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2017/08
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エクイティ・ファイナンスの状況
 企業の資本調達に応えることは、資本市場の重要な目的なので、エクイティ・ファイナンスが増加することは、日本の株式市場が機能しているという証しである。本来は、好ましいことだが、流通市場への配慮も必要だろう。新株式が急増して、市場環境が変わる可能性があるときは、それなりの激変緩和措置も必要かもしれない。かつてのバブル時に、エクイティ・ファイナンスが急増し、その調達を制限する為に、金融当局(実質は当時の大蔵省、形式的には証券業協会)によるファイナンス規制が行われた。ファイナンスの事前審査(金融当局が行うもの)、利益配分ルール、などであったが、10年以上前90年代半ばには、全て撤廃された。利益配分ルールは、エクイティ・ファイナンス後の増配や株配などの株主への利益配分を、調達企業に強制的に迫るものだったが、今でもその名残りがあり、増資発表時の記者発表文に、調達後の株主への利益配分を、記載する欄(何もしなくとも)が必ずある。
 しかし、この様な金融当局による規制は、先進国の成熟した市場では2度と行うべきではない。市場の需給は、市場自体に委ねるべきであり、発行市場の急拡大による流通市場の低迷も、結果としては市場参加者(調達企業や投資家)の選択の結果なのだ。だた、本年の時価発行増資は、10月までに払込みを終了したものだけで、29件3兆2381億円、11月発表分が現在(11月20日)まで、14件約1兆8500億円あり、合計すると43件で5兆円を超える。出来高が日々1兆円台の市場取引には、相当厳しい数字であり、このままいくと、公募増資金額は過去記録であるバブル最盛期1989年の5.8兆円(227件)を超える可能性さえある。また1件当たりの増資額が急増しており、本年の公募増資の1件当たりの平均調達額は、約1100億円。バブル最盛期の調達額の平均約260億円と比べると4倍の調達規模になっている。11月に公表された公募増資のうち1000億円以上の大型ファイナンスは、
・T&D(11月5日公表) 1200億円調達  発行登録制度利用(本年2度目の調達)
・NEC(11月6日公表) 1236億円調達  希薄化率=28.3%
・郵船(11月12日公表) 1428億円調達  希薄化率=37.4%
・日立(11月16日公表) 3000億円調達  希薄化率=34.1%(他にCB1000億円)
・三菱UFJ(11月18日公表) 1兆円調達  発行登録制度利用(昨年末以来)
※NEC以外は、公表時の数字で、実際の調達額と異なる。(実際の調達額は、発行価格が決定してから)
これらの大型ファイナンスは、国内外で募集を実施するグローバル・オファーリングである。
以前にも紹介したが、グローバル・オファーリングの際には国内外の募集配分を決めるため、公表前に海外主要投資家に需要を事前打診(プレヒアリング)して、海外募集分を決める発行慣行(海外引受業者の慣行)がある。つまり、国内にいる投資家や株主より、事前にファイナンス情報を得る可能性がある海外投資家がいるということだ。企業にとって、ファイナンスは戦略を実現する為の重要な資本調達なのだから、ファイナンス情報に対する配慮は必要で、せめてファイナンス情報が投資家や株主間で平等に行き渡る発行登録制度を利用すべきというのが、大型ファイナンス=グローバル・オファーリングに対する筆者の主張である。
発行済みの3割以上発行するのも、最近の大型ファイナンスの特徴であるが、希薄化(ダイリューション)に対する配慮も、必要である。公募増資に当たっては、以下のことも、検討されては如何か。
・公表時より、株価が大きく下落した場合は、増資を延期する。(時価以下発行の規定に拘らないで)
・公募増資よりは、市場インパクトが緩和されるCB(新株予約権付社債)で調達を行う。銀行の様に、直接資本調達が必要な場合は、一旦劣後CBで発行しておいて、株式への転換を、段階的に強制転換するスキームで、国内募集中心に行う。CBは国内上場して、CBの流動性を高めておく。
企業が、金融危機後の積極的な事業展開で、資金調達をしていることは分かるが、本当に時価発行増資が、最善のファンナンス手法なのだろうか。ちなみに、2006年には、公募増資1.6兆円に対して、CB調達は2.6兆円あって、合計4.2兆円の企業の資金調達を支えた。
引受業者は、もう少し工夫する必要があったかもしれないというのが、現在の株式市場水準での、答えだろう。
日本企業の公募増資
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