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2017/07
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ライツ・イッシュ=株主割当増資の背景と仕組みについて
 グローバルな金融危機をどうにか乗り切った観もあるが、日本の金融機関は公的資金を使わなかった代わりに、株主や投資家がそのコストを負担した。3大メガバンクの巨額の資本調達に耐えたのは、三菱UFJ(62万)三井住友(22万)みずほ(44万)合計すると128万の株主である(2009年3月末時点)。さらに資本調達は、時価発行方式の公募増資で行われ、みずほFGの増資を例にとると、市場時価190円から3.16%ダウン184円で発行価格が決定されていて、この差額分は既存株主の負担とみることが出来る。
[なお、この発行価格は投資家が新株の募集に対して、引受証券に払い込む金額で、みずほFGの実際の資本に払い込まれる部分は、払込金額176.4円。この差額7.6円(払込金額に対して、4.3%)は引受証券の募集手数料になる。この分は、公募増資に応じる新規株主の負担となる。]
 この事例では、新規の資本を得る為に、合計すると7.46%のコストを、44万株主が負担したことになる。銀行は資本を得て安堵し、引受証券は巨額の引受手数料を得て潤うが、既存及び新規株主が負担したコストの見返りは何になるのだろうか。勿論、グローバルな金融機関競争に勝ち残って、金融グループとしての企業価値を上げることが前提だろうが、株主への利益還元のストーリーを明確にするという資本市場のルールは、守っていただきたい。
 前置きが長くなったが、最近株主の負担が比較的少ない増資方法としてライツ・イッシュ=株主割当増資が、日経などで取り上げられるようになってきたので、その背景と方法論について述べたい。

【株主割当増資の背景】
 現在の様に、一般の投資家から時価に近い株価で新株を募集する方法=公募増資の方法が定着したのは30年程前からであるが、欧米では株主持分の希薄化に配慮され、新規公開(IPO)時以外は、株主割当増資=ライツ・イッシュが殆どである。日本における資本調達方法しては、時価発行の公募増資・CB(新株予約権付社債)が発達した為、株主増資割当はこれらの増資方法が使い難い状況での代替手段とみなされていた。
[バブル崩壊後に、発行市場においても公募増資が実質的に停止・規制された際、銀行などが時価と額面の中間の株価で新株を発行する中間時価発行増資を実施。この新株を引受する権利を、株主に割当てた。なお、この増資に応じない株主は、その権利を失権したと見做され、この分に関して証券会社は、失権株公募として新たに新株の公募に応じる投資家を募集した。]

【株主割当増資の仕組み】
 会社法になって、株主に新株を引き受ける権利を与える事が、新株予約権(=欧米で言うところのライツ)として定義された。株主割当増資は、この新株予約権を株主全てに付与するが、新株予約権の権利行使の対象となる新株の払込価格はいくらでも良い。前記のみずほFGの例でいくと、1円でも良いし、300円でも良い。勿論時価でも良い。以下、みずほFGの事例で、仮想で株主増資割当を実施した場合の仕組みの概略を説明する。
≪仮想です≫
・6月30日、株主全てに、保有株数100株に対して30株の新株が引き受けられる新株式予約権を付与することを公表。(なお株主の確定は、7月末実施)
・新株予約権の内容は、新株の払込価格200円(6月30日の終値230円に対して、13%のデスカウント)、予約権の権利行使期間は、2009年8月10日から2010年の3月15日まで。
・株主に割当られた新株予約権は、8月10日から東証に上場し、新株予約権の売買が出来る。(但し。2010年3月10日まで)
・証券会社は、新株予約権を割当てられた株主に対して、権利行使を実行して新株の払込に応じるか、新株予約権そのものを売却するか確認。
・新株予約権上場の8月10日以降は、証券会社は当該新株予約権売買を投資家に仲介。
≪仮想終り≫

以上の様な株主割当増資方法を行えば、株主に希薄化その他のコストを負わせることなく、大量の自己資本調達を、期中に実施することも可能である。
但し、通常の時価発行公募増資より、発行者も証券会社も手間がかかるが、このコストは、日本の資本市場健全化の負担として、利用者・市場仲介者が負うべきものではないだろうか。
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