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2017/06
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100%減資という企業再生手法
 JAL再建策の決定の渦中ではあるが、単なる航空会社としてではなく様々な文化も日本国民にもたらしてくれた会社として、個人的には“沈まぬ太陽”であって欲しいと思う。
 しかし、マスコミ報道の再建案では、実質的経営破綻の株主責任ということで、“100%減資”方式により、資本市場からの一旦の退場を余議なくされる可能性が強まっているという。この“100%減資”について、資本市場的視点から考えてみたい。

 先ず、“100%減資”の実質的意味は、経営破綻した企業の株主が、その株主責任を取るということで、その企業の再生過程で、株主でなくなる。その方法は、今までの株式を、企業が強制的に無償で買取る株式に換え、企業が既存株主から株式を取得、同時に支援者が新株の払込みを行い、この支援者が100%の支配権を保有することで、旧株主は再生企業の株主構成から除かれる。
 この方法による通常の手続きは、以下の様になる。
①全部取得条項付種類株(企業が株主より強制的に株式を取得出来る株式)を発行できる旨の定款変更を、株主総会で特別決議
②発行済株式を全部取得条項付種類株に変更する為の、株主総会特別決議
③全部取得条項付種類株の全部を、無償で○月○日に株主より取得する旨の株主総会特別決議
④100%減資する旨の株主総会特別決議(債権者保護の為に、一ヶ月以上の異議申述期間)
⑤支援者に対して、第三者割当てで新株式を○月○日に発行する株主総会特別決議
⑥○月○日に、新株主による臨時株主総会開催で、取締役選任等の決議。
⑦新取締役会において、企業が取得した旧株式を消却する旨の決議を行い、これで旧株式は完全に消滅する。
旧株主の保護手続きとしては、定款変更決議時の買取請求・無償と旧株式の買取価格を決議した場合の裁判所に対する価格決定の申立てがあるが、債務超過会社の場合は、買取価格を無償と考えるのが法曹界の主な見解となっている。
 以上で、再生企業における旧株主の株主責任として、企業への株主としての権利は消滅する。

一方、取引所ではどうなるかというと、上場廃止基準では、破産手続き、再生手続き又は更生手続きを必要とするに至った場合、又はこれに準ずる状態となった場合は上場廃止となるが、再建計画の開示を行った場合は、時価総額が10億円以上あれば、上場を維持することが出来る。
 債務超過の企業において、減資の経済的意味は余りなく、“100%減資”スキームは、再生企業から旧株主を排除する為に使われるが、取引所においては、ある一定規模以上あれば、再生企業の上場を維持し、既存株主に売買の場を提供することが出来る。

JALの場合、どうなるかは筆者の推し測るところではない。
しかし、JALには昨年9月末で401,807名の株主がいる。そして、報道される再建策では、マイレージ制度は維持されるというが、“100%減資“案では、株主優待制度は維持できない。
勿論、この株主優待制(航空券・ツアー旅行・ホテル優待)が再建策に支障となるなら、旧株主ごと切り離すべきだろうが、40万人を得意顧客群として見直す柔軟性が再建策とその舵をきる政策にあっても良いのではと思うのは、筆者だけであろうか。

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