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2017/10
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守るべき金融所得一体課税
 新政権になって税調のあり方も変わり、税制決定のプロセスも政府主導になるようだ。今までは、自民税調が主体であった税制対応も、本来の政府主導になるということは、行政プロセスの分かり易さから、良い事なのだろう。しかし、市場や業界の方は、新政権への不安が今のところ勝っている様にも思う。証券業界の不安の最たるものは、“優遇税制”だろう。この証券優遇税制に関しては、昨年度の税制改正(平成21年度改正)により、2年間延長されて、平成23年まで譲渡益に対する10%課税の軽減措置(業界は優遇税制という)となる事が決定している。業界首脳の心配は、この軽減措置延長が廃されることのようだが、元々この優遇税制という譲渡益の軽減措置は、平成24年には終了する。つまり、20%の課税になる訳だが、1~2年早くなることがそれほど業界にとっての大きなダメージになるとも思えない。
(長年、業界としては市況悪化への懸念を材料に、10%軽減措置要望を繰り返した前例はあるが、税制を課される個人投資家の方は、今更右肩上がりの市場を考えて日本株市場に投資しているわけでもないので、筆者は、譲渡益課税軽減措置撤廃の影響は、限られると考える。)
 ただし、金融業界としては見逃せない動きもあるようなので、コメントしておく。
それは、総合所得課税に一本化しようとする動きである。つまり、金融所得に対する20%の課税を取りやめ、総合課税にしようという考えである。この考え方は、民主党だから若しくは金持ち優遇批判をする社民党だから出てきた訳ではなく、元々政府内にも根強くあるようだ。
 この預金利息や配当・譲渡益など金融商品に課せられた20%の課税とは何か。
金融所得一体課税の考え方は、遡れば、2003年6月の政府税調中間答申において、「金融商品間の中立性を確保し、金融資産所得を出来る限り一本化する方向を目指すべき」とされ、具体的には以下の様な考えが示されている。
・金融所得を、勤労所得などと分離して、課税する。
・金融商品の種類や所得分類にかかわらず、同一の方式で課税する。
・金融商品から生じた収入の総計から、要した費用、生じた損失を控除することで金融所得を算出し、その金融取得に対して比例税率で課税する。
・全体の損失があれば翌年以降に繰り越し、金融所得のみと相殺する。
つまり、株の譲渡益も配当も、預貯金・国債などの利子所得も、金融所得として一体で考え、これを通常の所得とは分離して税制上考えるとのことだ。“少子・高齢化社会における税制のあり方”の中で、検討された結果であり、決して金持ち優遇税制ではないのが、金融所得一体課税の考え方の根底にある。2030年には、65歳以上の人口が、全体の4割にも達するようだが、個人の勤労意欲は別にして、税金を持続的に支払っていくような雇用の確保は、一般論として難しい。また、定年延長といっても、当金融業界など50歳台後半でも、再雇用は難しいので、現実的に思えないし、投資家であれば、そのような会社への投資は敬遠するだろう。 結局、老後の人生資金で頼るのは、個々の金融資産となるのだろう。
 もし、政府の一部の方々が仰るように、税制は単純なのが望ましいので総合課税化するなら、誰が利率の低い国債や日本の社債を買ったり、新興国に比べると成長性の低そうな日本株への投資をするのだろうか。
債券投資も株式投資も、成長性を買う個人の長期投資は、一層海外へ向かうだろう。
結局、資本・資金調達コストは上昇して、日本企業の成長力を更に減少させてしまう。
今、金融所得一体課税を守るのは、単に金融界だけの問題ではなく、日本の経済システム全体に影響を及ぼす可能性もあることを、業界は新政権にちゃんと説明する義務がある。
 これから、団塊世代の退職も本格化し、退職金など個人の金融資産も増加するだろうが、安全資産先行であっても、低金利の日本の預貯金に滞留しているだけではない。新興国など海外の国や企業が発行する債券に向かう部分も多くなり、安全資産であっても、国外流失の懸念は常にある。まして、リスク資産なら、成長の限界を感じる日本企業ではなく、これも新興国投資に向かうトレンドは強まるだろう。
 金融所得一体課税を守るのは、日本の資本市場の空洞化を防ぐ前提であるとのコンセンサス形成を早急に金融業界は行うべきである。

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ジャンル : ビジネス

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