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2017/06
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主幹事という機能
主幹事証券というのは、ごく一部の大手証券間で、その獲得競争があるが、一般的には余り興味のないことかも知れない。しかし、よくメインバンクと比して、業界の話題にはなるし、一部の投資家には、主幹事証券なら、その企業の特別な情報を持っているのではと思われている方々もおられるだろう。そこで、この主幹事証券というものについて、嘗てその地位を守る為に企業を支援していた立場から、その機能について、考えてみたい。
 そもそも証券業界における主幹事というのは、企業が株式や債券を発行する際に、引受団を取り纏めてファイナンス実務を進める証券会社のことを言うが、一般的に言われている主幹事証券は、少し意味が異なる。簡単に言い切るなら、企業から真っ先に資本市場に関する相談を受ける立場にある証券会社のことを指している。実際どうかは、別にして多くの公開会社はそう思っている。しかし、このことは法規制や上場規則で規定されていることではない。
・主幹事証券の形式基準:会社情報や四季報の【証券】欄に(主)若しくは、一番先頭に書かれること。(この情報は、四半期ごと当該資料の出版元からヒアリングされる主幹事証券に欄にどの様に記載するかで決まるが、その記載の為、企業によっては組織決定する場合もある。)
主幹事証券とは、唯これだけのことであるが、実務的には以下のことがある。
・持株会の運営について、その実務的管理を行う。
(定期的買付けの手数料は、余り主幹事証券の収益には貢献しない。逆に、システムコストを、どの様に企業に負担していただくかが問題になる。但し、持株会を通して従業員の個人口座を獲得していくというリテール戦略は、今でも活きている。)
・持合い株式の売買及びその管理を行う。
(これも主幹事証券にとって手数料収入のメリットは無い。しかし、この持合い作業に関与することで、M&Aや株式の売り出しなどの投資銀行的ビジネスに、繋がる可能性もある。)
・企業のファイナンス相談の第一の窓口
(主幹事証券だから、真っ先に相談しなければならない訳ではない。しかし、株式や債券を発行する場合、引き受ける証券会社は、1ヵ月以上かけて引受審査を行い、企業の未公開情報にも関与する。その為に、企業は引受実績のある証券会社(主幹事証券)に先ず相談する場合が多い。勿論、企業のファイナンスは競争なので、取りあえず主幹事証券から話を聞くという程度)
・企業のM&Aに関して、TOBなど実務が必要な場合の対応。
(M&Aそのものは、企業と企業の取決めなので、主幹事証券だからといって、アドバイザーの地位にアドバンテージがある訳ではない。しかし、TOBや第三者としての株価算定などの証券会社機能が必要なとき、先ず主幹事証券に声をかける場合が多い。)
以上は、有価証券の売買やファンナンス・M&Aに係る主幹事証券としてのアドバンテージであるが、これを維持する為に、以下のことにも対応する。
・企業のディスクロージャーに関する相談
(金商法上の開示制度に関する相談事項にも答えていくが、実際は取引所の適時開示に関する相談事項が多い。つまり企業にとって、適時開示ルールの該当事項や軽微基準が分かり難いということだが、主幹事証券は、企業の財務・企画部門等からアドバイスを求められる。プロ向け市場のTOKYO AIMでは、J-Nomad として証券会社が、企業の開示に関するアドバイザー業務(有料)を行う仕組みだが、現在の主幹事証券は、これを無償で行う。)
・企業のIR活動への協力
(傘下のIR専門会社に、有償で企業のIR活動を支援させることもあるが、個人向けIR説明会を支店で開催したり、投資家を集客することで協力する。一方、投資家への情報提供強化として、企業よりアナリスト・カバー要請もあるが、アナリストの独立性の問題もあって、この対応は、主幹事証券としても微妙な問題になっている。)
 以上のことを行うのが主幹事証券であり、これらの主幹事業務を全体的にみてみると、ファイナンスやM&Aなど収益性の高い所謂ディールがなければ、コスト割れだと思う。言いかえれば、主幹事業務は、ファイナンスやM&Aのフィービジネスに頼っている。
しかし、企業側は、ファイナンスにしてもM&Aにしても、最も企業の求める条件に沿った証券業者を選択する流れが、大企業中心に強まっていて、そろそろ業界としては、この主幹事証券というビジネスモデルから抜け出る時期に来ている。

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