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2017/08
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TOBの風景
 TOB(Take Over Bid:公開買付)は、個人投資家にとってはIPOとともに関心の高いテーマである。
それは、通常のTOBの場合、時価(半年若しくは3カ月の平均株価を指すケースが多い)の3割程度プレミアムが上乗せされて公開買付価格が決まる事が多いので、株主や投資家にとって、TOBに関する話題は、注目せざるお得ない。それだけ投資家の関心の高いTOBに関する証券会社の現場の対応について少し触れてみたい。(ちなみにTOBは、実質的に証券会社でなければ実務業務を行うことが出来ない。)
【スタート:目的探し】
 TOBは、あくまでも株を大量に集める手段(原則発行済み株数の5%以上、以降3分の1、過半数と適用除外規定が狭められる)なので、証券会社は企業やファンドに対し、その大量に株を買い集める目的を提案し、また相談にのる。その目的とは、M&AやMBOなどがほぼ全株式を集めようとする買収案件から、業務提携を強化する為の資本提携、企業救済型の増資とセットになったもの、また大株主の売却意向に自社株取得で対応しようとするものなど、資本政策や大型の投資に関わる様々なケースがある。
【ローンチ:具体化へ】
 TOBは、買い手の行為なので、その目的に沿って売り手(既存の大株主)や企業経営者と大まかな合意が必要となるが、アドバイザーとして証券会社はその仲介をお膳立てする。買い手と売り手場合によっては企業経営者との正式な交渉スタートは、基本合意契約書からローンチ(実務的開始という意味)する。
 この段階に入ると、TOBの実現性は高まるので、案件に関する情報は当然インサイダー情報として管理されなければならない。もっとも証券会社としては、買い手・売り手が具体的検討に入った段階から、これらの情報は法人関連情報として厳格に管理されるが、TOBに係る案件を進めるアドバイザーとして、他の関係者から情報が漏えいする可能性を排除する努力をする必要もある。
【案件進行のポイント】
 案件進行のポイントは、DD(デューデリジェンス=財務を中心にした精査)と公開買付価格の二つある。DDそのものは、買い手が会計系事務所を使って行うことであり、アドバイザーとしてはDD作業の為の支援をするということだろうが、実際のM&A案件では、このDDの結果で案件が消滅してしまう場合も多い。買い手としては、DDは当然の行為なのだが、売り手にとっては自らの機密情報を相手に晒してしまうので、そのリスクは高い。公表されていたローソンによるam/pmや三菱UFJ信託による日興信託の買収交渉は、この段階で白紙撤回されている。売り手側には、この段階では別のアドバイザーが指名されているのが通常だが、交渉決裂した場合の防衛措置として違約金を定めることが必要な場合もある。
 公開買付価格に対するプレミアムの目途も検討しておく必要があるが、単に株価算定書だけではない。買い手側の買収メリットと売却予定の大株主や対象企業の経営陣の考え方を調整しておくことは必要で、アドバイザーとしてその仲介を行うこともある。また、自社株取得などは財源が企業の配当可能利益なので、プレミアムが余り高すぎても問題があるし、救済型のTOBの場合は特定の売り手以外を排除する目的でマイナスプレミアムの場合もある。プレミアムに対するアドバイスは、市場の専門家として証券会社の重要な機能である。
【TOB実務】
 TOBそのものは、市場外での株式大量買付行為なので、株の受渡しができる証券会社の専任業務である。売却希望の株主の口座を設け、株式を受入れ、キャンセルにも対応し、時には株主からのTOBに関する問い合わせにも応じる。証券会社の機能をTOBの為に貸し出す訳だが、この対価に数千万円のフィーを課す事が出来るM&Aアドバイスとは独立したビジネスである。しかし、この段階になると証券会社内の関係者も増加するので、TOB公表まで、より厳格な情報管理が求められる。
【TOB公表まで】
 段階が進捗するに伴って関係者が増加してくるが、このTOBに関する情報は、証券会社内は勿論、関係する金融機関、印刷会社、会計事務所等での厳格な管理が求められる。アドバイザーとしての証券会社は、これら関係者にもインサイダー情報の管理の徹底を促す努力も必要だ。
 社内売買の管理は勿論、公表前に情報を限定された関係者以外にメールで流すようなことは決してあってはならない事である。
以上、しつこいくらいの情報管理徹底である。
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