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2017/10
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ファイナンスのプロセス
 1000億円以上の大型公募増資が相次いているが、この様子だと、公募増資だけで本年は4兆円を超え、バブル期のエクイティ・ファイナンス市場に迫りそうだ。3月期銘柄の中間決算も一巡するこの時期は、7~8月とともに、ファイナンスの季節とも言われているが、市場の一部では、重なる大型増資に対して、市場の圧迫要因と見る向きもいるようだ。しかし、資本市場本来の機能を考えれば、企業に対して、必要な時に、リスクマネーを供給する大事な役割を果たしていると考えるべきで、その為に、企業は年々重くなる開示(デスクロージャー)負担に、耐えている。また、投資家にとっても株式の希薄化(ダイリューション)は気になるとしても、企業が事業戦略を積極的に展開するのだから、本来は好ましい事だ。更に、業界にとっても、伝統的な投資銀行業務であるファイナンス引受で、大きな収益が見込めるので、積極的に取り組むのだろう。ファイナンス市場が拡大していることは、市場にとって良い事なはずなのだ。そのファイナンスのプロセスにかんして、投資銀行的視点で、見直してみたい。
【エクイティ・ファイナンス】
突然に、企業単独で、公募増資を決して、公表出来るものではなく、引受証券との交渉から、ファイナンスの具体的作業は始まる。この期間は、概ね2カ月弱だが、以下の様な手順となるのが一般的だ。
・企業と引受証券は、具体的ファイナンス手法(公募増資なのか新株予約権付社債なのか、国内だけでなく海外でも販売するか等)を検討する。
・この検討に当たっては、引受証券側が、当該企業ファイナンスに対する主要投資家の需要を、サウンド(正式な需要調査ではない)する場合もある。
・一方、引受証券は引受判断をする為、当該引受企業の引受審査を実行するが、エクイティ・ファイナンスの場合、最も重要となる判断基準は、当該企業がエクイティ・シナリオを持つかどうかである。
・エクイティ・シナリオを平たく言えば、企業が調達資金を使って業績を伸ばす可能性の検証をすることだ。その根拠を取る為に、経営者や企業の関連部署への調査を重ねる。
・また開示書類は、有価証券届出書の提出が必要だが、直前までの企業内容の変化も取り組まなければならないので、決算発表後にファイナンスが集中しやすい。この有価証券届出書をベースに、正式な販売資料となる目論見書が作成されるが、大型ファイナンスの場合、別途、販売用資料が作成される場合もある。
・企業が調達を希望する金額と、市場が受け入れるファイナンス金額が必ずしも一致するわけではないので、ファイナンスの公表日が近づくに従い、どの市場(国内外)でどの位調達を目指すか、企業と引受証券の協議が行われるが、この比率に関しては、引受証券側の重要調査に頼る場合が殆どだ。
※最近は、M&A関連のインサイダー取引が業界関係者にも及ぶケースが摘発されているが、ファイナンスも重要事実で、当然インサイダー取引の対象となる。ファイナンスは、そのプロセスの進行により、M&A以上に関係者が増加していくので、この情報は法人関連情報として、引受証券内で管理され、自己売買部門は当然関与出来なくなる。
【デット・ファイナンス】
大企業の社債調達に関しては、殆ど発行登録制度が活用されているので、金融市場の変化に対して、即日でも発効できるよう機動的になっている。発行プロセスは、概ね以下のようになる。
・発行登録制度を利用するため、企業は1年もしくは2年を有効期限として発行総額を定めておく発行登録書を提出。
・引受証券になる可能性のある証券は、上記に合わせて、引受審査を事前に行うが、決算資料など新たな開示資料が提出される度、独自の審査内容を見直す。この引受審査は、社債元本の安全性が確認出来る財務基盤に関するものが中心となり、エクイティ・ファイナンスとは異なり、エクイティ・シナリオには関与しない。企業のクレジット・リスク管理は、この審査部機能の中で行われる。
・社債調達に当たっては、企業が調達意向を引受証券の候補に伝え、その候補達から提示される投資家需要動向を基に引受証券が決定。数日で、実際の発行作業に入り、短ければ条件提示から半日で当該社債を主要な機関投資家に販売する。
※社債に関するインサイダー取引の対象となる重要事実は、償還元本に関するものと限定されているが、最近、米国SECは社債の発行内容の変更に絡んで、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)取引に関するヘッジ・ファンドのインサイダー取引を摘発している。
 以上、ファイナンスのプロセスにおける情報は、通常は証券内で隔離されて管理されているが、一層の情報管理の厳格化が求められてもいる。

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