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2017/10
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国家戦略としての金融教育:英国の場合から
 教育は、国家の基本戦略である。金融教育についても、また然り。と、少し大仰に始めてしまったが、日本の金融教育も、業界や金融機関などによるボランタリー・ベースの段階から、国家戦略として取り組むべき時期に入ってきたのではないだろうか。それは、戦後企業の成長とともにあった日本の仕組みが変化して、金融や家計それぞれに求められる物が変わってきているからだと思う。銀行や郵便局にお金を預けておけば、自然にお金が増えるという感覚は、最早ないし、以前は会社に任せていた老後の年金資金も、自分で責任をもって選択しなければならない事も増えている。お金を使う方も、ローンの選択肢が増えているし、住宅やエコなど補助金や税額控除などの仕組みも複雑化している。又、金融商品・サービスは様々に増え、品揃えが増えた半面、マルチ商法まがいの電子マネーもどきの様な問題も起きる。
 個人として、誰しもが金融関連情報に接し、またそれを選択していかなければならない状況に、日本も既になっている。この日本の家計(個人)に必要な金融教育とは何なのかを、易しく考えれば、金融教育の目的=“お金を使う事”+“お金を貯める事”であろう。お金を貯めることは、日本が対外的にも成長していた時期は、イコール貯蓄で良かったが、現在は“お金を貯めること=貯蓄+投資”でなければお金は貯まらない。証券業界は、この“投資”については、個人のライフサイクルに合わせた金融教育に貢献していくことが出来るが、“お金を使う事”と“貯蓄”に関しての金融教育への知見は浅い。
証券業界視点で言い替えるなら、個人のライフサイクルに合わせた“投資”の必要性を、金融教育の中で、それぞれの個人(小学生から退職者まで、またニートから大学生まで)に本当に理解させていくためには、“お金を使う事”と“貯蓄”まで含めた国家戦略的金融教育が重要となっており、その視点をもって、業界として金融教育に協力していく必要がある。○○の目的で使いお金を貯めるために、◇◇の投資をする、というような、個人にも業界にも理解しやすい取組みのことである。

 このような国家戦略としての金融教育のモデルは、英国にあり、国家プロジェクトとして進行中である。
英国のFSA(Financial Services Authority=金融サービス機構)は、金融システムに対する理解を増進することを2003年11月に国家戦略として宣言し、2004年後半から2005年初めまでかけて国民の金融能力に関する本格的サーベイを実施した。この調査を踏まえて、FSAは以下の内容を目標とした金融能力プログラムを取りまとめ、2006年3月に5カ年計画(2011年までの達成目標)として公表している。
①学校:金銭について学ぶ=国のカリキュラムに金融教育を組込み、教育現場での金融教育に対する対応の変化を促す。
②若年成人:金銭の意味を理解する手助けをする=所謂ニートに対しても、金銭の管理に関するガイダンスにアクセス出来るようにする。
③職場:自分の資金を最大限に活用できるようにする=職場で、従業員に対する一般的な金融教育を提供する。また、金融業界から派遣される専門家によるセミナーを職場で開催する。
④消費者コミュニケーション=金融教育に関するFSAのツール及びコンテンツについて、配布を飛躍的に増加させる。
⑤オンライン・ツール=個人が自らの財政状況を評価し、支援を求めたり、行動をおこす為のツールを、改良し、広くアクセス可能とする。
⑥新たに親になる人々への支援=必要な情報をキット(マネー・ボックス)として配布し、親になることで必要となる金銭的負担能力を高める。
⑦マネー・アドバイス=消費者が、適切かつ魅力的であり、クオリティの高い金融アドバイスを入手できるようにする。
これらの7つのプロジョクトに関して、貯める方の実践の場として、次の様な制度も始められている。
・ISA(Individual Savings Account)=個人貯蓄口座制度:1999年に導入され、2007年に恒久化された制度で、英国民の18歳以上が開設可能な非課税の貯蓄口座。年間7200£を10年間継続して積み立てていくことが出来る。2007年末で、1471万口座。
・CFT(Child Trust Fund)チャイルド・トラスト・ファンド=2005年に導入された制度で、生まれた時から18歳までを期限とする非課税の貯蓄口座。生まれた時と7歳の誕生日の2回、国より補助金250£(低所得者は500£)が支給される。年間の拠出金は、1200£まで。

 教育には、受けた教育内容を実践する場があるのが好ましいが、学校教育で受けた投資教育を含む金融教育で、18歳になった若者が、自分のファンドの資金で、働くか、大学で学ぶ資金とするか、選択する姿は、日本の未来図にあっても良いのではないだろうか。
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