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2024/03
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マザーズ改革に、新興市場を想う
 新聞でも報じられたが、昨日の東証社長の記者会見で、新興市場マザーズ改革案が明らかになった。かつて年間で200銘柄近いIPOがあった新興市場であるが、本年は今まで公開された銘柄が10銘柄、9月公開予定銘柄を含めても14銘柄に過ぎない。勿論、金融危機による市場・経済環境悪化の影響もあるが、3年近く前から、日本の新興市場という資本市場モデルそのものが問い直されている。
 新興企業側の問題としては、公開後の業績の急激な悪化・業態の変更・虚偽の財務報告(新興企業に限らないが)などの企業内容の急速な変化、MSCB・大量の第三者割当・大幅な株式分割と併合など少数株主の権利を害するような資本政策などによって、株主や投資家の信頼を失する企業もあった。
 一方、市場誘導する証券や取引所側にも問題があった。例えば、前節の様な新興企業側の行動を問題視するあまり、入口基準である上場審査体制などを締めた。この事で、証券会社や取引所の審査部門において混乱を生じるようなこともあり、例えば反社会的な勢力との関係を確認するのに、会社関係者は当然であるが、取引先をどの範囲まで確認するのか不明な状況もあったようだ。
 投資家側の行動についても、ここ近年のIPO銘柄は公開してから2~3ヶ月の個人投資家中心のラーリーが本番で、その後半期年一年と、多くのIPO銘柄の取引量は激減した。機関投資家の取引が望まれていたが、公開後1年以内に取引参加する銘柄は限られていたようだ。
 新興市場問題に関して、分かり切ったと思われるような事を長々書いて申し訳なかったが、この様な新興市場問題を受けて、東証がマザーズ改革に乗り出した。
 改革の内容は、以下の3点である。
【マザーズ上場審査に係るもの】
・マザーズは、成長企業を取り込む為に、利益や売上げなどの形式基準が緩いが、その代りに、新興企業の成長性を担保する為、主幹事証券の“推進書”において“高い成長の可能性に関する事項”を記載させる(主幹事に成長性を判断させるということ)。この記載に代わり、 “最近の1年間、利益1億円以上・前期比で3割以上増加・売上げも前期比増加”という形式基準を、新たに設けた。
・上場審査項目に、“事業計画の合理性”を新たに加え、将来において経営成績が良好となる合理的な見込みがあることを求める。
・現在の上場審査項目である“企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性”の審査については、会社規模や成熟度に応じて行う。(大企業並みを求めない)
【株価に関する上場廃止基準の新設】
・上場後3年間、公開価格の1割未満となった場合、9ヶ月以内(事業改善計画書の提出がない場合は3ヶ月)に回復しないときは上場廃止。(但し、施行日移行の上場会社から)
【投資家説明会の開催義務】
・年2回以上の投資家説明会の開催を義務化する。ただし、質疑応答を可能とするインターネットを通じた開催方法も認める。
【実施予定は、平成21年11月】

これらの改革案は、全般的には支持したい。
上場審査基準に関しては、取引所と主幹事証券の問題の様な気もするが、それでもルール運用を明確化することは、評価できる。ただし、入口基準は、出来るだけ広げて、緩和する方法性を示して欲しい。資本市場の入口は、広い方が良い。その代り、維持基準・出口基準は厳格であっても良いと考える。今回、株価を上場廃止基準に取り入れたことは、画期的で、投資家目線に立つものとして評価したい。
 加えて、業界としては、上場廃止銘柄の受け皿作りにもっと尽力すべきとも考える。フェニックス銘柄制度の制度整備を、もっと本気で取り組むべきだろうが、現在1銘柄だけとは、業界としての本気度が問われる。
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