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2017/10
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M&Aにおける利益相反
 M&Aというのは、当然だが、会社を売り買いする行為だから、コーポレートガバナンス議論での会社は誰のものだという以上に、ステイクホルダー間の利益相反に十分配慮して進めなければならない。
また、M&Aアドバイザーにおいても、アドバイザーとしての善管注意義務が果たせるよう、自らも含めて、この利益相反問題に細心の注意を払い、そのM&A助言行為を進めなければならない。
 M&Aにおける利益相反問題を、整理してみる。
【上場企業の場合】
 ○経営者(取締役会)として、以下の判断が、株主の利益に反していないか
・買収防衛策の導入
・買収防衛策の実行
・TOBに対する意見表明
・MBOの実行時における買収価格の決定
・特定の者への大量の第三者割当増資
これらの判断は、本来は会社法により取締役会に授権されているが、株主との利益相反に配慮する為、最近は第三者による委員会等を設置して判断を委ねるケースも増えてきている。また、実際の決議を株主総会で行う場合もあるが、この場合も少数株主への利益相反に配慮する為、独立性の高い第三者の意見を表明させるケースもある。
【M&Aアドバイザーの場合】
 M&Aの助言行為は、法規制で定められたものではない。つまり投資銀行でなくとも、誰しもが出来る行為であるが、純粋な独立系アドバイザー以外は、以下の様な助言者としての利益相反の恐れがある。
○銀行の場合=売却先にローンを貸し付けているような再生案件絡みの場合、買い手ニーズに対応した助言を求められる場合であっても、ローンの回収を優先される利益相反のおそれ。また、敵対する複数の競争先への案件持ち込み行為も、問題があるとみられる。
○証券の場合=上場企業の主幹事証券として助言を行う場合、適切なアドバイスを行えるか疑念がもたれる場合もある。特に、買収資金のファイナンスとセットのMBOやTOB案件において、M&A助言行為の適格性が強く求められる。また、買い手側アドバイザーであるのに、売り手企業への投資銀行として出資している場合も問題がある。
○地域金融機関や証券の場合=中小企業のM&Aを手掛ける場合、ビジネスマッチングや事業承継の延長線上で、売り手・買い手双方の代理を行うM&A仲介を行うケースが多い。この場合、中立の第三者として当事者間の調停をすることは、アドバイザーにはあり得なく、どちらかに助言すれば、相手側の利益に反するのは当然である。しかし、この手の行為が日本のM&Aにおいて多いのは、以下の理由による。
・中小企業のM&Aは、企業規模が小さい為、ディールとしての収益性が確保しにくく、その為、買い手・売り手双方からのアドバイザリー収益を期待してM&A助言となるケースが銀行・証券との多い。
・最近は、独立系M&Aアドバイザーも増加したが、M&Aプロセス全体をコントロールできるようなM&Aのプロが少ない。(会計・財務的コンサル、事業戦略コンサルは増えているが)
※以上の行為が全て利益相反で問題あるというのではなく、これらの利益相反の恐れのある行為を的確に管理し、顧客に理解させる手順を、M&Aアドバイザーとして実行していくべきと、筆者は考える。
 ちなみに、この6月より銀行のファイアーウォール規制緩和により、このM&Aを始めとする利益相反管理は、金融機関に求められている。(銀行員が、M&A助言を行う投資銀行と兼業出来るので、より専門的なM&A助言も可能になる。)その為、銀行は、利益相反管理方針を公表し、かつ遵守しなければならないが、この利益相反管理方針でM&A絡みについて比較的よく記載された事例を以下に紹介する。

 ○利益相反取引の類型および主な取引事例(阿波銀行:利益相反管理方針より)
●利害対立型
  当行等とお客さまの利害が対立する取引もしくは当行等のお客さま同士の利害が対立する取引をいいます。
【取引事例】
・お客さまに対し資金調達やM&Aに係るアドバイス等を提供する一方、当該お客さまに対する投資、当該お客さまからの資産購入その他の取引を行う場合
・対立関係にある複数のお客さまに対し、資金調達やM&Aに係るアドバイス等を提供する場合 等
●競合取引型
  当行等とお客さまが同一の対象に対して競合する取引もしくは当行等のお客さま同士が同一の対象に対して競合する取引をいいます。
【取引事例】
・銀行とお客さまとが同一の会社に対するM&Aを行う場合において、そのお客さまに対してM&Aに関するアドバイザリー業務を行う場合
・競合関係にある複数のお客さまに対し、資金調達やM&Aに係るアドバイス等を提供する場合 等
●情報利用型
  当行等がお客さまとの関係を通じて取得したお客さまの情報を利用して、当行等が利益を得る取引もしくは当行等の他のお客さまが利益を得る取引をいいます。
【取引事例】
・同一の融資案件に対して、銀行とグループ会社が融資を行う場合
・お客さまに引受けまたは有価証券発行に関するアドバイス等を行いながら、他のお客さまに当該有価証券の取引の推奨を行う場合 等

※メガバンクのものは、取引事例記載としては抽象的であった。
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