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2017/10
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長期投資システムとしての401K
 年金制度を論じるつもりはないが、多層構造になっている制度において、個人が自ら運用を行い、自らの将来の年金給付を確保する確定拠出年金=日本版401Kは、個人が長期投資を行うシステムと見なすことが出来る。
 根拠法は、確定拠出年金法で、当然所管は厚生労働省であるが、税制優遇措置(拠出限度額)も係る。制度は2つあって、
・企業型=掛金は企業が保証し、従業員自らが運用。加入者約330万人(4月末、11,800社)
・個人型=自営業者や企業型に加入していない会社の従業員が、自ら拠出し運用。加入者(自営業者分約3.9万人、従業員分6.3万人)
のような現状であるが、証券業界からの要望もあって、企業型では、従業員が企業拠出分と同額まで拠出が認められるマッチング拠出が法改正で可能となり、合算された拠出限度額の上限(月額)も約1~2割程度引き上げられる(平成21年度税制改正)。ただし、主婦や公務員は現行制度では加入できない。
 制度運用の基本的仕組みは、
①企業若しくは個人が、運用管理機関を選択する。
②運用管理機関は、加入した企業の従業員若しくは個人に対し、運用商品の選定をして、その情報を提供する。
③加入した企業の従業員若しくは個人は、自ら運用商品を選択し、指示を運用管理機関へ出す。運用管理機関は、これらの指示を取りまとめ、実際の金融商品や資金管理を行う資産管理会社(個人型の場合は、事務委託先金融機関)へ指示を行う。
④運用指示を受けた資産管理会社は、実際の金融商品の提供を行う証券・銀行・保険などから金融商品を購入する。
厚生労働省のホームページから、制度のイメージ図を簡略化すると以上の様になる。
 401Kに加入した従業員若しくは個人の接点は、この運用管理機関なのだが、4月末現在で200社ある。企業型は、企業の担当者がこの運用管理機関を選択するので、従業員は選べないが、個人型は、運用管理機関の選択から始まる。地銀・信金やゆうちょ銀行も含まれているので、窓口としては広域をカバーしているといえる。
 しかし、長期運用を前提にしたシステムとして、現状の運用管理機関の機能には、以下の様な問題があり、“貯蓄から投資へ”の促進で、国民資産をリスク資産投資へ向かわせるには、不十分な運用管理機関機能とみられる。
●従業員に提供する金融商品が、品揃えとして十分でない。
-比較的商品数が充実していると言われるA社の金融商品内容を見ると、全部で28商品あるが、内訳は定期預金型が5、保険型が2、投資信託型は21ある。投資信託型が21もあると、一見投資対象の選択には十分な様に感じるかもしれないが、債券運用型の3つを除くと、殆どインデックスか、主要銘柄をパッケージにしたもので、運用者任せになる。例えば、中国株やインド株に投資したいとか、商品指数に投資したいという想いは満たされない。
●運用管理機関のシステムが、積立投資主体に作られていて、従業員や個人が運用指図する仕組みになっていない。
-同じもの積み立てていくには問題はないが、一応運用ということであれば、今までの運用資産を売却して、新しい金融商品で運用することもある。現状システムは、前の運用資産売却が完了してから、新しい金融商品購入注文が出される。管理口座内で運用資産は引き出せないのだから、通常の株式売買の様に、売却注文執行と同時に売却代金も確定出来る訳だから、買付注文執行も同時に行って欲しい。現状の受渡対応は、運用者にとって不便なものとなっている。
●運用管理機関間で取り扱う金融商品が異なるので、もし企業なり個人がこの運用管理機関を変更する場合、一旦今までの運用資産を売却して清算し、現金で新しい運用清算機関へ移さなければならない。
-預金や保険は、難しいかもしれないが、投信が運用対象になる場合、これらはペーパレス化され、移動も簡単になっている。また、200ある運用管理機関も、証券保管振替機構に参加しているはずなので、この金融商品の移動の問題は、法制度整備で早急に解決して欲しい問題である。その事が、運用清算機関間の競争を促し、運用者である従業員や個人にメリットを与える。

 制度設計をする政策当局者や、金融関係者は、自ら使って見ると、この制度の現状の問題が見えてくる、と思うのは筆者だけだろうか。
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ジャンル : ビジネス

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