り規制強化は、市場にとって問題なのだろうか。規制強化を問題とする意見を纏めると、以下の様になる。(カッコは筆者の株式市場の運営という視点からの私見)
○空売り規制は、個別株の流動性を低下させる=ヘッジファンドが原油買いの金融株売り、A社売りのB社株の裁定取引などを実行すれば、金融株やA,B社の流動性は著しく上昇する。欧米は、売った株式が渡せなくても、フェールルールがあるので、Naked Short Sellingのような空売りでも、問題ないとする考え。裁定取引による流動性確保を重視。(ヘッジファンド等の裁定取引は、市場の重要な構成要素だと思うが、借りる見込みのない株までも、取りあえず売っておく行為が、ヘッジファンド等大量な売買で行われることに疑問)
○空売り規制は、プットオプションの価格を上昇させる=ヘッジの為に、プットオプションを購入するのは有効。そのオプションの売り手による、デルタヘッジの為の売りがし難くなり、プットオプション価格を上昇させる。その為、ヘッジしようと思っている投資家のコストアップになるという考え。(オプションの受け手が、自らの売りを、株を借りて行う。この借り株のコストも、オプション価格に反映させるべき。つまり借りにくい株なら、オプション価格が上昇するのが当然。)
○空売り規制は、相場の反発力を弱める=大量の空売りがなければ、大量の買い戻しもなく、市場の大幅な反発は望めないとする考え。(そうかも知れないが、そこまで市場のボラティリティを確保する必要があるか筆者には判断できない。)

 市場には、ヘッジファンドのみならず機関投資家・個人投資家と多様な投資家と投資ニーズがあることこそ重要だと考えるが、空売り規制強化が、この投資ニーズの多様性に弊害を及ぼすかどうか、規制内容を検証する必要もある。(ヘッジファンドを登録義務制にする法案が、15日米国会に提出されている。)
 今回、恒久化が報じられている大量の空売り(発行済みの0.25%以上)の情報公開は、市場の透明性確保から、続いてもいいのではないかというのが筆者の考えである。報告する証券会社は、多少の事務コストがかかるだろうが、ヘッジファンド以外の投資家にとって、この情報の価値はあると思う。ただし、現状の報告様式は、各社各様で見難い。せめて、同一様式による記載で、エクセルなどで作成していただければ、集計や加工もし易く、投資情報としての価値をもつ。せっかく続けられるなら、日本の多くの投資家への情報提供としてお願いした。

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