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2017/08
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東証の取引の高速化対応
 話題としては少し早いかも知れないが、来年1月4日には東証の次世代売買システム“arrowhead”が稼働する。取引対象は、東証で取り扱う全ての現物(株、CB等)にかかるオークション取引である。このシステムは、東証が300億円を投じて開発したといわれるが、注文応答のスピードが100倍以上速くなり、10ミリ秒以下の高速化に対応する。勿論、高速化だけではなく、注文・約定・注文板などの取引情報を三重化して保護する信頼性も確保して、世界最高水準の取引所システムになる。
 “arrowhead”での取引開始に合わせて、東証は以下2つの施策を行う。

【売買制度の見直し】
・年末年始の半日取引→全日取引(オプション・先物も)
・同時呼値の配分ルールは、数量の多い順から配分(同数の場合は、記録順)
・呼値の単位を一部細分化へ:例=株価2000~3000円は、現行5円から1円へ
・制限値幅及び更新値幅の拡大へ:例=株価1000~1500円は、現行制限値幅200円・更新値幅20円から其々300円・30円へ
・連続約定気配の新設:更新値幅の2倍を超えて売買する場合には、“連続約定気配”を表示。更にその値幅を超えて売買が続く場合には、“特別気配”を表示
・板寄せ時の合致条件の見直し:ストップ配分時には、最低単位の反対の売買呼値があれば、売買が成立

【コロケーションン・サービスの拡充】
 取引参加者による取引の高速化に対応する為、取引参加者の自動発注サ-バーと、取引所の売買システムや相場報道システム等との距離を縮め、データ授受の遅延を極小化することを目的に、取引所のデータセンター内、又はアクセスポイント近くに、取引参加者が機器を設置する場所を貸す。米国では、取引所サービスとして拡大していて、複雑なプログラムを組んで大量に多数の銘柄を売買する証券会社やファンドの高速化ニーズに沿ったものだ。

 取引の高速化対応は、取引所機能の充実の為には必須条件となるが、それを使いこなす証券・投資家側も、高速でやり取りする情報の処理の為、プログラムの開発や取引所システムとの接続機器能力の向上が求められる。勿論、取引所システムに直接接続できるのは、取引参加者の証券なのだが、その証券業者より提供されるDMA(Direct Market Access)サービスにより、ヘッジ・ファンドや主要な機関投資家は、直接取引所への注文発注が可能になっている。よって、ミリ秒単位の取引所の売買システム高速化のメリットは、証券会社は勿論のことファンドや機関投資家までに及ぶ。
最近、米国を中心に一部には売買システムの高速化が進むことに、批判が出始めている。フラッシュ・オーダーの件は、拙稿(10月15日公表分)で紹介したが、DMAで提供されるサービスで、証券会社が顧客に市場で自由に超高速取引を行うことを許可する「ネーキッド・アクセス」について、米SECが規制を検討していることが、先月末、伝えられている。背景には、超高速売買で多額の利益を上げているGSなどの投資銀行批判(ニューヨークタイムズ)があるようだが、一方では米国での超高速売買は取引高の半数以上を占めるほど拡大している現実がある。
 大口取引を行う投資家は、別にヘッジ・ファンドでなくとも、取引の匿名性の確保と、自らの取引が市場に与える影響を極小化しようとするのだから、取引数が多くなるのは避けられない。それを処理する為のプログラムも高度化するのは、当然だろう。取引の高速化は、取引手法のイノベーションを生むので、海外市場の堅調を横目に、日々の売買高1兆円台に留まる東証の為にも、推進し、かつ活用すべきだろう。
確かに、ミリ秒単位更にそれ以上のマイクロ秒単位は、現状では個人の取引では直接使えない高速化かもしれない。しかし、日本株の取引が、海外などのダークプール(海外の証券会社内取引システムもしくは証券会社間共同の取引システム)に流れて東証取引が空洞化しない為の工夫も必要で、東証の出来高が増加すれば、日本市場での流動性も増し、それが個人投資家への恩恵となる。
ただし、取引高速化の個人への直接のメリットを考えるのは、市場仲介者の宿題でもある。
 
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