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2017/08
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社債市場に対する問題意識
 国債も社債も、同じ債券という有価証券であるが、国債市場と債券市場の間には、その機能と実態に随分隔たりがある。つまり、国債市場は、発行市場も流通市場も整備され、決済においても、いち早くDVPが実現し、実務的には、T+0も可能な市場機能を、有している。片や、社債市場は、発行市場はあるが、流通市場については、一部に店頭取引があるだけで、とても市場というレベルではない。ただし、我が国の決済制度改革(有価証券の)によって、今年の年初に完了した株券電子化よりいち早くペーパレス対応(スタートは2006年1月)になり、今は殆ど流通しない私募債も、株式保管振替機構の投資家口座内にデータとして管理されている現実がある。社債市場に関して極論してしまえば、発行はなんとかあるが、高格付けや一部の業種に偏っていて、流通は市場として整備されていないが、決済・保管だけは電子化で完備されているという、ちょっとアンバランスな状況になっている。
 上記の様なコメントをしなくとも、金融・行政当局や業界も、シンジケートローン・社債・CP・CDSなどのクレジット市場の中で、社債市場の改善は必要として、業界関係者による検討会などを立上げている。日本証券業協会による取組みは、7月14日の拙稿で取り上げたが、金融庁金融研修センターにおける研究会で、以下の様な調査報告がなされている。

クレジット市場における検討課題
その内容から、社債市場に関する問題点を取り上げてみると、以下のようになる。
(カッコ内は、筆者のコメント)
【根本的な社債市場の問題】
・社債市場の規模が、欧米と比べて小さい
・社債保有の半数近くが金融機関で、社債投資家が育っていない
(社債市場改革は随分前から言われているが、進まないのは、社債に関する証券業者の収益性の低さがあるのではないかと思う。以下の問題を解消するためには、業界としても、人的負担とコストが掛かる。社債のビジネスとしての収益性を高める可能性は、CDSなどのデリバティブ・証券化・ファンド組成・指数化にあるのではないかと考える。)
【発行に関する問題】
・社債の利回りが低すぎる
-金融機関のローンの代替になっている可能性
-発行時の条件決定において、今の主幹事による主要投資家へのあいまいなヒアリングではなく、投資家へのロードショーやPOT方式のような需要精度を高める仕組みが必要。その為の金商法改正を。
(金融機関同士が、保有する社債の社債要項などの情報を共有する仕組みがあれば、ポートフォリオ内での、社債入れ替え需要が起きるのではないかと考える。)
【流通に関する問題】
・社債流通価格に関する情報が、取引実態を反映していない。
(単なる業者へのヒアリングベースではなく、取引実態を例えば15分以内に報告するシステムを業界で共有しては如何か。また、この秋からCPについては、証券保管振替機構が毎日かなり細分化された取引実数を公表する予定になっているが、社債の決済に関しても同様の取組みがされれば、発行・取引実態の情報が共有化されるのでないか)
・流通における税制の問題=非課税法人・課税法人・非居住者ごとに異なる源泉税、譲渡益課税など金融所得課税の一本化(これが本当に有効と思われるなら、業界として税制改正要望を強く行うべきと思う。)
【仕組みに関する問題】
・社債管理会社=融資を発行会社に行っているメインバンクが行っている現状で、社債券者との利益相反問題に関する疑念。
・社債に関して、国債のような清算機関がない。このことが、社債の貸借(レポ取引)サービスなど取組み難くしている。(国際的な流れで、CDSの清算機関を整備する動きがあり、東証や東京金融取引所での取組みが伝えられている。CDSと社債は連動制が高いのだから、業界として両所に社債の清算機関設立を依頼しては如何か)
※紙面の関係で、一部のみ取り上け恐縮に思う。
社債市場改革の影響は、日本の金融・資本市場の仕組みを大きく変えていく可能性があるので、関係者の頑張りに期待するとともに、是非、粘り強く取り組んでいただきたいと思う。
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