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2017/10
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ファイナンス増加に想う
 再び、日本悲観論が台頭しつつある様に想うが、ここ数カ月、海外市場動向に余り関係なく、ジリジリと値を下げてきた日本株市場を見れば致し方ない。市場は本来変化を好むものだか、株安は決して新政権への不安とは思いたくないので、この分析は、マクロ・アナリストやストラテジストに任せる。ただ、誰もが分かることに、供給が需要を上回れば値が下がるということがある。市場の日々の出来高が、1.5兆円程度(11/30東証一部売買金額)なのに、月間で1.88兆円の新規の株式供給(11月公表分の時価発行増資の調達予定額の合計:実際の調達額は、これより少ない)をすれば、市場で売買される金額の6%以上が吸収される。であれば、現在の日経平均は9,345円×1.06=9905円相当と思い直したくなるような市場環境だ。
 ただし、調達する側も、この様な低い株価水準で、発行済み株数の3割以上発行するのだから、相当の覚悟での資本調達と考えたい。ここは勝負処と考え、大量の資本調達を行うのであれば、むしろ日本企業が再度成長を目指す契機として、市場は歓迎すべきだ。
昨年までの10年間の時価発行増資は、年平均で8037億円を市場から調達している。今年は、この数字の7倍近くになりそうなので、日本企業は平時の7倍もやる気を出し、市場から調達したリスクマネーを戦略投資に充てる。そう信じれば、株式市場の先行き見通しも明るくなり、日本悲観論も霧散する。
 その為に必要なことは、情報開示であり、事業戦略と資金使途をきちんとディスクローズすることは、資本市場の基本ルールだ。これがもし、市場から調達したリスクマネーを借入金返済に充てるというなら、何でこの高格付けの企業が、低金利で資金調達できるのに、資本コストの高い資本調達(時価発行増資)を行うか、株主は理解に苦しむ。さらに、調達した資金は当面運転資金として、国債などの債券で運用するというと、市場は殆ど反発したくなる。
企業には、それぞれの事情があるだろうが、リスクマネーの調達が資本市場利用の原則であることを忘れないで欲しい。勿論、これらのことは時価発行増資の決議前に、引受幹事証券が審査を行う。調達する資金の使い道は、資本コストに見合っているか。また、調達した資金が利益をちゃんと生むか。これらの審査は、時価発行増資後の株価が、上昇する可能性が高いことを検証する為に行い、引受主幹事証券は企業に“エクイティ・シナリオがあるか”と問う。
 一方、引受主幹事証券は企業からファイナンス手法に関して相談を受ける(若しくは提案する)が、本当に時価発行増資での調達でなければならないか、引受審査で検証しているのだろうか。ここ10年来で、本年に次いで企業のエクイティ・ファイナンスが多かった年は2006年だが、時価発行増資総額1兆6371億円に対して、内外でのCB発行総額は2兆6192億円で、合わせて4兆2463億円のエクイティ・ファイナンスを消化している。ちなみに、本年のCB発行額は、予定分まで含めて4000億円余りで、金融危機の昨年発行額1兆3153億円にも及ばない。現在の大量の時価発行増資は、少しCB発行に変更してもらう位の配慮は、引受証券として時価発行増資を欲する企業へ提案して欲しい。
 現在の大型時価発行増資は、殆ど内外同時募集で、その主幹事は実質的に一つの大手証券に集中しかけている。これは、投資銀行としての引受競争の結果なのだろうが、流通市場に配慮してこそ発行市場の雄とし相応しいし、ダイリューションを緩和するようなエクイティ・ファイナンスの工夫を率先して行うことを期待したい。
 また、他の引受主幹事証券も含めて、特に銀行のファイナンスに関しては、劣後強制転換CB、株主割当増資、BISにコア自己資本として認めさせ得る優先株の設計等、発行市場の知恵を使うべき時だと信じている。

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