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2017/08
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社債市場改革における個人投資家対応
 ハイイールド・ボンド・ファンドや新興国債券ファンドが個人投資家に売れているのに、この債券投資資金が日本の社債市場に流れない。いや流れないのではなく、日本の社債市場が、個人投資家の債券投資の受け皿として機能していない。低金利の日本では致し方なしと諦める前に、日本にもハイ・イールド(BBB格以下)の社債はあって、4~5%台の利回りが期待できるが、個人投資家は、自分が投資したいと判断した時に購入できるようになっているのか。
一方、この7月から日本証券業協会において、“社債市場の活性化に関する懇談会”が開催されて、日本の社債市場改革に向けた議論がされている。日本の社債市場の11倍の規模である米国社債市場との比較もされているが、日本の個人投資家は、社債全体の0.1%を保有するのに対して、米国は個人の社債保有比率が、直接保有分14%、社債ファンドでの保有分11%と、合計すると社債全体の四分の一に達している。この米国での社債の個人保有を促進した要素として、日本においても対応可能と思われるポイントを、2点上げてみたい。社債情報の共有と、日本版ハイイールド・ファンド需要作りである。
【社債情報の共有】
 本年は、ソフトバンク債の様なハイイールド債も、個人向けに発行されているが、個人投資家がいつでも日本のハイイールド債に投資できるかと言うと、そのような状況には程遠いと言わざるお得ない。その理由の一つは、販売する証券・金融機関等での現場対応の問題もある。例えば、営業コンプライアンス・ルールから、BBB格以下の社債投資には、投資家からの確認書徴収を義務付けているところが多い。更に、ハイイールド債の商品情報が、一部の大手に偏っているという現実がある。もともと、日本の社債市場の流通市場は規模が小さいが、実際の取引仲介をする証券会社も限られているので、個人投資家が既発行のハイイールド債情報に接すること限定されている。この状況を改善する為には、社債情報を個人投資家が入手しやすくし、仲介窓口を増加させる必要があるが、米国にはその為の先例があるので、ここに紹介する。
米国の社債流通市場では、取引価格の透明性向上の為に、TRACEという仕組みが2002年に導入されている。これは、社債の取引に関して、仲介者である金融機関(米国の金融取引業規制機構[FINRA]参加者)が、その取引価格等の情報をTRACEに報告し、TRACEがWeb上で公表を行う。段階的に強化されているが、現在は、社債取引の仲介者は、その取引の15分以内に報告する義務があり、その情報はリアル・タイムで流される。TRACEの運営費用は、この取引仲介者間で基本的に負担されるが、取引仲介者は自社のシステムとTRACEがインターフェースしていて、STPなどで事務処理コスト削減のメリットを受ける。TRACEで処理される取引情報は、市場データとして活用されるが、個人が利用する場合は無料、機関投資家や情報ベンダーがリアル・タイムで利用する場合は有料となっている。
この仕組みが、Web上での個人投資家向けプラットホームの役割を果たし、個人の社債投資拡大に貢献したと言われている。
【日本版ハイイールド・ボンド・ファンド需要作り】
社債市場裾野拡大の為には、個人投資家の投資拡大が必要なのだろうが、国債に数十ベース乗った程度の高格付け債への投資では、やはり限られるので、BBB格・BB格程度までハイイールド債投資が必要だ。また、BB債までが実質的に起債可能となれは、中堅企業の資金調達多様化への貢献も出来、本来の資本市場機能としての果たす役割も拡充する。その為には、ハイイールド債への分散投資機能をもつファンドの整備が業界のテーマかも知れない。ハイイールド債への分散投資の方法としては、中小企業の私募債を合成した東京都のCLOなどが既にあるが、ファンドの方が少額投資が可能であるので、このファンドが活用できる様な、投資スキームも望まれる。例えば、日本版401Kの対象拡大や、少額投資非課税制度の整備などが、日本版ハイイールド・ボンド・ファンドの需要の為の、少額分散長期投資として期待できる。
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