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2017/10
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資本市場に係る本年の10大テーマ:後半
 昨日に引き続き、我が国の資本市場に関する10大テーマの後半について述べてみたい。

⑤清算機関は何のために整備されるのか?
一般の方には分かり難いテーマだが、有価証券がペーパレス化されてデータになったとしても、金融商品という“モノ”なので、取引約定後はお金と決済しなければならない。この金融商品の決済において、清算機関の機能は、決済業務の効率化と安全性の確保なのだが、平時においては金融機関であっても決済業務担当部門以外では殆ど意識されない。しかし、リーマンショックで、例え大手金融機関同士の取引であっても、取引相手の破綻による決済リスクが強く意識され、清算機関は誰もがあった方が良いと思っている。現状の日本の清算機関は、株式の取引所取引部分はこの清算機関で全て決済されるので問題ないが、国債取引は約4割が清算機関で決済され、それ以外は原則取引者同士の相対で決済する。株式の金融機関同士の店頭取引・貸株取引・国債取引の残り6割・社債取引・金利スワップやCDSなどデリバティブ取引は、清算機関はないので、これを整備していこうというのが昨年12月に公表されている“金融・資本市場に係る制度整備についての骨子(案)”でも示されている。取引参加者なら誰しもが必要性を感じる清算機関ではあるが、問題はコストである。コストは大きく分けると2つあって、清算システム及びその維持費と清算基金の負担の問題だが、既存の清算機関のシステムや基金活用・大手金融機関中心のコスト負担などは、政策的後押しが必要だろう。

⑥デリバティブ取引は、規制強化か
※後日、別途に取り上げます。

⑦貸株・レンディング市場は整備されるのか?
株式の貸し借りは、証券金融が実質的清算機能を発揮する制度信用以外に5~6倍あると言われ、株式レポ取引と呼ばれるが、リーマン破綻で貸し借りの決済が滞った為、上記の貸株取引の清算機関整備も政策課題となっている。問題は、貸株取引の清算機関が出来たとして、その機能による恩恵を投資家が受ける事ができるがであるが、清算機関の整備が貸株や株式レンディングなどの市場整備に繋がる為には、清算機関からの情報発信が必要になる。銘柄毎、株式の貸し借り数量が、リアル・タイムで公表されれば、投資家は株式の売買以外に、株式の貸し借りという選択肢を得ることが可能になる。現状の信用取引情報に代わる仮需要の情報として期待できるし、同時に貸株・レンディング市場の拡大にも繋がる。

⑧ヘッジ・ファンド規制は日本にとってどの様な意味があるか?
この問題ほど日本の金融業界にとって違和感があるものはない。確かに、G20の金融サミットで金融機関規制とともにテーマには上がっていたが、そもそも日本には規制が必要なヘッジ・ファンドがあるのかという疑問がある。最近では、日本でもヘッジ・ファンドの立上げがされる様になってきたが、市場の投機的な動きを助長する様なものではなく、逆にヘッジ・ファンド育成が、日本市場がアジアのメイン・マーケットを維持する為に必要というのが、金融業界の認識である。行政も、グローバルなヘッジ・ファンド規制の動向を見極めながら、考えていくと方向にあるようだが、ヘッジ・ファンドを含めた投資運用業の強化は、業界の重要な課題である。

⑨格付機関規制は、どの様な意味があるか
 昨年度の金商法改正により、格付機関が信用格付業者として登録制になり、金融当局による規制を受ける。しかし、何故格付け機関を規制しなければならないか、これも一般には分かり難い。グローバルに格付機関規制が求められた背景は、サブプライムやCDSなどの証券化商品の問題があったが、簡単にいうと、ちゃんと格付けしているか、その格付情報は投資家が必要な時にちゃんと提供されているかが問題になった。格付けの意味が、もはや単なる参考情報ではなく、信用情報の代替としてディファクト・スタンダードになった為である。米国では、この格付情報など信用情報に係るインサイダー取引も摘発されるような時代になっている。グローバルな格付機関規制の結果として、投資家が投資対象の信用情報の代替で、格付情報を容易に入手できる仕組みが可能になると思うが、これも格付費用を誰が負担し、格付情報提供を、どの様なシステムで個人投資家まで提供していくことが出来るかが課題となっている。

⑩上場制度の目的は?
上場会社の経営者が、無節操な増資やMBOを含めた企業再編を行い、その結果、企業価値を減じないために、コーポレートガバナンス強化の必要性が昨年議論され、結果は取引所ルールで規制する様に、東証にゲタを預けられた形になっていた。東証は、上場規則改正で“独立役員”制度の導入を決定したが、経団連に配慮した結果、強制力のない仕組みになってしまった。そんな中で、政府による公開会社法の立法化の方針が固められた。独立性の高い役員は、ここで義務付けられるようだが、出来れば上場規則で整備した方が資本市場機能としては幅のある仕組みになると考える。会社法に公開会社法を重ねることの方が、企業にとっては負担が重いと思うが、東証としては、今一度上場規則でのコーポレートガバナンス強化を試みるべきではないだろうか。

 以上、10のテーマを上げてみたが、日本の資本市場の機能が強化される為に、より多くの事案の実現を望んで、新年のご挨拶としたい。
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ジャンル : ビジネス

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