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2017/09
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クレジット市場という考え方
今年は、エクイティのみならずデットファイナンス(社債発行)に関しても、例年に比べると格段に多く、年間通算で約11.4兆円の発行となった。これは、昨年まで10年間の年間社債発行額平均7.5兆円を大きく上回っており、1998年の12.6兆円につぐものだが、金融危機の翌年は、社債発行額が急増する傾向があるようだ。
 しかし、発行量の増加があったとしても、流通市場が整備されていない・個人や外人投資家の参加が少ないなど、日本の社債市場は問題が多く、その機能が発行市場に偏っている。主要な問題点を上げると以下の様な現状となっている。
・銀行の劣後債などこの1年は個人向け社債が増加したものの、個人か直接もしくは間接的(投信で)に保有する比率が低く、個人の主要な投資対象になっていない。
[社債保有者に占める家計・投信の比率:日本2%⇔米国30%]
・海外投資家の投資も一部の銘柄に限られていて、これも投資対象になっていない。
[社債保有者に占める海外投資家の比率:日本0.6%⇔米国24.1%]
※平成22年度の税制改正において、海外投資家の保有する社債に関して、利子・償還差益に対する非課税措置が、平成25年3月末まで発行分に対して手当てされた。
・米国のTRACE制度の様な流通価格情報や、ローンなどと社債の関係を示すような情報など、社債に関する情報インフラが整備されていない。
・米国では、社債の清算機関としてDTC(Depository Trust Corporation)により、円滑な清算機能が提供されており、付加サービスとして社債を貸し借りするレポ機能も社債流通の活性化に役立っているが、日本にはない。

 以上の問題は、証券業協会において“社債市場の活性化に関する懇談会ワーキング・グループ”で、具体的改善策の検討がされているが、現状の社債保有の半数は銀行等であることから、ローン市場などと密接にリンクしているのが現状である。

○社債の発行残高:59.1兆円(10月末時点)
○シンジケートローン残高総計:58・5兆円(10月末時点:但し、ターム・ローンとして貸し出されているものは、そのうちの38.2兆円)。本年から始まった電子債権取引では、大手企業の電子手形など電子債権を、中小企業の資金繰りの為に買い上げる仕組みして注目を集めているが、シンジケートローンなど大口ローンを社債の様に売買する仕組みとしても期待されている。
○社債やローンのリスクをヘッジするデリバティブとして、CDS取引があり、現状は店頭取引であるが、来年度以降に清算機関を設立するための準備が進められている。
以上の3つの市場は、関連性が強く、総じてクレジット市場として捉えるのが昨今の考え方である。日本においても、この3つの市場其々を示すインデックスが使われ始めているし、格付けなどの信用情報も共有されている。

 社債市場のあり方も、クレジット市場全体の中で考えていかなければならないが、難しいのは“信用情報”に関する共有かも知れない。例えば、クレジット市場における3つの市場のメインプレーヤーである銀行には、審査部があり、個別の未公開の“信用情報”をもつが、他の投資家は、格付け情報と社債の財務制限条項(社債要項に記載されている場合)に頼るしかない、という“信用情報”の非対称性問題がある。新たなローンの条件によって、社債保有者が不利となるリスク(つまり社債の価格が下落する可能性)を、どう知り得えるかといった問題は、現状では、格付け機関か企業の債券IR活動に頼るしかない。
 しかし、3つの市場において清算機関が整備され、それぞれの取引参加者により、信用情報を共有されていけば、全体のクレジット市場としての“信用情報”は、社債の投資家(個人を含む)に、有効に活用されるかもしれないと期待している。

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